○岐阜市自然環境の保全に関する条例
平成15年3月31日
条例第20号
目次
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 自然環境の保全(第7条―第17条)
第3章 自然環境の創造(第18条―第20条)
第4章 自然環境保全活動団体及び自然環境保護監視員(第21条―第24条)
第5章 雑則(第25条―第30条)
第6章 罰則(第31条―第34条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市民にとって貴重な財産である本市の自然環境を守り育てるとともに、後生に引き継ぐため、自然環境保全及び自然環境の創造に関する市、市民及び事業者の役割を明確にし、かつ、それを果たすことにより、自然と共生するまちづくりを推進することを目的とする。
(1) 自然環境の保全 自然環境が開発その他の行為によって損なわれることを防止し、これを維持することをいう。
(2) 自然環境の創造 植樹その他の方法によって、損なわれた自然環境を復元し、又は新たに創り出すことをいう。
(3) 自然環境保全活動団体 自然環境の保全又は自然環境の創造を目的として活動を行っている非営利の団体で、市長によって承認された団体をいう。
(4) 協働 市、市民、事業者及び自然環境保全活動団体が、対等な立場で、互いの意見を尊重し、それぞれの特性を活かして役割及び責任を分担しつつ、協力して事業を行うことをいう。
(5) 貴重野生動植物種 本市に生息又は生育する野生の動植物(卵、種子等を含む。)のうち、生息又は生育数が著しく少なく、又は著しく減少しつつある種で規則で定めるものをいう。
(6) 自然環境保全地区 貴重野生動植物種が生息若しくは生育し、又は生物の多様性が保たれ、その保全を図る必要がある地区として、市長が指定したものをいう。
(市の責務)
第3条 市は、里山の整備、市街地の緑化等自然環境の保全及び自然環境の創造に努めなければならない。
2 市は、貴重野生動植物種の生息又は生育の状況を把握し、その状況に応じて保護を図るよう努めなければならない。
3 市は、市民及び事業者の自然環境の保全及び自然環境の創造の必要性及び重要性に対する認識を深めるため、その意識の普及啓発及び教育の推進に努めなければならない。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、事業活動を行うにあたっては、自然環境の保全が適正になされるよう配慮するとともに、市が実施する自然環境の保全及び自然環境の創造に関する施策に協力しなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、自然環境の保全が適正になされるよう自ら努めるとともに、市が実施する自然環境の保全及び自然環境の創造に関する施策に協力しなければならない。
(国、県等への要請)
第6条 市長は、自然環境の保全及び自然環境の創造のため必要があると認めるときは、国、県その他の関係行政機関の長に対し、必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
第2章 自然環境の保全
(自然環境保全地区の指定)
第7条 市長は、自然環境の保全を図るため必要があると認めるときは、次に掲げる区分により自然環境保全地区を指定することができる。
(1) 特別保全地区 貴重野生動植物種が生息又は生育している地域のうち、当該貴重野生動植物種の保護のため、当該地域にある自然環境の保全が特に必要となる地区
(2) 共生地区 生物の多様性が比較的保たれている地域のうち、生活環境との調和に配慮し、当該生物の多様性を保つため、当該地域にある自然環境の保全が必要となる地区
2 市長は、特別保全地区を指定しようとするときは、あらかじめ、指定をしようとする区域内の土地の所有者及び占有者の同意を得なければならない。
3 市長は、自然環境保全地区を指定しようとするときは、あらかじめ岐阜市環境基本条例(平成18年岐阜市条例第61号)第23条に規定する岐阜市環境審議会(以下「環境審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
4 市長は、自然環境保全地区を指定しようとするときは、あらかじめ、その旨を公告し、その案を公告の日から2週間公衆の縦覧に供さなければならない。
5 自然環境保全地区として指定される区域内の住民及び利害関係者は、前項の規定による公告の内容又は案について、縦覧期間の満了の日までに、市長に意見書を提出することができる。
6 市長は、前項の規定により縦覧に供された案について異議がある旨の意見書の提出があったとき又は自然環境保全地区の指定に関し広く意見を聴く必要があると認めるときは、公聴会を開催するものとする。
7 市長は、自然環境保全地区を指定したときは、その旨及びその区域を告示しなければならない。
8 自然環境保全地区の指定は、前項の規定による告示をした日から、その効力を生ずる。
10 市長は、自然環境保全地区において、当該地区内の土地の所有者又は占有者の同意を得た上で、当該地区の自然環境の保全のために必要な範囲において、自然環境保全活動団体を指定して管理行為を行わせることができる。
(貴重野生動植物種の指定)
第8条 市長は、貴重野生動植物種を定めるときは、必要に応じて環境審議会の意見を聴くものとする。
2 市長は、貴重野生動植物種の保護を図るため、その生息及び生育の状況を定期的に調査しなければならない。
3 市長は、前項の調査の結果に基づき貴重野生動植物種の指定の内容を見直すものとする。
(捕獲等の禁止)
