○第5次日野市基本構想

平成23年3月28日

議決

〈目次〉

序章 構想・計画の特徴とねらい

第1節 構想・計画策定の趣旨

第2節 構想・計画の位置付け・特徴

第3節 構想・計画の構成と期間

第4節 社会の変化と今後の課題

第1章 まちづくりの基本方針

第1節 まちづくりの基本理念

第2節 将来都市像

第3節 想定人口

第4節 施策の大綱

第5節 協働に関する考え方

第6節 構想・計画の進行管理

序章 構想・計画の特徴とねらい

第1節 構想・計画策定の趣旨

わが国は人口減少時代に突入し、少子高齢社会の進展とともに社会構造が大きな転換期を迎えています。加えて、社会保障制度改革や地方分権の推進など、国と地方の関係も大きく変化しようとしています。

本市においても、少子高齢化が深刻化するとともに、人口減少することが想定されています。また、少子高齢化対策や市民ニーズの多様化などにより、行政サービスが増大する一方で、税収など財政面では大変厳しい状況が見込まれます。

このような厳しい時代の中でも、「日野市」として持続可能なまちづくりを進め、次の世代へ水とみどりのまちを残していくことができるよう、市民と市の協働によるまちづくりの指針として「第5次日野市基本構想・基本計画(以下「2020プラン」という。)」を策定します。

第2節 構想・計画の位置付け・特徴

2020プランは、日野市における最上位計画です。

まちづくりは、行政だけで行うものではなく、主権者である市民と一体となって考え、その意思を政策に反映させ、その政策を市民と行政が協働して実行していくものです。このため、本計画は、単なる行政計画ではなく、地域全体で共有し、地域の構成主体である市民、自治会などのコミュニティ、NPO、事業者などが、市と協働で実現をめざす計画と位置付けます。

第4次日野市基本構想・基本計画「日野いいプラン2010」(以下「2010プラン」という。)は、多くの市民参画のもと、市民との協働で策定した計画であり、市民行動計画指針を提示するなど、時代を先取りした計画でした。一方で、政策体系が複雑なため、進行管理を行いにくいなど、運用面での課題が生じていました。

このため、2020プランは、2010プランの次のステップとして、協働の実践につながる実効性の高い計画とすることを目指し、次のような特徴を持った計画としました。

(1) みんなが共有できるわかりやすい計画

■市民とともに創る

2020プランは、市民と市職員で構成する協働チームを立ち上げ、協働チームで議論を交わすとともに、市の各課と議論を行いながら策定しました。さらに、市民意識調査、シンポジウム、グループ別・年代別インタビュー、パブリックコメント、各地区での懇談会(説明会)、フォーラムなどを実施し、多くの市民の方と意見交換しながら計画を策定しました。

■ゴール(めざすまちの姿)を明確にする

市民と市が力を合わせてまちづくりを進めるためには、まちづくりのゴール像がわかりやすい計画であることが求められます。このため、2020プランでは、10年後の「めざすまちの姿」と「まちづくり指標」を明示し、進むべき方向性を共有しやすい計画としています。

(2) マネジメントに活用しやすい実効性の高い計画

■市民と市の役割を明確にする

これからのまちづくりでは、さまざまな課題の解決に向けて、市民、自治会などのコミュニティ、NPO、事業者、市などの協働が必要です。この協働を効果的に実践して行くために、それぞれの主体が果たすべき役割を明確にした計画としています。

■施策の執行責任を明確にする

行政経営の視点からは、各組織の使命と責任を明確にし、各組織のマネジメントにつながる計画としています。具体的には、各組織のマネジメントの基礎的な単位となる「基本施策」「施策」「事業」と「部」「課」との関連付けを行い、施策推進の責任主体を明確にした計画としています。ただし、「部」「課」を越えた「基本施策」「施策」「事業」については、いわゆる“横串”を通し、「主担当課」を明確にしながら、連携を重視して施策を推進していきます。

