○鯖江市環境基本条例

平成9年9月29日

条例第11号

目次

前文

第1章 総則(第1条~第6条)

第2章 環境の保全に関する施策の策定に係る基本方針(第7条・第8条)

第3章 環境の保全に関する基本的施策(第9条~第13条)

第4章 環境の保全を推進するための施策(第14条~第19条)

附則

豊かな自然に恵まれたわたしたちのふるさと鯖江の環境は、祖先たちが王山古墳の昔から大切に守り育ててきたものである。

しかしながら、社会経済が急速に発展し、生活の利便性が高まる一方で、限りある資源やエネルギーが大量に消費されたために、地球全体の環境にまで大きな影響を及ぼすようになつてきた。

良好な環境を享受する権利は、もとより市民に等しく与えられているものであるが、将来にわたつて恵み豊かな環境を維持し、次の世代に引き継ぐためには、人類もまた自然を構成する一員であることを深く認識し、自然の生態系の保護に配慮しながら、環境の保全に努める必要がある。

わたしたちは、自らの積極的な行動により、地域の特性を生かした環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な都市の形成を目標に豊かな自然に恵まれた環境を保全し、さらにより良い環境づくりをめざして、ここに、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全について、基本理念を定め、ならびに市、事業者および市民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もつて現在および将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であつて、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化またはオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体またはその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であつて、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴つて生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態または水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の採掘のための土地の掘削によるものを除く。)および悪臭によつて、人の健康または生活環境(人の生活に密接な関係のある財産ならびに人の生活に密接な関係のある動植物およびその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全は、人類もまた自然を構成する一員であることを深く認識し、豊かで美しい環境を実現し、広く市民がその恵沢を享受するとともに、これを将来の世代に継承していくことを目的として行われなければならない。

2 環境の保全は、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築を目的として、すべての者の自主的かつ積極的な環境の保全に係る行動により行われなければならない。

3 地球環境保全は、地域における環境の保全に関する取組の重要性にかんがみ、すべての事業活動および身近な日常生活において積極的な活動により推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、環境の保全に関し、地域の自然的社会的条件に応じた基本的かつ総合的な施策を策定し、および実施する責務を有する。

2 市は、前項の施策を講ずるに当たつては、国および他の地方公共団体と協力して、これを行うよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、その事業活動を行うに当たつては、これに伴つて生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、または自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工または販売その他の事業活動を行うに当たつて、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となつた場合にその適正な処理が図られるよう、必要な措置を講ずる責務を有する。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工または販売その他の事業活動を行うに当たつて、その事業活動に係る製品その他の物が使用されまたは廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するよう努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するよう努めなければならない。

4 前3項に定めるもののほか、事業者は、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。

(市民の責務)

第6条 市民は、その日常生活が環境の保全に密接に関わつていることを認識し、環境の保全上の支障を防止するため、廃棄物の減量、資源およびエネルギーの適正な利用その他の環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、市民は、環境の保全に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。

第2章 環境の保全に関する施策の策定に係る基本方針

(施策の策定に係る基本方針)

第7条 市は、環境の保全に関する施策の策定および実施に当たつては、第3条に定める基本理念にのつとり、次に掲げる事項の確保を旨として、総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 市民の健康が保護され、および生活環境が保全され、ならびに自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。

(2) 森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されるとともに、生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保が図られること。

(3) 人と自然の豊かなふれあいが確保されるよう、身近な水や緑の形成、優れた景観等の保全、歴史的文化的資源の活用等による地域の個性を生かした潤いと安らぎのある文化的な環境の形成等が図られること。

(4) 環境への負荷の低減に資するよう、廃棄物の減量、資源およびエネルギーの消費の抑制または循環的な利用等が促進されること。

(市の施策の策定等に当たつての配慮)

第8条 市は、市の講ずる施策の策定および実施に当たつては、環境の保全について配慮しなければならない。

第3章 環境の保全に関する基本的施策

(環境基本計画)

第9条 市長は、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全に関する総合的かつ長期的な目標および施策の大綱

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たつては、あらかじめ鯖江市環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 市長は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なくこれを公表するものとする。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(報告書の作成等)

第10条 市長は、毎年、環境の状況、環境の保全に関して講じた施策に関する報告書を作成し、これを公表するものとする。

(規制の措置)

第11条 市は、公害を防止するため、その原因となる行為に関し、事業者等の遵守すべき基準を定めること等必要な規制の措置を講ずるよう努めるものとする。

2 市は、自然環境の保全を図るため、自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、その支障を防止するために必要な規制の措置を講ずるよう努めるものとする。

3 前2項に定めるもののほか、市は、人の健康または生活環境に係る環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるよう努めるものとする。

(監視、調査体制の整備)

第12条 市は、環境の状況を把握し、および環境の保全に関する施策を適正に実施するために必要な監視、測定、検査等の体制の整備に努めるものとする。

(助言、助成等)

第13条 市は、環境の保全上の支障を防止するため、環境への負荷を生じさせる活動または生じさせる原因となる活動(以下「負荷活動」という。)を行うものが、その負荷活動に係る環境への負荷の低減のための措置をとることとなるよう、技術的な助言等を行うとともに、特に必要があるときは、適正な助成その他適切な措置を講ずるよう努めるものとする。

第4章 環境の保全を推進するための施策

(環境影響評価の推進)

第14条 市は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測または評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(施設の整備その他の事業の推進)

第15条 市は、下水道の処理施設、廃棄物の処理または再資源化施設その他の環境の保全上の支障の防止に資する公共的施設の整備および森林の整備その他の環境の保全上の支障の防止に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、公園、緑地その他の公共的施設の整備その他の自然環境の適正な整備および健全な利用のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

3 市は、前2項に定める公共的施設の適切な利用を促進するための措置その他のこれらの施設に係る環境の保全上の効果が増進されるために必要な措置を講ずるものとする。

(環境の保全に関する教育および学習の推進)

第16条 市は、環境の保全に関する教育および学習の推進を図るため、事業者および市民が環境の保全についての理解を深めるとともに事業者および市民による環境の保全に関する自発的な活動が促進されるよう、人材の育成その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(民間団体等の自発的活動の促進)

第17条 市は、事業者、市民またはこれらの者で組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う環境美化活動、緑化活動、再資源化活動その他の環境の保全に関する活動が促進されるよう、必要な措置を講ずるものとする。

(情報の提供)

第18条 市は、第16条に定める環境の保全に関する教育および学習の推進ならびに前条に規定する民間団体等の自発的な活動の促進に資するため、個人および法人の権利利益の保護に配慮しつつ環境の状況その他の環境の保全に関する必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。

(地球環境保全の推進)

第19条 市は、市、事業者および市民がその行政活動、事業活動および市民生活において、地球環境保全の向上に資するよう行動するための取組に関する指針を定め、その普及および啓発等の施策を推進するよう努めるものとする。

この条例は、平成9年10月1日から施行する。

鯖江市環境基本条例

平成9年9月29日 条例第11号

(平成9年9月29日施行)