○五条広域事務組合における公共工事コスト縮減対策に関する行動計画
平成12年9月29日
告示第65号
1 はじめに
現在の厳しい財政事情により、公共事業の執行方法や経済効果等については、様々な指摘がされています。
このような状況の下、政府は平成9年1月に公共工事コスト縮減対策関係閣僚会義を設置し、平成9年4月4日には「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」を策定し、全省庁を挙げて公共工事コストの縮減に取り組むこととしました。
愛知県もこの行動指針を受けて、全庁的な連携を図りながら、新たな視点で公共工事コスト縮減に取り組むため「愛知県における公共工事コスト縮減対策に関する行動計画」を策定されました。
本組合としても限られた財源を有効かつ効果的に活用するため、政府の行動指針及び愛知県の行動計画を受け、本組合発注の公共工事コストの縮減に取り組むため、「五条広域事務組合における公共工事コスト縮減対策に関する行動計画」を策定しました。
2 五条広域事務組合における行動計画について
(1) 行動計画の取り組み方針
本組合が発注する全ての公共工事について、国及び県の期間と連携を強化しながら、公共工事コスト縮減に有効なあらゆる施策を積極的に取り入れ進めていきます。
本行動計画における具体的施策については、従来から取り組んでいる有効な施策、縮減効果の具体的な評価が可能な施策のみならず、縮減効果の発現までに時間を要する施策や、新設費のみでなく将来にわたる維持管理費用も含めた全体費用の多寡という中長期的な観点でのコスト縮減にも取り組んでいきます。
また、公共工事のコスト縮減にあたっては、社会資本が本来備えるべき共用性、利便性、安全性、環境保全、省資源、文化性等の所要の機能、品質を両立させつつ進める必要があります。
なお、コスト縮減の裏付けなしに工事価格のみを下げる等、請負企業等への不当なしわ寄せや、安易な品質低下、機能低下を招くことのないよう十分注意していきます。
(2) 数値目標の設定及び実施スケジュール
本行動計画の策定にあたっては、計画から施行に至る下表の4分野について、10%以上の縮減数値目標を定めました。
具体的な施策は、平成13年度から平成15年度の3ヶ年で実施していきます。
ただし、数値目標は行動計画に盛り込まれた具体的施策及び国、県レベルの広範な施策を含めた全体の取り組みが十分な効果を発現した時点で数値目標を表したものです。
施策実施と効果発現には時間差を生じる場合が多いので、可能な限り早期に施策を実施する。
公共工事コスト縮減の数値目標(努力目標)
施策分野 | 数値目標 |
1.工事の計画、設計等の見直し 2.工事発注の効率化等 | 公共工事コストを少なくとも6%以上削減することを目指す |
3.工事構成要素のコスト縮減 4.工事実施段階での合理化 | 公共工事コストを少なくとも4%以上削減することを目指す |
(3) 行動計画のフォローアップ
縮減効果の数値目標を設定することにより、職員全体のコスト意識の向上を図るとともに、各施策の実施状況の確実なフォローアップを実施します。
本行動計画の具体的施策は平成13年度から15年度の3ヶ年で実施しますが、各施策ごとに縮減効果等の検証を行い、その評価を踏まえて3年後を目処に計画を見直します。
フォローアップは、本組合で組織している五条広域事務組合公共工事コスト縮減計画策定委員会により、検討していきます。
また、縮減効果の具体的な評価手法についても検討を進めます。
(4) 行動計画における具体的施策
公共工事コスト縮減に関し検討した具体的施策は次のとおりです。
1) 工事の計画・設計等の見直しに関する施策
a 計画手法の見直し
社会資本の整備にあたって必要以上に華美や過大なものになっていないか、現状の整備水準が適切か等について検討を行います。
b 技術基準等の見直し
現在運用している技術水準が技術の進歩に比較して遅れていないか等の情報収集に努力するとともに点検を行います。
c 設計方法の見直し
現在の使用材料を最小とする設計思想から、施行手間を含め総合価格で最小となる設計思想へ転換に向けて設計手法の見直しを行うとともに、複数の施行方法についての比較検討を行った上で設計を行います。
d 技術開発・意識改革の推進
コスト縮減に効果的な民間の保有する技術の情報収集と、その技術の試行又は導入を検討します。
2) 工事発注の効率化等に関する施策
a 公共工事の平準化の推進
