○大津市がん対策推進条例
平成28年3月8日
条例第8号
(目的)
第1条 この条例は、市民の生命及び健康にとって重大な課題となっているがんの現状を鑑み、大津市(以下「市」という。)及び市議会の責務並びに市民、保健医療関係者(がんの予防若しくは早期発見の推進又はがんに係る医療に携わる者をいう。以下同じ。)、事業者(市内において事業活動を営む者をいう。以下同じ。)及び教育関係者の役割等を明らかにするとともに、市のがん対策に関する施策の基本となる事項を定めることにより、がんの予防及び早期発見の推進並びに健康寿命の延伸並びにがん患者及びその家族等(以下「がん患者等」という。)への支援を図ることを目的とする。
(市の責務)
第2条 市は、がん対策に関する施策を総合的に策定し、実施するものとする。
2 市は、国、滋賀県(以下「県」という。)、市議会、市民、保健医療関係者、事業者、教育関係者、がん患者等で構成される団体その他の関係団体が一致協力してがん対策の成果を上げるため、緊密な連携の下にがん対策に取り組まなければならない。
(市議会の責務)
第3条 市議会は、議会活動を通して市のがん対策の取組が適切に実施されるよう、がん対策に関する施策について監視及び評価を行うものとする。
2 市議会は、がん患者をはじめとする市民の声が反映されたがん対策に関する施策が推進されるよう、市をはじめ関係機関等との連携の下にがん対策に取り組まなければならない。
(市民の役割)
第4条 市民は、喫煙、飲酒、食生活、運動その他の生活習慣が健康に及ぼす影響等がんに関する正しい知識を持ち、がんの予防に努めるとともに、がんの早期発見及び早期治療のためにがん検診を積極的に受診するよう努めるものとする。
(保健医療関係者の役割)
第5条 保健医療関係者は、がん患者の置かれている状況を深く認識するとともに、本人ががんの治療方法等を選択することができる等、本人の意向を十分尊重した上で、良質かつ適切な医療を提供するものとする。
2 保健医療関係者は、がん患者等に対し、積極的にこれらの者が必要とするがんに関する情報を提供するものとする。
3 保健医療関係者は、市が実施するがん対策に関する施策に協力し、がんの予防に寄与するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、従業員及びその家族(以下「従業員等」という。)に対するがんに関する正しい知識の普及に積極的に取り組むとともに、従業員等が定期的にがん検診を受けることができる環境の整備に努めるものとする。
2 事業者は、従業員等ががん患者となった場合であっても、当該従業員が勤務を継続しながら治療し、療養し、又は看護することができる環境整備に努めるものとする。
3 事業者は、職場や採用選考時において、がん患者及びがん経験者を差別しないようがん及びがん経験者の理解に努めるものとする。
(教育関係者の役割)
第7条 教育関係者は、保護者と連携して、児童及び生徒が喫煙、飲酒、食生活、運動その他の生活習慣が健康に及ぼす影響等がんに関する正しい知識を習得できるよう、適切な指導を行うよう努めるものとする。
2 教育関係者は、がんの予防及び早期発見の知識等について、がんに関する正しい理解を深めるための教育を行うよう努めるものとする。
(計画の策定)
第8条 市長は、がん対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、がん対策に関する計画(以下「計画」という。)を策定するものとする。
2 前項に規定する計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) がんの予防及び早期発見の推進に関すること。
(2) がん患者等に対する支援に関すること。
(3) 緩和ケア(がん患者等の身体的又は精神的な苦痛、社会生活上の不安等の軽減を目的とする医療、看護その他の行為をいう。以下同じ。)の充実に関すること。
(4) 在宅医療の充実に関すること。
(5) 医療従事者等の育成支援に関すること。
(6) 検診の効果が科学的に証明されているとして国が受診を推奨している胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん及び子宮頸がんに応じた個別がん対策に関すること。
(7) 前号に掲げるもののほか、前立腺がんをはじめとするその他のがんについての予防に関する知識の普及啓発に関すること。
(8) 前各号に掲げるもののほか、がん対策を推進するために必要なこと。
3 第1項に規定する計画は、市が策定する保健、医療又は福祉に関する計画と整合がとれたものでなければならない。
4 市長は、計画を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、第20条に規定する大津市がん対策推進委員会に諮問するものとする。
5 市長は、計画を策定し、又は変更したときは、速やかにこれを公表しなければならない。
(情報の収集及び提供並びに広報)
第9条 市は、市民ががん医療等(がんの予防及び早期発見の推進並びにがん医療をいう。以下同じ。)に関する適切な情報を得られるよう、県、保健医療関係者等と連携し、情報の収集に努めるものとする。
2 市は、関係機関等と連携を図りつつ、市民に対し、がん医療等及びがん患者等の支援に関する情報の提供に努めるものとする。この場合において、市は、必要に応じがんに関する豊富な情報を有する事業者及びその従業員に対し、市民への情報の提供及び活用について協力を求めることができるものとする。
3 市は、市民のがん対策に関する理解及び関心を深めるため、広報活動その他必要な施策を実施するものとする。
(がん予防の推進)
第10条 市は、保健医療関係者と連携し、がんの予防の推進のために必要な次に掲げる施策の推進に努めるものとする。
