○岐阜市環境基本条例

平成18年9月29日

条例第61号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 環境の保全及び創出に関する基本的施策(第9条―第22条)

第3章 岐阜市環境審議会(第23条―第26条)

第4章 雑則(第27条)

附則

私たちの岐阜市は、自然な姿をそのまま残す緑豊かな金華山と、豊富で清浄な水をたたえ、1,300有余年の鵜飼の伝統が今に引き継がれる長良川に象徴される自然に恵まれた都市である。こうした恵まれた環境は、自然発生的に生まれたものではなく、先人達が永い年月をかけ、自然の恵みをもとに日々の生活を通して築かれてきたものである。

私たち市民は、この恵まれた環境の下に、豊かで良好な生活を享受する権利を有すると同時に、先人達と同様に、この恵まれた環境を将来の世代に引き継いでいかなければならない役割を担っている。

しかし、今日の経済社会活動は、物質的な生活の豊かさを追い求めるあまり、大量生産、大量消費及び大量廃棄による経済の拡大に伴って、自然環境に大きな負荷をかけ、地球環境へも影響を与えていることもまた事実である。

このため、私たち市民は、一人ひとりが日々の生活を通して自然環境及び地球規模の環境問題に深くかかわっていることを認識し、環境への負荷を最小限にする行動を起こさなければならない。

ここに、社会活動の持続的発展を推進しつつ、すべてのものがそれぞれの役割を担い、かつ、支え合って、人と自然が共生する豊かな環境都市を実現するため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創出に係る基本理念及び基本原則並びに施策の基本となる事項を定め、並びに市、事業者、環境の保全及び創出を図る活動を行う団体(以下「環境保全団体」という。)及び市民の役割を明らかにすることにより、環境の保全及び創出に係る施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「環境の保全及び創出」とは、大気、水、土壌等からなる環境の保護及び整備を図ることにより、人を始めとする生物にとって良好な当該環境の状態を維持し、及び形成することをいう。

2 この条例において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

3 この条例において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。

4 この条例において「地球環境の保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

5 この条例において「循環型社会」とは、製品等が廃棄物となることが抑制され、並びに製品等が循環資源となった場合においてはこれについて適正に循環的な利用が行われることが促進され、及び循環的な利用が行われない循環資源については適正な処分が確保され、もって天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会をいう。

6 この条例において「循環資源」とは、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。以下同じ。)のうち有用なものをいう。

7 この条例において「循環的な利用」とは、再使用、再生利用及び熱回収をいう。

8 この条例において「再使用」とは、循環資源を製品としてそのまま使用すること及び循環資源を部品その他製品の一部として使用することをいう。

9 この条例において「再生利用」とは、循環資源を原材料として利用することをいう。

10 この条例において「熱回収」とは、循環資源を熱を得ることに利用することをいう。

11 この条例において「再生品」とは、循環資源を使用し、又は利用して製造された製品をいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創出は、市の社会、経済及び文化の持続的発展を推進しつつ、人と自然が共生する豊かな環境都市を実現することによって行われなければならない。

2 環境の保全及び創出は、人と自然が共生する社会において市民が良好な環境の恵みを享受するとともに、これを将来の世代へ継承していけるように行わなければならない。

3 環境への負荷の低減のため、限りある資源の浪費を止め、循環型社会を実現しなければならない。

4 すべてのものは、環境へ負荷を与えることに関しては加害者であり、同時に被害者であるため、自主的かつ積極的に、更に協働して環境への負荷を低減しなければならない。

(基本原則)

第4条 環境の保全及び創出に取り組むに当たっては、家庭、学校、職場、地域その他のあらゆる場において環境に関する教育(学習を含む。以下同じ。)及び意識の啓発が行われなければならない。

2 環境の保全及び創出に取り組むに当たっては、すべてのものの権利及び利益の保護に配慮しつつ、すべてのものが環境に関する情報を共有して進められなければならない。

3 環境の保全及び創出は、すべてのものの適切な役割分担及び適正かつ公平な費用の負担の下に取り組まれなければならない。

(市の責務)

第5条 市は、環境の保全及び創出を図るため、第3条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)及び前条に規定する基本原則(以下「基本原則」という。)にのっとり、次に掲げる事項に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(1) 環境に関する教育及び意識の啓発

(2) 公害の防止

(3) 大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素の良好な状態の保持

(4) 野生生物の保護その他の生物の多様性の保全

(5) 森林、河川等における多様な自然環境の保全及び創出

(6) 人と自然との豊かなふれあいの場の保全及び創出

(7) 環境の美化その他良好な生活環境の確保

(8) 資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用

(9) 廃棄物の適正処理並びに廃棄物の減量化及び循環的な利用

(10) 地球環境の保全

(11) 前各号に掲げるもののほか、環境の保全及び創出に関する事項

2 市は、市が行う環境施策について、すべてのものに対し分かりやすく説明するとともに、広く意見を聴く機会を確保する責務を有する。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、その雇用する者に対し、環境に関する教育及び意識の啓発を自ら進んで行うよう努めるとともに、他のものの行う環境に関する教育及び意識の啓発に協力するよう努める役割を有する。

