○岐阜市公契約条例
令和2年3月30日
条例第16号
(目的)
第1条 この条例は、公契約に係る基本方針を定め、市及び事業者等の責務を明らかにするとともに、公契約に関する基本的事項を定めることにより、市及び事業者等が一体となって公契約に関する制度の適正な運用を図り、もって良質な公共サービスが提供され、市民が豊かで安心して暮らすことができる地域社会及び地域経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(1) 公契約 市が行う売買、賃貸、請負その他の契約及び地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項の規定による公の施設の管理に関する協定をいう。
(2) 市長等 市長及び公営企業管理者(地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第7条に規定する管理者をいう。)をいう。
(3) 事業者 市と公契約を締結し、又は締結しようとする者をいう。
(4) 下請負者等 次に掲げる者をいう。
ア 下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、市以外の者から公契約に係る業務の一部を請け負う者
イ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)の規定に基づき、事業者又はアに掲げる者の公契約に係る業務において労働者派遣を行う者
(5) 事業者等 事業者及び下請負者等をいう。
(6) 労働者 公契約に係る業務に従事する者であって、労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者及びこれと同視すべきものと市長が認める者をいう。
(基本方針)
第3条 公契約は、その履行により提供されるサービス等が市民生活の水準の維持及び向上に重要な意義を有することに鑑み、次に掲げる事項を基本方針として、市及び事業者等がそれぞれの責務を果たすことを旨として締結され、及び履行されなければならない。
(1) 公契約を締結する過程及びその内容の公正性及び透明性を確保するとともに、事業者の間の公正な競争を促進すること。
(2) 公契約の適正かつ適切な履行を確保すること。
(3) 労働者の雇用の促進及び安定並びに障害者等の就業機会の確保等に配慮すること。
(4) 地域社会及び地域経済の健全な発展に寄与すること。
(5) 暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第2号に規定する暴力団をいう。)の関与を排除すること。
(6) 労働基準法、最低賃金法(昭和34年法律第137号)、健康保険法(大正11年法律第70号)その他の労働、雇用及び社会保険に関する法令等(以下「関係法令等」という。)を遵守すること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本方針(以下「基本方針」という。)に基づき、公契約が市民生活の水準の維持及び向上に重要な意義を有し、地域社会及び地域経済の健全な発展に寄与することに鑑み、市民の理解及び信頼を得られるようにして、公契約に関して必要な施策を講じなければならない。
(事業者等の責務)
第5条 事業者等は、基本方針に基づき、公契約に関わる者であることを自覚し、公契約を適正かつ適切に履行するとともに、市が行う公契約に関する施策に協力するよう努めなければならない。
2 事業者等は、関係法令等を遵守し、労働者の適正な労働条件、安全衛生その他の労働環境(以下「労働環境」という。)を確保しなければならない。
3 事業者にあっては、継続的な業務に関する公契約を締結した場合は、当該業務に従事する労働者の雇用の安定に配慮するよう努めるとともに、当該業務の質の維持及び継続性の確保にも配慮するよう努めなければならない。
(予定価格の積算等)
第6条 市長等は、公契約において予定価格を定めるに当たっては、公契約の適正かつ適切な履行を確保するとともに、労働者の適正な労働環境が確保されるよう、当該公契約に係る市場における取引価格、国が公共工事、建築保全業務等に係る費用を積算するために用いる単価等、最低賃金法第9条第1項に規定する地域別最低賃金の額のほか、社会経済情勢の変化等を総合的に考慮して、適正に積算しなければならない。
2 事業者は、公契約の申込みに係る価格を算出するに当たっては、公契約の適正かつ適切な履行を確保するとともに、労働者の適正な労働環境が確保されるよう、前項の規定において市長等が考慮することとされた事項を参考にして、適切に積算するよう努めなければならない。
(地域への貢献に対する取組等の評価)
