○白山市地球温暖化対策条例
平成21年12月17日
条例第33号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 地球温暖化対策地域推進計画等(第7条―第10条)
第3章 建築物に関する地球温暖化対策(第11条―第13条)
第4章 日常生活等における地球温暖化対策(第14条―第18条)
第5章 再生可能エネルギーの活用に関する地球温暖化対策(第19条)
第6章 森林の整備、保全等に関する地球温暖化対策(第20条)
第7章 交通・自動車に関する地球温暖化対策(第21条・第22条)
第8章 地球温暖化に関する普及啓発及び環境教育(第23条―第25条)
第9章 雑則(第26条―第32条)
附則
私たちは今、生活環境、自然環境そして地球環境など様々な環境問題に直面している。
とりわけ地球温暖化は、私たちが手に入れた、物の豊かさや生活の利便性といった一人一人の日々の暮らしと密接に関連しており、この課題を解決し、環境への負荷の少ない循環を基調とした持続可能な社会を構築していくためには行政のみならず事業者や市民一人一人が事業活動や日常生活の在り方を環境に配慮した方向へ変えていく努力が大切である。
私たちの住むまちは、緑豊かな白山と手取川さらには日本海を有する世界に誇れるふるさとである。
特に、さわやかな空気、清らかな水、広大な森林など豊かな自然資源は、持続可能な社会を構築するための貴重な財産である。
現在を生きる私たちは、このかけがえのない白山市の環境をしっかりと守り、恵み豊かな環境を将来の世代に引き継ぐことができるよう環境を保全する責務を有している。
平成20年7月には、地球温暖化防止を主たるテーマとして「北海道洞爺湖サミット」が開催され、地球温暖化の解決に向けて新たな未来の扉が開かれた。
また、平成21年12月には、コペンハーゲンで気候変動枠組条約第15回締約国会議が開催され、京都議定書に続く平成25年以降の地球温暖化対策が論議される。
この記念すべき年を契機として、未来に、私たちの決意を発信し、行動するため、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、白山市環境基本条例(平成17年白山市条例第145号)第3条に定める基本理念にのっとり、地球温暖化の防止について市、事業者、市民、環境の保全を図る活動を行うことを主たる目的として市民の組織する民間の団体(以下「民間団体」という。)及び滞在者(通勤、通学、旅行その他の所用のため本市に滞在する者をいう。以下同じ。)の責務を明らかにするとともに、地球温暖化対策に関する施策の実施について必要な事項を定めることにより、地球温暖化対策の推進を図り、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(1) 地球温暖化 地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年法律第117号。以下「法」という。)第2条第1項に規定する地球温暖化をいう。
(2) 地球温暖化対策 温室効果ガスの排出の抑制並びに吸収作用の保全及び強化(以下「温室効果ガスの排出の抑制等」という。)その他の地球温暖化の防止を図るための施策をいう。
(3) 温室効果ガスの排出 法第2条第4項に規定する温室効果ガスの排出をいう。
(市の責務)
第3条 市は、総合的かつ計画的な地球温暖化対策を策定し、及び実施しなければならない。
2 市は、事業者、市民、民間団体及び滞在者が行う温室効果ガスの排出の抑制等を促進するための措置を講ずるものとする。
3 市は、その事務及び事業に関し、温室効果ガスの排出の量の削減並びに吸収作用の保全及び強化のための措置を講ずるものとする。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、その事業活動に関し、温室効果ガスの排出の抑制等のための措置を自主的かつ積極的に講ずるように努めるとともに、市が実施する地球温暖化対策に協力しなければならない。
(市民等の責務)
第5条 市民は、その日常生活に関し、温室効果ガスの排出の抑制等のための措置を自主的かつ積極的に講ずるように努めるとともに、市が実施する地球温暖化対策に協力しなければならない。
2 民間団体は、その活動を通じて、地球温暖化の防止に関し事業者、市民及び滞在者の理解を深め、これらの者の地球温暖化対策に対する参加と協働を促進しなければならない。
(滞在者の責務)
