○大田区みどりの条例

平成24年12月14日

条例第57号

目次

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 緑の基本計画(第8条―第10条)

第3章 みどりの保全及び保護

第1節 みどりの保全(第11条―第13条)

第2節 みどりの保護(第14条―第20条)

第3節 区民緑地(第21条)

第4章 みどりの創出

第1節 緑化の推進(第22条・第23条)

第2節 緑化の計画(第24条―第30条)

第5章 地域力を生かしたみどりのまちづくり(第31条・第32条)

第6章 雑則(第33条)

付則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、大田区(以下「区」という。)の地域力を生かしたみどりのまちづくりに関する基本理念及び施策について必要な事項を定め、区民、事業者及び区の責務を明らかにすることにより、それぞれが連携してみどりを守り、創り、育み、もって区民にとってかけがえのないみどり豊かな美しいまちを実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) みどり 樹林地、草地、農地、公園緑地、植栽被覆地その他の緑地、河川、池沼、海浜、湧水地その他の水辺並びに園芸及び修景を目的とした緑化施設並びにこれらを一体的に構成する動植物、水、土壌等の自然的要素をいう。

(2) 区民 区内に居住し、在勤し、又は在学する者及び区内に土地を所有している者等並びにこれらの者で構成する団体をいう。

(3) 事業者 区内で事業を行う個人、法人及びこれらの者で構成する団体をいう。

(4) 地域力 区民及び事業者が持っている力並びにこれらの者及び区が互いに連携し、協働することによって生まれる力により多様な地域の課題を解決し、魅力ある地域を創造していく力をいう。

(5) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。

(基本理念)

第3条 地域力を生かしたみどりのまちづくりの基本理念(以下「基本理念」という。)は、次に掲げるとおりとする。

(1) 区民の暮らしに潤いを与えるとともに、生物の生息環境に密接な関係のある貴重なみどりを守り、創り、育むことにより、みどり豊かな環境を未来へ引き継ぐこと。

(2) 区民、事業者及び区が力を合わせ、みどりのまちづくりの推進を図ること。

(区民の責務)

第4条 区民は、みどりのまちづくりの主体として、自ら行動を起こすとともに、事業者及び区と連携して、基本理念が目指すみどりのまちづくりに寄与するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、事業活動を行うときは、みどりのまちづくりのために必要な措置を講ずるとともに、区民及び区と連携して、基本理念が目指すみどりのまちづくりに寄与するよう努めなければならない。

(区の責務)

第6条 区は、区民及び事業者と連携して、基本理念が目指すみどりのまちづくりの実現に向けて、必要な措置を講じなければならない。

2 区は、区民及び事業者のみどりのまちづくりに関する提案及び意見を施策に反映するよう努めなければならない。

(区の木、区の花及び区の鳥)

第7条 区民、事業者及び区は、大田区の木、花の選定について(昭和51年告示第400号)に定めるクスノキ及びウメ並びに大田区の鳥の選定について(平成2年告示第305号)に定めるウグイスについて、保護、育成及び普及に努めなければならない。

第2章 緑の基本計画

(緑の基本計画の策定)

第8条 区長は、都市緑地法(昭和48年法律第72号)第4条第1項に規定する緑地の保全及び緑化の推進に関する基本計画(以下「緑の基本計画」という。)を定めなければならない。

2 区長は、緑の基本計画を定めようとするときは、あらかじめ区民、事業者等の意見を反映するよう必要な措置を講ずるものとする。

3 区長は、緑の基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

4 前2項の規定は、緑の基本計画を変更するときについて準用する。

(緑の実態調査)

第9条 区長は、緑の基本計画を定めるとき及び変更するときは、緑の実態調査を行い、その結果を公表しなければならない。

(緑の基本計画の推進)

第10条 区長は、区民、事業者等とともに、緑の基本計画の推進を図るものとする。

第3章 みどりの保全及び保護

第1節 みどりの保全

(緑環境の保全)

第11条 区民、事業者及び区は、樹木、樹林地、草地、農地、公園緑地、植栽被覆地その他の緑環境の保全に努めなければならない。

(水環境の保全)

第12条 区民、事業者及び区は、河川、池沼、海浜、湧水、地下水その他の水環境の保全に努めなければならない。

(生物多様性の保全等)

第13条 区民、事業者及び区は、みどりに息づく生物の多様性を保全するため、生物生息環境の保全、創出及び連続性の確保に努めなければならない。

第2節 みどりの保護

(保護樹木及び保護緑地の指定)

