○岐阜市文化芸術基本条例
令和5年3月30日
条例第12号
文化芸術は、人々の感性を豊かにし、人間性や創造性を育み、生きる力を与えるとともに、人々の心のつながりや相互に理解し尊重し合う土壌を提供し、多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成するものである。更に、文化芸術は、それ自体が固有の意義と価値を有するだけでなく、他者との関わりの中で自己認識の基点となるものであり、人々の自身や地域に対する誇りと伝統を尊重する心を醸成するものである。
岐阜市は、清流長良川や緑あふれる金華山をはじめとする豊かな自然を有するとともに、東西の文化が交わり多様な文化芸術に触れる機会に恵まれた地である。このような環境のもと、永きにわたる人々の営みによって、長良川の鵜飼や提灯、和傘などの伝統的な文化芸術をはじめ、多様な文化芸術が育まれてきた。そして、現在に至るまで、多種多彩な文化芸術に関する活動や交流が行われている。
わたしたちは、こうした文化芸術や岐阜市の特性に鑑み、先人たちから受け継がれてきた文化芸術を次の世代へ継承し、発展させるとともに、人々の価値観の変化や技術の進歩に応じた新たな文化芸術を創造するための取組を進めていく必要がある。
ここに、文化芸術に関する施策についての基本理念を明らかにしてその方向を示すとともに、文化芸術に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって「文化芸術を楽しみ創造する都市ぎふ」を実現するため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、文化芸術に関する施策の推進に関し、基本理念を定め、市の責務及び市民、文化芸術団体その他の関係者の役割を明らかにすることにより、文化芸術に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図ることを目的とする。
(1) 文化芸術 文化芸術基本法(平成13年法律第148号。以下「法」という。)第8条に規定する芸術、法第9条に規定するメディア芸術、法第10条に規定する伝統芸能、法第11条に規定する芸能、法第12条に規定する生活文化、国民娯楽並びに出版物及びレコード等、法第13条に規定する文化財等並びに法第14条に規定する地域固有の伝統芸能及び民俗芸能をいう。
(2) 市民 市内に居住し、通学し、又は通勤する個人をいう。
(3) 文化芸術団体 市内において文化芸術に関する活動(以下「文化芸術活動」という。)を行う団体をいう。
(4) 文化芸術活動を行う者 市内において文化芸術活動を行う個人及び文化芸術団体をいう。
(5) 学校等 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校、同法第124条に規定する専修学校及び同法第134条第1項に規定する各種学校、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第39条第1項に規定する保育所並びに就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)第2条第6項に規定する認定子ども園をいう。
(6) 事業者 市内において事業活動を行う個人及び団体(文化芸術活動を行う者及び学校等を除く。)をいう。
(基本理念)
第3条 文化芸術に関する施策は、次に掲げる理念を基本として、推進するものとする。
(1) 文化芸術活動を行う者の自主性を十分に尊重すること。
(2) 文化芸術活動を行う者の創造性を十分に尊重するとともに、その地位の向上が図られ、その能力が十分に発揮されるよう考慮すること。
(3) 文化芸術を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利であることに鑑み、市民がその年齢、障がいの有無、経済的な状況又は居住する地域にかかわらず等しく、文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造することができるよう配慮すること。
(4) 市内において文化芸術活動が活発に行われるような環境を醸成することを旨として文化芸術の発展が図られるよう考慮すること。
(5) 多様な文化芸術の保護及び発展を図ること。
(6) 地域の人々により主体的に文化芸術活動が行われるよう配慮するとともに、地域の歴史、風土等を反映した特色ある文化芸術の発展を図ること。
(7) 本市の文化芸術が広く市外に発信されるよう、文化芸術に係る市外との交流及び市外への貢献の推進を図ること。
(8) 乳幼児、児童、生徒等に対する文化芸術に関する教育の重要性に鑑み、学校等、文化芸術活動を行う者、家庭及び地域における活動の相互の連携が図られるよう配慮すること。
(9) 市民、文化芸術活動を行う者その他の関係者の意見が反映されるよう十分配慮すること。
(10) 文化芸術により生み出される様々な価値を文化芸術の継承、発展及び創造に活用することが重要であることに鑑み、文化芸術の固有の意義と価値を尊重しつつ、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の各関連分野における施策との有機的な連携が図られるよう配慮すること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念にのっとり、文化芸術に関する施策の推進を総合的かつ計画的に実施する責務を有する。
(市民等の役割)
第5条 市民は、それぞれが文化芸術を創造し、又は享受する権利を有する主体であることに鑑み、多様な文化芸術を尊重するよう努めるものとする。
2 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、多様な文化芸術を尊重するよう努めるものとする。
3 学校等は、乳幼児、児童、生徒等に対し、文化芸術に親しむ機会の充実を図り、豊かな感性を育むとともに、自主的かつ主体的な文化芸術活動ができるよう協力及び支援に努めるものとする。
(文化芸術団体の役割)
第6条 文化芸術団体は、その実情を踏まえつつ、自主的かつ主体的に、文化芸術活動の充実を図るとともに、文化芸術の継承、発展及び創造に努めるものとする。
(関係者相互の連携及び協働)
第7条 市、文化芸術団体その他の関係者は、基本理念の実現を図るため、相互に連携を図りながら協働するよう努めるものとする。
(基本計画の策定)
第8条 市長は、文化芸術に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、法第7条の2第1項及び障害者による文化芸術活動の推進に関する法律(平成30年法律第47号)第8条第1項の規定に基づき、文化芸術の推進に関する計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。
2 市長は、基本計画を定めるに当たっては、市民、文化芸術活動を行う者その他の関係者の意見を反映させるよう努めるとともに、岐阜市附属機関設置条例(平成25年岐阜市条例第7号)別表に規定する岐阜市文化芸術推進審議会の意見を聴くものとする。
3 市長は、基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表するものとする。
4 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。
附則
この条例は、令和5年4月1日から施行する。