2 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、及び自然環境を適正に保全するため、必要な措置を講ずる役割を有する。

3 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、原材料等が廃棄物となることを抑制するために必要な措置を講ずるとともに、原材料等が循環資源となった場合には、これについて自ら適正に循環的な利用を行い、若しくはこれについて適正に循環的な利用が行われるために必要な措置を講じ、又は循環的な利用が行われない循環資源について自らの責任において適正に処分する役割を有する。

4 製品、容器等の製造、販売等を行う事業者は、その事業活動を行うに当たっては、次に掲げる措置を講ずる役割を有する。

(1) 当該製品、容器等の耐久性の向上及び修理の実施体制の充実その他の当該製品、容器等が廃棄物となることを抑制するために必要な措置

(2) 当該製品、容器等の設計の工夫及び材質又は成分の表示その他の当該製品、容器等が循環資源となったものについて適正に循環的な利用が行われることを促進するために必要な措置

(3) 当該製品、容器等に係る原材料の選択及び材質の工夫その他の当該製品、容器等の適正な処分が困難とならないようにするために必要な措置

5 前各項に定めるもののほか、事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念及び基本原則にのっとり、環境の保全及び創出に努める役割を有する。

(環境保全団体の役割)

第7条 環境保全団体は、その環境の保全及び創出のための活動を行うに当たっては、より多くの市民が参加できる体制の整備及び機会の充実に努める役割を有する。

2 前項に定めるもののほか、環境保全団体は、基本理念及び基本原則にのっとり、環境の保全及び創出に努める役割を有する。

(市民の役割)

第8条 市民は、環境に関する教育及び意識の啓発を自ら進んで行うよう努めるとともに、他のものの行う環境に関する教育及び意識の啓発に協力するよう努める役割を有する。

2 市民は、製品の長期使用、再生品の使用、循環資源が分別して回収されることへの協力等により循環型社会の形成に自ら努める役割を有する。

3 前2項に定めるもののほか、市民は、基本理念及び基本原則にのっとり、環境の保全及び創出に努める役割を有する。

第2章 環境の保全及び創出に関する基本的施策

(環境基本計画)

第9条 市長は、環境の保全及び創出に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創出に関する目標、施策及び配慮

(2) 環境の保全及び創出について重点的に取り組む地区の設定

(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全及び創出に関する重要事項

3 市長は、市民、事業者、環境保全団体及びこれらの者の組織する団体(以下「市民等」と総称する。)が環境基本計画の策定に参加できるよう必要な措置を講じなければならない。

4 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、岐阜市環境審議会の意見を聴かなければならない。

5 市長は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なくこれを公表しなければならない。

6 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(年次報告の公表)

第10条 市長は、毎年、環境の状況及び環境基本計画の推進状況を公表し、当該施策について市民等及び岐阜市環境審議会から意見を聴かなければならない。

2 市長は、市民等が環境の保全及び創出に関して行ったことに関する情報を収集し、及び公開し、当該情報について市民等及び岐阜市環境審議会から意見を聴くことができる。

(市の施策と環境基本計画との整合)

第11条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図るものとする。

(環境教育の推進)

第12条 市は、市民等が環境の保全及び創出についての理解を深め、あわせて市民等の環境の保全及び創出に資する活動を行う意欲を高めるため、環境に関する教育及び意識の啓発の推進に努めるものとする。

2 市は、環境に関する教育及び意識の啓発の推進を行うものに対し、環境の保全及び創出に関する指導を行うことができる人材又は情報の提供その他の必要な支援を行うよう努めるものとする。

(自発的な活動の促進)

第13条 市は、市民等による環境の保全及び創出のための自発的な活動が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、環境の保全及び創出のための活動に関し、顕著な功績があった市民等を顕彰するものとする。

(環境活動顕彰選考委員会)

第13条の2 前条第2項の規定による市民等の顕彰に係る審査を行うため、岐阜市環境活動顕彰選考委員会(以下「委員会」という。)を設置する。

2 委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(環境に関する情報の提供)

第14条 市は、環境に関する教育及び意識の啓発の推進並びに自発的な活動の促進に資するため、すべてのものの権利及び利益の保護に配慮しつつ、環境の保全及び創出に関する情報を適切に提供するよう努めるものとする。

(規制の措置)