■進行管理を行う

2020プランの策定に合わせて、計画の進捗に合わせたマネジメントを実行することができるよう、進行管理を進めます。

第3節 構想・計画の構成と期間

2020プランは、基本構想及び基本計画で構成します。

①基本構想【計画期間 10年間:平成23年度~平成32年度】

市が将来どのようなまちをめざすのか、そのための大きな方向性を示すものです。基本構想に示すめざすまちの姿は、市民と市が一体となって努力することで達成する目標を示しています。

②基本計画【計画期間 10年間:平成23年度~平成32年度】

基本構想で定めためざすまちの姿を実現するために、市民や市をはじめとするまちづくりの主体が何をしていくかを示した計画であり、基本施策と施策によって構成しています。なお、社会動向・経済状況などに応じて、必要な見直しを行う予定です。

※ 実施計画及び個別計画について

基本計画の下位に実施計画を策定します。実施計画は、基本計画で示した取り組みを推進するために、市が実施する事務事業の具体的な事業計画を示したもので、毎年の予算編成の指針とします。財政状況、施策の優先順位、事業の進捗状況などを勘案して、おおむね3年先を見据えた計画を策定し、毎年見直しを行います。

行政分野ごとに策定される個別計画は、2020プランと整合をとり、効率的な運用を進めます。

第4節 社会の変化と今後の課題

■少子化、高齢化のさらなる進展、人口減少の時代

・わが国の総人口は、平成16年の1億2626万人をピークに人口減少へと転じました。本市においては、人口増が続いていますが、増加割合は減少傾向にあり、本計画期間中に人口減少に転じることも考えられます。

・さらに、厳しい経済状況や非婚・晩婚化の風潮により、いわゆる「無縁社会」が顕在化し、さまざまな問題が発生しています。

・本市の65歳以上人口割合は、平成22年では20.9%となっており、多摩地域26市中9番目に高い数値となっています。少子高齢化・人口減少のさらなる進展は、社会経済のさまざまな面で活力の低下をもたらすことが懸念されます。高齢者の暮らしを見守り、支える仕組みの整備、持続可能な社会保障制度の確立などの高齢化対策、安心して暮らせる高齢者施設の充実、子育て環境の整備が求められています。

・本市の地域別の高齢化率をみると、豊田駅南側から浅川南側の丘陵地までの高齢化率が高くなっており、移動手段の確保など丘陵地の特性を踏まえた高齢化対策が課題となっています。

■地域主権改革の本格化、新しい公共の考え方の広がり、厳しさを増す財政

・わが国では、地方の多様な価値観や地域性に根ざした豊かさを実現することをめざし、地方分権改革が進められています。平成19年には地方分権改革推進法が施行され、平成22年には地域主権戦略大綱が閣議決定されるなど、地域主権改革が進められようとしています。また、平成22年には内閣府から「新しい公共」宣言が発表されるなど、市民、地域それぞれが公的サービスの担い手となる「新しい公共」の考え方に基づく施策展開が始まっています。

・本市においては、これまでも市民参画・協働を重視したまちづくりを展開してきましたが、「新しい公共」の考え方を踏まえたさらなる市民参画・協働の推進が課題となっています。

・経済の低成長や少子高齢化・人口減少などに伴う税収減が想定される一方で、福祉のための扶助費や公共施設などの老朽化対策費がこれまで以上に必要な時代を迎えており、計画的な行財政運営と優先順位を考えた施策の選択が求められています。

■子どもを取り巻く環境の変化

・高度情報化、国際化などの社会の変化、社会全体の規範意識の低下、家族や地域についての価値観の変化などが、子どもたちの成長に大きな影響を及ぼしています。また、児童虐待やインターネット犯罪に巻き込まれる事件も相次いでいます。

・学校教育においては、読解力などの学力や基礎体力、学ぶ意欲の低下への対応、特別な支援の必要な子どもへの対応などの課題に直面しています。また、不登校の児童生徒についても、引き続き大きな問題となっています。さらにいじめ問題への対応も重要な課題となっています。

・学校教育の質を一層充実するとともに、子育て中の親に対して支援を行い、学校、家庭、地域が一体となって子どもを育んでいくことが求められています。

・本市は、近年のマンション建設などにより子育て世代の人口が増えており、年少人口も増加傾向にあります。増加する子育て支援ニーズや教育ニーズに対応していくことが必要ですが、将来的には年少人口が減ることが想定される中で適切な対応が課題となっています。

