○西予市再生可能エネルギー発電施設の適正な設置及び維持管理に関する条例

令和2年4月1日

条例第1号

(目的)

第1条 この条例は、西予市環境基本条例(令和元年西予市条例第55号)に基づき、再生可能エネルギー発電施設が生活環境、景観その他自然環境に及ぼす影響に鑑み、施設の適正な設置及び維持管理に関して必要な事項を定めることにより、災害の発生を防止し市民の生命及び財産の保護を図るとともに、良好な生活環境と自然環境を保全することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 再生可能エネルギー発電施設 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第2条第4項第1号に規定する太陽光又は第2号に規定する風力を電気に変換する設備及びその付属設備をいう。

(2) 再生可能エネルギー発電事業 西予市内において、太陽光発電施設を利用し発電を行う事業で、出力の合計が10キロワット以上(同一又は共同の関係にあると認められる設置者が、同時期若しくは近接した時期又は近接した場所に設置する太陽光発電施設の合算した出力が10キロワット以上となる場合を含む。)のもの、又は風力発電施設を利用して発電を行う事業で、出力の合計が10キロワット以上(同一又は共同の関係にあると認められる設置者が、同時期若しくは近接した時期又は近接した場所に設置する風力発電施設の合算した出力が10キロワット以上となる場合を含む。)のもので、以下のいずれかに該当するものを除く。

 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1項に規定する建築物の屋根、側面又は屋上のいずれかに設置するもの

 電気事業者その他の者に電気を供給しないもの

(3) 事業者 再生可能エネルギー発電事業(以下「事業」という。)を行うものをいう。

(4) 事業区域 事業を行う区域をいう。

(5) 該当行政区 区域内に事業区域を含む行政区をいう。なお、風力発電事業においては、事業区域を含む行政区に加えて、出力の合計が50キロワット以上1,000キロワット未満の事業は、事業区域から500メートルの範囲内に居住者のある行政区を、1,000キロワット以上の事業は、事業区域から1,000メートルの範囲内に居住者のある行政区を含むものとする。

(6) 近隣住民等 事業区域の隣接地等、事業に伴って生活環境等に一定の影響を受けると認められる者をいう。

(7) 周辺関係者 該当行政区及び近隣住民等を併せて示すときをいう。

(基本理念)

第3条 本市における美しい自然環境、魅力ある景観及び良好な生活環境は、先人から引き継がれたかけがえのない財産として、現在及び将来の市民がその恵沢を享受することができるよう保全及び活用が図られなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、第1条に定める目的及び前条に定める基本理念にのっとり、この条例の適正かつ円滑な運用が図られるよう必要な措置を講じるものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、事業の実施にあたり、関係法令及びこの条例、関係ガイドラインを遵守し、地域との共生に支障を生じさせないように、事業が災害及び自然環境、景観、生活環境に与える影響について適正に精査し、災害防止及び自然環境、景観、生活環境の保全に十分配慮した上で、周辺関係者との良好な関係を保つよう努めなければならない。

2 事業者は、再生可能エネルギー発電施設(以下「施設」という。)の適切な設置及び維持管理に努めるとともに、計画的に資金を積み立てることその他の方法により、施設を維持管理及び撤去するための必要な費用を確保し、事業を終了する場合は速やかに施設を撤去しなければならない。

3 事業者は、事業の実施に伴い事故等が発生した場合、又は周辺関係者と紛争が生じた場合は、自己の責任において誠意をもってこれを解決し、再発防止のための措置を講じなければならない。

(市民の責務)

第6条 市民は、第1条に定める目的及び第3条に定める基本理念にのっとり、市の施策及びこの条例に定める手続きの実施に協力するよう努めなければならない。

(土地所有者の責務)

第7条 土地の所有者及び占有者は、災害の発生を助長し、又は良好な自然環境、景観及び生活環境を損なう恐れのある事業者に対して、当該土地を使用させることのないように努めなければならない。

(禁止区域)

第8条 市長は、土砂災害又はその他の災害が発生する恐れが極めて高いと認められる区域、並びに良好な自然環境、景観又は、歴史的、文化的価値があり、これらの保全が特に必要と認められる区域を事業の禁止区域として指定することができる。