第15条 市は、環境を保全するため、公害の原因となる行為及び自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な規制の措置を講じなければならない。

2 前項に定めるもののほか、市は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるよう努めるものとする。

(誘導的措置)

第16条 市は、環境の保全上の支障を防止するため、市民等が自らの行為に係る環境への負荷の低減のための施設の整備その他の適切な措置を講ずるよう誘導することに努めるものとする。この場合において、市長は、特に必要があると認めるときは、適正な助成その他の措置を講ずるものとする。

(公共的施設の整備)

第17条 市は、下水道、廃棄物の公共的な処理施設その他の環境の保全に資する公共的施設の整備を推進するものとする。

2 市は、公園、緑地その他の自然環境の適正な整備並びに人と自然との豊かなふれあいの場の保全及び創出のための事業を推進するものとする。

(環境への負荷の低減)

第18条 市は、環境への負荷の低減を図るため、市の事業の実施に当たっては、自ら率先して廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。

(調査及び研究の実施)

第19条 市は、環境の保全及び創出に関する施策を策定し、及び適正に実施するため、情報の収集に努めるとともに、科学的な調査及び研究の実施その他必要な措置を講ずるものとする。

(監視等の体制の整備)

第20条 市は、環境の状況を的確に把握し、及び環境の保全及び創出に関する施策を適正に実施するため、必要な監視、測定、検査等の体制の整備に努めるものとする。

(国等との協力)

第21条 市は、環境の保全及び創出を図るため広域的な取組みを必要とする施策について、国及び他の地方公共団体(以下「国等」という。)と協力して、その推進に努めるものとする。

2 市は、環境の保全及び創出を図るため必要があると認めるときは、国等に対し必要な措置を講ずるよう要請するものとする。

(推進体制の整備)

第22条 市は、市民等と市が協働し、環境の保全及び創出に関する施策を積極的に推進するために必要な体制を整備するものとする。

第3章 岐阜市環境審議会

(環境審議会)

第23条 環境の保全及び創出に関する基本的事項を調査審議させるため、環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、岐阜市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(審議会の組織)

第24条 審議会は、委員15人以内をもって組織する。

2 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱し、又は任命する。

(1) 学識経験者

(2) 事業者、環境保全団体その他環境の保全及び創出にかかわる団体の関係者

(3) 関係行政機関の職員

(4) 市議会議員

(5) 公募に応じた市民

3 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 委員は、再任されることができる。

5 審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選により定める。

6 会長は、審議会の会務を総理し、審議会を代表する。

7 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

8 審議会は、専門の事項を調査審議するため、専門部会を置くことができる。

9 専門部会に属すべき委員は、委員のうちからその都度会長が指名する。

(審議会の会議)

第25条 審議会の会議は、会長が招集する。

2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。

3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

4 審議会及び専門部会は、必要があると認めるときは、委員以外の者を会議に出席させて、説明を求め、又は意見を聴くことができる。

(審議会の庶務)

第26条 審議会の庶務は、環境部において処理する。

第4章 雑則

(委任)

第27条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成19年1月1日から施行する。

(岐阜市環境審議会条例の廃止)

2 岐阜市環境審議会条例(平成6年岐阜市条例第41号)は、廃止する。

(岐阜市自然環境の保全に関する条例の一部改正)

3 岐阜市自然環境の保全に関する条例(平成15年岐阜市条例第20号)の一部を次のように改正する。

次の表の改正前の欄中下線が引かれた部分を同表の改正後の欄中下線が引かれた部分に改める。

改正後

改正前

(自然環境保全地区の指定)

(自然環境保全地区の指定)

第7条 (略)

第7条 (略)

2 (略)

2 (略)

3 市長は、自然環境保全地区を指定しようとするときは、あらかじめ岐阜市環境基本条例(平成18年岐阜市条例第61号)第23条に規定する岐阜市環境審議会(以下「環境審議会」という。)の意見を聴かなければならない。

3 市長は、自然環境保全地区を指定しようとするときは、あらかじめ、岐阜市環境審議会条例(平成6年岐阜市条例第41号)に定める岐阜市環境審議会(以下「環境審議会」という。)の意見を聴かなければならない。

4~10 (略)

4~10 (略)

(平成20年条例第14号)

この条例は、平成20年4月1日から施行する。

(平成25年条例第21号)

この条例は、平成25年4月1日から施行する。

(平成31年条例第2号)

(施行期日)

1 この条例は、平成31年4月1日から施行する。

岐阜市環境基本条例

平成18年9月29日 条例第61号

(平成31年4月1日施行)

体系情報
第8類 生/第1章
沿革情報
平成18年9月29日 条例第61号
平成20年3月31日 条例第14号
平成25年3月27日 条例第21号
平成31年3月27日 条例第2号