第7条 市長等は、地域社会の健全な発展に寄与するため、事業者による防災、災害復旧等に関する活動その他の地域社会の維持及び発展に対する貢献等を公契約の締結に際して評価するよう努めなければならない。
(公契約の締結)
第8条 市長等は、次に掲げる事項に留意し、適正かつ適切に公契約を締結しなければならない。
(1) 契約金の額によっては適正かつ適切な履行が通常見込まれない公契約の締結を防止するため、必要な施策を講じること。
(2) 契約の内容、履行の難易等を踏まえた適切な契約期間を設けること。
(3) 価格以外の多様な要素を考慮することにより、総合的に優れた内容の公契約を締結すること。
(計画的な発注)
第9条 市長等は、公契約の発注に当たっては、事業者の経営の安定及び労働者の雇用の安定に配慮し、公契約の目的及び内容に応じて計画的に発注しなければならない。
(市内事業者の活用)
第10条 市長等は、地域経済の健全な発展に寄与するため、市内に事務所又は事業所を有する事業者の公契約の受注機会の確保に努めなければならない。
2 事業者等は、下請負者等を選定し、又は資材等を調達するに当たっては、地域経済の健全な発展に寄与するため、市内に事務所又は事業所を有する者を積極的に活用するよう努めなければならない。
(事業者等による下請負者等との契約)
第11条 事業者等は、下請負者等と公契約に係る業務に関して契約を締結するに当たっては、下請負者等において適正な労働環境が確保されるよう、労務費その他の経費の積算の内訳を明らかにし、下請負者等と対等な立場による合意に基づいた公正な契約を締結するよう努めなければならない。
(適正な支払)
第12条 市長等は、事業者の経営の安定及び労働者に対する適正な賃金の支払に資するため、公契約の内容及び政府契約の支払遅延防止等に関する法律(昭和24年法律第256号)等に基づき、適正に支払を行わなければならない。
2 事業者等は、労働者の雇用の安定及び労働者に対する適正な賃金の支払に資するため、下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号)等を遵守して、公契約に係る下請負者等との契約に基づいた支払を適正に行わなければならない。
(労働環境の確認等)
第13条 市長等は、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第167条の10第1項(同令第167条の13において準用する場合を含む。)の規定に基づき行う公契約の内容に適合した履行がされないおそれ等がないかどうかの調査の対象となった事業者と公契約を締結した場合その他の公契約の適正かつ適切な履行を確保するために労働者の労働環境について確認する必要があると認める場合は、契約後速やかに当該事業者に対して労働環境についての確認を行うものとする。
2 前項の規定により労働環境についての確認を受けた事業者は、当該確認の内容その他の市長等が別に定める事項を記載した書面を、労働者が業務に従事する場所等の見やすい場所に掲示し、若しくは労働者の閲覧に供し、又は労働者に交付するものとする。
(労働者からの申出)
第14条 労働者は、公契約に係る業務において、労働環境がこの条例に定める事項に違反しているおそれがある場合は、市長等にその旨を申し出ることができる。
2 事業者等は、労働者が前項の規定による申出(以下「労働者からの申出」という。)をしたことを理由として、当該労働者に対して、不利益な取扱いをしてはならない。
3 市長等は、労働者からの申出を受け付けるための窓口を設置するものとする。
4 市長等は、労働者からの申出を受理した場合は、事業者に対して、当該申出に係る事実について確認を行うものとする。
2 事業者は、前項の規定により改善の指導を受けた場合は、速やかに公契約に係る労働者の適正な労働環境を確保するための改善に努めるものとする。
(事業者への措置)
第16条 市長等は、事業者が関係法令等を遵守していないと認められる場合その他の公契約に係る労働者の適正な労働環境が確保されていないと認める場合は、当該事業者に対して、競争入札参加資格の停止等の必要な措置をとるものとする。
(契約に定める事項)
第17条 市長等及び事業者は、公契約が各々の対等な立場における合意に基づくものとして、両者が協力してこの条例の目的を達成するため、前4条に規定する事項を契約に定めるものとする。
(意見聴取)
第18条 市長等は、公契約に関する施策の適正な実施を図るため、必要に応じ、学識経験者、事業者その他関係者の意見を聴くものとする。
(取組状況の公表)
第19条 市長等は、公契約に関する施策の取組状況について、適宜公表するものとする。
(委任)
第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
附則