○岐阜市議会基本条例
令和2年9月28日
条例第59号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 議会及び議員の活動の原則(第3条―第6条)
第3章 市民と議会との関係(第7条―第11条)
第4章 議会と市長等との関係(第12条―第14条)
第5章 議会の運営(第15条・第16条)
第6章 議会の機能の充実(第17条―第19条)
第7章 議員の身分(第20条―第24条)
第8章 条例の見直し(第25条)
第9章 雑則(第26条)
附則
日本国憲法に基づく地方自治の二元代表制の下、地方公共団体の議会は、その担う役割と責任を果たすことがますます求められている。岐阜市議会は、執行機関への監視機能及び政策形成機能の充実を図るとともに、市民に開かれた議会の実現に向けて、議会の活性化を推進してきたところである。
しかしながら、著しく変化する社会環境及び経済情勢の中において、議会の基本理念、議会及び議員の役割並びに責務及び活動の原則、市民と議会との関係、議会と市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)との関係、議会の運営及び議会機能の拡充等を明らかにする必要に迫られている。加えて、市民の信頼や負託にこたえるためにも、少数意見も尊重しながら自由闊達な意見を交換しつつ討議し決議する、開かれた民主的議会を目指すことが求められている。
岐阜市議会は、このような時代の要請を真摯に受け止め、議員一人ひとりが市民に選ばれた代表者として公正かつ誠実に行動するとともに、常に議会のあり方を追求し、本市の発展及び市民福祉の向上を図るため、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、議会に関する基本事項を定め、議会が、その役割及び責務を果たすことにより、市民に開かれた市議会の実現を図り、もって本市の発展及び市民福祉の向上に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 議会は、本市の唯一の議決機関であるとともに、本市の執行機関に対する監視機関並びに政策立案及び政策提言を行う機関として、市民の意見を市政に反映させるため、公正な議論を尽くし、地方自治の本旨の実現を目指すものとする。
第2章 議会及び議員の活動の原則
(議会の役割及び活動の原則)
第3条 二元代表制の一翼を担う議会は、市民の代表で構成する合議制による議事機関として、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。
(1) 市民の立場に立ち、市政の監視をし、及び評価をすること。
(2) 多様な市民意思の把握に努め、議会として政策形成を図ること。
(3) 議会としての合意形成を目指して、議論を尽くすこと。
(4) 市民に開かれた、公正かつ透明な議会運営に努めること。
(議員の責務及び活動の原則)
第4条 議員は、市民の代表者として、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。
(1) 市民意思の把握に努め、市民福祉の向上に努めること。
(2) 議会が言論の府であるという認識の下、議事機関の構成員としてその合議に参加し、十分な審議と議員間の討議を尽くすこと。
(3) 自己の資質を高めるため、不断の研鑚に努めること。
(4) 高い倫理を常に保持し、誠実かつ公正に職務を遂行し、その行動において説明責任を十分に果たすこと。
(会派)
第5条 議員は、議会の活動を行うため、会派を結成することができる。
2 会派は、政策決定、政策立案及び政策提言のために調査研究を行い、必要に応じて会派間の調整に努めるものとする。
(危機管理)
第6条 議会は、災害等の緊急事態が発生したときは、市民の生命、財産、安心及び安全を確保するため、市長等と連携を図り、危機管理に努め、積極的な役割を果たすものとする。
第3章 市民と議会との関係
(市民と議会との関係)
第7条 議会は、市民に開かれた議会を実現するため、市民に対し積極的にその有する情報を発信し透明性を高めるとともに、説明責任を十分に果たすものとする。
2 議会は、本会議における議案等に対する議員の賛否を公表するものとする。
(会議等の公開)
第8条 議会は、本会議のほか、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会の会議並びにそれぞれの会議録を原則として公開するものとする。
