○宝達志水町職員懲戒処分等の基準
平成18年10月2日
訓令第8号
第1 基本的事項
1 基準の性格
職員は、町民の信頼にこたえるため、日頃から誠実かつ公正に職務を遂行することが求めれている。そのためには、職員一人ひとりが全体の奉仕者としての責任を強く自覚し、高い倫理観をもって行動することが必要である。
この基準は、懲戒処分等に関する透明性、公正性を確保し、非違行為に対して厳正に対処することを示すことにより、職員に公務員としての自覚を喚起し、不祥事の防止を図ることを目的とするものである。
2 処分量定の決定
この基準では、非違行為の代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な処分量定を掲げたものである。具体的な量定の決定に当たっては、
(1) 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか。
(2) 故意又は過失の度合いはどの程度であったか。
(3) 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか。
(4) 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか。
(5) 過去に非違行為を行っているか。
等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮のうえ判断するものとする。
なお、個別の事案の内容や状況によっては、標準例に掲げる量定とせず、加重又は軽減することもある。
3 処分量定の加重
次の場合には、標準例に掲げる量定より重い量定とすることを原則とする。
(1) 職員の行った行為の態様等が極めて悪質であるとき。
(2) 職員が行った行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき。
(3) 職員が管理又は監督の地位にあるなどその占める職責の度が特に高いとき。
(4) 職員が非違行為に該当する行為を行ったことを理由として過去に懲戒処分を受けたことがあるとき。
4 処分量定の軽減
次の場合には、標準例に掲げる量定より軽い量定とすることを原則とする。
(1) 職員の日頃の勤務態度が極めて良好であるとき。
(2) 職員が自らの行為が発覚する前に自主的に申し出たとき。
(3) 職員が行った行為の非違の程度が軽微である等特別の事情があるとき。
また、職員が行った行為が標準例に掲げる非違行為に該当する場合において、当該職員が行った当該非違行為の態様等に照らし懲戒処分を行わないこともある。
なお、標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては標準例に掲げる取り扱いを参考に判断するものとする。
第2 懲戒処分等の種類
1 懲戒処分
地方公務員法第29条(昭和25年法律第261号)の規定により職員の非違行為に対し、任命権者が辞令及び処分説明書により行う次の処分が懲戒処分である。
(1) 免職 職員としての身分を失わせる処分
(2) 停職 身分を確保したまま、1日以上6月以下の間、職務に従事させない処分
(3) 減給 1日以上6月以下の間、給料の月額の10分の1以下に相当する額を給与から減ずる処分
(4) 戒告 非違行為の責任を確認させ、その将来を戒める処分
2 監督、指導上の措置
地方公務員法第29条の規定による懲戒処分には該当しないが、自己の行為に対しての責任や、管理監督責任を自覚させ、将来を戒めて、職務遂行に対する町政の改善、意識向上等を目的として行う文書又は口頭による次の処分が監督、指導上の措置である。
(1) 訓告 懲戒処分には至らない非違行為に対して行う文書により行う監督、指導上の措置
(2) 厳重注意 訓告よりも軽微な非違行為に対して文書又は口頭により行う監督、指導上の措置
第3 公表
懲戒処分を行った場合の公表については、次のように取り扱うものとする。
1 公表対象
(1) 職務遂行上の行為又はこれに関連する行為に係る懲戒処分
(2) 職務に関連しない行為に係る懲戒処分のうち、免職又は停職である懲戒処分
(3) 懲戒処分を受けた職員の管理監督責任に係る監督、指導上の措置
2 公表内容
(1) 処分理由(事案の概要)
(2) 処分量定
(3) 処分年月日
(4) 所属
(5) 管理職員、一般職員の別
3 公表の例外
(1) 被害者又はその関係者のプライバシー等の権利利益を侵害するおそれがある場合、職員個人が特定されるおそれがある場合等は、公表の内容の一部又は全部を公表しないこともある。
(2) 非違行為の内容が重大であり、警察等で所属や氏名が公にされているなど社会的影響が大きいときは氏名等も公表するものとする。
4 公表時期及び方法
公表は、懲戒処分を行った後、速やかに新聞社へ資料提供し公表するものとする。
また、宝達志水町人事行政の運営等の状況の公表に関する条例(平成17年宝達志水町条例第170号)第4条に基づき、懲戒処分等の状況を公表するものとする。
第4 非違行為と処分量定の標準
1 一般服務関係
(1) 欠勤 | ||
ア | 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員 | 減給又は戒告 |
イ | 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員 | 停職又は減給 |
ウ | 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員 | 免職又は停職 |
(2) 遅刻・早退 | ||
| 勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員 | 戒告 |
(3) 休暇の虚偽申請 | ||
| 病気休暇又は特別休暇について虚偽の申請をした職員 | 減給又は戒告 |
(4) 勤務態度不良 | ||