■国際化の進展

・観光客をはじめとして、日本への外国人入国者数は増加の一途をたどり、平成15年の521万人から平成20年には835万人にまで増加し、5年間で約1.6倍になりました。

・就労や就学を目的とした外国人の入国も増えており、外国人登録者数は、10年間で約1.5倍に増加し、平成20年末で約200万人を超え、総人口の約1.7%を占める状況となっています。

・経済や社会などのさまざまな面で国際化が急速に進む中、グローバル化に対応できる人材の育成も課題となっており、外国語教育や国際理解教育の重要性がますます高まると考えられます。

・本市においても、外国人登録者数は増加傾向にあり、平成22年には約2,500人となっています。それに伴い、外国人への生活情報や行政サービスなどの提供、外国人に対応した防災体制の構築など、多文化共生社会の構築に向けた対応が課題となっています。

■地球環境問題の深刻化、生物多様性の考え方の広がり

・異常気象、海面上昇、動植物の生息域の変化など、地球規模で地球温暖化の影響が顕在化しており、温室効果ガス排出量の削減に向けた国際的な取り組みも進んでいます。わが国でも、「2020年までに1990年比25%のCO2削減」を掲げるなど、温暖化対策に積極的に取り組んでおり、低炭素社会づくりに向けた各種政策が進められています。

・大量生産、大量消費、大量廃棄により豊かさを追求してきた生活様式を見つめ直し、環境と経済の両立による持続可能な社会の構築が求められます。

・生物多様性の面では、わが国でも多くの絶滅危惧種が存在しており、平成20年には生物多様性基本法が成立、平成22年には生物多様性条約10回締約国会議(COP10)が名古屋で開催されるなど、生物多様性の損失を止める取り組みが始まっています。

・本市においても、「ふだん着でCO2をへらそう」をスローガンとし、平成22年度策定の「第2次日野市環境基本計画」、平成23年度策定予定の「第3次日野市地球温暖化対策実行計画」などで、CO2の排出が少ない低炭素社会を市をあげてめざしています。

・地球環境問題への対応は、環境に優しいライフスタイルを心がけるなど、市民一人ひとりの取り組みが重要であり、問題意識の共有や環境に優しい暮らしの実践が課題となっています。

■安全・安心ニーズの高まり

・自然災害が全国各地で多発している一方で、地域における人間関係の希簿化、高齢化などによる地域防災力の低下が懸念されています。

・全国的に見れば、交通事故や犯罪の発生件数は減少傾向にありますが、子どもを狙った犯罪や高齢者への詐欺事件など、犯罪の多様化が見られます。また、新型インフルエンザなどの感染症による生活への不安が広がっています。

・超高齢社会を迎える中で、地域における防犯力・防災力の確保、新たに発生する生活不安への対応が課題となっています。

■経済情勢の悪化、雇用環境の悪化

・わが国の一人あたりGDPは、平成12年の世界第3位から平成21年には第20位まで下がり、日本経済の地位低下が顕著となっています。

・農業では、農業の衰退が懸念される一方、農商工連携(農業の6次産業化)や地産地消の取り組み、農業の企業化などへの期待も高まっています。

・製造業については、アジア地域での生産の拡大が進み、産業の空洞化が懸念されています。

・雇用の面においては、非正規社員の増加により、所得格差が拡大するとともに、若者の就職や自立が困難な状況が生じており、大きな社会問題となっています。これからの社会は、若者の働く場所の創出や、出産や子育てする女性が働きやすい労働環境づくりが重要となってきます。ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の推進が求められます。

・本市は、多摩地区有数の製造品出荷額を誇る工業都市として発展してきましたが、近年の社会情勢の影響を受け、工場などの規模の縮小・撤退が続いています。また、商店数や農家数も減少傾向にあるなど、地域産業の再建・再構築が課題となっています。

■持続可能なまちづくり、社会資本の老朽化への対応

・わが国では、高度経済成長期に集中整備した公共施設などの社会資本が多く、完成から50年以上経過した「老朽化施設」が今後急増すると想定されます。厳しい財政状況が予想されるなかで、社会資本を計画的に維持管理・更新していくことが求められます。