第9条 貴重野生動植物種の生きている個体を捕獲、採取、殺傷又は損傷(以下「捕獲等」という。)しようとする者は、市長の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は、市長に、次に掲げる事項を記載した許可申請書を提出しなければならない。この場合において、当該許可申請書には、貴重野生動植物種の生きている個体の捕獲等をする場所の位置を明らかにした地形図を添付しなければならない。
(1) 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
(2) 捕獲等をする場所
(3) 捕獲等の目的
(4) 捕獲等をしようとする貴重野生動植物種の名称及び数量
(5) 捕獲等をする方法
(6) 捕獲等をしようとする期間
(1) 教育及び学術研究のために捕獲等をする場合
(2) 前号に掲げる場合を除くほか、公益上の事由により市長が特に必要と認める場合
4 市長は、貴重野生動植物種の保護のために必要な限度において、第1項の許可に条件を付すことができる。
5 市長は、第2項の規定による申請の結果について、当該申請をした者に書面をもって通知しなければならない。
(許可の取消し)
第10条 市長は、前条第1項の許可を受けた者について、偽りその他不正の手段により当該許可を受けたことが判明したときは、その許可を取り消すことができる。
(移入種の放逐等の禁止)
第11条 何人も、国内及び国外を問わず人為的に移動した動植物で、市内における地域の在来種を圧迫し、生態系に著しく支障を及ぼすおそれのある種の個体を放ち、又は人の管理が及ばない状態で植栽し、若しくはその種子をまいてはならない。
(1) 建築物その他工作物を新築し、改築し、増築し、又は移転する行為
(2) 宅地の造成、土地の開墾その他土地の形質を変更する行為
(3) 鉱物を掘採し、又は土石を採取する行為
(4) 水面を埋め立て、又は干拓する行為
(5) 河川、湖沼又は池の水位又は水量に増減を及ぼす行為
(6) 木竹の伐採をする行為
2 前項の許可を受けようとする者は、市長に、次に掲げる事項を記載した許可申請書を提出しなければならない。この場合において、当該許可申請書には、当該行為を行う場所の位置を明らかにした地形図その他規則で定める書類を添付しなければならない。
(1) 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
(2) 地区名
(3) 行為を行う場所
(4) 行為の目的
(5) 行為を行う土地の所有者又は管理者の氏名及び住所
(6) 工事責任者の氏名及び住所
(7) 下請負人が行為を実施する場合は、当該下請負人の責任者の氏名及び住所
(8) 行為の内容
(9) 行為の着手及び完了の予定日
4 市長は、特別保全地区の自然環境を保全するために必要な限度において、第1項の許可に条件を付すことができる。
5 市長は、第2項の規定による申請の結果について、当該申請をした者に書面をもって通知しなければならない。
6 国又は地方公共団体が行う行為については、第1項の許可を受けることを要しない。この場合において、当該国又は地方公共団体は、当該行為を行おうとするときは、あらかじめ、市長に協議しなければならない。
7 特別保全地区において、非常災害のため必要な応急措置として第1項各号のいずれかに定める行為をした者は、その行為をした日から1月以内に、次に掲げる事項を市長に届け出なければならない。この場合において、当該届出には、当該行為を行った場所の位置を明らかにした地形図その他規則で定める書類を添付しなければならない。
(1) 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
(2) 地区名
(3) 行為を行った場所
(4) 行為の目的
(5) 行為の内容
(6) 行為の完了の日又は予定日
9 次に掲げる行為については、第1項の規定は適用しない。
(1) 保全事業(自然環境の保全のための施設で規則で定めるものの整備に関する事業をいう。以下同じ。)の執行として行う行為
(2) 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、特別保全地区の自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定める行為
(許可の取消し)
第13条 市長は、前条第1項の許可を受けた者について、偽りその他不正の手段により当該許可を受けたことが判明したときは、その許可を取り消すことができる。
(1) その規模が規則で定める基準を超える建築物その他工作物を新築し、改築し、又は増築する行為(改築又は増築後において、その規模が規則で定める基準を超えるものとなる場合における改築又は増築を含む。)
(2) 宅地の造成、土地の開墾その他土地の形質を変更する行為
(3) 鉱物を掘採し、又は土石を採取する行為
(4) 水面を埋め立て、又は干拓する行為
(5) 特別保全地区内の河川、湖沼又は池の水位又は水量に増減を及ぼす行為
4 次に掲げる行為については、第1項の規定は適用しない。
(1) 保全事業の執行として行う行為
(2) 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、共生地区の自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定める行為
(3) 共生地区が指定され、又はその区域が拡張された際現に着手していた行為
(4) 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
(行為の禁止命令等)
第16条 市長は、前条第1項の規定による届出があった場合において、当該貴重野生動植物種を保護し、又は自然環境保全地区の自然環境の保全をするため必要があると認めるときは、その届出があった日から起算して30日以内に限り、当該自然環境の保全のために必要な限度において、その届出をした者に対し、その届出に係る行為を禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
