○箱根町観光振興条例

平成23年3月22日

条例第1号

本町は、富士を映す名鏡芦ノ湖、美しい山なみ等の四季折々の美しい自然景観、豊かな温泉、箱根関所をはじめとする歴史的文化遺産等を背景に、これまで、観光地、リゾート地として多くの人々に親しまれてきた。

いうまでもなく、本町は、観光を基幹産業とする観光立町であり、これからも観光産業の振興なくして本町の進展はあり得ないといっても過言ではない。

次の時代にも本町が新鮮さ、輝きを失わないためには、時代とともに観光を取り巻く環境変化に適切に対応していくことが求められる。

そのためには、本町は、自然、歴史及び文化といった本町の財産を大切に守り、有効に活用しながら、将来にわたり夢と希望を持つことができるような諸施策を積極的に展開し、観光産業を景気の波にも左右されることのない活力のある産業に発展させていくとともに、年間に来訪する観光客が2,000万人に達する国際的にも通用する環境先進観光地として基盤を築き上げる必要がある。

このような認識の下に、町、町民、観光事業者及び観光関係団体が一体となって魅力ある観光地の形成を推進するため、ここにこの条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、観光の振興について基本理念を定め、並びに町の責務及び観光事業者等の役割を明らかにするとともに、観光の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、観光の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって魅力ある活力に満ちた地域社会の実現及び町民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 観光資源 地域の自然、景観、歴史、伝統、文化、産業その他観光の振興に資する資源をいう。

(2) 観光事業者 主として観光客を対象として事業を行う事業者その他観光に関連する事業を行う事業者をいう。

(3) 観光関係団体 観光の振興を目的として、観光事業者、行政機関等で構成される団体をいう。

(4) 観光事業者等 観光事業者、観光関係団体及び町民をいう。

(基本理念)

第3条 観光の振興は、次に掲げる事項を基本理念として行わなければならない。

(1) 住む人の暮らしやすさ及び訪れる人の利用しやすさを常に重視し、誰をもあたたかく迎えるやさしさにあふれた観光地であることを目指すこと。

(2) 癒し、安らぎ、喜び、希望等現代人が観光旅行に求める人間性の回復の場を訪れた人に真に提供することができる観光地であることを目指すこと。

(3) 本町が持つ自然、環境、温泉、歴史及び文化の蓄積等を大切に守り、及び活用しながら、さらに新しい文化を創造し、次の時代に継承していく観光地であることを目指すこと。

(4) 将来に向けて自然資源及び環境を守り、それらと真に共生し、及び調和しながら、持続的に発展する観光地であることを目指すこと。

(町の責務)

第4条 町は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、観光の振興に関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 町は、観光事業者等の自主的な観光の振興に関する取組を促進するため、情報の提供、啓発活動その他の必要な支援を行うとともに、観光事業者等相互間の連携の確保に努めるものとする。

(観光事業者の役割)

第5条 観光事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、良質なサービスの提供に努め、魅力ある観光地の形成に積極的な役割を果たすよう努めるものとする。

2 観光事業者は、町が実施する観光の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(観光関係団体の役割)

第6条 観光関係団体は、基本理念にのっとり、その活動を行うに当たっては、相互に連携を図りつつ、観光に関する情報の提供等に努めることにより、魅力ある観光地の形成に積極的な役割を果たすよう努めるものとする。

2 観光関係団体は、町が実施する観光の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(町民の役割)

第7条 町民は、基本理念にのっとり、観光客をあたたかく迎えるやさしさを持ち、並びに観光資源の維持及び保全に努めることにより、魅力ある観光地の形成に積極的な役割を果たすよう努めるものとする。

2 町民は、観光の振興の重要性についての関心と理解を深めるとともに、町が実施する観光の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(国、他の地方公共団体等との連携)

第8条 町は、観光の振興に関する施策の推進に当たっては、観光資源の有効な活用、国内外からの観光客の来訪の促進等を図るため、国、他の地方公共団体等との連携を図るよう努めるものとする。

(魅力ある観光地の形成)

第9条 町は、観光資源の活用による地域の特性を生かした魅力ある観光地の形成を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(広報宣伝の充実)

第10条 町は、国内外からの観光客の来訪の促進を図るため、多様な媒体の活用による本町の魅力に関する広報宣伝その他の広報宣伝の充実に必要な施策を講ずるものとする。

(観光産業の強化)

第11条 町は、本町の観光産業の競争力の強化を図るため、観光事業者相互の有機的な連携の促進、観光事業者の観光客の需要の高度化及び観光旅行の形態の多様化に対応したサービスの提供の確保並びに伝統工芸を活用した観光産業等の地域の産業との連携の促進に必要な施策を講ずるものとする。

(観光客を迎える体制の整備)

第12条 町は、観光事業者等による観光客に対する接遇の向上及び観光の振興に寄与する人材の育成の促進を図るため、研修の機会の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。

2 町は、観光客の利便の向上に資するよう、観光案内の充実に関し必要な情報の提供、助言その他の必要な施策を講ずるものとする。

(外国人観光旅客の来訪の促進)

第13条 町は、外国人観光旅客の来訪の促進を図るため、海外における観光の需要に応じた広報宣伝の適切な実施その他の必要な施策を講ずるものとする。

2 町は、外国人観光旅客の利便の向上に資するよう、交通、宿泊その他の観光旅行に関する情報の提供、通訳案内のサービスの向上その他外国人観光旅客の受入れの体制の整備に関し必要な施策を講ずるものとする。

(観光振興計画の策定)

第14条 町長は、第9条から前条までに定める観光の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、観光の振興に関する基本的な計画(以下「観光振興計画」という。)を定めなければならない。

2 観光振興計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 観光の振興に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の方向

(2) 前号に掲げるもののほか、観光の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 町長は、観光振興計画を定めるに当たっては、観光事業者等の意見を聴かなければならない。

4 町長は、観光振興計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、観光振興計画の変更について準用する。

(推進体制の整備)

第15条 町は、国、他の地方公共団体及び観光事業者等と連携し、及び協働して、観光の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための体制を整備するものとする。

(施策の検証)

第16条 町長は、観光の振興に関する施策の実施状況を検証するとともに、その検証の結果を観光の振興に関する施策に適切に反映させるよう努めるものとする。

(財政上の措置)

第17条 町は、観光の振興に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、平成23年4月1日から施行する。

箱根町観光振興条例

平成23年3月22日 条例第1号

(平成23年4月1日施行)