第6条 滞在者は、その滞在中の活動に関し、温室効果ガスの排出の抑制等に努めるとともに、市が実施する地球温暖化対策に協力するよう努めなければならない。
第2章 地球温暖化対策地域推進計画等
(地球温暖化対策地域推進計画)
第7条 市長は、地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するため、地球温暖化対策に関する計画(以下「地球温暖化対策地域推進計画」という。)を策定しなければならない。
2 地球温暖化対策地域推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 計画期間及び計画目標に関すること。
(2) 温室効果ガスの排出の抑制等に関すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、地球温暖化対策の推進に関し必要な事項
3 市長は、地球温暖化対策地域推進計画を策定するに当たっては、白山市環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、地球温暖化対策地域推進計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、地球温暖化対策地域推進計画の変更について準用する。
6 市長は、地球温暖化対策地域推進計画に基づく措置及び施策の実施状況を公表するものとする。
(温室効果ガス排出削減計画書の作成等)
第8条 事業活動に伴う温室効果ガスの排出の量が相当程度多い事業者として規則で定める者(以下「特定排出事業者」という。)は、次に掲げる事項を記載した計画書(以下「温室効果ガス排出削減計画書」という。)を作成し、市長に提出しなければならない。
(1) 事業活動に伴う温室効果ガスの排出の状況
(2) 事業活動に伴う温室効果ガスの排出の抑制等に係る措置及び目標
(3) 前2号に掲げるもののほか、地球温暖化対策の推進を図るために必要な事項
2 特定排出事業者は、温室効果ガス排出削減計画書の内容を変更したときは、規則で定めるところにより、変更後の温室効果ガス排出削減計画書を速やかに市長に提出しなければならない。
(実施状況書の提出)
第9条 特定排出事業者は、規則で定めるところにより、温室効果ガス排出削減計画書に基づく温室効果ガスの排出の抑制等のための措置の実施状況を記載した書面を作成し、これを市長に提出しなければならない。
第3章 建築物に関する地球温暖化対策
(建築物環境配慮計画書の作成等)
第11条 規則で定める規模以上の建築物の新築、増築又は改築をしようとする者(以下「特定建築主」という。)は、次に掲げる事項を記載した計画書(以下「建築物環境配慮計画書」という。)を作成し、市長に提出しなければならない。
(1) 建築物の概要
(2) 建築物の環境に対する配慮に係る措置
(3) 前2号に掲げるもののほか、規則で定める事項
2 特定建築主は、建築物環境配慮計画書の内容を変更したときは、規則で定めるところにより、変更した内容を記載した書面を市長に提出しなければならない。ただし、規則で定める軽微な変更については、この限りでない。
(工事完了の届出)
第12条 特定建築主は、当該建築物に係る工事が完了したときは、規則で定めるところにより、速やかに市長に届け出なければならない。
第4章 日常生活等における地球温暖化対策
(生活様式等の転換の推進)
第14条 市は、事業活動及び日常生活における温室効果ガスの排出を抑制するための取組を推進しなければならない。
2 市民は、地球温暖化対策についての関心と理解を深めるとともに、温室効果ガスの排出の抑制等に取り組むよう努めるものとする。
(温室効果ガスの排出量がより少ない機械器具の使用)
第15条 電気機器、ガス器具その他のエネルギーを消費する機械器具(以下単に「機械器具」という。)を使用する者は、温室効果ガスの排出の量がより少ない機械器具を使用するよう努めるものとする。
(省エネルギー性能の表示)
第16条 特定機械器具(一般消費者が日常生活に使用する機械器具で、温室効果ガスの排出の量が相当程度多いものとして規則で定めるものをいう。以下同じ。)を一の販売店において規則で定める台数以上陳列して販売する事業者(以下「特定機械器具販売事業者」という。)は、当該販売店において規則で定めるところにより、エネルギーの消費量との対比における当該特定機械器具の性能に関する情報を適切に表示しなければならない。
3 特定機械器具販売事業者は、特定機械器具を購入しようとする者に対し、その販売する特定機械器具に係る省エネルギー性能について説明するよう努めなければならない。