労働力、機械等の有効利用、資材の安定的需要を促すため、国、県等の機関が連携して推進している公共工事の平準化のため、本組合も工事発注・工事料の平準化を図るよう検討する。
b 発注規模の見直し
施行効率に留意した適切な工事規模の設定について検討します。
c 入札・契約制度の検討
民間の有する技術力の活用により期待されるコスト縮減の効果を積極的に取り入れるため、国、県が検討している民間から技術提案を募り、公共工事に反映させる入札・契約制度を本組合も導入を検討する。
d 諸手続きの簡素化・電子化等
入札・契約手続き、工事関係書類等について、国、県と同一の様式とするとともに、国、県が検討している工事関係書類等の電子化についても協調して導入を検討する。
3) 工事構成要素のコスト縮減
a 資材調達のための環境整備
調達資材の生産技術レベルの向上に対応し、品質検査等の簡素化を検討する。
4) 工事実施段階での合理化
a 建設副産物対策
建設副産物対策については、資源の有効利用、環境保全の見地から非常に重要な問題である一方、コストの視点からも、発生量の抑制及び再利用の促進を検討します。
行動計画における具体的施策一覧
1 工事の計画・設計等の見直しに関する施策
a 計画手法の見直し
具体策 | 内容 |
・事業の重点化・効率化を図りつつ計画的な整備の実施 | ・事業の実施にあたり、重点的な投資を行い、投資効果の早期実現を図りつつ計画的な整備を行う。 |
・同調施工による効率的な事業の推進 | ・同一箇所における複数の工事(国、県の発注する工事、占用工事等)の連絡調整を強化し、事業のより効率化を推進する |
b 技術基準等の見直し
・資材等の規格・仕様等の標準化、統一化 | ・国、県が検討している資材の仕様、規格の標準化、統一化を協調して設計に反映させる。 |
・設計基準等の見直し | ・国、県が検討している各種の設計基準及び施設基準等の見直しに基づき設計に反映させる。 |
c 設計方法の見直し
・各種構築物のメンテナンスフリー化 | ・構築物の維持管理の省力化を図るため、耐候性資材の使用を考慮する。 |
・植栽工事の設計の見直し | ・植栽について、樹木規格を下げる、又は小径木、苗木による緑化可能な箇所を検討する。 |
・現場発生材の抑制の検討 | ・残土、コンクリート二次製品等の発生材を抑制するため、再利用や工法等の検討を行う。 |
・建築資機材の標準品の使用拡大 | ・資機材の選定にあたり、メーカーの標準品の使用拡大を図る。 |
・比較設計の充実 | ・工法等の検討にあたり、比較設計を実施する。 |
・設計VEの検討・試行 | ・設計VE等、より幅の広い視点から代替え案の検討を行い品質、機能を確保しつつコスト縮減を図るシステムの導入を検討する。 |
d 技術開発・意識改革の推進
・建設コスト縮減に関する意識の啓発 | ・県等が計画しているコスト縮減に関する講習会、研修会に積極的に参加し、職員の意識改革及び啓発に努める。 |
・国及び県等との連携 | ・国及び県が実施する、コスト縮減に関する施策の情報収集及び同調実施。 |
2 公共工事発注の効率化に関する施策
a 公共工事の平準化の推進
・工事発注、工事量の平準化 | ・国、県等と同調し、債務負担行為等により工事の計画的かつ早期の発注を行い、工事量の平準化を図る。 |
b 発注規模の見直し
・施工効率に留意した発注規模の設定 | ・中小建設業者等の受注機会の確保を図りつつ、施工効率に留意した発注規模の設定を推進する。 |
c 入札・契約制度の検討
・VE方式の検討、試行 | ・技術革新の著しい分野等において民間からの技術提案を受け入れるため、国、県が検討している入札契約方式について検討する。 |
d 諸手続きの簡素化・電子化等
・工事関係書類の簡素化、統一化 | ・国、県と同調して各種提出書類の簡素化及び統一化を図る。また、電子化については、国、県の動向により検討する。 |
・経営事項審査情報の電子的共有化 | ・県が検討している発注者支援データベースを活用し入札契約手続きの効率化を図る。 |
3 工事構成要素のコスト縮減
a 資材調達のための環境整備
・品質検査等の簡素化 | ・JIS規格製品等の品質監理、検査方法の簡素化に努める。 |
4 工事実施段階での合理化
a 建設副産物対策
・建設副産物に関する他機関との連携、情報交換 | ・建設残土対策協議会等の活用により他機関との連携、情報交換を行い流用調整を行う。 |
・発生資源材の利用促進 | ・再生アスファルト、再生砕石の活用の促進、発生材の利用を促進する。 |