○富士見市男女共同参画推進条例
平成20年6月13日
条例第17号
個人の尊重と法の下の平等がうたわれた日本国憲法の下、我が国の男女共同参画社会の実現に向けた取組は、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の批准や男女共同参画社会基本法の制定など、国際社会の取組と連動しながら進められている。
富士見市においても、人間尊重宣言都市として、人権を尊重した市政運営に努め、市民との協働により着実に男女共同参画の推進に取り組んできた。
しかし、性別による固定的な役割分担意識と、それに基づく社会の制度や慣行は根強く残っており、社会の様々な分野で男女間の格差を生じさせるなど、依然として大きな課題を抱えている。また、急速な社会経済情勢の変化への対応が求められており、より一層、男女が平等に参画できる社会づくりの推進が必要とされている。
ここに、男女共同参画社会の実現に関して積極的に取り組むことにより、思いやりと活力に満ちた地域社会を形成し、魅力ある富士見市を築いていくため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画社会の形成に向けての基本理念を定めるとともに、これに基づく市の施策を総合的かつ計画的に推進することにより、男女の個性及び尊厳が守られる男女共同参画社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 市民 市内に在住する者及び市内に在勤又は在学する者をいう。
(3) 事業者 市内において事業活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。
(4) セクシュアル・ハラスメント 意に反した性的な言動により相手を不快にさせ、生活環境を害し、又は不利益を与えることをいう。
(5) ドメスティック・バイオレンス 配偶者、恋人その他親密な関係にある者(過去に配偶者、恋人その他親密な関係にあった者を含む。)が相手方に対して振るう身体的、精神的、性的又は経済的な暴力をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画の推進に当たっては、次に定める事項を基本理念とする。
(1) 男女の個人としての人権が尊重され、性別による差別的取扱いを受けることなく、個人としての能力を発揮する機会が確保され、かつ、公正に評価されること。
(2) 性別による固定的な役割分担意識に基づく社会的な制度又は慣行を解消し、男女が社会における活動の選択を自由に行えること。
(3) 女性の社会参画を推進するために、女性自らの意識及び能力を高め、主体的に行動できる機会が確保されること。
(4) 家族を構成する男女が、相互の協力及び社会の支援の下に、家事、育児、介護その他の家庭生活における活動及び地域活動その他の社会生活における活動に共同して参画し、責任を分かち合えること。
(5) 男女が互いの性を理解し合い、生涯にわたり健康な生活を営む権利が確保されるとともに、妊娠、出産その他の性及び生殖に関する事項については、女性の身体的機能に配慮し、女性の自己決定が尊重されること。
(6) セクシュアル・ハラスメント及びドメスティック・バイオレンスその他の性別に起因する暴力を根絶すること。
(7) 国際社会における男女共同参画の取組を十分理解し、男女共同参画の推進に関する施策への反映に努めること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、男女共同参画の推進を主要な政策として位置付け、市における男女共同参画の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 市は、男女共同参画の推進に当たっては、市民、事業者、教育に携わる者、国、県及び他の地方公共団体と連携して取り組むこととする。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念に基づき、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野に、自ら積極的に参画するとともに、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念に基づき、その事業活動を行うに当たっては、男女が共同して参画することができる体制の整備に積極的に取り組むとともに、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
2 事業者は、セクシュアル・ハラスメント等の人権侵害が生じないよう職場環境の整備に努めなければならない。
(教育に携わる者の責務)
第7条 学校教育その他のあらゆる教育に携わる者は、基本理念に基づき、男女平等及び人権尊重に関する教育を推進するよう努めなければならない。
(性別による人権侵害の禁止)
第8条 何人も、あらゆる分野において、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンスその他の性別に起因する人権侵害にあたる行為を行ってはならない。
(公衆に表示する情報に関する留意)
第9条 何人も、広報、広告その他の公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担、男女間の暴力的行為、性の商品化等を助長し、若しくはこれを連想させる表現又は過度の性的な表現を用いないよう努めなければならない。
2 何人も、提供される情報が男女共同参画の推進を妨げるおそれがあるか否かを適切に判断することができるように努めなければならない。
(行動計画)
第10条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画社会確立のための富士見市行動計画(以下「行動計画」という。)を策定する。
2 行動計画は、男女共同参画の推進に関する長期的な目標及び施策の大綱その他必要な事項について定める。
3 市長は、行動計画を策定するに当たっては、市民等の意見を反映することができるよう必要な措置をとる。
4 市長は、行動計画を策定したときは、速やかにこれを公表する。
5 前2項の規定は、行動計画の見直しについて準用する。
(推進施策)
第11条 市は、男女共同参画を推進するため、次の取組を行う。
(1) 市民、事業者等の男女共同参画の推進に関する理解を深めるため、広報活動、学習機会の提供等に努める。
(2) 男女共同参画の推進に関する活動を行う市民、事業者等との連携を図り、協働するために必要な情報の提供その他の支援を行うよう努める。
(3) あらゆる分野における活動において、男女間に参画する機会の格差が生じている場合は、関係機関との連携を図り、積極的格差の是正が図られるよう努める。
(4) 男女が共に家庭生活と社会生活における活動を両立することができるように、子育て、家族の介護等のための環境整備を進めるとともに、子育て期の女性の就労に対する支援を行うよう努める。
(5) 性別による人権侵害の行為により被害を受けた者等からの相談を受け、被害者救済のための必要な支援を行うよう努める。
(6) 男女共同参画の推進に関する施策の策定に必要な事項及び男女共同参画の推進を妨げる要因について、調査研究を行う。
(7) 男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ効果的に実施するために必要な推進体制の整備を行う。
(年次報告)
第12条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況等について、年次報告書の作成及び公表を行う。
(富士見市男女共同参画社会確立協議会)
第13条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、富士見市男女共同参画社会確立協議会を置く。
2 前項に定めるもののほか、富士見市男女共同参画社会確立協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に条例で定める。
(平25条例22・追加)
(委任)
第14条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。
(平25条例22・旧第13条繰下)
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成20年7月1日から施行する。
附則(平成25年6月27日条例第22号)抄
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。