・本市においても、老朽化施設が急増することは明らかです。また、少子高齢化・人口減少が進めば、社会資本の余剰や地域的な偏在、必要な施設の変化などに対応することも求められます。今後の社会資本整備は、少子高齢化・人口減少への対応、環境への配慮、暮らしの安全や地域活性化などの視点が重要となります。

第1章 まちづくりの基本方針

第1節 まちづくりの基本理念

私たちのまち日野市は、七生丘陵などの緑、市街地と農地が共存する景観、多摩川、浅川の清らかな流れ、湧水や用水路など豊かな自然に育まれながら、古くから宿場町として栄え、現在は多摩地区有数の製造品出荷額を誇る工業都市、そして住宅都市としての顔を持っています。そして、市民活動が活発で、市民自治を大切にしたまちです。

このまちは、先人から受け継いできた貴重な財産であり、昔から地域を大切に思う心により、守り、育てられてきました。これからも、親・子・孫といった世代を越えた交流や、地域でのつながりを持ち続け、次の時代に美しいふるさとを継承するために4つの基本理念をもとにまちづくりを進めます。

①市民が主役のまち

本市では、これまでも市民活動が活発に展開され、市民参画、協働を重視したまちづくりを進めてきました。今後も、市民がまちづくりの主役として活躍できるまちをめざし、主権者として市政に積極的に参加していただくとともに、市民、自治会などのコミュニティ、NPO、事業者などが持てる力を発揮できるまちづくりを推進します。

②水とみどりのまち

本市には、七生丘陵や多くの緑地、市街地と共存する農地などの豊かな緑があります。また、日本有数の用水路、そして多摩川、浅川などの豊かな水環境があります。これらの自然環境は、都心では得られないものであり、先人から受け継いだ財産です。これらの美しい財産を活かしたまちづくりを進めるとともに、次の世代へ引き継げるよう、自然環境を守り育てます。

③つながりを大切にするまち

私たちは、家族とのつながり、人とのつながり、地域とのつながりなどの「横のつながり」により、安心感、思いやり、支え合いなどを得ることができます。また、世代を越えた「縦のつながり」により、このまちの暮らし、環境、歴史、文化、伝統を受け継ぎ、生まれてくる子どもたちにつなげていくことができます。本計画では、これらの「横のつながり」「縦のつながり」を重視したまちづくりを展開します。

④持続可能なまち

経済の低成長や少子高齢化・人口減少などに伴う税収減が想定される一方で、福祉のための扶助費や公共施設などの老朽化対策費がこれまで以上に必要な時代を迎えています。このような厳しい財政状況の中でも、将来の世代に負担を課すことなく、受け継がれてきたこのまちを継承できるよう、長期的な社会・経済情勢の動向などを見極めながら、将来にわたって持続可能な行財政運営を進めます。

第2節 将来都市像

本市は、2010プランにおいて定めた将来都市像「ともに創りあげる 住みいい・ここちいい・いきいきのまち 日野」に基づいて、市民との協働によるまちづくりを進めてきました。

2020プランにおいては、2010プランの将来都市像、そしてまちづくりの基本理念を踏まえ、新たな時代に対応した将来都市像を次のとおり定めます。

ともに創ろう 心つながる 夢のまち 日野

~水とみどりを受けつごう~

《将来都市像「ともに創ろう 心つながる 夢のまち 日野」に込めた思い》

「ともに創ろう」には、2010プランでめざしてきた協働によるまちづくりを継承・発展・実践する思いを示しています。市民がまちづくりの主役として活躍し、生きがいを感じ、お互いを思いやり、助け合いながら、いきいきと暮らしているまちをめざします。

「心つながる」には、市民がさまざまな人とふれあい、心のつながりを育みながら、幸せを感じ、安心して暮らせるまちを実現する思いを示しています。また、次の時代に美しいふるさとを継承できるよう、生まれてくる子どもたちにこのまちを大切に思う心をつなげていきます。

