○大田区景観条例
平成25年3月15日
条例第16号
目次
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 景観計画の策定等(第8条―第10条)
第3章 行為の規制等(第11条―第16条)
第4章 景観重要建造物等(第17条―第20条)
第5章 良好な景観形成の実現(第21条―第25条)
第6章 雑則(第26条)
付則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、大田区(以下「区」という。)の良好な景観の形成に関し、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の規定に基づく景観計画の策定、行為の規制等について必要な事項を定めるとともに、区、区民及び事業者の責務を明らかにすることにより、もって地域力を生かした世界に誇ることができる多彩で魅力的な景観のあるまちを実現することを目的とする。
(1) 区民 区内に居住し、在勤し、又は在学する者及び区内の土地、建築物又は工作物(建築物を除く。以下同じ。)に関する権利を有する者をいう。
(2) 事業者 区内で事業を行う個人、法人及びこれらの者で構成する団体をいう。
(3) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(4) 公共施設 道路、公園、河川、港湾、学校、庁舎その他の公共の用に供する施設をいう。
(基本理念)
第3条 区、区民及び事業者は、台地部を中心とする住宅が主体の地域、商業が集積する地域、住宅及び工場が共存する地域並びに空港を含む臨海部の物流施設及び大規模工場が集積する地域等それぞれの地域の特性を生かした良好な景観の形成に取り組まなければならない。
2 区、区民及び事業者は、相互に協働することにより、区民が愛着や親しみを持ち、訪れる人が魅力を感じる良好な景観の形成を実現しなければならない。
(区の責務)
第4条 区は、法第2条及び前条に規定する基本理念(以下これらを「基本理念」という。)にのっとり、良好な景観の形成を推進するために総合的な施策を定め、計画的に実施しなければならない。
2 区は、良好な景観の形成に関する施策に区民、事業者等の意見を反映することができるよう必要な措置を講じなければならない。
3 区は、公共施設の整備を行うときは、良好な景観の形成において先導的な役割を果たすよう努めなければならない。
4 区は、良好な景観の形成に対する区民、事業者等の意識を高めるため、その啓発及び知識の普及に努めなければならない。
5 区は、東京都(以下「都」という。)並びに区に隣接する特別区及び川崎市(以下「隣接区市」という。)と相互に連携し、協力することにより、良好な景観の形成を実現しなければならない。
(区民の責務)
第5条 区民は、基本理念にのっとり、良好な景観の形成に関する理解を深めるとともに、相互に協力して良好な景観の形成に努めなければならない。
2 区民は、区が実施する良好な景観の形成を推進するための施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、土地の利用等の事業活動に関し、周辺環境を考慮した良好な景観の形成に努めなければならない。
2 事業者は、区が実施する良好な景観の形成を推進するための施策に協力するよう努めなければならない。
(都又は隣接区市との協議)
第7条 区長は、良好な景観の形成を推進するために必要があると認めるときは、都知事又は隣接区市の長に対し、協議を求めることができる。
2 区長は、都知事又は隣接区市の長から良好な景観の形成を推進するために必要な協議を求められたときは、これに応ずるものとする。
第2章 景観計画の策定等
(景観計画)
第8条 区長は、良好な景観の形成を推進するため、法第8条第1項に規定する景観計画(以下「景観計画」という。)を定めるものとする。
(策定の手続)
第9条 区長は、前条の規定により景観計画を定めようとするときは、区民、事業者等の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。
2 前項の規定は、景観計画の変更(規則で定める軽微な変更(以下「軽微な変更」という。)を除く。)について準用する。
(景観計画区域の区分等)
第10条 区長は、法第8条第2項第1号に規定する景観計画の区域(以下「景観計画区域」という。)について、土地の利用、地域の特性等に応じて、規則で定めるところにより区分するものとする。
2 法第8条第2項第2号に規定する良好な景観の形成のための行為の制限に関する事項及び同条第3項に規定する景観計画区域における良好な景観の形成に関する方針(以下「良好な景観の形成に関する方針等」という。)は、前項の規定により区分した区域ごとに定めるものとする。
3 区長は、景観計画区域において、特に地域の特性を生かした景観の形成を推進する必要があると認める地区を景観形成重点地区として定めることができる。
4 景観形成重点地区における良好な景観の形成に関する方針等は、前項の規定により定めた景観形成重点地区ごとに定めるものとする。
第3章 行為の規制等
(届出対象行為等)
第11条 景観計画区域において、法第16条第1項各号に掲げる行為をしようとする者は、規則で定めるところにより区長に届け出なければならない。
2 法第16条第1項第4号に規定する条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。
(1) 土地の開墾、土石の採取、鉱物の掘採その他の土地の形質の変更
(2) 屋外における土石、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。)、再生資源(資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)第2条第4項に規定する再生資源をいう。)その他の物件の堆積
(3) 水面の埋立て又は干拓
3 法第16条第7項第11号に規定する条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。
(1) 仮設の建築物の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更
(2) 法第16条第1項各号に掲げる行為(同項第2号に掲げる行為にあっては規則で定める工作物に係る行為に限る。)で、規則で定める規模以下のもの
(特定届出対象行為)
第12条 法第17条第1項に規定する条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。
(1) 建築物の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更
