○大田区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例
昭和53年11月25日
条例第44号
(目的)
第1条 この条例は、中高層建築物の建築に係る計画の事前公開並びに紛争のあつせん及び調停に関し必要な事項を定めることにより、良好な近隣関係を保持し、もつて地域における健全な生活環境の維持及び向上に資することを目的とする。
(1) 中高層建築物 高さが10メートルを超える建築物(第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域(都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号に掲げる第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域をいう。)にあつては、軒の高さが7メートルを超える建築物又は地階を除く階数が3以上の建築物)をいう。
(2) 紛争 中高層建築物の建築に伴つて生ずる日照、通風及び採光の阻害、風害、電波障害等並びに工事中の騒音、振動等の周辺の生活環境に及ぼす影響に関する近隣関係住民と建築主との間の紛争をいう。
(3) 建築主 中高層建築物に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。
ア 中高層建築物の敷地境界線から10メートルの水平距離の範囲の敷地内にある建築物を所有する者及び当該建築物に居住する者
イ 中高層建築物の敷地境界線からその高さの2倍の水平距離の範囲で、かつ、冬至日において真太陽時の午前9時から午後3時までの間に当該中高層建築物の日影が及ぶ範囲の敷地内にある建築物を所有する者及び当該建築物に居住する者
ア 隣接住民を除き、中高層建築物の敷地境界線からその高さの2倍の水平距離の範囲の敷地内にある建築物又はその土地に関して権利を有する者及び当該建築物に居住する者
イ 中高層建築物による電波障害の影響を著しく受けると認められる者
(6) 近隣関係住民 隣接住民及び周辺住民をいう。
(区長の責務)
第3条 区長は、紛争を未然に防止するよう努めるとともに、紛争が生じたときは、迅速かつ適正に調整するよう努めなければならない。
(当事者の責務)
第4条 建築主は、紛争を未然に防止するため、中高層建築物の建築を計画するに当たつては、周辺の生活環境に及ぼす影響に十分配慮するとともに、良好な近隣関係を損なわないよう努めなければならない。
2 建築主及び近隣関係住民は、紛争が生じたときは、相互の立場を尊重し、互譲の精神をもつて、自主的に解決するよう努めなければならない。
(標識の設置等)
第5条 建築主は、中高層建築物を建築しようとするときは、近隣関係住民に建築に係る計画の周知を図るため、当該建築敷地の見やすい場所に、規則で定めるところにより標識を設置しなければならない。
2 建築主は、前項の規定又は東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例(昭和53年東京都条例第64号)第5条第1項の規定により標識を設置したときは、速やかにその旨を規則で定めるところにより、区長に届け出なければならない。
(説明会の開催)
第6条 建築主は、中高層建築物を建築しようとする場合においては、隣接住民に建築に係る計画の内容について、説明会等の方法により説明しなければならない。ただし、建築敷地の規模等により区長が必要ないものと認めたときは、この限りでない。
2 建築主は、中高層建築物を建築しようとする場合において、周辺住民又は前項ただし書の規定により説明を受けなかつた隣接住民から申出があつたときは、建築に係る計画の内容について、説明会等の方法により、その申出のあつた周辺住民又は隣接住民に説明しなければならない。
(説明会の報告)
第7条 建築主は、前条第1項の規定により行つた説明会等の内容について、区長に報告しなければならない。
2 区長は、必要があると認めるときは、建築主に対し、前条第2項の規定により行つた説明会等の内容について報告を求めることができる。
(あつせん)
第8条 区長は、建築主と近隣関係住民の双方から紛争の調整の申出があつたときは、あつせんを行う。
2 区長は、前項の規定にかかわらず、建築主又は近隣関係住民の一方から調整の申出があつた場合において、相当な理由があると認めるときは、あつせんを行うことができる。
3 区長は、前2項の規定によりあつせんを行うときは、双方の主張の要点を確め、紛争が解決されるよう努めなければならない。
(あつせんの打切り)
第9条 区長は、当該紛争について、あつせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あつせんを打ち切ることができる。
(調停)
第10条 区長は、前条の規定によりあつせんを打ち切つた場合において、必要があると認めるときは、当事者に対し、調停に移行するよう勧告することができる。
2 区長は、前項に規定する勧告をした場合において、当事者の双方がその勧告を受諾したときは、調停を行う。
4 区長は、調停を行うに当たつて必要があると認めるときは、調停案を作成し、当事者に対し、期間を定めてその受諾を勧告することができる。
5 区長は、調停を行うに当たつては、大田区建築紛争調停委員会(以下「調停委員会」という。)の意見を聴かなければならない。
(調停の打切り)
第11条 区長は、当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、調停を打ち切ることができる。
2 前条第4項の規定による勧告が行われた場合において、定められた期間内に当事者の双方から受諾する旨の申出がないときは、当該調停は打ち切られたものとみなす。
(調停委員会)
第12条 区長の付属機関として調停委員会を置く。
2 調停委員会は、第10条第5項の規定による区長の意見の求めに応じ、必要な調査審議を行い意見を述べるとともに、区長の諮問に応じて、紛争の予防と調整に関する重要事項について調査審議する。
3 調停委員会は、法律、建築又は環境等の分野に関し優れた知識及び経験を有する者のうちから区長が委嘱する委員6人以内をもつて組織する。
4 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 調停委員会に会長を置き、委員の互選によつて定める。
6 会長は、会務を総理し、調停委員会を代表する。
7 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。
8 調停委員会は、区長が招集する。
9 会議は、委員の半数以上の出席がなければ開くことができない。
10 会議の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
(出頭)
第13条 区長は、あつせん又は調停のため必要があると認めるときは、当事者の出頭を求め、その意見を聴くことができる。
(関係図書の提出)
第14条 区長は、あつせん又は調停のため必要があると認めるときは、当事者に対し、関係図書の提出を求めることができる。
(工事着手の延期等の要請)
第15条 区長は、あつせん又は調停のため必要があると認めるときは、建築主に対して、期間を定めて工事の着手の延期又は工事の停止を要請することができる。
(委任)
第17条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
付則
(施行日)
1 この条例は、公布の日から起算して3月を超えない範囲において規則で定める日から施行する。
(昭和54年1月規則第3号で、同54年2月20日から施行)
3 この条例の施行の際、現に存する中高層建築物又は現に工事中の中高層建築物については、この条例は適用しない。
(経過措置)
4 この条例の施行の日前に、すでに区長の指導によりなされた標識の設置、説明の実施及び関係書類の区長への提出は、この条例によりなされたものとみなす。
付則(平成8年3月15日条例第22号)
1 この条例は、公布の日から施行する。
2 この条例の施行の際現に都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律(平成4年法律第82号。以下「改正法」という。)第1条の規定による改正前の都市計画法第2章の規定により定められている都市計画区域内の用途地域に関する第2条の規定の適用については、平成5年6月25日から起算して3年を経過する日(その日前に改正法第1条の規定による改正後の都市計画法第2章の規定により、当該都市計画区域について、用途地域に関する都市計画が決定されたときは、当該都市計画の決定に係る都市計画法第20条第1項の規定による告示があった日)までの間は、第2条中「第1種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域」とあるのは、「第一種住居専用地域」とする。