○岐阜市くらしの安全条例

平成11年3月30日

条例第12号

近年、凶悪な犯罪やせい惨な事故が増加し市民のくらしに大きな不安をもたらしている。

この不安を取り除き、市民が潤いと安らぎのある快適な生活を享受でき、さらには未来を担う子供たちが健全に育つことができる社会環境を維持し、創造していくためには、市民、事業者、市が相互の役割分担と協力により、すべての者が安心して暮らすことができる安全なまちづくりを進めなければならない。

このためには、個人のプライバシーに配慮しつつ、犯罪、事故、災害の発生を未然に防止し、非常時に助け合うことができるコミュニティを地域全体ではぐくみ、これを基礎として活動や施策を実施していくことが必要である。

ここに、市民のくらしの安全を確立するためのまちづくりの基本理念を明らかにしてその方向を示し、施策を総合的に推進していくため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、犯罪、事故等から市民のくらしの安全を確保するために必要な基本理念を定め、並びに市民、事業者及び市の責務を明らかにするとともに、良好な地域社会の形成その他市民のくらしの安全の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、安全なまちを築き、市民が現在及び将来にわたり安心して暮らすことができる社会を実現することを目的とする。

(基本理念)

第2条 市民、事業者及び市は、その能力を生かし、それぞれの役割を果たしつつ相互に協力し、すべての人が安心して暮らすことができる安全なまちづくりを推進するよう努めなければならない。

2 市民、事業者及び市は、安全なまちづくりを推進するに当たっては、自立の精神に支えられた豊かで良好な地域社会の形成が重要であることを認識し、これをはぐくむよう努めなければならない。

3 市民、事業者及び市は、犯罪、事故等から得た教訓及び経験を日常生活の中に生かし、次世代にこれらを継承していくよう努めなければならない。

(市の責務)

第3条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、市民の安全を推進するために必要な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 市は、前項に規定する施策を策定し、及び実施するに当たっては、市民及び事業者の意見を積極的に反映するよう努めなければならない。

3 市は、第1項に規定する施策のうち都市基盤整備の指針及び計画を策定するときは、犯罪、事故等にかかわる調査及び研究の上に行うものとする。

4 市は、第1項に規定する施策を策定し、及び実施するため常に国、県及びその他の地方公共団体並びに事業者との連携に努めるものとする。

(市民の責務)

第4条 市民は、基本理念にのっとり、常に安全に関する知識及び技術を習得し、身辺の安全に係る点検を行い、その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 市民は、基本理念にのっとり、犯罪、事故等の発生時においては、相互に協力して被害者の救助及び安全確保のために積極的な活動をしなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、安全に配慮し、当該事業活動に使用する設備を点検する等の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 事業者は、基本理念にのっとり、その従業員が安全に関する知識及び技術を習得する機会を提供するよう努めなければならない。

3 事業者は、基本理念にのっとり、犯罪、事故等の発生時においては、その能力を活用して、被害者の救助及び安全確保のために積極的な活動をしなければならない。

(安全で安心なコミュニティづくり等)

第6条 市民及び事業者は、地域活動に自主的かつ主体的に取り組むことにより助け合いの精神に根ざした良好なコミュニティをはぐくむよう努めなければならない。

2 市民及び事業者は、市民一人ひとりが行う身近なくらしの安全又は安心の確保に関する取り組みを地域全体のまちづくり活動につなげていくよう努めなければならない。

3 市民及び事業者は、地域で犯罪、事故等が発生した場合においては、速やかに関係機関へ通報するとともに、相互に連携して組織的かつ自主的にそれぞれの責務に応じた活動を行わなければならない。

4 市民及び事業者は、一体となって地域の安全を確保するための計画を作成することができる。

5 市は、前項に規定する計画を作成しようとする市民及び事業者に対し、必要な支援を行うとともに、当該計画が適切に実施されるよう配慮しなければならない。

(要援護者への配慮)

第7条 市は、犯罪、事故等の発生時において特に援護が必要な高齢者、障害者、児童等(以下「要援護者」という。)に配慮した施策を策定し、及び体制を整備しなければならない。

2 市民及び事業者は、地域において要援護者が安心して安全に暮らせるよう配慮しなければならない。

(啓発活動、安全教育及び人材の育成)

第8条 市は、市民及び事業者が主体性をもって安全なまちづくりを進めることができるようにするため、安全に関する知識の普及及び情報の提供その他市民及び事業者に対する啓発活動を推進するとともに、安全に関する教育を充実する等必要な施策を講ずるものとする。

2 市民及び事業者は、安全なまちづくりについて積極的に学習するよう努めなければならない。

3 市は、安全なまちづくりを推進するための活動を支える人材を常に育成するよう努めなければならない。

(岐阜市くらしの安全推進協議会)

第9条 基本理念にのっとり、安全なまちづくりを推進するための施策等に関し協議を行うため岐阜市くらしの安全推進協議会(以下「協議会」という。)を設置する。

2 協議会は、委員20人以内をもって組織する。

3 協議会の委員は、安全なまちづくりのために活動する市民団体、学識経験者、関係行政機関、市職員等のうちから市長が委嘱し、又は任命する。

4 協議会の委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 前各項に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関して必要な事項は、市長が定める。

(市の職員の責務)

第10条 市の職員は、市民の安全を推進するために、地域における安全なまちづくりに積極的に参加するとともに、安全に関する知識及び技術の習得に努めなければならない。

(委任)

第11条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が定める。

この条例は、平成11年4月1曰から施行する。

岐阜市くらしの安全条例

平成11年3月30日 条例第12号

(平成11年3月30日施行)