○大田区事案決定手続規程の改正について(通知)

平成16年4月1日

経総発第978号

助役通知

各部長、保健所長、地域行政センター長、会計管理者あて

平成15年度に実施した意思決定権限の全庁的な見直しにより、大田区事案決定手続規程(以下「規程」という。)の改正がなされ、平成16年4月1日から施行されることになった。今回の改正は、協議に関する規定の見直し、第3条別表に基づく決定権限の大幅な委譲等を内容としている。今回改正に係る施行上の留意点等について下記により通知するが、すでに発した「大田区事案決定手続規程と権限委譲について」(昭和47年4月1日付け総企発第645号依命通達。以下「依命通達」という。)及び「大田区事案決定手続規程の一部改正と権限委譲について」(平成14年4月1日付け総総発第958号助役通知。以下「助役通知」という。)を廃止し、このうち今後も留意が必要な事項を整理し、併せて下記により通知する。

なお、今回は、規程の改正のほか、全庁的に広範な意思決定システムの見直しの取組みを行ったが、今後も、事務の簡素化、迅速化を目指し、継続的に取り組まれたい。

第1 今回改正に関する事項

1 事案決定手続規程

(1) 各決定権者の対象事案の基準

依命通達において、各決定権者の決定対象事案の配分は、決定の結果の重大性に応じて、その基準はおおむね次のとおりとされた。

ア 区長決定事案…a 全般的方針に係る事案 b 政治・政策的事案のうち重要なもの c 区の代表者として執行すべき事案

イ 副区長決定事案…a 区長決定事案に準ずるもの b 部局間の調整を要するもの

ウ 部長決定事案…a 部局の方針に係る事案 b 執行事案のうち重要なもの

エ 課長決定事案…a 事務・事業の実施権限に係るもの

平成15年度において、上記のうち、イの副区長決定事案については、①区長決定事案の最終審議者、②部局間の調整、③対内的な要綱・通達(対外的なものは区長決定)、④部長の服務関係、⑤重要かつ部局横断的な共通事案の決定権者として、具体的に位置づけ、副区長決定事案の大幅な権限委譲の見直しの基準とした。これにより、各部の適切な主体的運営、課単位の事務事業推進力の強化を図ることとしたので、依命通達の基準と併せて個々の事案の決定に当たって留意されたい。

また、要綱、要領、要項等の名称で制定されている諸規程については、助役通知において、その制定改廃については、重要な内容を含む改正のときは、制定当初の決定権者の決定によるとし、軽易な内容の改正(組織改正に伴う部課係名の変更など判断の余地のない必然的、形式的な改正及び直接区民に影響を及ぼさない簡易な改正に限る。)のときは、当該部長(制定時の事案決定が部長決定の要綱及び要領にあっては当該課長とする。)を事案決定者とするが相当であるとした(「直接区民に影響を及ぼさない簡易な改正」であるか否か等の判断は、当該部長又は課長において行う)

しかし、要綱、要領、要項等については、これまで特に明文の規定がなく運用されていたが、今回、上記の決定権限の関わりにおいて整理する。

すなわち、その名称にかかわらず、対外的かつ事務事業の内容、基準等の規定をその内容とするものは、「区長決定」とし、すでにあるものについて、これを改正するときは、制定当初の決定権者にかかわらず、「区長決定」とする(軽易な改正は除く)。また、対内的かつ他の部局にわたる内容のものは、「副区長決定」とする。

また、その内容が事務事業のマニュアルや手引きであるものは、「部長決定」又は「課長決定」とする。

(2) 第3条別表

今回、金額によって権限を分けている事案の決定権限を大幅に委譲するほか、他の共通事案及び専管事案についても広範囲に委譲を行うが、下位の決定事案であっても、他に影響が予想されるものについては、上位者に口頭等による相談又は報告をするものとする。特に、区長、副区長に影響が及ぶ事案・情報、又は、区民や区政に影響がある重要な事案・情報については、必ず相談又は報告を行うこと。

今回、共通事案で、国、都等からの補助金、負担金等の歳入について新たに規定した。これについては、予算等で事業執行の決定がなされたことを受け、補助金等の歳入の手続については、部長決定によるものとし、これをさらに四半期等で分割して受け入れる際の個々の手続等においては、課長決定によるものとした。

これと同様の考え方で、明文には規定しないが、補助金等の支出においても、一つの案件において、年間総額で決定を受けたものの一部の執行においては、収支命令者の決定により行うこと。

(3) 決定関与

決定関与の削減を大幅に進めるため、「協議」は、原則的に行わないとの考え方を基本に、事務事業の遂行上欠かすことができないものに限定すること。この考え方から、今回、規程第7条の2の協議の要件を厳格にし、庶務担当課長の協議を廃止した。一方、区長が指定する委託契約については、総務部長又は総務部経理管財課長の協議を行う必要があるため、今回新たに第3条別表(共通事案第7項物件の調達等に関すること。)に規定した。

(4) 係長への権限委譲

係長への権限委譲は、所属長の判断によって、所属の事情により柔軟に対応することを基本的な考え方として、平成15年度に全庁的な取り組みを行ったが、今後もこの考え方で見直しを進められたい。なお、今回の改正で、委譲をする場合に行う規程第4条に基づく「総務部長」の協議を「総務部総務課長」の協議としている。

