○浜松市住居等における物の堆積等による不良な生活環境の発生の防止及び解消のための支援その他の対策に関する条例
令和5年6月26日
浜松市条例第42号
(目的)
第1条 この条例は、住居等における物の堆積等による不良な生活環境の発生の防止及び解消のための支援その他の対策に関し必要な事項を定めることにより、市民の安全で健康かつ快適な生活環境を確保することを目的とする。
(1) 住居等 市内に存する建物(現に居住の用に供しているものに限る。)及びその敷地並びに当該居住のために一体的に利用されている土地をいう。
(2) 堆積等 堆積又は放置をいう。
(3) 不良な生活環境 住居等における物の堆積等により、当該住居等の周辺が次に掲げる状態その他の生活環境が著しく損なわれている状態にあることをいう。
ア 悪臭が発生している状態
イ ねずみ又は衛生害虫が発生している状態
ウ 火災、堆積物の崩落その他の危険が発生するおそれがある状態
(4) 堆積物 不良な生活環境の原因となっている物をいう。
(5) 堆積者 自らが居住する住居等における物の堆積等による不良な生活環境を発生させている者(自然人に限る。)をいう。
(6) 地域住民等 地域住民、関係機関その他の関係者をいう。
(7) 所有者等 所有者又は管理者をいう。
(基本方針)
第3条 不良な生活環境の発生の防止及び解消は、次に掲げる基本方針にのっとり推進されなければならない。
(1) 不良な生活環境は、堆積者が自ら解消することを原則とすること。
(2) 不良な生活環境の発生の背景には、地域社会における孤立等の生活上の諸課題があり得ることを踏まえ、福祉的観点から当該生活上の諸課題を抱える者に寄り添った対策を行うこと。
(3) 市と地域住民等とが協力して不良な生活環境の発生の防止に努めるとともに、堆積者が自ら不良な生活環境を解消することが困難であると認められる場合は、市と地域住民等とが協力して解消に向けたあらゆる対策を行うこと。
(市民の責務)
第5条 市民は、自らが居住する住居等における物の堆積等による不良な生活環境を発生させてはならない。
2 市民は、近隣の住民と相互に協力して、その居住する地域において不良な生活環境を発生させることのないよう努めなければならない。
2 住居等の所有者等は、当該住居等において不良な生活環境が発生している場合においては、当該住居等に係る堆積者と協力し、当該不良な生活環境を解消するよう努めなければならない。
(支援)
第7条 市長は、不良な生活環境の発生を防止し、及び解消するため、市民等からの相談に応じるとともに、必要があると認めるときは、物の堆積等の状態を調査し、及び把握した上で、市民等に対して必要な情報の提供、助言その他の支援を行うものとする。
2 市長は、堆積者に対し、必要に応じて生活保護法(昭和25年法律第144号)、介護保険法(平成9年法律第123号)その他の法令等の規定に基づく手続に関する情報の提供、相談、助言その他の支援を行わなければならない。
3 市長は、不良な生活環境を堆積者が自ら解消することが困難であると認めるときは、当該堆積者の申出に基づき、当該不良な生活環境の解消のために必要な支援を行うことができる。
4 市長は、不良な生活環境を解消した場合においては、再び不良な生活環境が発生しないようにするため、地域住民等による見守りその他の地域社会における孤立等の生活上の諸課題の解決に向けた取組が適切になされるよう支援を行わなければならない。
(報告等)
第8条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、物の堆積等の状態、住居等の使用及び管理の状況並びに住居等に係る堆積者の居住の状況、親族関係、就労の状況、心身の状態、福祉に関する制度の利用状況その他当該堆積者に関する事項について、必要な調査をし、又は当該堆積者、当該堆積者の親族若しくは当該堆積者と同居している者に対して報告を求めることができる。
2 市長は、堆積者を確知することができないときは、物の堆積等がある住居等(これに隣接する土地を含む。以下同じ。)の所有者等を確知するために必要な調査をすることができる。
3 市長は、物の堆積等がある住居等の所有者等を確知することができない場合において必要があると認めるときは、この条例に基づく事務以外の事務のために利用する目的で保有する情報で当該所有者等を確知するために有用なものについては、この条例の施行に必要な限度において、自ら利用し、又は提供することができる。
4 市長は、この条例の施行に必要な限度において、不良な生活環境を発生させている住居等の所有者等に対し、当該住居等の使用及び管理の状況について報告を求めることができる。
(立入調査等)
第9条 市長は、不良な生活環境が発生し、又は発生するおそれがあると認めるときは、この条例の施行に必要な限度において、その職員をして、当該住居等に立ち入らせ、その状態を調査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入調査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(情報提供の求め)
第10条 市長は、この条例の施行のために必要があると認めるときは、官公署その他の規則で定める関係者に対して、堆積者及び不良な生活環境を発生させている住居等の所有者等、堆積者の親族関係又は福祉に関する制度の利用状況その他市長が特に必要があると認める事項について、情報の提供を求めることができる。
2 市長は、前項の規定による指導を行ったにもかかわらず、なお不良な生活環境にあると認めるときは、当該堆積者に対し、期限を定めて、改善措置を行うよう勧告することができる。
3 市長は、不良な生活環境にあると認める場合であって、必要があると認めるときは、当該住居等の所有者等に対して、改善措置を行うよう指導することができる。
(命令)
第12条 市長は、前条第2項の規定による勧告を行ったにもかかわらず、なお不良な生活環境にあると認めるときは、当該堆積者に対し、期限を定めて、改善措置を行うよう命じることができる。
(行政代執行)
第13条 市長は、前条第1項の規定による命令を受けた堆積者が当該命令に従わないため行政代執行法(昭和23年法律第43号)第2条の規定による代執行を行うに当たっては、あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。
(審議会)
第14条 市は、不良な生活環境の発生の防止及び解消のための支援その他の対策に関し必要な事項を審議するため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、浜松市不良な生活環境対策審議会を置く。
3 審議会は、不良な生活環境の発生の防止及び解消のための支援その他の対策について、市長に意見を述べることができる。
4 審議会は、委員7人以内で組織する。
5 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 学識経験を有する者
(2) 公共的団体が推薦する者
6 委員の任期は、3年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
7 審議会に会長を置き、委員の互選によりこれを定める。
8 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。
9 会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、あらかじめ会長が指名する委員がその職務を代理する。
10 委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(会議)
第15条 審議会の会議は、会長が招集し、会議の議長となる。
2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができない。
3 会議の議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
4 委員は、自己、配偶者又は3親等以内の親族の利害に関係のある事項については、その議事に加わることができない。
5 審議会は、必要があると認めるときは、会議に関係者の出席を求め、意見を聴くことができる。
(委任)
第16条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
(過料)
第17条 第12条第1項の規定による命令に違反した者は、5万円以下の過料に処する。
附則