「夢のまち」には、市民が夢や希望を抱いて前向きに暮らすことができる、バランスよく発展が遂げられた住みよいまちを実現する思いを示しています。

第3節 想定人口

■これまでの人口動向

本市の人口は、市制施行の昭和38年から昭和50年にかけて急増し、1年に1万人増加した年もありました。昭和50年から平成3年までは人口増加率が徐々に減少し続け、平成4年から平成12年までは一時的に人口減少することもありました。平成13年以降は、再び人口が増加しはじめ、平成22年10月には182,107人(国勢調査に基づく推計人口*)となりました。全体的な傾向としては微増傾向ですが、近年は増加率が減少し続けています。

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図 人口推移(国勢調査人口・国勢調査に基づく推計人口)

* 国勢調査に基づく推計人口とは、直近の国勢調査人口を基に、その後の人口増減(出生・死亡・転入・転出)を住民基本台帳及び外国人登録から得て、毎月1日現在の人口として算出したものです。推計人口は5年ごとに行われる国勢調査人口の確定人口を基にするため、実際の人口に近い数が算出されます。一方、住民基本台帳人口は、住民票を移さない限り増減がなく、外国人を含んでおらず、実態の数と乖離する傾向にあります。

■これからの人口

国勢調査結果を基に人口推計した結果、本プランの目標年次である平成32年には、185,000人程度になることが予測されています。

本計画で想定される人口(目標人口)は、185,000人(平成32年)と設定します。なお、2020プラン期間中にピークを迎えることも予想されていること及び65歳以上人口については増加し続けることに留意して、まちづくりを進めていきます。

平成32(2020)年の目標人口:185,000人

第4節 施策の大綱

施策の大綱は、将来都市像を実現するために、取り組むべき施策の方向性を示すものです。将来都市像「ともに創ろう 心つながる 夢のまち 日野」の実現に向けて、次の7つのまちづくりの柱を設定し、市民と市の協働のもとで、総合的かつ計画的にまちづくりを推進していきます。

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*「■めざすまちの姿」には、10年後の日野市の期待される姿が記されています。

―1 参画と協働のまち

■めざすまちの姿 ~10年後の姿~

・市民、地域、事業者などがそれぞれの特性を活かし、「公民」として持てる力を出し合い、地域課題の解決に取り組んでいます。

・市政やまちづくりに関する情報の共有化が進み、市民がまちづくりについて関心を持ち、まちづくりに携わっています。

・自治会などのコミュニティが活発に活動するなど、人とのつながりを大切にするまちになっています。

・性別や障害の有無などに関わらず、だれもが平等であらゆることに参加できるまちになっています。

・市は、市民ニーズを的確に把握し、市民の視点にたった真に必要なサービス提供を行い、市民からの信頼が深まっています。

・市は、最小の費用で最大の効果があがるように、将来を見据えた行財政運営を行っています。

■取組方針

・市政やまちづくりに関する情報をわかりやすく提供するなど、自立した市民との協働によりまちづくりについて考えることのできる環境を整えます。

・地域のだれもがお互いを尊重し、支え合う地域社会を実現できるよう、コミュニティ意識の醸成、男女平等などの理念の普及に取り組みます。また、コミュニティの核となる自治会、ボランティア団体やNPOなどを積極的に育成・支援します。

・市民から信頼される市となるよう、市民の視点で仕事に取り組み、主体的に行動できる職員を育成します。

・経営的視点に立った効率的で質の高い行政運営を展開します。また、不断の行財政改革に取り組むとともに、既存の公共施設の老朽化対策、維持管理、更新及び転用、統廃合などを総合的に進め、持続可能な財政運営に努めます。

―2 子どもが輝くまち

■めざすまちの姿 ~10年後の姿~

・都市機能を備えつつ、豊かな自然も身近に感じられる日野市では、子育てする若い世代が増加しています。世代を越えたネットワークの輪が広がり、子育てしやすいまちになっています。