2 事業者は、前項の規定により指定した次に掲げる区域を事業区域に含めてはならない。ただし、第1号から第4号までに規定する区域おいて、施設の設置後において、想定される土砂災害等による施設の損壊等が生じた場合でも、事業区域が人家、学校、道路等から離れている等の理由により、人的被害、建物被害、避難経路の遮断、避難施設等への被害の恐れがないことが明らかであると市長が認める場合は、その限りでない。

(1) 地すべり防止法(昭和33年法律第30号)第3条第1項の地すべり防止区域

(2) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の急傾斜地崩壊危険区域

(3) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第7条第1項の土砂災害警戒区域及び第9条第1項の土砂災害特別警戒区域

(4) 砂防法(明治30年法律第29号)第2条の砂防指定地

(5) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第134条第1項の規定に基づき選定された西予市内の重要文化的景観区域及び同法第143条第1項の規定に基づき西予市が都市計画に定める伝統的建造物群保存地区の区域

(6) 西予市景観条例(平成27年西予市条例第3号)第5条第1項により策定された景観計画の設定区域

(7) 前各号に掲げるもののほか、市長が特に必要と認める区域

(抑制区域)

第9条 市長は、災害の防止、良好な自然環境、景観又は、歴史的、文化的価値、森林、農地等の保全のために配慮が必要と認められる区域を事業の抑制区域に指定し、事業者に協力を求めることができる。

2 事業者は、前項の規定により指定した次に掲げる区域を、事業区域に含めないように努めなければならない。

(1) 自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第3号の国定公園及び同条第4号の県立自然公園

(2) 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)第29条の特別保護地区

(3) 農地法(昭和27年法律第229号)第4条第6項第1号イの農用地区域及び同号ロの集団的に存在する農地その他の良好な営農条件を備えている農地

(4) 森林法(昭和26年法律第249号)第25条の保安林

(5) 河川法(昭和39年法律第167号)第6条第1項の河川区域及び同法第54条第1項の河川保全区域

(6) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第9条第22項の風致地区

(7) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第92条第1項の埋蔵文化財を包蔵する土地

(8) 建設省砂防課長通達(昭和41年10月14日)の土砂災害危険個所(土石流危険渓流・地すべり危険個所・急傾斜地崩壊危険個所)区域

(9) ツル・コウノトリの飛来地域、国の特別天然記念物や絶滅危惧種、その他希少な動植物が生息、自生している地域、歴史上又は学術上重要な自然環境や景観を有している地域、四国西予ジオパークにおけるジオサイト等、保全に向けた配慮が必要と認められる区域

(10) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める区域

(事前協議)

第10条 事業者は、第12条第1項の規定による届出をしようとするときは、事業に関する計画について、あらかじめ市長と協議しなければならない。

2 市長は、前項の規定による協議があったときは、事業者に対して必要な助言を行うことができる。

(周辺関係者への説明)

第11条 事業者は、施設の設置に関する事業計画に伴い、当該事業区域の周辺関係者に対してあらかじめ説明会を開催するなど、当該事業計画に関する周知について必要な措置を講じなければならない。

2 事業者は、前項の周知を行うにあたり、次条第1項の規定による届出を行うまでに、事業計画の内容について該当行政区の同意を得るとともに、近隣住民等の理解が得られるよう努めなければならない。

3 事業者は、第1項の措置を行った結果、周辺関係者から意見の申し出があった場合は、意見を申し出た周辺関係者と協議し、対応しなければならない。

(事業の届出)

第12条 事業者は、事業を行おうとするときは、あらかじめ、次に掲げる事項について、市長に届出て審査を受けなければならない。

(1) 事業者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、その名称及び代表者の氏名並びに主たる事務所の所在地)

(2) 事業を行う位置及び事業の計画を明らかにする書類

(3) 事業区域及びその周辺の状況を示す写真

(4) 事業に係る設計又は施工方法を明らかにする書類

(5) 施設の維持管理計画(施設の廃止後において行う措置を含む。)

(6) 該当行政区住民への説明会に係る報告書及び該当行政区の同意書の写し

(7) 近隣住民等への説明に係る報告書

(8) 他法令による許認可等を受けている場合はその許可書の写し

(9) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項

2 事業者は、第8条第2項ただし書に該当する禁止区域、又は第9条第2項各号に規定する抑制区域において事業を行おうとするときは、前項の届出により市長の同意を得なければならない。