| 勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員 | 減給又は戒告 |
(5) 職場内秩序びん乱 | ||
ア | 上司等に対する暴行により職場の秩序を乱した職員 | 停職又は減給 |
イ | 上司等に対する暴言により職場の秩序を乱した職員 | 減給又は戒告 |
(6) 虚偽報告 | ||
| 事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員 | 減給又は戒告 |
(7) 違法な職員団体活動 | ||
ア | 地方公務員法第37条第1項前段の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をした職員 | 減給又は戒告 |
イ | 地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった職員 | 免職又は停職 |
(8) 秘密漏えい | ||
ア | 職務上知ることのできた秘密を漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員 | 免職又は停職 |
イ | 具体的に命令され、又は注意喚起された情報セキュリティ対策を怠ったことにより、職務上の秘密が漏えいし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員 | 停職、減給又は戒告 |
(9) 個人の秘密情報の目的外収集 | ||
| その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した職員 | 減給又は戒告 |
(10) 政治的目的を有する文書の配布 | ||
| 政治的目的を有する文書を配布した職員 | 戒告 |
(11) 兼業の承認等を得る手続の懈怠 | ||
| 営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員 | 減給又は戒告 |
(12) 入札談合等に関与する行為 | ||
町が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行った職員 | 免職又は停職 | |
(13) 公文書の不適当な取扱い | ||
ア | 公文書を偽造し、若しくは変造し、若しくは虚偽の公文書を作成し、又は公文書を破棄した職員 | 免職又は停職 |
イ | 決裁文書を改ざんした職員 | 免職又は停職 |
ウ | 公文書を改ざんし、紛失し、又は誤って破棄し、その他不適正に取り扱ったことにより、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員 | 停職、減給又は戒告 |
(14) セクシャルハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動) | ||
ア | 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした職員 | 免職又は停職 |
イ | 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員 | 停職又は減給 |
この場合においてわいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したとき、当該職員 | 免職又は停職 | |
ウ | 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った職員 | 減給又は戒告 |
(15) パワー・ハラスメント | ||
ア | パワー・ハラスメント(人事院規則10―16(パワー・ハラスメントの防止等)第2条に規定するパワー・ハラスメントをいう。以下同じ。)を行ったことにより、相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えた職員 | 停職、減給又は戒告 |
イ | パワー・ハラスメントを行ったことについて指導、注意を受けたにもかかわらず、パワー・ハラスメントを繰り返した職員 | 停職、減給又は戒告 |
ウ | パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患させた職員 | 免職、停職又は減給 |
注) 処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質情等も情状のとして考慮のうえ判断するものとする。
2 公金官物取り扱い関係
(1) 横領 | ||
| 公金又は官物を横領した職員 | 免職 |
(2) 窃取 | ||
| 公金又は官物を窃取した職員 | 免職 |
(3) 詐取 | ||
| 人を欺いて公金又は官物を交付させた職員 | 免職 |
(4) 紛失 | ||
| 公金又は官物を紛失した職員 | 戒告 |
(5) 盗難 | ||
| 重大な過失により公金又は官物の盗難に遭った職員 | 戒告 |
(6) 官物損壊 | ||
| 故意に職場において官物を損壊した職員 | 減給又は戒告 |
(7) 出火・爆発 | ||
| 過失により職場において官物の出火、爆発を引き起こした職員 | 戒告 |
(8) 諸給与の違法支払・不適正受給 | ||
| 故意に法令に違反して諸給与を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員 | 減給又は戒告 |
(9) 公金官物処理不適正 | ||
| 自己保管中の公金の流用等公金又は官物の不適正な処理をした職員 | 減給又は戒告 |
(10)コンピュータの不適正利用 | ||
| 職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職員 | 減給又は戒告 |
3 公務外非行関係
(1) 放火 | ||
| 放火をした職員 | 免職 |
