○日野市男女平等基本条例

平成13年12月28日

条例第30号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 男女平等の推進に関する基本施策と行動計画(第9条―第11条)

第3章 苦情等の処理(第12条)

第4章 日野市男女平等推進委員会(第13条―第19条)

第5章 雑則(第20条)

付則

わが国では、日本国憲法において、法の下の平等を基本に個人の尊厳と男女平等を旨とする基本的人権が定められている。

しかし、家父長制等の長い歴史と伝統の中で、男尊女卑の社会慣行や性別による固定的な役割分担意識が永年にわたり根強く残り、現在に至るまで政治や経済、社会、文化等のあらゆる活動において女性の活躍に幅広い制約を受けてきた。

このような中、世界女性会議における成果や「女子差別撤廃条約」批准等の国際的な動きを受けて、わが国でも、男女平等を目指す法整備が急速に行われ、平成11年「男女共同参画社会基本法」が制定された。

日野市においては過去、女性を中心とする地域福祉面での意欲的かつ地道な活動をはじめ、女性センターの開設、行動計画の策定、また女性の社会参画の促進と生活文化向上を目指した「日野市女性社会事業協会」の設立を早期に実現してきた。さらに平成10年9月には「男女共同参画都市」を宣言し、積極的な施策を展開している。

21世紀を迎えた今日、男女平等は市民生活に根付いていない状況があり、さらに少子高齢社会となった今、活力あるまちづくりに向けて、女性と男性が対等な立場でともに支え合い、理解し合い、認め合うまちを目指し、市民及び事業者と連携、協力をして最優先に取り組むことが必要である。

以上を踏まえ、すべての市民が人権尊重を基に性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができ、またともに対等に参画し、その成果も責任も分かち合うまちの実現を目指して日野市はここに条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、日野市(以下「市」という。)における男女平等の推進に関する基本理念を定め、その実現に向けて市、地域における各種団体等を含む市民(以下「市民」という。)及び事業者の責務を明らかにするとともに、市の施策の基本的な事項を定め、総合的かつ計画的に推進し、もって、市民一人ひとりが男女平等の意義を理解し、女性も男性も自らの意思と責任において家庭生活と職業生活の両立を図りつつ社会活動に参画することにより、豊かで活力ある真の男女平等社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 積極的格差是正措置 雇用をはじめ政治、経済、教育等の分野で、男女間の格差を是正するため、必要な範囲において男女のいずれか少ない方に対し、当該機会をより多く提供することをいう。

(2) セクシュアル・ハラスメント 端的には「性的いやがらせ」をいい、相手方の意に反する身体への不必要な接触や性的強要などの言動で、その拒否的対応によってはさらに不利益を与え生活環境を悪化させることをいう。

(3) 事業者 市内に事務所又は事業所を有し、事業を営む法人その他の団体をいう。

(4) リプロダクティブ・ヘルス/ライツ 平成6年にエジプトのカイロで開催された「国際人口開発会議」で確認、提唱された、女性の性と生殖に関する健康及び権利であり、個人が自分の体や健康について正確な情報及び知識を持ち、出産する子どもの人数、出産時期、避妊の方法等を自分の意思で選択する自己決定権利をいう。

(基本理念)

第3条 男女平等の推進は、次の基本理念に基づいて、積極的に取り組まなければならない。

(1) 男女が、性別により差別されたり、暴力を受けたり、固定的観念を押しつけられたりすることがなく、一人の人間として人権が尊重されること。

(2) 女性も男性も、自己の意思と責任により多様な生き方を選択でき、かつ、その生き方が尊重されること。

(3) 男女が、家庭、地域、職場、学校を含む教育の場その他社会のあらゆる分野(以下「あらゆる分野」という。)に対等なパートナーの視点で参画し、ともに責任を分かち合うこと。

(4) 市の施策及び事業者における方針の決定過程に男女が平等に参画する機会が確保され、その能力を十分発揮できること。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念に基づき、男女平等社会の実現に向け積極的格差是正措置を含む施策を総合的かつ計画的に実施しなければならない。

