○臼杵市みんなで取り組む認知症条例
令和3年9月30日
条例第23号
全ての市民がその人らしく生活し、住み慣れた地域で共に支え合いながら、安心して暮らすことのできる臼杵市の実現は、私たち市民の共通の願いである。
臼杵市では、高齢化が進み、それに伴い認知症高齢者はさらに増加すると見込まれている。また、65歳未満で発症する若年性認知症もあるなど、認知症は誰もがなり得るものであり、家族や身近な人が認知症になることなどを含め、誰もが関わる身近なものとなっている。
これまで臼杵市では、産学官をはじめとする関係機関との連携により、生活習慣と認知症発症の関連性を解明する認知症予防研究事業など、独自の認知症施策に取り組むとともに、認知症の正しい知識の普及啓発など様々な取組を推進してきた。
今後も、全ての市民が正しい理解と知識をもち、認知症の人とその家族の視点を重視しながら、認知症の人が尊厳と希望をもって認知症とともに生き、また、認知症になっても同じ社会で安心して暮らせる共生のまちづくりを推進しなければならない。
また、運動不足の改善、生活習慣病の予防、社会参加による社会的孤立の解消や役割の保持等が、認知症の発症を遅らせることができる可能性が示唆されていることを踏まえ、正しい知識と理解に基づいた予防を誰もがなり得る認知症への備えとして取り組むよう努めることとする。
これらを踏まえ、臼杵市では認知症施策をさらに発展させるために、市全体で認知症に関する取組を推進し、全ての市民が同じ地域社会の一員として、互いを尊重し、支え合い、認知症になっても安心して暮らせる臼杵市の実現を目指して、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、認知症になっても安心して暮らせる共生のまちづくり及び認知症の予防について、基本理念を定め、市民、事業者、地域組織及び関係機関の役割並びに市の責務を定めるとともに、認知症に関する施策及び取組を総合的に推進し、全ての市民が同じ地域社会の一員として、互いを尊重し、支え合えるまちを実現することを目的とする。
(1) 認知症 介護保険法(平成9年法律第123号)第5条の2第1項に規定する認知症をいう。
(2) 発症予防 認知症になるのを遅らせることをいう。
(3) 進行予防 認知症になっても進行を穏やかにすることをいう。
(4) 市民等 市民、事業者、地域組織、関係機関及び市をいう。
(5) 市民 市内に住所を有する者及び市内に通勤又は通学する者をいう。
(6) 事業者 市内で事業を営む個人又は法人をいう。
(7) 地域組織 自治会、コミュニティその他の一定の地域に住所を有する者により構成された組織をいう。
(8) 関係機関 医療機関、大学、介護事業所、その他の認知症に業務上関係のある機関をいう。
(基本理念)
第3条 市民等は、次に掲げる基本理念にのっとり、認知症になっても安心して暮らせる共生のまちづくり及び認知症の予防を推進するものとする。
(1) 認知症に関する正しい知識及び理解に基づき、認知症の人とその家族の視点に立って取り組むこと。
(2) 認知症になっても地域で活躍し、社会参加できるまちの実現を目指すこと。
(3) 認知症の発症予防及び進行予防に取り組むよう努めること。
(4) 市民等が、それぞれの役割又は責務を認識し、相互に連携すること。
(市民の役割)
第4条 市民は、高齢者に限らず、誰もが認知症になり得ることを認識し、認知症に関する正しい知識を入手し、その理解を深めるよう努めるものとする。
2 市民は、日常生活において、自ら認知症の予防に努めるとともに、市、事業者、地域組織、関係機関等が実施する認知症に関する施策又は取組に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第5条 事業者は、認知症に関する理解を深めるとともに、従業員に対し必要な教育を実施するよう努めるものとする。
2 事業者は、認知症の人の個々の特性に応じた必要な配慮を行うよう努めるものとする。
3 事業者は、市、地域組織、関係機関等が実施する認知症に関する施策又は取組に協力するよう努めるものとする。
(地域組織の役割)
第6条 地域組織は、認知症に関する理解を深めるとともに、地域の住民相互の支え合いの活動に積極的に取り組むよう努めるものとする。
2 地域組織は、市、事業者、関係機関等が実施する認知症に関する施策又は取組に協力するよう努めるものとする。
(関係機関の役割)
第7条 関係機関は、市、事業者、地域組織等が実施する認知症に関する施策又は取組に協力するよう努めるものとする。
2 関係機関は、認知症に関する専門知識を有する人材の育成に努めるものとする。
3 関係機関は、認知症に係る研究成果に関する情報の共有その他の関係機関相互の連携に努めるものとする。
(市の責務)
第8条 市は、基本理念に基づき、認知症及び認知症の予防に対する市民、事業者、地域組織及び関係機関の理解を深め、認知症に関する施策を総合的に実施するものとする。
2 市は、前項の施策を適切に実施するため、市民、事業者、地域組織及び関係機関と連携し、必要な体制の整備を図るものとする。
(認知症に関する施策の総合的な推進)
第9条 市民等は、次に掲げる取組を連携及び協力しながら行うものとする。
(1) 認知症の正しい知識の普及啓発
(2) 認知症の人とその家族への支援
(3) 認知症の早期発見及び早期診療ができるための体制づくり
(4) 認知症の発症予防及び進行予防
(5) 認知症支援ネットワークの構築
(委任)
第10条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。