○大田区いじめ防止対策推進条例

令和3年3月12日

条例第18号

(目的)

第1条 この条例は、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)の趣旨を踏まえ、いじめの防止等(いじめの未然防止、いじめの早期発見及びいじめへの対応をいう。以下同じ。)のための対策について、基本理念を定め、大田区(以下「区」という。)、区立学校等の責務及び地域住民等の役割を明らかにするとともに、区の対策に関する基本的な事項を定めることにより、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) いじめ 児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

(2) 区立学校 大田区立学校設置条例(昭和36年条例第17号)別表に規定する学校をいう。

(3) 児童等 区立学校に在籍する児童又は生徒をいう。

(4) 保護者 児童等の親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童等を現に監護する者をいう。

(5) 地域住民 町会、自治会その他区内で事業活動を行う法人その他の団体及び個人をいう。

(6) 関係機関等 児童相談所、警察署その他児童等のいじめの問題に関係する機関及び団体をいう。

(基本理念)

第3条 いじめの防止等のための対策は、いじめが児童等の生命並びに心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼすものであることに鑑み、全ての児童等が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、区立学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行われなければならない。

2 いじめの防止等のための対策は、児童等の生命及び心身を保護し、児童等をいじめから確実に守るとともに、児童等のいじめに関する理解を深め、児童等が、いじめを行わず、及び他の児童等に対するいじめを認識しながらこれを放置することなく、いじめの解決に向けて主体的に行動することができるようにすることを旨として行われなければならない。

3 区立学校におけるいじめの防止等のための対策は、いじめの防止等に関する取組を実効的に行うため、当該区立学校全体で組織的に取り組むことを旨として行われなければならない。

4 いじめの防止等のための対策は、区、区立学校、保護者、地域住民及び関係機関等の連携の下、地域社会全体でいじめの問題を克服することを目指して行われなければならない。

(いじめの禁止等)

第4条 児童等は、いじめを行ってはならない。

2 児童等は、命及び心の大切さ及び尊さを実感し、いじめを行わず、互いを思いやり、いたわり合いながら、いじめのない明るい生活を送るよう努めるものとする。

3 児童等は、いじめを受けたとき、又はいじめが行われていることを知ったとき(いじめの疑いがあると認めたときを含む。)は、その保護者、区立学校又は関係機関等にできるだけ早く相談するよう努めるものとする。

(区の責務)

第5条 区は、第3条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、いじめの防止等のための体制を整備するとともに、他の地方公共団体、区立学校、保護者、地域住民及び関係機関等と協力して、いじめの防止等のために必要かつ効果的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(教育委員会の責務)

第6条 大田区教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、基本理念にのっとり、区立学校の設置及び管理に関する事務を行う者として、区立学校におけるいじめの防止等のために必要な措置を講ずる責務を有する。

(区立学校及び区立学校の教職員の責務)

第7条 区立学校及び区立学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該区立学校に在籍する児童等の保護者、地域住民及び関係機関等との連携を図りつつ、区立学校全体でいじめの未然防止及び早期発見に取り組むとともに、当該区立学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対応する責務を有する。

(保護者の責務)

第8条 保護者は、子の教育について第一義的に責任を有するものであって、いじめが児童等の生命、心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼすものであるとの認識の下、その保護する児童等がいじめを行うことのないよう、当該児童等に対し、規範意識を養うための指導その他の必要な指導を行うよう努めるものとする。

2 保護者は、その保護する児童等がいじめを受けた場合には、適切に当該児童等をいじめから保護するものとする。

3 保護者は、区、教育委員会及び区立学校が講ずるいじめの防止等のための措置に協力するよう努めるものとする。

(地域住民及び関係機関等の役割)

第9条 地域住民及び関係機関等は、区が実施するいじめの防止等のための対策に協力するよう努めるものとする。

(財政上の措置等)

第10条 区は、いじめの防止等のための対策を推進するために必要な財政上の措置その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(大田区いじめ防止基本方針)

第11条 区は、法第12条の規定に基づき、区におけるいじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するために、大田区いじめ防止基本方針を定めるものとする。

(区立学校いじめ防止基本方針)

第12条 区立学校は、法第13条の規定に基づき、当該区立学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本方針を定めるものとする。

