○日田市伝統的建造物群保存地区保存条例

平成15年9月25日

条例第31号

(目的)

第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第143条第1項の規定に基づき、本市が都市計画に定める伝統的建造物群保存地区に関し、現状変更の規制その他その保存のため必要な措置を定めることにより、歴史的、文化的景観を後世に継承し、もって本市の文化的向上に資することを目的とする。

(用語の定義)

第2条 この条例において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 伝統的建造物群 法第2条第1項第6号に規定する伝統的建造物群をいう。

(2) 伝統的建造物群保存地区 法第142条に規定する伝統的建造物群保存地区(以下「保存地区」という。)をいう。

(保存計画)

第3条 日田市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、都市計画法(昭和43年法律第100号)第19条の規定により保存地区に係る都市計画の決定があったときは、日田市町並み保存審議会の意見を聴いて当該保存地区の保存に関する計画(以下「保存計画」という。)を定めなければならない。

2 前項の保存計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 保存地区の保存に関する基本計画に関する事項

(2) 保存地区内における伝統的建造物群を構成している建築物その他の工作物(以下「伝統的建造物」という。)及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件(以下「環境物件」という。)の決定に関する事項

(3) 伝統的建造物及び環境物件等の保存整備計画に関する事項

(4) 伝統的建造物及び環境物件等の保存整備に係る助成措置等に関する事項

(5) 保存地区の保存のため必要な管理施設及び設備並びに環境の整備に関する事項

3 教育委員会は、第1項の保存計画を定めたときは、これを告示しなければならない。

4 第1項及び前項の規定は、保存計画を変更する場合について準用する。

(現状変更行為の規制)

第4条 保存地区内において次に掲げる行為は、市長及び教育委員会の許可を受けなければ、してはならない。

(1) 建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)の新築、増築、改築、移転又は除却

(2) 建築物等の修繕、模様替え又は色彩の変更でその外観を変更することとなるもの

(3) 宅地の造成その他の土地の形質の変更

(4) 木竹の伐採

(5) 土石の類の採取

(6) 水面の埋立

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる行為については、同項の規定による許可を受けることを要しない。

(1) 非常災害のための必要な応急措置として行う行為

(2) 次に掲げる工作物(建築物以外の工作物をいう。以下同じ。)の新築、増築、改築、移転又は除却

 仮設の工作物

 水道管、下水道管、井戸その他これらに類する工作物で地下に設けるもの

(3) 次に掲げる木竹の伐採

 間伐、枝打ち、整枝等木竹の保育のため通常行われる木竹の伐採

 枯損した木竹又は危険な木竹の伐採

 病害虫等防除のための木竹の伐採

 自家の生活の用に充てるために必要な木竹の伐採

 仮植した木竹の伐採

(4) 保存計画に定められた前条第2項第5号に規定する事項に関して行う行為

(5) 前各号に掲げるもののほか、次に掲げる行為

 法令又はこれに基づく処分による義務の履行として行う行為

 大分県公安委員会及び道路管理者が行う道路標識等の設置又は管理に係る行為

 その他市長又は教育委員会が認める行為

3 市長及び教育委員会は、第1項の許可をするときは、保存地区の保存のため必要な限度において条件を付することができる。

(許可の基準)

第5条 市長及び教育委員会は、前条第1項各号に掲げる行為で次の各号に定める基準(市長にあっては、第8号に定める基準)に適合しないものについては、同項の許可をしてはならない。

(1) 伝統的建造物の増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の伝統的建造物の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。

(2) 伝統的建造物の移転(同一保存地区内における当該伝統的建造物の移築を含む。以下この号において同じ。)については、移転後の伝統的建造物の位置及び移転後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。

(3) 伝統的建造物の除却については、除却後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。

(4) 伝統的建造物以外の建築物等の新築、増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の当該建築物等の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

(5) 前号に規定する建築物等の移転については、移転後の当該建築物等の位置及び移転後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

(6) 第4号に規定する建築物等の除却については、除却後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

(7) 前条第1項第3号から第6号までに掲げる行為については、それらの行為後の地貌その他の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

(8) 前各号に定めるもののほか、当該行為後の建築物等又は土地の用途等が当該伝統的建造物群の保存又は当該保存地区の環境の維持に著しい支障を及ぼすおそれがないものであること。

(国の機関等に関する特例)

第6条 国若しくは地方公共団体の機関又は法令の規定により国の行政機関若しくは地方公共団体とみなされた法人(以下「国の機関等」という。)が行う行為については、第4条第1項の許可を受けることを要しない。この場合において、当該国の機関等は、第4条第1項の許可に係る行為をしようとするときは、あらかじめ、市長及び教育委員会に協議しなければならない。