(緑化の推進)
第17条 市は、温室効果ガスの排出の抑制等を図るため、市が設置し、又は管理する建築物及びその敷地の緑化の推進に努めなければならない。
2 前項の規定は、事業者について準用する。
3 市民は、自ら緑化の推進に努めるとともに、市が行う施策に協力しなければならない。
(地産地消の推進)
第18条 市は、温室効果ガスの排出の抑制等に資するため、生産者、事業者及び市民と連携し、及び協力して農林水産物をより身近な地域で優先して消費するよう努めなければならない。
第5章 再生可能エネルギーの活用に関する地球温暖化対策
(再生可能エネルギーの活用)
第19条 市は、再生可能エネルギーの導入を促進するための施策を推進しなければならない。
2 事業者及び市民は、事業活動及び日常生活において再生可能エネルギーの利用の促進に努めなければならない。
第6章 森林の整備、保全等に関する地球温暖化対策
(森林の整備、保全等)
第20条 市は、森林の整備及び保全を推進するため、造林、保育その他の森林施業を行うほか、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 事業者及び市民は、連携し、及び協働して、森林の適切な整備及び保全並びに森林資源の利用の推進に努めなければならない。
第7章 交通・自動車に関する地球温暖化対策
(公共交通機関等の利用への転換)
第21条 市民は、可能な限り自動車の使用に代えて、公共交通機関若しくは自転車の利用又は徒歩による移動に努めなければならない。
(エコドライブの推進)
第22条 自動車を運転する者は、温室効果ガスの排出の量がより少ない運転の方法(以下「エコドライブ」という。)の実施及び自動車の適正な整備に努めなければならない。
2 事業者は、その事業の用に供する自動車を運転する者に対し、エコドライブの実施について指導を行う等適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
第8章 地球温暖化に関する普及啓発及び環境教育
(啓発活動及び広報活動)
第23条 市は、地球温暖化の現状及び地球温暖化対策の重要性について、事業者及び市民の理解を深めるため、啓発活動及び広報活動の充実に必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、民間団体が行う地球温暖化の現状及び地球温暖化対策の重要性についての啓発活動及び広報活動を支援するものとする。
3 事業者は、地球温暖化の防止に関し、その従業員の理解を深めるため、従業員に対して、地球温暖化の防止に関する情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(教育及び学習の振興)
第24条 市は、教育機関及び事業者その他の民間の団体と連携し、及び協働して、市民に対する地球温暖化対策に関する教育及び学習の振興並びに指導者の育成に努めるものとする。
(地球環境保全週間)
第25条 市は、地球温暖化対策について広く事業者及び市民の理解と関心を深めるため、白山市地球環境保全週間を設ける。
2 白山市地球環境保全週間は、7月7日から同月13日までとする。
3 市は、前項に定める期間に地球温暖化対策の趣旨にふさわしい取組を実施するよう努めなければならない。
第9章 雑則
(表彰)
第26条 市長は、温室効果ガスの排出の抑制等に関し、特に優れた取組をしたものを表彰することができる。
(助成措置)
第27条 市は、市民及び民間団体が温室効果ガスの排出の抑制等のための措置を推進するために行う施設の整備、研究開発その他これらに類する取組のために必要があるときは、助成その他の措置を講ずることができる。
(指導及び助言)
第28条 市長は、事業者及び市民が温室効果ガスの排出の抑制等のための措置を実施する場合において、必要な指導及び助言をすることができる。
2 市長は、前項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。この場合においては、当該勧告を受けた者にその理由を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(国及び他の地方公共団体との連携)
第31条 市は、国及び他の地方公共団体と連携を図りながら、地球温暖化対策の効果的な推進に努めるものとする。
(委任)
第32条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(1) 第16条の規定 平成22年10月1日