第14条 区長は、規則で定める基準に該当する樹木及び緑地のうち、特に保護し、育成すべき樹木及び緑地についてその所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)の申請に基づき、保護樹木及び保護緑地として指定することができる。ただし、国又は公共団体の所有又は管理するものについては、この限りでない。

2 区長は、前項の規定により指定した保護樹木及び保護緑地(以下「保護樹木等」という。)の保護のため必要な限度において、所有者等に保護樹木等の現状又は維持管理の状況について報告を求めることができる。

(所有者等の義務)

第15条 保護樹木等の所有者等は、当該保護樹木等が常に良好で安全かつ適正な状態を保つよう維持管理に努めなければならない。

2 保護樹木等の所有者等は、前条第2項の規定により区長から保護樹木等の現状又は維持管理の状況について報告を求められたときは、これに応じなければならない。

(所有者等への支援)

第16条 区長は、保護樹木等の保護育成及び維持管理(以下「保護育成等」という。)に関し必要があると認めるときは、予算の範囲内で保護育成等に係る費用の一部を補助することができる。

2 区長は、保護育成等に関する技術上の指導を行うとともに、保護育成等に必要な支援を行うことができる。

(保護樹木等に係る届出)

第17条 保護樹木等の所有者等は、次の各号のいずれかに該当するときは、規則で定めるところにより速やかにその旨を区長に届け出なければならない。

(1) 保護樹木等の樹木を伐採又は移植しようとするとき(非常災害のため必要な応急措置として行う場合を除く。)

(2) 保護樹木等の存する土地の改変を行うとき。

(3) 保護樹木等が滅失又は枯死したとき。

(4) 所有者等に変更があったとき又は所有者等の住所の異動があったとき。

(5) 前各号に掲げる場合のほか、保護樹木等の形態に著しい異変があったとき。

(台帳)

第18条 区長は、保護樹木等の台帳を作成し、記録保管しておかなければならない。

(標識の設置)

第19条 区長は、保護樹木等を表示する標識を設置するものとする。

2 前項の規定は、規則で定めるものについては適用しない。

3 何人も、第1項の規定により設置された標識を区長の承諾を得ないで移転し、若しくは除去し、又は汚損し、若しくは損壊してはならない。

(保護樹木等の指定の解除)

第20条 区長は、保護樹木等が次の各号のいずれかに該当するときは、指定を解除することができる。

(1) 第14条第1項に規定する基準に該当しなくなったとき。

(2) 滅失又は枯死したとき。

(3) 所有者等から指定の解除の申請があったとき。

(4) その他公益上必要があるとき。

2 区長は、前項第3号に規定する指定の解除の申請について、保護樹木等の保護の視点から必要があると認めたときは、所有者等に対し、変更の措置を求めることができる。

第3節 区民緑地

(区民緑地の設置及び管理)

第21条 区長は、都市緑地法第55条に規定する緑地又は緑化施設(以下「区民緑地」という。)の契約の締結及び設置並びに管理に関する必要な措置を行うことができる。

2 区長は、区民緑地を良好に維持管理し、その保全に努めなければならない。

第4章 みどりの創出

第1節 緑化の推進

(公共施設の緑化推進)

第22条 道路、公園、河川、学校、庁舎その他の公共施設(以下「公共施設等」という。)を設置し、又は管理する者は、公共施設等及び公共施設等の敷地について、緑化をしなければならない。

2 前項の規定により緑化した公共施設等及び公共施設等の敷地を管理する者は、当該公共施設等及び公共施設等の敷地の緑の適切な維持管理に努めなければならない。

(民間施設の緑化推進)

第23条 区民及び事業者は、その住居、事務所、事業所等の施設及びこれらの敷地について緑化に努めなければならない。

2 区長は、前項の規定により緑化を行う者から緑化に関する相談を受け、当該緑化を行う者に対して指導及び助言を行うことができる。

第2節 緑化の計画

(緑化)

第24条 300平方メートル以上(国及び地方公共団体にあっては、250平方メートル以上)の敷地において建築物の新築、増築及び改築並びに規則で定める行為(以下これらを「建築行為等」という。)を行う者は、規則で定める基準により、緑化をしなければならない。

2 建築行為等を行う者並びに前項の規定により緑化した敷地又は建築物等を所有し、管理し、又は使用する者及び前項の規定により緑化した建築物に居住する者は、当該敷地及び当該建築物等の屋上、壁面等の緑の適切な維持管理に努めなければならない。

(緑化の計画)

