○日野市清流保全―湧水・地下水の回復と河川・用水の保全―に関する条例

平成18年6月26日

条例第22号

日野市公共水域の流水の浄化に関する条例(昭和50年条例第44号)の全部を改正する。

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 市内の水辺の保全(第8条)

第3章 水量確保(第9条・第10条)

第4章 地下水脈の確保(第11条・第12条)

第5章 禁止行為(第13条)

第6章 水質汚濁防止(第14条―第16条)

第7章 目標設定、相互協力及び広域連携(第17条―第19条)

第8章 災害時の利用(第20条)

第9章 支援活動(第21条)

第10章 環境学習活動(第22条)

第11章 審議会(第23条)

第12章 雑則(第24条―第28条)

第13章 罰則(第29条・第30条)

付則

日野市は、多摩川と浅川という二つの大きな河川によって発達した沖積低地、これら河川の河岸段丘によってできあがった日野台地及び市内南側に位置する多摩丘陵の3つの特徴ある地形によって形成されている。かつては東京の穀倉地帯といわれ、多摩川、浅川、程久保川及び谷地川という一級河川や湧水を源とする用水は、それぞれの水辺に広がる田をむすび、網の目のように市内を流れていた。日野台地の緑地、斜面林が残る段丘崖に続く崖線には豊富な湧水群が現存し、また、多摩丘陵の緑地帯にある沢筋にも多くの湧水が見られる。こうした変化に富んだ水辺の環境は、人々の暮らしに深くかかわり、かつては飲み水としても利用され、潤いと安らぎをもたらし、日野の文化を育んできた。これらの河川・用水や湧水では多くの生物が棲み、水の郷としてふさわしい自然環境が維持され水環境を支える貴重な財産となっている。私たちは、これらを市民共通の貴重な財産として維持保全していく必要性を認識し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 湧水、地下水の回復と河川、用水の保全を図るため、次に掲げる事項を本条例の目的とする。

(1) 河川、用水や湧水、地下水を保全・保存し、また、良好な水辺の復元を図り、将来にわたって維持していくこと。

(2) 流域の健全な水循環を取り戻し、水と緑というかけがえのない貴重な財産を永続的なものにしていくこと。

(3) 貴重な財産である豊かな水と緑を次世代に引き継ぎ、子どもたちが遊べる水辺を保全していくこと。

(4) 市民、日野市を訪れる人々及び流域住民に安らぎを与える憩いの水辺空間を保全していくこと。

(5) 市民等がこれらの豊かで貴重な財産の保全に深く関与し、水辺の保全に向けて、自ら行動していくこと。

(6) 湧水や地下水への影響を避け、流域での健全な地下水脈を確保し、安全かつ衛生的で飲料水源として利用できる地下水を永続的に確保していくこと。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 河川 市内に存する河川法(昭和39年法律第167号。以下「法」という。)第4条第1項により指定された多摩川水系の多摩川、浅川、程久保川及び谷地川をいう。

(2) 用水 法の適用を受けない公共の用に供する河川、水路及び法第100条第1項の規定に基づき市長が指定した河川をいう。

(3) 湧水 市の区域内において地下水が湧き出たものをいう。

(4) 地下水 雨水等が地下に浸透して蓄えられた地下に存在する水をいう。

(5) 市内の水辺 市内の一級河川である多摩川、浅川、程久保川及び谷地川、市内を網の目のように流れる用水、台地の崖線、丘陵地等に湧き出る湧水、その下流の普通河川及び学校ビオトープ等を含めた水辺をいう。

(6) 普通河川 法の適用を受けない河川をいう。

(7) 雨水浸透施設 雨水浸透ます、雨水浸透トレンチ、透水性舗装、雨水浸透側溝等雨水の地下浸透を促進する施設をいう。

(8) 地下水影響工事 建築物及びその他工作物の工事並びに土地の改変を伴う工事において、地下水の水位、水質、流れ又は湧水の水質、湧出量等に影響を及ぼすおそれがある工事をいう。

(9) 雨水貯留施設 雨水を一時的に貯留することにより、雨水の流出を抑制し河川や用水の氾濫を防ぐとともに、雨水の利用を図るための施設をいう。

(10) 土地改良区 土地改良法(昭和24年法律第195号)に基づく土地改良事業を実施する事業主であり、水利施設の管理を行う法人をいう。

(11) 用水組合 水利施設の管理を行う農業者の組合をいう。

(将来像)