3 事業者は、第1項第1号に掲げる事項の変更をしたときは、速やかにその旨を市長に届出なければならない。

4 事業者は、第1項第2号又は第4号に掲げる事項の変更をしようとするときは、あらかじめその旨を市長に届出なければならない。

(審査)

第13条 市長は、前条の規定による届出にあたっては審査を実施し、必要に応じて西予市環境基本条例第21条に規定する西予市環境審議会に諮問することができる。

(審査基準)

第14条 前条における審査の基準は、次に掲げる事項について規則で定める基準とする。

(1) 施設の設置に係る防災上の措置に関する事項

(2) 事業区域の周辺地域における良好な自然環境等の保全に関する事項

(3) 施設の設計の安全性の確保に関する事項

(4) 周辺関係者との良好な関係性に関する事項

(5) その他市長が必要と認める事項

(審査結果)

第15条 市長は、第13条の審査が終了したときは、事業者に審査結果を通知するものとする。

2 市長は、必要に応じて前項の通知に意見を付するものとする。

3 事業者は、前項に規定する意見について、必要な措置を講じ、その結果を市長に届出なければならない。

(事業の実施に係る届出)

第16条 事業者は、事業に着手、完了、中止又は再開をした場合は、速やかに市長に届出なければならない。

2 市長は、前項における事業の完了届出があった場合は、この条例の施行に必要な限度において、事業者に対して資料の提出を求め、職員に事業区域に立ち入らせて必要な確認をさせることができる。

(標識の掲示)

第17条 事業者は、事業着手時に当該事業区域内の公衆の見やすい場所に、規則で定める標識を掲示しなければならない。

(維持管理)

第18条 事業者は、事業を実施する間、災害及び自然環境、景観、生活環境等の保全上に支障が生じないよう、施設及び事業区域内を常時安全かつ良好な状態となるよう維持管理しなければならない。

(施設の廃止)

第19条 事業者は、施設を廃止しようとするときは、あらかじめ、その旨を市長に届出なければならない。

2 事業者は、事業の廃止において行う措置を適切に行うとともに、施設の廃止が完了したときは、速やかにその旨を市長に届出なければならない。

(指導又は勧告)

第20条 市長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、事業者に対して指導又は勧告を行うことができる。

(1) 事業者が正当な理由なく、第11条第2項に規定する該当行政区の同意、又は第12条第2項の規定による市長の同意を得ないで設置工事に着手したとき。

(2) 事業者が正当な理由なく、第12条第1項の規定による届出の前、又は第15条第3項の規定による届出の前に設置工事に着手したとき。

(3) 事業者が第12条第1項第3項又は第4項の規定による届出を行わず、又は虚偽の協議等をしたとき。

(4) 事業者が第15条第3項の規定による届出を行わず、又は虚偽の協議等をしたとき。

(5) 事業者が第16条第1項の規定による届出を行わず、又は虚偽の協議等をしたとき。

(6) 事業者が第19条第1項第2項の規定による届出を行わず、又は虚偽の協議等をしたとき。

(7) 事業者が適正な設置及び維持管理を怠り、事業区域外に被害を与えたとき、又は被害を与える恐れがあるとき。

(8) 前各号に定めるもののほか、市長が必要と認めるとき。

(公表)

第21条 市長は、前条に規定する勧告を受けた事業者が、正当な理由なく勧告に従わない場合は、当該事業者の氏名及び住所並びに当該勧告の内容を公表することができる。

2 市長は、前項の規定により公表しようとするときは、あらかじめ事業者にその理由を通知し、弁明を述べる機会を与えなければならない。

(委任)

第22条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和2年7月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の規定は、この条例の公布日前に工事に着手している事業については、施行日以後に事業計画の変更又は廃止が行われるまでの間は、第8条から第17条及び第19条の規定は適用しない。

3 この条例の規定は、この条例の公布日から施行日前に工事に着手する事業については、施行日以後に事業計画の変更又は廃止が行われるまでの間は、第8条から第10条及び第12条から第17条及び第19条の規定は適用しない。

西予市再生可能エネルギー発電施設の適正な設置及び維持管理に関する条例

令和2年4月1日 条例第1号

(令和2年7月1日施行)