・子育てを家族、地域、事業者、行政などが応援し、子育てをするなら日野市というイメージが定着しています。

・子どもたちは、将来の夢に向かって、いきいきと学習やスポーツに取り組み、健やかに育っています。

・豊かな自然とさまざまな人に支えられ、日野市で育った子どもたちは、日野市に愛着を持ち、住み続けたい機運を高めています。

■取組方針

・安心して子どもを生み育てられるよう、情報提供、相談体制の充実や、多様な保育サービス、子育て支援サービスを提供します。また、地域の人材や組織を活用し、世代を越えて地域ぐるみで子育てを支援する体制を構築します。

日野市子ども条例に則り、すべての子どもが自分らしく、健全に育つことを、地域ぐるみで支えられる子育て環境を整えます。また、児童虐待やいじめなどで苦しんでいる子どもを見過ごさない仕組みを充実します。

・子どもたちが、楽しく意欲的に安全に学べるよう、教育内容や施設の充実を図るとともに、学校・家庭・地域の連携を深め、子どもたちが家族や郷土を愛し、自ら学び、心豊かに成長できる教育環境を整えます。

―3 健やかでともに支えあうまち

■めざすまちの姿 ~10年後の姿~

・市民一人ひとりが健康づくりや病気の予防に心がけ、バランスがとれた食生活や適度な運動に気を配っています。

・市立病院を核として質の高い医療を受けられる医療体制が整い、市民の健康や命が守られています。

・高齢者や障害のある人などを進んで助ける心が育ち、みんなが幸せに暮らせるバリアフリーのまちになっています。

・地域の交流や助け合い活動が充実し、介護に携わる人たちもまわりの人に支えられ、いきいきと暮らしています。

・まちのあちこちで高齢者を見かけられる、高齢者が元気なまちになっています。

■取組方針

・市民一人ひとりがライフステージに応じた心と体の健康づくりに取り組めるよう、意識づくりや検診などの機会を提供します。

・市立病院を核として適切な医療が受けられる体制を整えます。

・だれもが住み慣れた地域で、安心して暮らせる社会の実現に向け、施設整備などのハード面、そして、相談体制の充実、介護予防及び介護、社会参加支援、就業支援などのソフト面からの支援を行います。また、地域福祉活動の拠点づくり、地域福祉活動の担い手育成などを通じて、市民がお互いに支え合う福祉活動を促進します。

・真に支えが必要な市民に対して、さまざまなセーフティネットによる最低限の支援を行います。

―4 日野人(ひのびと)・日野文化を育てるまち

■めざすまちの姿 ~10年後の姿~

・生涯を通じて学習したり、スポーツに親しむなど、生きがいや楽しさを感じることのできる「日野人(ひのびと)」が充実した人生を送れるまちになっています。

・生涯学習活動やスポーツ活動を通じて、いろいろな人と出会い、人と人とのつながりが芽生え、地域のつながりが育まれています。

・交流を通じてお互いに学び、体験し、まちづくりに活かしている人が増えています。

・地域の歴史や文化を大切にするとともに、新しい文化を創造・発信し、日野文化が育まれています。

■取組方針

・さまざまな世代の人が生涯学習に取り組めるよう、図書館や公民館などの生涯学習関連施設、他の集会施設などを利活用し、地域人材の発掘・育成・活用を図ることで魅力的な学習が行える場や機会を提供し、それぞれの学習活動を支援します。また、学びを通して、豊かな人間関係、地域づくり、まちづくりにつなげる仕組みづくりを進めます。

・だれもがスポーツを通じて健やかな心と体をつくれるよう、スポーツ施設を充実するとともに、講習会や教室、イベントなどを開催し、スポーツに取り組む市民のすそ野を広げます。

・文化・芸術・歴史などにふれあう場や機会を提供し、地域の誇りやふるさとへの愛着を育みます。また、国内外の垣根を越えて交流の輪を育み、日本人と外国人がお互いの考えや文化・習慣を尊重し合える社会を築きます。

―5 自然と調和した環境に優しいまち

■めざすまちの姿 ~10年後の姿~

・日野市の財産である豊かな緑、そして多摩川や浅川、湧水や用水路などの自然を守り、次代へ継承しています。

・用水路や公園・道路など身近な場所での自主的な美化活動に参加する人や地域が増え、市民とともにみどりや水の保全に積極的に取り組んでいます。

・市民、事業者、市など、それぞれが環境問題に対する正しい知識を身につけ、省エネルギーへの取り組みやごみの減量化、公共交通の利用など、地球環境への影響の小さいライフスタイルを心がけています。