委譲の決定に当たっては、起案に、委譲する理由・根拠、委譲する事務の内容・範囲・条件・基準、委譲の日、誰に委譲するか等を記載すること。第一義的には、委譲する事案と判断されるものであっても、当該事案の個別的な事情により、基準等に該当しないと判断されるときや、特別な判断が必要なときなど、本来の審議、決定とすることが適当である場合もある。事案の内容により、このような場合の取扱いについて記載しておくことも必要である。

内部事務等の共通事務・事案の係長への権限委譲については、その事務を総括する部局において、権限委譲の方針を決定し、各課への通知が行われた後、各課においてそれぞれ決定を行い、実施が可能となる。この場合には、総務課長への個々の協議は不要である。

第2 留意事項

1 事案決定手続規程

(1) 第3条別表

別表は、共通事案と専管事案とに分け、共通事案には各部局に共通して起こり得る事案を掲げたが、共通事案で処理できるものであっても、重要と認められる事案及び決定区分を共通事案と異なる区分にする必要のある事案については、特に専管事案において規定した。したがって、別表の適用に当たっては専管事案が優先するものであること。

なお、別表に定められていない事案の決定権者は、別表の事案を参照して、その決定の結果の重大性に応じて定められるべきであること。

(2) 文書回付方式による決定及び決定関与

決定関与は、起案文書の回付によることを原則としているが、次の点に注意すること。

ア 協議に応ずることができないときは、決定関与者は、その理由を明示すること。

イ 協議の結果、決定案の内容を変更するときは、その変更の経過及び理由が起案文書上分かるようにしておかなければならないこと。

(3) 会議方式による決定及び決定関与

決定権者が文書回付方式による決定関与を不適当と認めたときは、会議方式により決定関与を行わせる方式によることができるが、この運用については、次の諸点に注意すること。

ア 会議の開催に当たって、会議が決定関与のためのものであることを明示すること。

イ 決定案については文書を作成し、検討期間を考慮して事前に配布しておく必要があること。

ウ 会議出席者は、あらかじめ示された決定案について、賛否又は修正の意見を定めて出席すること。

エ 会議の開催は、決定関与者として正式の資格を有する者が出席し得るよう配慮すること。

オ 会議終了に当たっては、会議全体としての結論、個々の決定関与者の発言内容を確認すること。

カ あらかじめ、ことわりなく出席しなかった者及び出席しても発言のない者については、示された決定案に異議がなかったものとして処理することができるものであること。

キ 会議は、第9条第3項に規定する事案の決定する事案の決定関与者の出席によって成立するものであること。

ク 会議は、上記(キ)に掲げた決定関与者全員を一度に招集して行うことを原則とするが、必要に応じて分割開催も可能であること。

(4) 決定の臨時代行

第5条の臨時代行により事案を決定したとき、必ず本来の決定権者に報告すること。同条の規定による臨時代行に当たるべき者も不在の場合は、決定は行えない。第9条の決定関与の臨時代行も同じ。

(5) 決定の例外措置

第6条の決定の例外措置を求める理由が客観的に妥当性を有するものである限り、決定を求められた者は、原則としてその決定を拒否し得ないものであること。なお、理由の明示は、原則として起案文書に表示して行うものとし、口頭で行った場合は、その内容を記録した文書を起案文書に添付しておくこと。

2 起案様式(特別な場合の起案様式の表示方法)

(1) 決定権を委譲した場合(規程第4条)

決定権者欄に押印又は署名し、その右方上部に「委」と表示する。なお、委譲された者が不在でその上位者が臨時代行するときは「委代」と表示する(規程第5条第2項)

(2) 決定の臨時代行をした場合(規程第5条第1項)

決定権者欄に押印又は署名し、その右方上部に「代」と表示する。

(3) 決定の例外措置をした場合(規程第6条第1項)

決定権者欄に押印又は署名し、その右方上部に「例外」と表示する。なお、臨時代行すべき者が決定の例外措置を求めた場合は「代例外」と表示する。

(4) 決定関与権の委譲をした場合(規程第8条)

当該関与者欄に押印又は署名し、その右方上部に「委」と表示する。なお、委譲された者が不在でその上位者が臨時代行するときは「委代」と表示する(規程第9条第2項)

(5) 決定関与の臨時代行をした場合(規程第9条第1項)

当該関与者欄に押印又は署名し、その右方上部に「代」と表示する。

(6) 会議方式による表示方法

会議出席者の職務名を表示し、決定案に対し賛意を表した者には「了承」と、特別に意見を述べた者には「意見」と表示し、その意見を備考欄に記入する。

3 その他

選挙管理委員会事務局についての300万円以上2,000万円未満の物件の調達及び300万円以上の車両等の供給又は設計等の委託の決定は、総務部長が行うこと。

大田区事案決定手続規程の改正について(通知)

平成16年4月1日 経総発第978号

(平成26年2月3日施行)

体系情報
例規集/第3章 区長部局/第2節 職務権限
沿革情報
平成16年4月1日 経総発第978号
平成19年4月1日 経総発第11682号
平成20年4月1日 経総発第11943号
平成24年4月1日 経総発第12111号
平成25年4月1日 経総発第12171号
平成26年2月3日 総総発第11647号