(2) 工作物の新設、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更
(事前協議)
第13条 景観計画区域において、法第16条第1項の規定による届出をしようとする者は、規則で定めるところにより区長と事前に協議を行わなければならない。
(行為完了の報告)
第14条 法第16条第1項又は第2項の規定による届出をした者は、当該届出に係る行為が完了したときは、規則で定めるところにより区長に報告しなければならない。
(指導)
第15条 区長は、景観計画に法第8条第2項第2号に規定する良好な景観の形成のための行為の制限に関する事項を定めたときは、当該行為の制限に適合しない行為をしようとする者又はした者に対し、当該行為の制限に適合させるため、必要な措置を講ずるよう指導することができる。
(勧告の公表)
第16条 区長は、法第16条第3項の規定により勧告した場合において、当該勧告を受けた者が正当な理由なく当該勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。
2 区長は、前項の規定により公表しようとするときは、当該勧告を受けた者に対し、意見を述べ、証拠を提示する機会を与えなければならない。
第4章 景観重要建造物等
(指定等の公表)
第17条 区長は、法第19条第1項の規定により景観重要建造物を指定したとき又は法第28条第1項の規定により景観重要樹木を指定したときは、その旨を公表しなければならない。
2 前項の規定は、法第27条第1項若しくは第2項の規定により景観重要建造物の指定を解除したとき又は法第35条第1項若しくは第2項の規定により景観重要樹木の指定を解除したときについて準用する。
(管理の方法の基準)
第18条 法第25条第2項に規定する管理の方法の基準は、次のとおりとする。
(1) 景観重要建造物の修繕は、原則として当該修繕前の外観を変更することのないようにすること。
(2) 消火器の設置その他の景観重要建造物に係る防災上の措置を講ずること。
(3) 景観重要建造物の滅失及び毀損を防ぐため、その敷地、構造及び建築設備の状況を定期的に点検すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、景観重要建造物の良好な景観の保全のため必要な管理の方法の基準として規則で定めるもの
2 法第33条第2項に規定する管理の方法の基準は、次のとおりとする。
(1) せん定、病害虫の防除その他の景観重要樹木の保全に必要な措置を講ずること。
(2) 景観重要樹木の滅失及び枯死を防ぐため、景観重要樹木を定期的に点検すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、景観重要樹木の良好な景観の保全のため必要な管理の方法の基準として規則で定めるもの
(滅失等の届出)
第19条 景観重要建造物及び景観重要樹木(以下「景観重要建造物等」という。)の所有者及び管理者(以下「所有者等」という。)は、当該景観重要建造物等の全部又は一部が滅失し、又は毀損(景観重要樹木にあっては、枯死)したときは、規則で定めるところにより遅滞なく区長に届け出なければならない。
(所有者等の変更の届出)
第20条 景観重要建造物等の所有者等が変更したときは、新たな所有者等は、規則で定めるところにより遅滞なく区長に届け出なければならない。
2 景観重要建造物等の所有者等は、氏名若しくは名称又は住所若しくは所在地を変更したときは、規則で定めるところにより遅滞なく区長に届け出なければならない。
第5章 良好な景観形成の実現
(景観資源の選定)
第21条 区長は、良好な景観の形成に資すると認められる公共施設、建築物、工作物、木竹その他規則で定める物件及び当該物件を含む区域を、景観資源として選定することができる。
2 良好な景観の形成に関する方針等は、前項の規定により選定した景観資源ごとに定めるものとする。
(景観協定)
第22条 法第81条第1項に規定する景観協定を締結しようとする者、法第84条第1項の規定により景観協定において定めた事項を変更しようとする者又は法第88条第1項の規定により景観協定を廃止しようとする者は、規則で定めるところにより区長の認可を受けなければならない。
(表彰)
第23条 区長は、良好な景観の形成に関する著しい功績のあった者を表彰することができる。
(大田区景観審議会)
第24条 良好な景観の形成に関する重要な事項を調査審議するため、区長の付属機関として大田区景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 区長は、次に掲げる事項については、あらかじめ審議会に意見を聴かなければならない。
(1) 第8条に規定する景観計画の策定及び変更(軽微な変更を除く。)
(2) 第10条第3項に規定する景観形成重点地区の決定
(3) 法第16条第3項の規定による勧告
(4) 法第17条第1項又は第5項の規定による変更命令
(5) 法第19条第1項の規定による指定、法第23条第1項の規定による原状回復命令等、法第26条の規定による命令又は勧告及び法第27条第1項又は第2項の規定による指定の解除
(6) 法第28条第1項の規定による指定、法第32条第1項の規定による原状回復命令等、法第34条の規定による命令又は勧告及び法第35条第1項又は第2項の規定による指定の解除
3 区長は、次に掲げる事項については、審議会に意見を聴くことができる。
(1) 第7条に規定する協議
(2) 第22条に規定する認可
(3) 前条の規定による表彰
(4) その他景観の形成を推進するための施策に関し、区長が必要と認める事項
4 審議会は、前2項に掲げる事項に関し、区長に意見を述べることができる。
5 審議会は、区長が委嘱する委員14人以内をもって組織する。
6 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
7 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(大田区景観アドバイザー)
第25条 区長は、景観計画の運用に関し、専門的意見を求めるため、大田区景観アドバイザーを置くことができる。
第6章 雑則
(委任)
第26条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
付則
(施行期日)
1 この条例は、平成25年4月1日から施行する。
3 施行日前に東京都景観条例(平成18年東京都条例第136号)第10条第1項の規定により都知事になされた届出(区の区域に係るものに限る。)は、第11条第1項の規定により区長になされた届出とみなす。