○道路占用物件移設補償要綱
昭和60年2月3日
土管発第557号区長決定
第1 目的
この要綱は、道路管理者が施行する道路工事等により移設の必要を生じた道路占用物件について、移設に伴う損失の適正かつ妥当な補償の確保を図ることにより、道路に関する事業の円滑な遂行に資することを目的とする。
第2 補償の原則
道路法(昭和27年法律第180号。以下「法」という。)第71条第2項の規定に基づき移設を命じた場合における補償については、次に定めるところによる。道路工事(道路本体及び道路附属物の新設、改築又は修繕に関する工事をいう。以下同じ。)に際して、事前調整を行った後に移設を依頼する場合もこれに準ずるものとする。
1 道路工事が原因となるもの
道路工事の施行に伴い支障となる占用物件の移設は、法第71条第2項第1号該当として処理し、第3に掲げる場合を除き、移設費の補償は行わない。
2 道路工事とそれ以外の工事が原因となるもの
道路工事と鉄道工事等他の工事とが同時に施行され、占用物件の移設の必要を生じた原因が両方の工事にある場合は、道路工事に係るものは法第71条第2項第1号、他の工事に係るものは同項第3号に該当するものとする。
3 道路管理者を異にするもの
道路工事を施行する道路管理者と異なる他の道路管理者が当該工事の施行に伴い占用物件の移設を命じた場合は、法第71条第2項第1号該当として処理する。
4 都市計画事業として道路工事を施行するもの
都市計画事業として道路工事を施行することに伴い支障となる占用物件の移設は、当分の間法第71条第2項第1号該当として処理する。
第3 法第71条第2項第1号に該当する工事で移設補償を行うもの
道路工事が原因となる移設であっても、占用者に移設費を負担させることが著しく受忍の義務の限度を超えると認められるものは、次に該当する場合に限り、その移設費の一部又は全部を補償するものとする。ただし、占用許可の時点で将来移設を必要とすることが相当程度具体的に予測されるものについては、補償を行わない。
1 移設費50パーセントを補償するもの
次に掲げる工事に起因して生じた大規模な移設工事でその移設費がこの要綱の実施細目で定める基準移設工事額を上回るもの
(1) 道路と道路の立体交差工事
(2) 共同溝工事(共同溝整備等に関する特別措置法(昭和38年4月1日法律第81号)に基づくものに限る。)
(3) 道路管理者の行う地下道工事
2 移設費の全額を補償するもの
(1) 道路工事に先行して新設した占用物件で道路工事の計画変更によって2年以内に移設を行うもの
(2) 道路工事が原因となって占用物件を移設した際、道路工事の計画変更によって2年以内に再移設を行うもの
第4 事前調整及び移設命令
1 事前調整
道路工事の設計に当っては占用物件の無用の移設工事を生じないよう事前に十分調査し、移設を行わせる場合にも、工事の影響を受ける占用者と事前調整を行い、時期、工法、移設位置等適切に指示して、最少の費用で効果的に施行できるよう努めるものとする。
また、計画変更等が生じた場合には、速やかに工事の影響を受ける占用者に連絡するものとする。
2 移設命令又は依頼の内容
占用物件の移設を必要とするときは、次の事項を記載した文書により命令し、又は依頼するものとする。
(1) 事業名
(2) 事業年度
(3) 移設期限
(4) 移設占用物件
(5) 移設を必要とする理由(法第71条第2項中、1号から3号までのいずれに該当するかを明示すること。)
第5 移設により新たに占用物件となるものの措置
道路工事の施行に伴い支障となる物件で、道路区域外から道路区域内に移設するものについては、移設費の50パーセントを補償する。この場合における移設費は、当該移設によって影響を受ける道路区域内における移設に要する費用を含むものとする。
第6 補償の請求等
1 補償は、その対象たる移設工事が完了した後、当該占用者から補償の請求があったものについて行う。ただし、移設工事が完了した日から1年以内に請求がないものについては補償しない。
2 補償の額の査定に際し必要な資料は、請求人が提出するものとする。
3 要綱第3の1に関する補償請求に対しては、内容査定の結果、移設工事費が基準移設工事額に満たないとき等、補償の必要がないと認められる場合は、理由を付し、文書によりその旨を請求人に通知するものとする。
第7 委任
この要綱の実施にあたり必要な事項は、実施細目で定める。
第8 付則
1 この要綱は、昭和63年4月1日以降に行われる移設の命令又は依頼に基づく移設工事に適用する。
2 大田区道路占用料等徴収条例(昭和47年4月1日条例第19号)に定める道路占用料を全部免除されている占用物件にかかる補償については、第3の1の規定は適用しない。
道路占用物件移設補償要綱実施細目
改正 平成30年6月7日30都道発第10927号都市基盤整備部長決定
道路占用物件移設補償要綱(以下「要綱」という。)の実施に当っては、この細目の定めるところによるものとする。
1 「移設費」の定義
「移設費」とは、直接占用物件そのものの移設に要した費用(改良分を除く)をいい、移設を伴わない既設物件の吊り防護、受け防護等の費用は含まない。
標準移設費={移設費+新設(工事)費+撤去費+新設(物件)費)}-{発生財(残存)価額+改良費}
2 要綱第3の1(移設費の50パーセントを補償するもの)の解釈と運用
(1) 「相当程度具体的に予測できるもの」とは、都市計画事業許可、その他道路工事の実施計画等の策定のあるものをいう。
(2) 「基準移設工事額を上回る」とは、1件当りの移設工事費(要綱第3の1に該当する工事1件につき支障となる占用者単位の移設に要した費用の総額)が基準移設工事額を上回ることをいう。
(3) 「基準移設工事額」は9,500万円とする。
(4) 基準移設工事額の改訂は年度ごとに、かつ前年度までの消費者物価の変動を勘案して得た額と、改訂前の基準移設工事額との差が500万円を超えるごとに行うものとする。
(5) 基準移設工事額は、1件当りの移設工事が完了した日の属する年度の基準移設工事額を用いる。
3 要綱第3の2(移設費の全額を補償するもの)の解釈と運用
(1) 「計画変更」とは、都市計画事業変更認可、設計変更等をいう。
(2) 「2年以内」とは、占用工事完了後(1)の手続きが決定されるまでの期間をいう。この場合は計画変更により必要となった移設費の全額を補償する。
(3) 占用工事完了前すなわち移設(又は先行新設)工事着手中の過程で計画変更等の決定があった場合には、着手している工事の移設費(又は先行新設費)を補償する。
ただし、計画変更による移設費(又は先行新設費)は補償しない。
4 要綱第4の2(移設命令又は依頼の内容)の解釈と運用
移設占用物件とは予め占用者から当該工事区間の占用物件調書の提出を受けて把握したものをいう。
5 要綱第5(移設により新たに占用物件になるものの措置)の解釈と運用
「影響を受ける」とは、移設工事と密接不可分の関係にある合理的範囲をいう。
6 いわゆる「玉突き移設」の解釈と運用
一つの占用物件を移設させることによって、他の占用物件の移設を余儀なくさせる場合の取扱いは、次による。
原因となる占用物件の移設が道路法第71条第2項第1号によりなされる場合は、他の占用物件の移設も同規定によるものとする。