○ほんまもんの里みんなでつくる臼杵市食と農業基本条例
平成22年3月2日
条例第1号
近年、農産物の残留農薬や食品の偽装表示、食料自給率の低下など、全国的に食に関する大きな問題が表面化している。そのような中、環境保全への機運が上昇し、安全で環境に優しい食・農業への国民の関心が高まりを見せ、有機野菜をはじめとする付加価値の高い農産物の生産による魅力ある産業として、農業は大きな転換期を迎えている。
これまで、臼杵市では、温暖な気候風土や地域特性を生かした多種多様な農業が展開され、市民への食料の供給に大きな役割を果たしてきた。しかしながら、近年は農業従事者の高齢化、農業後継者不足、遊休農地の増加、農産物価格の低迷や生産コストの上昇による所得の減少など、その環境は一段と厳しさを増している。
食は、人が生きていくために一生涯を通して切り離すことができないものであり、我々は農業を通し大地から農産物の恵みを受けて命を与えられている。明日の臼杵市を考えるとき、市内農業の発展を抜きにして考えることはできない。
“市民が必要とする安全な農産物が安定的に供給され、ひいては全市民が健康で生活していくことに喜びと誇りを持ち、自立し自信にあふれる生産者と、食と農業に関し高い認識を持つ消費者とが常に強い信頼関係で結ばれ、豊かで健康な人々が住む臼杵市が築かれていく。”
そのような臼杵市農業のあるべき姿(ほんまもんの里)を想い、目指していくためには、生産者、消費者、すべての市民が食と農業の大切さを認識し、各々の立場や役割を理解し、尊重し、協力し合い、臼杵市の農業を魅力ある産業に育てあげる必要がある。
ここにすべての市民がその責務と進むべき方向を確認し、食と農業に関する施策を明らかにすることで、有機の里づくりをはじめとする、安心安全で永続的に発展する臼杵市農業を確立するとともに、市民が健康で安心できる生活の礎を築くため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、食と農業のあり方についての基本理念を定め、市、農業者、農業関係団体、市民及び事業者の責務及び役割を明らかにすることにより、食料及び農業に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって食と農業に対する市民の理解を深めるとともに、安心・安全な食料の安定供給並びに持続的に発展する農業を確立することで、豊かで住みよい地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) 農業者 自ら農業を営む個人、団体及び法人をいう。
(2) 農業関係団体 農業及び農村の振興、農産物の生産加工、流通、販売等に係わる諸団体をいう。
(3) 事業者 食品の加工、製造、販売等を行う事業者をいう。
(4) うすき・ほんまもんブランド 地域や生産方法等の特性を活かし、生産・加工された農産物の高付加価値等により、市の農産物を他産地に誇れる地域産品に位置付けるものをいう。
(基本理念)
第3条 安心で安全な農産物の安定的な生産・供給体制が構築されなければならない。
2 食と農業の重要性について市民の理解が深められなければならない。
3 農地、農業用水その他農業資源及び担い手が確保され、自立し、かつ、持続発展する農業の確立が図られなければならない。
4 自然環境と調和した有機農業の促進が図られなければならない。
5 食の安全、農業の発展、環境負荷の低減等の観点から、地産地消の促進が図られなければならない。
6 国土の保全、水源涵養、良好な景観形成及び都市部との交流等、農村が持つ多面的な機能が十分発揮できるようにしなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念に基づき、食と農業に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、実施しなければならない。
2 市は、食と農業に関する施策を実施するにあたっては、農業者、農業関係団体、市民及び事業者並びに国及び県と適切な連携を図らなければならない。
(農業者の責務)
第5条 農業者は、自然環境との共生に積極的に取り組みながら安心安全な農産物の安定的な供給に努めるとともに、自らが農村における地域づくりの主体であることを認識し、基本理念の実現に取り組むよう努めるものとする。
2 農業者は、市に対し地域の食と農業に関する施策を提言し、市が実施する施策への協力に努めるものとする。
3 農業者は、市民に対し地域の食と農業に関する情報提供を行い、市民との交流を深めることにより農業及び農村の振興に取り組むよう努めるものとする。
(農業関係団体の責務)
第6条 農業関係団体は、農業を営む者及び農業経営に意欲のある者が効率的、安定的な農業経営ができるよう、生産、流通その他必要な施策を講じるよう努めるものとする。
2 農業関係団体は、市に対し地域の食と農業に関する施策を提言し、市が実施する農業振興施策に参加し、協力するよう努めるものとする。
(市民の責務)
第7条 市民は、食と農業の果たす役割、重要性について理解と関心を深め、地場農産物の積極的な消費に努めるとともに、農業及び農村の体験、自然学習への参加等により農業者との交流を深め、市の農業振興に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第8条 事業者は、安心で安全な食品を消費者に供給するとともに、地場農産物の利用及びその事業活動において市の農業振興に協力するよう努めるものとする。
(施策の基本方針)
第9条 市は、食と農業に関する施策の実施にあたっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本として、当該施策相互の連携を図りながら推進するものとする。
(1) 安全で良質な食料の安定的な生産・供給体制の構築を行うとともに、食料自給率の向上を図ること。
(2) 農地、農業用水その他の農業資源の確保により農業生産基盤の整備を図ること。
(3) 農産物の生産性・効率性の向上や販路拡大等により、魅力ある農業経営及び収益性の高い地域農業の確立を図ること。
(4) 農業の担い手を育成・確保するとともに、新規参入者等への適切な情報提供、指導・支援等を行うこと。
(5) 土づくりセンターを中心に良質な有機堆肥の供給体制を構築するとともに、有機農業の推進による「うすき・ほんまもんブランド」を確立し、自然環境と調和した循環型で持続可能な農業の確立を図ること。
(6) 需要に即した新しい農産物の推進を図ること。
(7) 地場農産物の消費拡大に向けた情報提供の促進を図ること。
(8) 遊休農地の解消に努めるとともに、農村における計画的な土地利用の促進及び農村の住環境の整備を図ること。
(9) 農村の有する環境保全機能や、美しい景観等の保存に努めること。
(10) 農業関係者の国際交流及び農業による国際協力の推進を図ること。
(11) 食と農業への正しい理解を深める食育の推進を図ること。
(12) 消費者と生産者の相互理解を深める地域内交流等、都市と農村の共生を促進すること。
(13) 地場産業との連携強化により、地場農産物の消費拡大を図ること。
(14) 森林及び水産資源の保全に関する施策との連携を図ること。
(15) その他、市の食と農業の振興に必要な施策の推進を図ること。
(基本計画の策定)
第10条 市は、第4条第1項の施策を総合的かつ計画的に推進するため、食と農業に関する基本計画を定めるものとする。
2 市は、前項の基本計画に食と農業に関する施策の基本的事項を定め、必要に応じ見直しを行うものとする。
3 基本計画の策定、見直しにあたっては、農業者、農業関係団体、市民、事業者等の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。
(報告)
第11条 市は、市議会に食及び農業に関して講じた施策並びに基本計画の進捗に関するもののうち主なものについて報告をしなければならない。
附則
この条例は、平成22年4月1日から施行する。