○恵庭市ケアラー支援条例
令和6年3月18日
条例第9号
(目的)
第1条 この条例は、社会全体でケアラーを支援するための基本理念を定め、市の責務並びに市民等、事業者及び関係機関の役割を明らかにするとともに、ケアラー支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって全てのケアラーとそのまわりの全ての人が自分らしく、いきいきと安心して生活できる社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) ケアラー 市民等のうち、高齢、身体上若しくは精神上の障がい又は疾病等により援助を必要とする親族、友人その他の身近な人に対して、無償で介護、看護、日常生活上の世話その他の必要な援助を提供する者をいう。
(2) ヤングケアラー ケアラーのうち、18歳未満の者をいう。
(3) 若者ケアラー ケアラーのうち、18歳からおおむね30歳代のものをいう。
(4) 市民等 市内に住所又は居所を有する者、市内に存する事務所又は事務所に勤務する者及び市内に存する学校に在学する者をいう。
(5) 事業者 市内で事業活動を行う個人及び法人をいう。
(6) 関係機関 介護、障がい者及び障がい児の支援、医療、教育又は児童の福祉等に関する業務を行い、当該業務を通じて日常的にケアラーに関わる可能性がある機関をいう。
(基本理念)
第3条 ケアラーの支援は、全てのケアラーとそのまわりの全ての人が自分らしく、いきいきと安心して生活ができるよう、市、市民等、事業者、関係機関等が、互いに連携を図りながら、ケアラーが孤立することのないよう社会全体で支えるように行わなければならない。
2 ヤングケアラーに対する支援は、子どもがその発達段階に応じて、社会において自立的に生きる基礎を培い、人間としての基本的な資質を養うことの重要性に鑑み、適切な養育の機会を確保し、かつ、心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られるように行わなければならない。
3 若者ケアラーに対する支援は、若者ケアラーが持つ未来社会を切り拓くための資質・能力を存分に活かす環境づくりを後押しし、若者ケアラーが自立し、及び活躍することができる機会が確保され、かつ、その自立が図られるように行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、介護、障がい者及び障がい児の支援並びに医療、教育又は児童の福祉に関する制度並びにその他ケアラー支援に関わる制度を勘案し、ケアラー支援に関する施策を総合的に実施するものとする。
(市民等の役割)
第5条 市民等は、基本理念に基づき、ケアラーが置かれている状況及びケアラー支援の必要性についての理解を深め、ケアラーが孤立することのないように十分配慮するとともに、市が実施するケアラー支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、基本理念に基づき、ケアラーが置かれている状況及びケアラー支援の必要性についての理解を深め、市が実施するケアラー支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 事業者は、雇用する従業員がケアラーである可能性があることを認識するとともに、従業員がケアラーであると認められるときは、当該従業員の意向を尊重しつつ、勤務するに当たっての配慮、情報の提供その他の必要な支援を行うよう努めるものとする。
(関係機関の役割)
第7条 関係機関は基本理念に基づき、ケアラーが置かれている状況及びケアラー支援の必要性についての理解を深め、市が実施するケアラー支援に関する施策に積極的に協力するよう努めるものとする。
2 関係機関は、日常的にケアラーに関わる可能性がある立場にあることを認識し、関わりのある者がケアラーであると認められるときは、当該ケアラーの意向を尊重しつつ、ケアラーの健康状態及びその置かれている生活環境等を確認し、支援の必要性の把握に努めるものとする。
3 関係機関は、支援を必要とするケアラーに対し、情報の提供、適切な他の関係機関への案内又は取次ぎその他の必要な支援を行うよう努めるものとする。
(学校等の役割)
第8条 関係機関のうち、学校その他の教育に関する業務を行うもの(以下「学校等」という。)は、日常的にヤングケアラーに関わる可能性がある立場にあることを認識し、関わりのある者がヤングケアラーであると認められるときは、当該ヤングケアラーの意向を尊重しつつ、ヤングケアラーの教育の機会の確保に係る状況及び健康状況並びにその置かれている生活環境等を確認し、支援の必要性の把握に努めるものとする。
2 学校等は、支援を必要とするヤングケアラーからの教育又は福祉に関する相談に応じるとともに、ヤングケアラーに対し、情報の提供、適切な他の関係機関への案内又は取次ぎその他の必要な支援を行うように努めるものとする。
(ケアラー支援に関する推進計画)
第9条 市は、ケアラー支援に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、ケアラー支援推進計画(以下「推進計画」という。)を策定するものとする。
2 推進計画は、次の各号に掲げる事項について定めるものとする。
(1) ケアラー支援に関する基本方針
(2) ケアラー支援に関する具体的施策
(3) 前2号に掲げるもののほか、ケアラー支援に関する施策を推進するために必要な事項
(普及啓発の促進)
第10条 市は、広報活動及び啓発活動を通じて、市民等、事業者、関係機関等、社会全体としてケアラーが置かれている状況及びケアラー支援等に関する知識を深め、社会全体としてケアラー支援が推進されるよう必要な施策を講じるものとする。
(その他)
第11条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、令和6年4月1日から施行する。