○大津市総合計画基本構想

平成28年10月3日

告示第225号

1 はじめに

(1) 基本構想の趣旨

日本は、少子化とともに超高齢社会・人口減少の時代を迎えています。これまで順調に人口が増えてきた本市でも、いよいよ人口減少局面を迎えつつあり、少子高齢化も更に進行する中で、子育て支援、高齢者支援、女性の活躍推進、若者の雇用充実などの多くの政策課題に直面しています。他方、高度情報化、グローバル化、都市間競争の進展など社会状況は激しく変化しており、近年の大地震の発生などを契機として大規模な自然災害リスクの懸念も高まっています。

本市を取り巻く内外の環境が複雑化・多様化する中、少子高齢化による人口減少の影響で税収の減少、社会保障費の増加、また、公共施設の老朽化などにより、ますます厳しい財政状況となることが予想されます。今まで以上に事業の選択と集中を図るとともに、更なる効率的で効果的なまちづくりを進め、大津の持てる資源(ひと、自然など)を十分に活用して、諸課題に的確に対応していくことが求められています。

大津は、比良・比叡の山々に抱かれ、美しい琵琶湖のほとりに位置する豊かな自然に恵まれるまち、また、世界遺産や日本遺産に恵まれるまち、比叡山延暦寺、園城寺、西教寺、石山寺、日吉大社や大津三大祭などの質の高い歴史と文化を有するまち、港町・門前町・宿場町・城下町などとして発展してきたそれぞれの個性豊かな地域など、多くの優れた顔を有しています。また、南北に45.6キロメートルと細長く、市町村合併を繰り返した本市は、地域ごとに特色のある自然・歴史・文化・産業が息づく多様性あふれるまちです。

これら優位な特性としての「大津らしさ」はまちづくりの財産であり、まちづくりに積極的にかし、先人から受け継がれてきた自然、歴史、文化を守り、更に磨きをかけていくことが重要です。

人口減少社会の到来という大きな時代の転換期を迎える今、「変革」を伴うまちづくりの節目の時と捉えて、私たちはこれまでのまちづくりを振り返り、時代の変化を見極め、新たな視点を持って、まちの機能や魅力、暮らしの質を保ちながら将来にわたって持続可能な大津のまちづくりに積極的に取り組んでいかなければなりません。そのために、平成29年度から平成40年度までの12年間のまちづくりを進めていくための指針となる新たな基本構想を策定します。

(2) 基本構想の期間

総合計画は、基本構想と実行計画の2つの階層で構成し、その期間は、平成29年度を初年度とし、平成40年度を目標年度とする12年間とします。

基本構想は、今後のまちづくりにおいて目指す姿を将来都市像として示し、その実現のための方針や政策、姿勢などを示すものです。

基本構想に掲げる将来都市像の実現に向けて、具体的に取り組む政策や目標指標を定めた実行計画は、各4年間を期間とした全3期による構成とし、見直しを行いながら進めます。

2 まちづくりの基本理念

時代の転換期を迎え、これまでの人口増加に伴う量的発展を目指す都市志向から、少子高齢化・人口減少社会に対応して本市の規模に相応したまちづくりへと他の先陣を切って積極的にかじを切るとともに、多様な価値観を尊重し、物質的な満足感だけでなく人々の幸福感や充実感、一人一人が支え合って協働することを大切にした成熟した都市を目指します。また、先人たちから引き継いだ自然や歴史、文化を大切に守り、育て、再生・活用し、美しく質の高いまちを築いていきます。

私たちは、これまでの基本理念としてきた「人間性の尊重」、「市民自治の確立」及び「環境の保全と創造」を踏まえつつ、今後、特に重視すべきまちづくりの基本理念として次の3つを掲げ、市内外を問わず多くの人から注目され、全ての世代から住み続けたいと評価される大津を築き、次の世代へ責任を持ってすばらしいまちを引き継いでいきます。

(1) 持続可能な都市経営

私たちは、

少子高齢化・人口減少社会下での財政規模の縮小や社会保障経費の増大、公共施設の維持管理費用の増大など、まちづくりを取り巻く環境変化に対応しながら、持続的、効果的な都市経営を目指します。

収入と支出のバランス、資産や債務の状況など、自らの財政力を分析し、市民生活の質の維持、向上を目指して、広域的な視点等を踏まえた効率性とともに地域特性や課題に対応した「選択と集中」により予算と事業を決定していきます。