第3条 市民、市、事業者及び日野市を訪れる人々並びに流域住民は、日野市の河川、用水、湧水及び地下水において次に掲げる将来像が実現されるよう努めなければならない。

(1) 市内の水辺には、水量が豊富に確保され、良好な水質が保たれていること。

(2) 人間活動が自然に負荷を与えていることを理解し、自然の循環の中で人と自然の共生が図られ、人間の生活、社会活動が営まれていること。

(3) 市内の水辺では、生態系や景観の保全が行われ、すべての生きものの生態が相互につながっていること。

(4) 市内の水辺には、魚類や水生昆虫をはじめ、地域固有の水生生物が豊富に生息していること。

(5) 市内の水辺では、市民の安全かつ快適な生活が保たれていること。

(6) 流域の地下水脈が健全に保たれ、地下水や湧水が保全されていること。

(7) 市内の水辺は、子どもの遊び場として活用されていること。

(8) 市内の水辺は、市民、日野市を訪れる人々及び流域住民に安らぎを与える憩いの空間、魅力ある観光資源として日野市の活性化に活用されていること。

(9) 市民等が、市内の水辺の保全に積極的に取り組んでいること。

(10) 河川等の水の流れを広く流域でとらえ、流域内外の地域間交流が行われているとともに、その活動が市民の生活や流域の生態系に負荷を与えていないこと。

(11) 市民及び市は、水の郷としての先駆的な取組みを全国に向け発信し続けること。

(市の責務)

第4条 市は、第1条の目的を達成するために、自然環境及び生活環境と調和した河川、用水及び湧水の保全、保存、復元、再生及び創出を図り、年間を通じて清流を確保することを基本方針とし、総合計画の策定及び整備工事の実施等、必要に応じた施策を実施しなければならない。

2 市は、前項の施策の実施に当たっては、市内の水辺の保全に関する市民の意識の高揚を図るとともに、その参画及び協力の推進に努めなければならない。

3 市は、流域及び市内の水辺の保全に当たっては、国及び関係地方公共団体と緊密な連携及び協力体制をもってこれに取り組まなければならない。

4 市は、貴重な自然環境資源である湧水及び地下水の保全に関する施策を策定し、これを実施するものとする。また、湧水量、地下水位及び水質等の現況把握に努めるとともに、市民や事業者に湧水及び地下水の保全に関する情報を適切に提供し、市が実施する湧水及び地下水の保全に関する施策に協力を求めるものとする。

(市民の責務)

第5条 市民は、第1条の目的を達成するために、市内の水辺が市民共通の貴重な財産であることを認識し、相互に連携及び協力して、これを保全するよう自ら努めるとともに、市が実施する施策に協力しなければならない。

2 市民は、湧水及び地下水の保全に努めるとともに、市が実施するこれらの保全に関する施策に協力しなければならない。

(土地改良区及び用水組合の責務)

第6条 土地改良区及び用水組合は、第1条の目的を達成するために、用水等が貴重な財産であることを認識し、相互に連携及び協力して、用水等の維持管理に努めなければならない。

(事業者の責務)

第7条 事業者は、第1条の目的を達成するために、用水等に係る事業を行うときは、市が求める整備手法に協力しなければならない。また、事業排水の適正な処理や地下水の適正利用に努めるとともに、市が実施する施策に協力しなければならない。

2 事業者は、湧水及び地下水の保全のために必要な措置を講ずるとともに、市が実施するこれらの保全に関する施策に協力しなければならない。

第2章 市内の水辺の保全

(用水・緑地・農地等の保全)

第8条 市は、用水等を維持保全していくために、用水等の景観の保全及び用水等の開渠化の促進に努めなければならない。

2 市は、用水等の景観の保全及び生態系保全のため、土堤の用水を保全する努力をしなければならない。土堤の用水の保全がしがたい場合は、板柵又は玉石積等の護岸で保全することとする。

3 市は、用水等への転落防止柵及び交通安全柵を設置するときは、用水等の景観に適したものを用いなければならない。

4 市は、湧水及び地下水の保全のため、雨水の保水能力の高い樹林地、緑地や農地の保全、育成に努めなければならない。

第3章 水量確保

(用水等の年間通水)

第9条 市は、市民、土地改良区及び用水組合と協力し、年間を通じて、用水等の水量を豊富に維持するよう努めなければならない。

(河川・用水・湧水での水量確保による清流維持)

第10条 市は、河川、用水及び湧水の水量確保のため、流域内での水源林等樹林地の保全や地下水の保全に資する雨水の地下浸透に努めなければならない。

2 市は、健全な水循環を維持、回復するために、緑地、樹林地及び農地の保全・拡大の施策を推進し、雨水の地下浸透を図らなければならない。また、公園及び学校等の公共施設の敷地については、雨水の地下浸透施設の設置に努め、道路等の公共用地の整備に当たっては、雨水を浸透させる技術の導入に努めなければならない。