2 市は、市民及び事業者が男女平等の推進に理解を深めることができるよう情報の提供を行うとともに、将来を担う子どもたちに対し、男女平等教育を積極的に推進しなければならない。

3 市は、男女平等の推進に当たり、市の独自性を生かした施策を推進するとともに、国、東京都その他の地方公共団体、市民及び事業者と連携して取り組むものとする。

(市民の責務)

第5条 市民は、第3条に定める基本理念に基づき、男女平等社会の実現に向け理解を深め、あらゆる分野において、自ら積極的に参画するよう努めなければならない。

2 市民は、市が実施する男女平等の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

3 市民は、男女差別やセクシュアル・ハラスメント、暴力行為に対して弱者が泣き寝入りしないよう根絶に向け勇気を持った行動に努めるものとする。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、第3条に定める基本理念に基づき、男女平等社会の実現に向け、個人の能力を適切かつ公平に評価し、その事業活動において率先して男女平等の推進に努めなければならない。

2 事業者は、当該事務所又は事業所内に存在している男女の格差や差別については、積極的に改善及び是正を図る等体制整備に努め、市が実施する男女平等の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

3 事業者は、当該事務所又は事業所内の従業員に対し、仕事における職業生活と育児や介護等の家庭生活を両立させるための支援に努めなければならない。

(性別による権利侵害の禁止等)

第7条 何人も、あらゆる分野において、性別を理由とする権利侵害や差別的取扱いを行ってはならない。

2 何人も、セクシュアル・ハラスメントやストーカー行為等を行ってはならない。

3 何人も、夫婦間を含むすべての男女間において、暴力を行使してはならない。

4 前3項に掲げる行為について、市は、法令の定めるところにより関係機関と連携し、その根絶のための対策に努めなければならない。

(公衆に表示する情報に関する留意)

第8条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担若しくはセクシュアル・ハラスメントを助長し、若しくは連想させる表現並びに過度の性的な表現を行わないよう努めなければならない。

第2章 男女平等の推進に関する基本施策と行動計画

(基本施策)

第9条 市は、男女平等社会を実現するため、第4条に基づき、次に掲げる基本施策を行う。

(1) 男女平等の推進に関する情報収集を行い、分析するとともに、その情報を市民及び事業者が理解を深めるためこれらの者に対し提供し、あらゆる分野における男女平等を広く推進する。

(2) あらゆる分野における活動の意思決定過程において、男女間に参画する機会の格差が生じないよう、市民及び事業者と協力する。

(3) 市の設置する審議会等における委員等を委嘱し、又は任命する場合は、積極的格差是正措置として次条に定める行動計画に数値目標を定め、男女間の均衡を図るよう努める。

(4) 家庭責任をもつ男女が、家庭生活及び職業生活等におけるあらゆる活動を両立できるように必要な支援を行うとともに、あらゆる分野における男女平等社会が実現されるまで、相談業務を行う。

(5) 男女が互いの性を理解し、真のリプロダクティブ・ヘルス/ライツを理解し、互いに尊重するとともに、対等な関係のもとで、妊娠や出産についても自己決定することができるよう啓発する。

(6) 男女平等社会の実現に向けた事業等を実施するとともに、市民や事業者が男女平等社会の実現に向けた自立向上を目指す取組みに対して支援をし、また就労を目指す市民に対し積極的に支援をする。

(7) 子どもたちが、男女の別なく、持てる能力を十分に伸ばし、将来に向け、社会のどの分野においても活躍できるような教育環境を整える。

(8) 女性に対するあらゆる暴力の根絶に努め、夫等からの暴力被害を受けたことによる緊急保護の要請が生じた場合は、二次的被害が起きないよう十分配慮するとともに、被害者の身の安全確保を図り、一時的に保護する等の支援等に努め、また男性加害者を暴力の連鎖から解き放つための支援にも努める。