公共施設の効果的な管理・運営と将来を見据えた慎重で効果的な投資を行い、健全財政を堅持して、次世代へ持続可能なまちを引き継ぎます。

(2) 共助社会の確立

私たちは、

一人一人が、自分のことは自分で行うという「自助、自立」する精神と期待される社会的な役割の自覚と責任を持って主体的に行動する社会を目指します。

三者協働によるまちづくりを積極的に進めるとともに、互いの立場や考え方の違いを尊重し、それぞれが主体的に支え合える社会を目指します。

市外からの来訪者をあたたかく迎え、交流を深めることを目指します。

(3) 自然、歴史、文化の保全、再生、活用

私たちは、

先人から受け継いだ自然、歴史、文化を大切に守り育て、保全、再生し、美しく質の高いまちを築くことを目指します。

それぞれの地域が有する自然や歴史、文化の特性を、まちの活性化や魅力あるまちづくりにかすことを目指します。

3 将来都市像

まちづくりの基本理念を踏まえ、今後のまちづくりにおいて、市民、事業者と共に実現を目指す大津市の将来像を次のとおり掲げます。

ひと、自然、歴史の縁で織りなす 住み続けたいまち“大津再生”

~コンパクトで持続可能なまちへの変革~

琵琶湖や比良・比叡の山々などの豊かな自然と悠久の歴史に育まれた街並み等によって形成された美しい景観、さまざまな縁でつながる人々のあたたかさや活力など、大津が秘めている魅力や可能性を掘り起こし、余すことなくまちづくりへかしていきます。

人々の交流を深めることで人が集い、活気に満ち、元気で笑顔あふれる、住み続けたい大津を再生します。

大津の財産・ブランドである「ひと」、「自然」、「歴史」をかす

ひと:共に助け合い、支え合う人のつながり・あたたかさ

自然:都市近郊にある、琵琶湖や比良・比叡の山々などの豊かな自然

歴史:1300年以上の歴史を有する古都として、各地域特性と共に育まれてきた歴史とそこに息づく文化

「ひと」、「自然」、「歴史」の縁で結ばれた一人一人が、ふるさと大津を大切にし、“大津再生”に取り組む。

4 将来目標人口

基本構想が目指す将来のまちの基本フレームとして、将来目標人口を設定します。

将来人口推計の結果、大津市の人口は、今後、減少していくことが予測されています。この予測を受けて、次のように将来目標人口を設定し、人口減少の抑制に取り組むとともに、目標に基づくまちづくりを進めます。

総合計画の目標年度である平成40年度の総人口を33.4万人とし、年齢別人口構成を年少人口13.1パーセント、生産年齢人口57.8パーセント、老年人口29.2パーセントとする。

5 まちづくりの主体

基本構想に基づくまちづくりの取組主体は、市民、事業者及び行政です。

(1) 市民

市民は、一人一人の基本的人権が守られる中で、現在と未来に対する責任を自覚し、自治意識を持って、自発的・主体的に行動し、積極的にまちづくりに参画します。

(2) 事業者

事業者は、社会的責任を自覚して、事業及び事業に関連する社会貢献活動を通して、積極的にまちづくりに参画します。

(3) 行政

行政は、豊かな市民生活の実現を目指して、公平性、透明性を堅持しながら持続可能なまちづくりに向けた都市経営の視点に立って、市政推進の責務を果たします。

6 まちづくりの姿勢

各分野にわたるまちづくりを推進するために共通して必要となるまちづくりの姿勢を掲げます。

(1) コンパクトで持続可能なまちづくり

今後の本市の都市規模に応じたコンパクトで持続可能なまちづくりを実践するとともに、良質な公共サービスの水準を維持することを可能とする都市経営を目指します。

それぞれの地域が持つ資源・活動等の優れた特性をかしたまちづくりを進めます。

(2) 「ひとの縁」による共助と「まち」の魅力の共有、発信

市民一人一人が相互に支え合う共助の精神の下、市民、事業者、行政等の多様な縁を大切にした三者協働の取組を推進します。

まちの魅力を積極的に発掘・再発見し、また、情報発信・共有に努め、市民の郷土に対する愛着と誇りを醸成します。

市外に向けて大津の魅力を積極的に発信し、来訪や移住へと結びつけていきます。

7 基本方針・基本政策

将来都市像の実現を目指した政策・施策実施の基本方針とともに、その下で展開する基本政策を定めます。

(1) 基本方針1 子どもから高齢者までが輝いて、魅力あふれるまちを創ります

子どもの健やかな成長を支え、子どもたちの笑顔がいっぱいのまちを目指します。

高齢になってもいつまでも生きがいややりがいを実感できるまちを目指します。

つながりを大切にし、支え合って幸せな生活を過ごせるまちを目指します。

ア 基本政策1 子どもの未来が輝くまちにします

妊娠、出産から子育てに至るまで安心して子どもを産み育て、子どもが健やかに育つことができるまちの充実を図ります。また、地域と連携して安全で質の高い学校教育、いじめ対策、子育て・見守り等の環境づくりに取り組みます。

イ 基本政策2 心豊かに暮らせる、福祉が充実したまちにします

高齢者を始め誰もが住み慣れた地域や家庭で心身の豊かさが実感できるよう、年齢、性別、障害の有無を問わず、適切な社会保障とユニバーサルデザインに配慮したまちの中で、充実したサービスを受けられる福祉のまちにします。