(大田区いじめ問題対策連絡協議会)

第13条 区は、いじめの防止等に関係する機関及び団体の連携を図るため、法第14条第1項の規定に基づき、区立学校、教育委員会、教育センター(大田区立教育センター条例(平成8年条例第24号)第1条に規定する大田区立教育センターをいう。)、関係機関等により構成される大田区いじめ問題対策連絡協議会(以下「協議会」という。)を置くことができる。

2 協議会は、いじめの防止等のための対策の推進に関する事項について協議を行う。

(大田区いじめ問題対策委員会)

第14条 大田区いじめ防止基本方針に基づくいじめの防止等のための対策を実効的に行うため、法第14条第3項の規定に基づき、教育委員会の付属機関として、大田区いじめ問題対策委員会(以下「対策委員会」という。)を置く。

2 対策委員会は、教育委員会の諮問に応じ、いじめの防止等のための対策の推進について、調査審議し、答申する。

3 対策委員会は、いじめの防止等のための対策の推進について、必要があると認めるときは、教育委員会に意見を述べることができる。

4 対策委員会は、学識経験を有する者、法律、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者等のうちから、教育委員会が任命する委員5人以内をもって組織する。

5 委員の任期は、2年とし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。

6 前2項に定めるもののほか、対策委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、大田区教育委員会規則で定める。

(区立学校における重大事態に係る対処)

第15条 区立学校は、法第28条第1項に規定する重大事態(以下「重大事態」という。)が発生したときは、いじめの防止等の対策のための組織による調査を行うとともに、当該重大事態が発生した旨を、教育委員会を経由して、直ちに区長に報告しなければならない。

2 教育委員会は、前項の規定による報告を受けたときは、法第28条第1項の規定により、必要な場合は対策委員会に速やかに調査させるものとする。

3 対策委員会は、前項の規定による調査(以下「法第28条調査」という。)を行ったときは、その結果を教育委員会に報告するものとする。

4 教育委員会は、前項の規定による報告を受けたときは、その旨を区長に報告するものとする。

(大田区いじめ問題再調査委員会)

第16条 区長は、前条第4項の規定による報告を受けた場合において、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、法第30条第2項の規定に基づき、区長の付属機関として、大田区いじめ問題再調査委員会(以下「再調査委員会」という。)を置くことができる。

2 再調査委員会は、区長の諮問に応じ、法第28条調査の結果について、法第30条第2項に規定する調査(以下「再調査」という。)を行う。

3 再調査委員会は、学識経験を有する者、法律、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者等で、当該報告に係る法第28条調査を行った対策委員会の委員以外の者のうちから、区長が任命する委員5人以内をもって組織する。

4 委員の任期は、区長が任命したときから、再調査が終了するときまでとする。

5 区長は、再調査委員会における調査の結果について報告を受けたときは、直ちに教育委員会にその結果を報告するとともに、法第30条第3項の規定により、その結果を議会に報告するものとする。

6 第3項及び第4項に定めるもののほか、再調査委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、大田区規則で定める。

(再発防止のための措置)

第17条 区長及び教育委員会は、第15条第3項又は前条第5項に規定する報告を受けたときは、相互に連携し、自らの権限及び責任において、当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずるものとする。

(個人情報の取扱い)

第18条 区は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)及び大田区個人情報の保護に関する法律施行条例(令和4年条例第64号)の規定により、この条例の施行に当たって知り得た個人情報を保護し、及び適切に取り扱わなければならない。

2 いじめに関する通報、相談等に関係した者は、正当な理由なく、その知り得た個人情報を他人に漏らしてはならない。

(区立学校以外の学校への協力要請)

第19条 区は、区立学校を除く学校の設置者又は管理者に対し、いじめの防止等について必要な協力を求めることができる。

2 対策委員会及び再調査委員会は、区立学校を除く学校の設置者又は管理者に対し、対策委員会及び再調査委員会が行う調査について必要な協力を求めることができる。

(委任)

第20条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、大田区規則又は大田区教育委員会規則で定める。

この条例は、令和3年4月1日から施行する。

(令和5年2月28日条例第1号)

この条例は、令和5年4月1日から施行する。

大田区いじめ防止対策推進条例

令和3年3月12日 条例第18号

(令和5年4月1日施行)