(行動計画)

第10条 市長は、第3条に定める基本理念にのっとり、前条に定める基本施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、あらゆる分野における男女平等社会の実現に向け、具体的なプログラム等を設定した行動計画を策定する。

2 市長は、前項の規定により行動計画を策定するに当たって、あらかじめ第13条で定める日野市男女平等推進委員会の意見を聴くとともに、市民及び事業者の意見を反映するよう努めなければならない。

3 前項の規定により行動計画を策定したときは、これを公表しなければならない。

4 前2項の規定は、行動計画の変更について準用する。

(年次報告)

第11条 市長は、男女平等の推進状況を明らかにするため、行動計画に基づいた施策の実施状況等について毎年度報告書を作成し、これを公表するものとする。

第3章 苦情等の処理

(苦情処理窓口の設置)

第12条 市が実施する男女平等の推進に関する施策等についての苦情又は男女差別による不利益、セクシュアル・ハラスメント若しくは暴力等により人権を侵害された場合における市民からの申出を適切かつ迅速に処理するため、苦情処理窓口を置く。

2 前項に規定する苦情又は申出は、前項の苦情処理窓口を通して行うものとする。

3 市長は、市民から前項の規定による苦情又は申出があった場合において、必要に応じて当該苦情の原因となった施策を行う関係機関等に対し資料の提出及び説明を求め、必要があると認めるときは、当該関係機関等に対し指導、助言、是正の要望等を行うことができる。

4 第2項による市民からの申出により、前項による関係機関等で対応不可能な事案の場合は、申出者に対し当該事案を処理することができる機関を照会する等、申出者に対し適切な対応措置を講ずるものとする。

5 市長は、第2項の規定による申出について、適切かつ迅速に対応し、前2項に規定する事務を処理するため、男女平等苦情処理相談員(以下「相談員」という。)を置くことができる。

6 相談員は、2人以内とし、男女平等問題について深い理解と見識のある者のうちから市長が委嘱する。

7 相談員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

8 前各項に定めるもののほか、申出に関する必要な事項は、規則で定める。

第4章 日野市男女平等推進委員会

(設置)

第13条 男女平等社会を推進するため、日野市男女平等推進委員会(以下「推進委員会」という。)を置く。

2 推進委員会は、市長の求めに応じ、男女平等社会実現に向け基本的かつ総合的な施策及び重要事項の調査検討を行い、意見を述べる。

(組織)

第14条 推進委員会は、次に掲げる者につき市長が委嘱する委員10人をもって組織する。

(1) 満20歳以上で日野市内に在住し、又は在勤し、若しくは在学している者(公募による。) 4人

(2) 学識経験者及び有識者 4人

(3) 男女平等問題学習団体等の代表 2人

2 委員の男女構成については、男女いずれか一方の性が4割未満とならないようにしなければならない。

(委員の任期)

第15条 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、再任は1回のみとし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(会長及び副会長)

第16条 推進委員会に会長及び副会長を置き、委員の互選により定める。

2 会長は、推進委員会を代表し、会務を総括する。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(招集)

第17条 推進委員会は、会長が招集する。

(会議)

第18条 会長は、推進委員会において会議の議長となる。

2 推進委員会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。

3 推進委員会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

4 推進委員会は、必要があると認めるときは、専門的事項に関し学識経験のある者その他関係人の出席を求めて意見若しくは説明を聴き、又はこれらの者から必要な資料の提供を求めることができる。

(推進委員会に関し必要な事項)

第19条 第13条から前条までに定めるもののほか、推進委員会に関し必要な事項は、会長が定める。

第5章 雑則

(委任)

第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が規則で定める。

付 則

1 この条例は、平成14年4月1日から施行する。

2 この条例については、条例施行後5年を目途として、条例の施行状況等を勘案して、検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

日野市男女平等基本条例

平成13年12月28日 条例第30号

(平成14年4月1日施行)