■取組方針

・美しいふるさとを次代へ継承するため、低炭素型社会の構築を推進するとともに、市民一人ひとりが環境に優しいライフスタイルを心がけられるよう、情報提供や意識啓発などに取り組みます。また、日野市の財産である水と緑の保全・再生・活用に努めるとともに、多様な生物の生息・生育環境を守ります。

・生活排水や雨水の処理を適切に行い、市民の暮らしや自然環境を守ります。

・ごみゼロ社会の実現に向けて、ごみの減量化・資源化を推進するとともに、ごみ処理施設の更新を行い、廃棄物を適正に処理し、環境に優しい暮らしを支えます。

―6 安全で安心して暮らせるまち

■めざすまちの姿 ~10年後の姿~

・防犯や防災などに対する話し合いが隣り近所で行われ、地域ぐるみで安全対策に取り組んでいます。

・いざという時に、どのような行動を取ればよいのかをみんなが理解し、お互いに助け合うことができるまちになっています。

■取組方針

・防犯対策や安全対策として、防犯パトロールや講習会、相談体制を充実します。また、地域ぐるみで自主的な防犯・安全活動が積極的に行われるよう、防犯・安全に対する意識、見守りや助け合いの心を醸成するとともに、地域における防犯・交通安全活動、消費生活の安全のための活動を支援します。

・防災対策、消防力の強化に取り組むとともに、市民自身が防災力を高められるよう、情報提供や防災に関する意識や知識を高める啓発活動を行うとともに、自主防災組織など地域主体の災害対策活動を支援します。また、いざというときの危機管理体制を確立し、安全なまちづくりに取り組みます。

・防犯・防災、消費生活の安全について、地域で積極的な声かけや相談ができる体制づくりに努めます。

・高齢者や障害者など、いわゆる災害弱者への支援体制を自治会などのコミュニティとともに整備します。

―7 地域の魅力を活かした活力あるまち

■めざすまちの姿 ~10年後の姿~

・自然環境と調和した計画的なまちづくりが進められています。

・きめ細かに公共交通ネットワークが構築され、環境負荷が少なく、自家用車にたよらなくても暮らしやすいまちになっています。

・多摩川、浅川、多摩動物公園、新選組などの地域資源が活用され、市外からも多くの人が訪れる、活力にあふれたまちになっています。

・身近な場所で買い物ができるなど、暮らしやすい商業環境が整っています。

・日野市の重要な産業である工業も、地球環境や生活環境に配慮しながら進化し続けており、多摩地区有数の工業都市として活力に満ちています。

・農業に対する市民の理解が深まり、都市農業がバランスよく展開されています。

■取組方針

・貴重な自然や歴史的・文化的な景観の保全、そして防災に配慮しながら、道路、公園、公共施設などを計画的に整備します。

・だれもが安全で快適に暮らせるよう、ユニバーサルデザインの考え方に基づき、鉄道・バスなどの公共交通の利便性を高めるとともに、安全で快適な道路や交通拠点の整備を推進します。また、同居・近居も含めた三世代交流のまちづくりの推進、丘陵部における公共交通の充実など、超高齢社会に対応したまちづくりを推進します。

・市街地基盤の整備を進め、良好な住宅環境を構築するとともに、農業、商業、工業、サービス業のバランスがとれたまちづくりを進めます。

・自然環境や生活環境への配慮のもと、既存産業の振興に努めるとともに、新たな成長産業の創出・育成に努め、雇用機会を拡大します。また、魅力ある商業・サービス業・農業を振興し、まちの活性化を図ります。

・日野市の工業発展を引き続き支援し、あわせて企業跡地の活用(誘致を含む。)についても推進していきます。

・新選組や自然と歴史・文化を活かした観光産業の振興に努めます。

第5節 協働に関する考え方

本計画は、日野市の構成主体である市民、自治会などのコミュニティ、NPO、事業者、市などが協働で実現をめざす計画と位置付けています。日野市における協働の考え方を示します。