(公聴会等)
第9条 議会は、参考人制度及び公聴会制度を活用して、専門的、政策的見識等を議論に反映させることに努めるものとする。
(請願及び陳情)
第10条 議会は、請願及び陳情を市民や団体等による提言と位置付けるとともに、請願の審査に当たっては、その趣旨を十分に理解するために、請願者の求めに応じて、説明や意見陳述の機会を設けることができるものとする。
(広報及び広聴の充実)
第11条 議会は、多様な広報媒体を活用し、議会の活動に関する情報を発信し、多くの市民が議会と市政についての関心を深めるよう、議会だよりの発行等、広報及び広聴の充実に努めるものとする。
第4章 議会と市長等との関係
(議会と市長等との関係)
第12条 議会は、二元代表制の下、市長等と常に緊張ある関係を構築し、本市の事務の執行の監視及び評価を行うとともに、政策立案、政策提言等を通じて、本市の発展及び市民福祉の向上に取り組むものとする。
(質問方式)
第13条 本会議における質疑及び一般質問は、一括質問一括答弁の方式又は一問一答の方式のいずれかの方法を選択し、論点及び争点を明確にして行うものとする。
2 市長等は、議長及び委員会の委員長の許可を得て、本会議及び委員会における議員の質疑又は一般質問の趣旨を確認するための発言をすることができるものとする。
(資料及び説明の要求)
第14条 議会は、本会議及び委員会における議論の参考とするほか、本市の政策及び事務に係る調査のため、市長等に対し、その執行する事務に関連する資料の提供又は説明を求めることができるものとする。
第5章 議会の運営
(1) 常任委員会 議案、請願その他政策等の専門的かつ詳細な審査及び調査
(2) 議会運営委員会 議会の運営を円滑に行うための協議並びに議長から諮問された事項等についての審査及び調査
(3) 特別委員会 新たに生じる行政課題等に迅速かつ的確に対応するための審査及び調査
2 前項の委員会の委員長は、中立公正な職務遂行に努めるとともに、民主的な委員会の運営を行うものとする。
(議員間討議による合意形成)
第16条 議員は、言論の府である議会の機能を発揮し、政策立案及び政策提言を積極的に行うため、議会において、議員間討議による合意形成ができるものとする。
第6章 議会の機能の充実
(議会事務局)
第17条 議会の政策形成能力の向上を図り、議会の活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査機能及び法務機能の充実強化並びに組織体制の整備を図るものとする。
(議会図書室)
第18条 議員の調査研究に資するために設置している議会図書室を適正に管理及び運営するとともに、その図書、資料等の充実に努めるものとする。
(専門的事項に係る調査)
第19条 議会は、議案の審査及び本市の事務に関する調査のために学識経験を有する者等による専門的事項に係る調査の活用ができるものとする。
第7章 議員の身分
(議員の政治倫理)
第20条 議員は、市民の代表として市政に携わる機能と責務を有することを深く認識し、公正、誠実及び清廉を基本とし、厳しい倫理意識に徹して積極的に活動し、その使命の達成に努めるものとする。
(議員定数)
第21条 議員定数については、岐阜市議会議員定数条例(平成14年岐阜市条例第55号)に定めるところによる。
(議員報酬)
第22条 議員報酬については、市議会議員の議員報酬、費用弁償等に関する条例(昭和59年岐阜市条例第3号)に定めるところによる。
(政務活動費)
第23条 会派又は議員は、岐阜市議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年岐阜市条例第1号)の定めるところにより、政務活動費の交付を受ける。
2 政務活動費の交付を受けた会派又は議員は、政務活動費を有効に活用し、市政に関する調査研究その他の活動を積極的に行うとともに、政務活動費を適正に執行し、市民に対してその使途の説明責任を負うものとする。
(議員研修の充実強化)
第24条 議員の政策形成能力の向上等を図るため、議員研修の充実強化に努めるものとする。
第8章 条例の見直し
(条例の見直し)
第25条 議会は、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、適切な措置を講ずるものとする。
第9章 雑則
(その他)
第26条 この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。