3 市は、雨水の地下浸透を促進させるために、建築物の新築又は増改築等に際し、事業者や施工主に対し、雨水浸透施設の設置について指導しなければならない。

4 市民は、雨水の流出抑制及び地下水の涵養のため、宅地造成等規制法(昭和36年法律第191号)第3条に基づく宅地造成工事規制区域を除いて、その所有地において、雨水浸透施設の設置に努めなければならない。また、宅地造成工事規制区域内にあっては、雨水の流出を抑制するため、雨水貯留施設の設置に努めなければならない。

5 事業者は、雨水の流出抑制及び地下水の涵養のため、宅地造成工事規制区域を除いて、その敷地内において、雨水浸透施設の設置に努めなければならない。また、宅地造成工事規制区域内にあっては、雨水の流出を抑制するため、雨水貯留施設の設置に努めなければならない。

6 日量500立方メートル以上の揚水施設を有する者は、雨水浸透施設の設置に努めるほか、揚水の残水を地下に浸透させるための措置を講ずるよう努めなければならない。

第4章 地下水脈の確保

(湧水・地下水脈の確保)

第11条 建築物及びその他工作物の新築並びに土地の改変を伴う工事等の行為を施す者は、地下水脈や湧水への影響を極力避けるよう努めなければならない。また、湧水や地下水の保全の施策に支障を及ぼさないように配慮しなければならない。

(地下水影響工事に係る措置)

第12条 市は、第1条の目的を達成するため、地下水影響工事の事業者に対して、事業区域の地質、地下水位、湧水量等の調査実施について協力を求めるものとする。また、当該地下水影響工事の事業者に対して、調査資料の提出を求めるものとする。

2 建築物及びその他工作物の新築並びに土地の改変を伴う工事等の行為を施す者は、市から前項に掲げる調査資料の提出を求められたときは、速やかに、これを提出しなければならない。

3 市は、地下水影響工事により、湧水及び地下水の水質、水位及び流動に影響を与えるおそれがあると認められる場合には、速やかにこれを解消し、また、影響を最小限にとどめるための措置を講じなければならない。また、事業者に対して、湧水及び地下水に影響を与えるおそれがある区域の住民に状況・経過等の説明を促すものとする。

4 建築物及びその他工作物の新築並びに土地の改変を伴う工事等の行為を施す者は、地下水影響工事により、湧水及び地下水の水質、水位及び流動に影響を与えるおそれがあると認められる場合には、速やかにこれを解消し、また、影響を最小限にとどめるための措置を講じなければならない。また、湧水及び地下水に影響を与えるおそれがある区域の住民に状況・経過等の説明を行わなければならない。

第5章 禁止行為

(用水等での禁止事項)

第13条 何人も、用水等において、次に掲げる行為をしてはならない。

(1) 土砂、石、竹木、ごみ、汚濁物及び廃棄物等を投棄すること。

(2) 駐車場、駐輪場、資材置場及び生活用品置場等として占用すること。

2 何人も、用水等において、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、やむを得ず次に掲げる行為を行う場合には、市や近隣住民等の理解を求めなければならない。

(1) 農業以外の行為として、流水をせき止め、又は流水を外に引き込むこと。

(2) 農業以外の行為として、流水を動力ポンプ等を使用してくみ上げること。

(3) 用水等に生息する水生生物に影響を与える工事を行うこと。

3 何人も、用水等において、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、やむを得ず次に掲げる行為を行う場合には、土地改良区又は用水組合の同意を求め、市の許可を受けなければならない。

(1) 用水等の管理施設を破壊し、又は撤去すること。

(2) 用水等を暗渠にし、又は縦断して占用すること。

(3) 生活又は事業に起因する排水を排出すること。

4 何人も、前各項に掲げるもののほか、他人に迷惑を及ぼす行為又は用水等の保全若しくは利用に支障を及ぼすおそれのある行為をしてはならない。

第6章 水質汚濁防止

(市内の水辺での異常対応)

第14条 市は、市内の水辺に異常が認められたときは、速やかに、対策を講ずるとともに、必要に応じて国や関係地方公共団体に連絡し、協力を要請するものとする。

(市内の水辺の汚濁防止)

第15条 市は、市内の水辺の水質汚濁のおそれがあると明らかに認められるときは、その水質汚濁防止のための措置を講じなければならない。また、水質汚濁が明らかに認められるときは、事業者に対して、速やかに水質汚濁防止の措置を講ずるよう指導しなければならない。