①まちづくりのあり方

私たちがめざすまちづくりのあり方は、「主権者である市民が一体となってまちづくりについて考え、その意思を政策に反映させ、その政策を市民と市が協働して実行していくこと」です。

②協働とは

協働は、まちづくりの進め方を表しており、市民と市が力を合わせて何かを生み出すことを意味します。

本計画では、協働を、①共通の社会的な目的を果たすため、②市民、自治会などのコミュニティ、NPO、事業者、市などが、③それぞれの資源や特性を持ち寄り、④対等な立場で、⑤協力して共に働くことと定義します。

③市民と市の役割

■市民の役割

○市民は、まちづくりの主役であり、主体的に地域課題などの解決などについてともに考え、行動する。

○まちづくりの担い手として、市民、自治会などのコミュニティ、NPO、事業者などがそれぞれの特性を活かし、適切な役割分担のもと、持てる力を発揮する。

■市の役割

○市は、部や課を越えた施策・事業について、常に連携の視点を持って推進する。

○市民とともに地域課題の解決などについて考え、市民、自治会などのコミュニティ、NPO、事業者などを活用・調整し、まちづくりのまとめ役を果たす。

○市民にわかりやすく情報を提供するとともに、説明責任を果たし、市民がまちづくりについて考えることのできる環境を整える。

○だれもが安心して暮らすことができるよう、もしものときのセーフティネットを整備する。

○最小の経費で最大の効果を上げられるよう、従来のやり方にとらわれず、地域の実情に合ったきめ細かなサービスを効率的かつ効果的に提供する。

④市民協働から公民協働へ

日野市では、これまで進めてきた市民との協働を一歩前進させ、より多くの市民の皆さんとの協働へと発展させていくことが課題となっています。2020プランでは、さらに多くの皆さんに、公共のために考え・行動する意識を持っていただきたいという思いを込め、市民協働ではなく、「公民協働」という言葉を用い、協働によるまちづくりを積極的に展開していきます。

■公民の意味

これまで行政の守備範囲と考えられてきた公共性・公益性の高い分野であっても行政の取り組みだけでは限界があり、めざすまちの姿を実現するためには、市民、地域などが公的サービスの担い手となることが必要であるという認識が広がっています。

このような認識を持ち、市民としての権利と責務を自覚し、まちづくりについて考え、市とともに、さらに、まちの将来像を共有し、それぞれの権利と責務を自覚して能動的にまちづくりに関わっていただく市民、自治会などのコミュニティ、NPOなどの皆さんを本市では「公民」と呼びます。

第6節 構想・計画の進行管理

本計画の進行管理は、市民、自治会などのコミュニティ、事業者、市などが計画の進捗状況や課題などを共有し、一体となってまちづくりを展開できるよう、Plan―Do―Check―ActionのPDCAサイクルの各段階において公民協働による進行管理を行います。

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《進行管理の手法》

・実施計画をもとに、主担当課・関連課が連携して事業を進め、適時、進捗状況のチェックを市が行います。

・進捗状況は、随時、市民に公表をします。

・基本計画については、3年を目途に中間検証を行います。

中間検証時には、2020プラン策定と同様、市民協働チームを組織します。

■Plan(計画)段階

・協働チーム、市民意識調査、各種インタビュー、パブリックコメントなどを通じて、市民と市の協働により、共通の目標となる計画を策定する。

■Do(実行)段階

・市は、実施計画に基づき事務事業を実施する。

・市民や事業者などは、めざすまちの姿の実現に向けて自ら行動(狭義の協働)する。

■Check(評価)段階

・市は、毎年、事務事業及び施策の進捗状況を公表する。

・市民や事業者などは、事務事業及び施策の進捗状況を確認し、意見を述べる。

■Action(改善)段階

・市は、目標達成状況を踏まえ、次年度の行動計画である実施計画を見直す。

・市民や事業者なども、目標達成状況を踏まえ、行動内容を見直す。

第5次日野市基本構想

平成23年3月28日 議決

(平成23年3月28日施行)

体系情報
第1編 規/第3章 基本構想・基本条例
沿革情報
平成23年3月28日 議決