ウ 基本政策3 生き生きと健康に過ごせるまちにします

地域での充実した医療環境の中で、健康で衛生的な生活を営むことができるまちにします。また、食育の推進、青少年の健全育成、生涯における市民の学習機会の充実などに取り組みます。

エ 基本政策4 つながりを大切にし、共に支え合うまちにします

地域団体や市民活動団体等のさまざまなコミュニティを活性化し、地域への愛着や誇りを醸成するとともに、平和の推進と人権を尊重する中で、助け合い、支え合う心あたたまるまちを築きます。また、仕事を始め幅広い分野で女性が活躍できる男女共同参画社会を目指します。

(2) 基本方針2 自然、歴史、文化、スポーツを重視し、多くの人が集うまちを創ります

豊かな自然、悠久の歴史、歴史・文化遺産などの大津の優れた資源を大津の財産として守り、かし、世界に大津のすばらしさを発信します。

インバウンド等、国内外から多くの人でにぎわう観光振興を図り、まちの活性化に取り組みます。

スポーツや文化・芸術を通じて、全ての市民が笑顔になれるまちを目指します。

ア 基本政策5 インバウンド観光で人が集い、にぎわうまちにします

訪日外国人を戦略的に受け入れるなど国内外から人が集い、その交流を通じて、地域経済を含めて、にぎわいのあるまちづくりを目指します。オンリーワンの琵琶湖を始めとする豊かな自然、延暦寺や大津三大祭等の深い歴史・文化の優位性を最大限にかし、インバウンド観光を機軸としたまちの活性化に取り組みます。

イ 基本政策6 自然豊かな景観を守り育て、自然と共生するまちにします

湖辺・森林・里地里山・田園などの豊かで貴重な自然を守り育て、美しい大津の景観をいつまでも保ち続けていくため、自然環境の保全と共生に取り組むとともに、市民の憩いの場となる公園の維持管理や体験型環境教育等を通じて環境意識の向上及び行動の輪を広げていきます。

ウ 基本政策7 悠久の歴史と文化を大切にし、次代に継承します

本市に息づく悠久の歴史や文化を大切にし、その貴重な価値と魅力を失わないよう子どもたちへの教育も重視して、次代への継承に努めます。また、伝統文化や文化財の魅力をかし、歴史・文化遺産を楽しみ、観光資源としての活用も含めて貴重な歴史・文化遺産の中で暮らす意識が高まるまちづくりを推進します。

エ 基本政策8 スポーツと文化で、生き生きと楽しむまちにします

琵琶湖を始めとする豊かな自然の下、さまざまなスポーツの振興と豊かな感性を育む文化・芸術の振興を図ることで、子どもから高齢者まで全ての市民がスポーツと文化・芸術に親しみ、健康で生き生きと暮らせるまちづくりを目指します。

(3) 基本方針3 安心、快適に住み続けることのできる活力のあるまちを創ります

近年頻発する未曽有の大地震や集中豪雨などの災害発生に対して、市民の安全を守る防災・減災対策の強化を図ります。

人口減少社会を見据え、コンパクト化と周辺のネットワークを重視した質の高いまちを目指します。

将来を見据えた健全な財政運営を堅持し、徹底した行財政改革を進め、持続可能な都市経営を推進します。

ア 基本政策9 安心、安全に暮らすことのできるまちにします

自然災害・犯罪・交通事故・火災などから身を守り、安全で安心して住み続けられることができるよう、地域の特性に応じた取組を進めるとともに、一人一人の意識向上と自主的・自発的な行動を促します。

イ 基本政策10 コンパクトで質の高い持続可能なまちにします

適正な規模に都市部の基盤と機能をスリム化したコンパクトなまち及び郊外の地域をつなぐネットワーク化などを軸としたまちを目指します。

ウ 基本政策11 経済が活性化し、元気なまちにします

これまではモノづくり産業を中心に量的拡大が求められてきましたが、近年は「質」や「サービス」等の付加価値が求められる時代になっています。このことから、新しい産業にも視点を向けた支援と誘導を行い、市内経済の振興に努めます。また、女性を始め全ての市民の働く意欲を支えるために雇用や起業を促進するとともに、農業の6次産業化や食のブランド化にも努めます。

エ 基本政策12 再生可能エネルギーの活用とごみの適正処理でクリーンなまちにします

太陽光などの再生可能エネルギーの利活用を推進するとともに、廃棄物の減量と適正処理、適切な規制措置による循環型社会の実現を目指します。

オ 基本政策13 徹底した行財政改革を進め、確かな都市経営を進めます

少子化及び超高齢社会に伴って人口減少が進む予測において、厳しい財政状況の下で公共サービスの維持・向上を目指すために、公共施設マネジメントや民営化等を始めとする徹底した行財政改革を推進するとともに、市民への説明責任や開かれた市政を推進するために、積極的な情報公開やオープンデータ化による情報政策を展開します。

大津市総合計画基本構想

平成28年10月3日 告示第225号

(平成28年10月3日施行)

体系情報
第1編 則/第3章 基本構想
沿革情報
平成28年10月3日 告示第225号