(中止命令等)
第17条 市長は、次に掲げる者に対し、当該行為の中止を命じ、又は相当の期間を定め、原状回復を命じ、若しくは原状回復が著しく困難である場合に、これに代わるべき必要な措置を講ずるよう命ずることができる。
(1) 第9条第1項の許可を受けずに貴重野生動植物種の生きている個体の捕獲等をする行為を行った者
2 市長は、前項の規定により中止命令等をしようとするときは、環境審議会の意見を聴くものとする。
第3章 自然環境の創造
(自然とのふれあいの場の確保)
第18条 市は、市民と自然との豊かなふれあいが保たれるようにするため、自然遊歩道、水辺等の整備に努めなければならない。
(緑化の推進)
第19条 市は、自然環境の創造を図るため、次に掲げるところにより緑地の復元及び緑化の推進に努めなければならない。
(1) 緑地の復元及び公園、広場その他の公共施設の緑地の拡大
(2) その管理する道路の緑化
(3) 緑地の整備、都市緑化等を推進するための市民及び事業者との緑地協定の締結
(4) 緑地の創造及び保全に関する活動を行う団体の育成
(5) 市民の緑化事業への協力
(6) 緑化に関する広報活動及び啓発活動
(市民及び事業者の緑化の役割)
第20条 市民及び事業者は、その所有する土地に緑地を確保するために、樹木を植栽する等緑化の推進に努めなければならない。
第4章 自然環境保全活動団体及び自然環境保護監視員
(自然環境保全活動団体の承認)
第21条 次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する団体は、自然環境保全活動団体として承認するよう市長に求めることができる。
(1) 営利を目的としないものであること。
(2) 他の組織に支配されず、独立して組織を運営していること。
(3) 岐阜市内で自然環境の保全又は自然環境の創造のための活動を実施していること。
2 前項の規定による承認を受けようとする団体は、市長に、次に掲げる事項を記載した申請書を提出しなければならない。この場合において、当該申請書には、当該団体の会則及び会員名簿並びに過去の活動実績を明らかにする書類を添付しなければならない。
(1) 団体名並びに代表者の氏名及び住所
(2) 団体の設立年月日
(3) 団体の目的
(4) 団体の活動内容及び主な活動拠点
(5) 会員数
3 市長は、第1項の規定により自然環境保全活動団体の承認をしようとするときは、必要に応じ環境審議会の意見を聴くことができる。
4 自然環境保全活動団体の承認は、3年ごとに更新するものとする。
(自然環境保全活動団体の意見の尊重)
第22条 自然環境保全活動団体は、自然環境の保全及び自然環境の創造に関する施策について市長に意見を述べることができる。
2 市長は、前項の規定による意見を尊重し、必要と認める場合には、当該意見を市の施策に反映させるよう努めるものとする。
(助言及び指導)
第23条 市長は、自然環境の保全及び自然環境の創造のため、自然環境保全活動団体に対し、助言及び技術的な指導をするものとする。
(自然環境保護監視員の設置)
第24条 市に、貴重野生動植物種を保護し、生物の多様性を保つため、自然環境保全地区の監視を目的として、岐阜市自然環境保護監視員を置くことができる。
第5章 雑則
(自然環境保全地区以外の地区における行為に対する助言及び指導)
第25条 市長は、自然環境保全地区以外の地区において、当該地区の自然環境の保全のために必要な範囲において、第15条第1項各号に規定する行為を行う者に対し、助言及び指導をすることができる。
(土地の買取り)
第26条 市長は、貴重野生動植物種の保護のため特別保全地区を指定した場合において、必要があると認めるときは、予算の範囲内において、必要とする土地の所有者から当該土地を買い取ることができる。
3 前項の規定による立入検査又は立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
(実地調査)
第28条 市長は、自然環境保全地区の指定又は区域の変更の確認のために必要があると認めるときは、その職員に、他人の土地に立ち入り、調査をさせることができる。
2 前項の規定による立入り又は調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
4 土地の所有者又は占有者は、正当な理由がない限り、第1項の規定による立入り又は調査を拒み、又は妨げてはならない。
(委任)
第30条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
第6章 罰則
(罰則)
第31条 第17条第1項第1号から第5号までの規定のいずれかに該当する行為を行い、かつ、同条第1項の命令に違反した者は、50万円以下の罰金に処する。
第32条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(1) 第16条第1項の命令を受けたにもかかわらず、その命令に違反した者
(2) 第17条第1項第6号の規定に該当する行為を行い、かつ、同条第1項の命令に違反した者
第33条 次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の罰金に処する。
(1) 第27条第1項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
(2) 第27条第5項の規定に違反する行為をした者
(3) 第28条第4項の規定に違反する行為をした者
附則
この条例は、平成16年4月1日から施行する。
附則(平成18年条例第61号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成19年1月1日から施行する。