(1) 喫煙、飲酒、食生活、運動等の生活習慣及び生活環境が健康に及ぼす影響についての普及啓発等、がんの予防に対する理解及び関心を深めるための施策
(2) 受動喫煙防止のための環境整備及び20歳未満の者の喫煙防止並びに禁煙を希望する者に対する禁煙支援のための施策
(3) 教育機関におけるがんの予防につながる学習活動の推進のために必要な施策
(4) 前3号に掲げるもののほか、がんの予防の推進に関し必要な施策
(令4条例13・一部改正)
(がんの早期発見の推進)
第11条 市は、がんの早期発見に資するよう、保健医療関係者、がん患者等と連携し、がん検診の受診率及び質の向上等を図るため、次に掲げる施策を講じるものとする。この場合において、市は、必要に応じ市のがん対策に賛同する事業者等による提案又は創意工夫を活用するほか、当該施策の効果的な実施を図るために必要な検討を加えるものとする。
(1) がんの早期発見の重要性に関する啓発及び広報
(2) がん検診の受診が可能な医療機関等の周知
(3) がん検診の受診に係る費用の助成
(4) 年齢、性別等を考慮したがん検診の受診の勧奨
(5) がん検診の精度管理の充実
(6) 前各号に掲げるもののほか、がんの早期発見の推進に関し必要な施策
2 市は、毎年、期間を指定し、がんの早期発見の重要性に関する啓発及び広報等を重点的かつ効果的に実施するものとする。
(がん患者等に対する支援)
第12条 市は、県、保健医療関係者等と連携し、がん患者の療養生活の質の維持向上及びがん患者等の精神的な苦痛、社会生活上の不安等の軽減に資するよう、必要な施策を講じるものとする。
(小児がん患者等に対する支援)
第13条 市は、県、保健医療関係者、教育機関等と連携し、小児がん患者に対して適切ながん医療その他必要な医療が提供され、及び適切な教育環境が確保されるとともに、小児がん患者及びその家族に対する支援が図られるよう、必要な施策の実施に努めるものとする。
(女性特有のがん予防の推進)
第14条 市は、女性に特有のがん対策に資するよう、がんに罹患しやすい年齢を考慮したがんの予防に関する正しい知識の普及啓発、女性に特有のがんに係る検診の受診率の向上のための施策等、必要な施策を推進するものとする。
(後遺症対策の推進)
第15条 市は、県及び保健医療関係者と連携し、がん医療等に係る後遺症により、日常生活に支障をきたしている患者の療養生活の質の維持向上を図るため、必要な施策を講じるよう努めるものとする。
(緩和ケアの充実)
第16条 市は、県及び保健医療関係者と連携し、緩和ケアの充実を図るため、必要な施策を講じるものとする。
(在宅医療の充実)
第17条 市は、県、保健医療関係者及び介護サービス事業者その他がんに係る在宅医療に関わる団体等と連携し、がん患者の意向を踏まえた上でがん患者が住み慣れた家庭又は地域において療養できるよう、必要な施策を講じるものとする。
(がん登録等の推進への協力)
第18条 市は、がん登録等の推進に関する法律(平成25年法律第111号)の趣旨にのっとり国、県等が行うがん登録等の推進のために必要な施策に協力するものとする。
(医療従事者等の育成支援)
第19条 市は、国及び県と連携し、がんに係る専門的な知識及び技能を有する医療従事者及び介護従事者の育成を図るため、必要な支援を講じるよう努めるものとする。
(大津市がん対策推進委員会)
第20条 市は、がん対策の推進に関する重要事項について、市長の諮問に応じて調査し、及び審議するため、大津市がん対策推進委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、必要があると認めるときは、市のがん対策に関する施策の実施状況について調査し、市長に意見を述べることができる。
3 委員会は、委員10人以内で組織する。
4 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱し、又は任命する。
(1) がん患者等で構成される団体に属する者
(2) 保健医療関係者
(3) 学識経験を有する者
(4) 関係行政機関の職員
(5) 前各号に掲げる者のほか、市長が適当と認める者
5 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
6 委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
7 前各項に定めるもののほか、委員会について必要な事項は、市長が定める。
(協働によるがん対策の推進)
第21条 市、市民、保健医療関係者等は協働して、市民の理解及び関心を深めるための総合的ながん対策の取組を推進するものとする。
(計画及び施策の見直し)
第22条 市長は、計画及び施策の実施状況について、定期的に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講じるものとする。
(財政上の措置)
第23条 市は、がん対策に関する施策を計画的に実施するため、必要な財政上の措置を講じるものとする。
(大津市がんについて考える日)
第24条 市は、市民のがんに関する知識及び関心を深めるとともに、がん対策の一層の推進を図るため、大津市がんについて考える日を設けるものとする。
2 大津市がんについて考える日は、別に市長が定めるものとする。
3 市は、大津市がんについて考える日の趣旨にふさわしい事業を実施するものとする。
(議会への報告)
第25条 市長は、毎年度、がん対策の実施状況について、議会に報告するものとする。
(委任)
第26条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成28年4月1日から施行する。
附則(令和4年3月25日条例第13号)
この条例は、令和4年4月1日から施行する。