(2) 殺人 | ||
| 人を殺した職員 | 免職 |
(3) 傷害 | ||
| 人の身体を傷害した職員 | 停職又は減給 |
(4) 暴行・けんか | ||
| 暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったとき | 減給又は戒告 |
(5) 器物損壊 | ||
| 故意に他人の物を損壊した職員 | 減給又は戒告 |
(6) 横領 | ||
| 自己の占有する他人の物(公金又は官物を除く。)を横領した職員 | 免職又は停職 |
(7) 窃盗・強盗 | ||
ア | 他人の財物を窃取した職員 | 免職又は停職 |
イ | 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員 | 免職 |
(8) 詐欺・恐喝 | ||
| 人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員 | 免職又は停職 |
(9) 賭博 | ||
ア | 賭博をした職員 | 減給又は戒告 |
イ | 常習として賭博をした職員 | 停職 |
(10) 麻薬、覚醒剤等の所持又は使用 | ||
| 麻薬、覚醒剤等を所持し又は使用した職員 | 免職 |
(11) 酩酊による粗野な言動等 | ||
| 酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした職員 | 減給又は戒告 |
(12) 淫行 | ||
| 18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行した職員 | 免職又は停職 |
(13) 痴漢行為 | ||
| 公共の乗物等において痴漢行為をした職員 | 停職又は減給 |
(14) 盗撮行為 | ||
公共の場所若しくは乗物において他人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体の盗撮行為をし、又は通常衣服の全部若しくは一部を着けていない状態となる場所における他人の姿態の盗撮行為をした職員 | 停職又は減給 |
4 交通事故・交通法規違反関係
(1) 飲酒運転
ア | 酒酔い運転で検挙された職員 | 免職 |
イ | 酒気帯び運転で人を死亡させた職員 | 免職 |
ウ | 酒気帯び運転で人に傷害を負わせた職員 | 免職又は停職 2箇月 |
この場合において措置義務違反をした職員 | 免職 | |
エ | 酒気帯び運転で検挙された職員 | 減給 10% 6箇月 |
(2) 交通法規違反(飲酒運転以外)関係
飲酒運転以外の交通法規に違反する行為については、違反事由、事故の程度、事故後の措置義務違反の有無等について、それぞれの自責点数の和を算出することにより、懲戒処分の基準とする。
ア 懲戒処分の基準
懲戒処分 | 自責点数 | 懲戒処分 | 自責点数 | ||
免職 | 35 | 減給(10%) | 6箇月 | 20~21 | |
停職 | 6箇月 | 32~34 | 5箇月 | 18~19 | |
5箇月 | 30~31 | 4箇月 | 16~17 | ||
4箇月 | 28~29 | 3箇月 | 14~15 | ||
3箇月 | 26~27 | 2箇月 | 12~13 | ||
2箇月 | 24~25 | 1箇月 | 10~11 | ||
1箇月 | 22~23 | 戒告 | 6~9 |
イ 自責点の算出
次の(ア)、(イ)、(ウ)の各当該点数の和を自責点数とする。
(ア) 違反点数
違反事由 | 点数 |
無免許運転 | 12 |
速度超過 50km以上 | 12 |
速度超過 30km以上50km未満 | 6 |
その他(交通違反点数に準じる。) | 1~3 |
(イ) 事故加算点数
事故の程度 | 点数 | 適用 |
死亡 | 20~23 | 責任の度合に応じて決定 |
傷害(重傷) | 5~19 | 3箇月以上の場合 |
傷害(軽傷)、物損 | 1~4 | 3箇月未満の場合 |
① 傷害を受けた者(加害者を除く。)が2人以上の場合は、その最も重い者を対象とする。
② 傷害の程度は、事故当時の医者の診断により判定する。
(ウ) 措置義務違反加算点数
区分 | 点数 |
ひき逃げ(人身事故) | 10 |
あて逃げ(物損事故) | 1~4 |
(3) その他
ア 違反を起こした者(以下「違反者」という。)以外の者で、次に該当するものについては、同様の処分とする。
(ア) 違反者と行動を共にした者
(イ) 違反者が車両を運転することを知りながら飲酒運転を勧め、又は飲酒させた者
イ この基準の算定は、1回ごとのものとし、違反点数及び加算点数を加えた和が、6点以上となるときは、速やかに(原則として3日以内)所属長を経て総務課長に届出しなければならない。
ウ 届出のない場合で、後に発覚した場合には50%増とする。
エ 管理職員及び前歴(過去1年間)を有する職員については処分を重くすることができる。
オ 次に該当する場合は、情状により処分を軽減することができる。
(ア) 相手方に過失が認められる場合
(イ) その他任命権者において特に事情があると認めた場合
5 監督責任関係
(1) 指導監督不適正 | ||
| 部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた職員 | 減給又は戒告 |
(2) 非行隠ぺい、黙認 | ||
| 部下職員の非違行為を知得したにも関わらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した職員 | 停職又は減給 |
第5 その他
1 この基準により懲戒処分を行うため協議する場合は、宝達志水町職員分限懲戒審査委員会規程(平成17年宝達志水町訓令第11号)に基づく委員会によるものとする。
附則
この訓令は、公表の日から施行する。
附則(令和3年7月30日訓令第3号)
この訓令は、公表の日から施行する。