第25条 建築行為等を行う者は、当該建築行為等に係る敷地及び建築物等の緑化の計画を規則で定めるところにより区長に提出し、認定を受けなければならない。

2 前項に規定する緑化の計画は、規則で定める基準に適合するものでなければならない。

3 第1項の規定により認定を受けた緑化の計画を変更するときは、区長と協議の上、当該変更に係る緑化の計画を規則で定めるところにより区長に提出し、認定を受けなければならない。

4 第1項の規定により認定を受けた緑化の計画を取り止めるときは、規則で定めるところにより速やかにその旨を区長に届け出なければならない。

5 建築行為等を行う者は、規則で定める事項に留意して緑化の計画を作成し、緑化の推進及び地域の自然環境の向上に努めなければならない。

(完了の届出)

第26条 建築行為等を行う者は、緑化が完了したときは、規則で定めるところにより速やかにその旨を区長に届け出なければならない。

(完了の調査)

第27条 区長は、前条の規定による届出があったときは、区長の指定する者にこの条例及び規則で定める基準に適合しているかどうかについての調査を行わせることができる。

2 前項の調査を行う者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

(指導)

第28条 区長は、建築行為等を行う者が次の各号のいずれかに該当するときは、必要な措置を講ずるよう指導することができる。

(1) 第25条第1項若しくは同条第3項に規定する認定を受けないとき又は認定の内容に違反し、若しくはその履行をしないとき。

(2) 第25条第3項に規定する協議を行わないとき又は正当な理由なくこれを遅延させたとき。

(3) 第25条第4項若しくは第26条の規定による届出をしないとき又は届出の内容に違反し、若しくはその履行をしないとき。

(勧告)

第29条 区長は、建築行為等を行う者が前条の規定による指導に従わないときは、勧告することができる。

(公表)

第30条 区長は、建築行為等を行う者が前条の規定による勧告に従わないときは、意見を聴取した上で、勧告の内容及び勧告に従わない者の氏名又は名称その他規則で定める事項を公表することができる。

第5章 地域力を生かしたみどりのまちづくり

(連携と協働によるみどりのまちづくり)

第31条 区民、事業者及び区は、区内のみどりを着実に増やし、みどり豊かな地域環境を創出するために、連携と協働によるみどりの確保及び創出に努めるものとする。

2 区民、事業者及び区は、まちの魅力や個性を高めていくために、区内それぞれの地域で連携と協働により地域のみどりのまちづくりに努めるものとする。

3 区長は、みどりのまちづくりに取り組む区民及び事業者に対して、必要な支援を行うことができる。

(みどりの協定)

第32条 区長は、区内の一定地域の区民又は事業者がその合意に基づき、当該地域内のみどりの保全と緑化の推進に関する取決めを定めたときは、当該地域内の区民又は事業者からの申出により、みどりのまちづくりの推進に関する協定を締結することができるとともに、その活動に対する支援を行うことができる。

第6章 雑則

(委任)

第33条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成25年4月1日(以下「施行日」という。)から施行する。ただし、第4章第2節並びに付則第6項及び第8項の規定は、平成25年10月1日から施行する。

(大田区みどりの保護と育成に関する条例の廃止)

2 大田区みどりの保護と育成に関する条例(昭和50年条例第48号)は、廃止する。

(経過措置)

3 大田区緑の基本計画グリーンプランおおた(平成23年3月22日22まま発第10997号)は、第8条第1項の規定により定められた緑の基本計画とみなす。

4 この条例の施行の際現に第2項の規定による廃止前の大田区みどりの保護と育成に関する条例(以下「廃止条例」という。)第8条の規定により作成し、記録保管している台帳は、第18条の規定により作成し、記録保管している台帳とみなす。

5 この条例の施行の際現に廃止条例第9条第1項の規定により設置している標識は、第19条第1項の規定により設置している標識とみなす。

6 付則第1項ただし書に規定する規定の施行の際現に東京における自然の保護と回復に関する条例(平成12年東京都条例第216号)第14条第1項の規定により緑化計画書を作成し、届け出ている者は、第25条第1項の規定により緑化の計画を提出し、認定を受けている者とみなす。

7 施行日前に廃止条例の規定により行った処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされた処分、手続その他の行為とみなす。

8 第4章第2節の規定は、平成25年10月1日以後に緑化の計画を提出する者について適用し、同日前までに緑化の計画を提出する者については、なお従前の例による。

大田区みどりの条例

平成24年12月14日 条例第57号

(平成25年10月1日施行)

体系情報
例規集/第16章 都市整備/第1節 都市計画
沿革情報
平成24年12月14日 条例第57号