2 事業者は、自らの行う工事等により水質汚濁が明らかに認められるときは、速やかに、水質汚濁防止の措置を講じなければならない。

(河川・用水や湧水及び地下水での調査活動)

第16条 市は、河川、用水及び湧水の清流を維持するために、水質及び魚類や水生生物等の調査を継続的に実施するものとする。また、湧水量、地下水位及び水質等の現況把握に努めるとともに、湧水及び地下水の保全に関する情報収集を実施するものとする。

2 市は、前項の調査の結果を公表するものとする。

3 市は、市内の水辺で市民等が実施する水質及び生物調査活動に協力するものとする。

第7章 目標設定、相互協力及び広域連携

(目標設定)

第17条 市は、第1条の目的を達成し、良好な水質や適正な水量を確保するために、必要な目標指標を定めるものとし、進・状況を把握することに努めなければならない。

2 目標指標の設定に当たっては、現状を把握し、現状の数値、目標とすべき数値、目標年度及び調査方法等の事項を考慮しなければならない。

(市民等との協力)

第18条 市民、市民団体、市及び事業者は、市内の水辺の保全、現況把握及び情報の収集等について連携し、相互に協力しなければならない。

(国、東京都及び関係地方公共団体との広域連携)

第19条 市は、河川及び用水の流域特性、地下水の広域性及び流動性等の自然要因に鑑み、国、東京都及び関係地方公共団体との広域連携を緊密にするとともに、流域対策及び地下水涵養のために相互に働きかけるよう努めなければならない。

第8章 災害時の利用

(災害時の市内の水辺の利用)

第20条 市は、災害時に市内の水辺を利用することができるよう、その維持保全に努め、消防水利等の指定に協力しなければならない。

2 消防水利等の指定については、土地改良区、用水組合及び東京消防庁等と協力し指定するものとする。

3 災害時に利用できるよう井戸や消防水利等の維持管理に努めるものとする。

第9章 支援活動

(ボランティア活動に対する支援等)

第21条 市は、市内の水辺の維持保全に関するボランティア活動を支援し、地域環境の維持向上を図るとともに、ボランティア活動の活性化に努めるものとする。

2 市は、市内の水辺の保全を図るため、必要があると認めるときはボランティア活動に対して、技術的及び財政的な援助を行うものとする。

第10章 環境学習活動

(市内の水辺での環境学習活動の支援)

第22条 市は、将来にわたって、子どもたちが安全に遊べる水辺を目指し、河川、用水及び湧水の保全に向けた環境学習活動の実施に努めなければならない。

2 市は、河川、用水及び湧水での自然環境保全等の環境学習活動を支援しなければならない。また、環境学習活動を通じ人材育成に努めるものとする。

第11章 審議会

(水と緑の会議)

第23条 市は、市内の水辺の保全を図るために、水と緑の会議を設置し、これらの保全や維持管理についての審議を行うものとする。

第12章 雑則

(表彰)

第24条 市は、第1条の目的の達成に著しく功労のあった者を表彰するものとする。

(勧告)

第25条 市は、次の各号のいずれかに該当するものに対し、行為の中止その他必要な措置を講ずるよう勧告することができる。

(1) 第12条第2項に規定する調査資料の提出を行わないもの

(2) 第12条第4項に規定する地下水影響工事に係る必要な措置又は近隣住民への説明を行わないもの

(3) 第13条の規定に違反して用水等で禁止された行為を行うもの

(4) 第15条第2項に規定する水質汚濁防止のための措置を講じないもの

(是正命令)

第26条 市は、前条による勧告を受けたものが当該勧告に従わないときは、そのものに対し、行為の停止若しくは中止を命じ、又は相当の期間を定めて違反を是正するために必要な措置を講ずることを命ずることができる。

(公表)

第27条 市は、次に掲げるものの氏名又は名称、違反の事実その他の事項を、公表することができる。

(1) 第25条に規定する勧告に従わないもの

(2) 前条に規定する命令に従わないもの

(委任)

第28条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

第13章 罰則

(罰金)

第29条 第26条に規定する市の命令に違反したものは、5万円以下の罰金に処する。

(両罰規定)

第30条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の罰金刑を科する。

付 則

この条例は、平成18年10月1日から施行する。

日野市清流保全―湧水・地下水の回復と河川・用水の保全―に関する条例

平成18年6月26日 条例第22号

(平成18年10月1日施行)

体系情報
第10編 生/第3章 環境保全
沿革情報
平成18年6月26日 条例第22号