(都市計画事業等の特例)

第7条 都市計画事業の施行として行う行為、都市公園若しくは都市公園施設、公衆電話施設、電気工作物若しくはガス工作物、水道若しくは下水道の設置又は管理に係る行為その他の行為で規則及び教育委員会規則で定めるものについては、第4条第1項及び前条の規定は適用しない。この場合において、第4条第1項の許可又は前条の協議に係る行為をしようとするときは、あらかじめ、市長及び教育委員会にその旨を通知しなければならない。

(助言等)

第8条 市長及び教育委員会は、保存地区の保存のために必要があると認めるときは、保存地区内において第4条第1項各号に掲げる行為をしようとする者又はした者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。

(許可の取消し等)

第9条 市長及び教育委員会は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、保存地区の保存のため必要な限度において、第4条第1項の規定によってした許可を取り消し、又は工事その他の行為の停止を命じ、若しくは相当の期限を定めて、建築物等の改築、移転又は除却その他違反を是正するため必要な措置を執ることを命ずることができる。

(1) この条例の規定又はこれに基づく処分に違反した者

(2) この条例の規定又はこれに基づく処分に違反した工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないで自らその工事をしている者若しくはした者

(3) 第4条第3項の規定により許可に付された条件に違反している者

(4) 詐欺その他不正な手段により第4条第1項の許可を受けた者

2 市長及び教育委員会は、前項の規定により処分をし、又は必要な措置を執ることを命じようとするときは、あからじめ、日田市町並み保存審議会の意見を聴き、かつ、当該処分又は措置を命ずべき者について聴聞を行わなければならない。

(損失の補償)

第10条 市は、第4条第1項の許可を受けることができなかったことにより、損失を受けた者に対しては、通常生ずべき損失を補償するものとする。

(経費の補助等)

第11条 市は、保存地区内における伝統的建造物及び環境物件等の管理、修理、修景又は復旧について、自ら保存のため適当な措置を行い、又は当該物件の所有者等に対し、その経費の一部を補助することができる。

2 市は、保存地区内の住民により組織された保存会又は保存活動を推進する組識等に対し、予算の範囲内において保存地区内の保存管理に要する経費の一部を補助することができる。

(審議会)

第12条 教育委員会に日田市町並み保存審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長及び教育委員会の諮問に応じ、保存地区の保存等に関する重要事項について調査審議し、及びこれらの事項について市長及び教育委員会に建議する。

3 審議会の委員の定数は、20人以内とし、学識経験者、関係行政機関の職員、関係地域を代表する者等のうちから、教育委員会が委嘱する。

4 委員の任期は、2年とし、再任されることを妨げない。ただし、委員に欠員ができた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 審議会に、専門の事項について必要があるときは、臨時委員を置くことができる。

6 臨時委員は、教育委員会が審議会の意見を聴いて委嘱する。

7 臨時委員は、専門の事項について調査審議し、審議会への報告が完了したときは、解嘱されるものとする。

8 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。

(規則への委任)

第13条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則及び教育委員会規則で定める。

(罰則)

第14条 次の各号の一に該当する者は、5万円以下の罰金に処する。

(1) 第4条第1項の規定に違反した者

(2) 第9条第1項の規定による命令に違反した者

(両罰規定)

第15条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産の管理に関して前条に規定する違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、同条の罰金刑を科する。

(施行期日)

1 この条例は、都市計画に定める伝統的建造物群保存地区に係る都市計画の決定の告示のあった日(附則第4項において「施行日」という。)から施行する。ただし、第12条の規定及び次項の規定は、公布の日から施行する。(平成16年告示第117号により、平成16年7月15日から施行)

(日田市特別職の職員で非常勤の者の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 日田市特別職の職員で非常勤の者の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年条例第167号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(日田市都市景観条例の一部改正)

3 日田市都市景観条例(平成3年条例第22号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(日田市都市景観条例の一部改正に伴う経過措置)

4 前項の規定による改正後の日田市都市景観条例第36条の規定は、施行日以後に同条例第10条第1項各号に掲げる行為をしようとする場合について適用する。ただし、施行日前に同項の規定により届出がされている行為については、なお従前の例による。

(平成17年3月22日条例第8号)

この条例は、平成17年4月1日から施行する。

日田市伝統的建造物群保存地区保存条例

平成15年9月25日 条例第31号

(平成17年4月1日施行)