○一関市総合計画基本構想

平成27年3月12日

議決

序章

私たちのまち「いちのせき」は、平成17年9月に旧一関市、花泉町、大東町、千厩町、東山町、室根村、川崎村の1市4町2村が合併し誕生、さらに、平成23年9月に藤沢町と合併し、現在の「一関市」となりました。

合併前のそれぞれの市町村では魅力あるまちづくりを進めるとともに、生活圏・経済圏・文化圏を同じくする地域として、連携し、協力し合いながら地域づくりに取り組んできました。

こうして築きあげられてきた絆をもとに、地域発展に対する強い意志を結集し、目指すべき将来像をひとつにする新しいまちが生まれました。

これまで、平成18年度(2006年度)から平成27年度(2015年度)までの10年間を計画期間とする一関市総合計画(基本構想、基本計画、実施計画)に基づき、基本構想に掲げた将来像「人と人 地域と地域が結び合い 未来輝く いちのせき」の実現に向け、総合的かつ計画的なまちづくりを進めてきました。

また、新市としての基礎づくりに加え、一関、花泉、大東、千厩、東山、室根、川崎、藤沢の各地域において、それぞれの特色を生かした事業に取り組むとともに、地域課題の解決に向けた対応をしてきたことから、当市の目指す中東北の拠点都市の形成に向けたまちづくりは順調に進んでいます。

一関市は、岩手県南に広がる豊かな風土に抱かれ、美しい自然と伝統ある特有の文化や産業が息づき、これらは人々の心のよりどころにもなっています。こうした財産を資源としてとらえ、育み、生かすことで、まちはさらに発展することが期待できます。

今後は、少子化、高齢化及び人口減少が進行することが見込まれており、地域の活力の低下など多方面に大きな影響が及ぶことが懸念されます。一関市が活力あるまちとしてさらに発展していくためには、これらの課題に正面から向き合いまちづくりを進めていく必要があります。

そのためには、社会経済情勢の変化や課題を踏まえ、新たな視点で一関市の将来を切り開くための計画を定めて、市民、地域、行政がまちづくりの主体として絆と連携を深め、共にまちづくりを進めていくことが大切です。

そして、すべての市民が健康で生きがいのある暮らしを送ることができ、子どもからお年寄りまで、みんなの心が通い合い支え合う住み良いまちを築いていかなければなりません。

また、今を生きる私たちのためだけではなく、次代を担う子どもたちのために、安心して暮らせるまち、自信を持って誇れるまちを創造していくことが私たちに課せられた使命です。

私たちは、自らの手で、未来の一関への熱い思いを込めてこの計画を策定し、みんなで手を携え、幸せに満ちた明日を創りあげることを目指します。

この基本構想は、平成28年度(2016年度)を初年度とし、平成37年度(2025年度)を目標年次とします。

第1章 一関市の将来像

みつけよう育てよう 郷土の宝 いのち輝く一関

まちの主役は市民一人ひとりです。

市民一人ひとりが個性や能力を生かしながら、自らが主体となってまちづくりを進めることで、いきいきとしたコミュニティが生まれ、人もまちも輝きます。

一関市には、人と自然の中で培われた歴史や文化があり、それぞれの地域には、豊かなコミュニティがあります。市民が地域の中で、自己実現を目指しながら、互いに認め合い、支え、助け合うことにより、生涯にわたり健やかで心豊かに、幸せを感じながら暮らしていくことができます。

また、自然、歴史、文化などの地域資源だけではなく、市民や市民のネットワークも郷土の宝として育み、まちづくりに活用していくことで、新たな魅力が生まれ、誇れるまちになります。

市民一人ひとりの幸せを実現するため「みつけよう育てよう 郷土の宝 いのち輝く一関」を私たちのまちの将来像に掲げます。

第2章 将来像を実現するためのまちづくりの考え方

将来像を実現するためには、市民、地域、企業、行政などが協働でまちづくりに取り組むことが必要です。

そこで、次の4つの考え方でまちづくりを進めていきます。

●「郷土の宝物」 地域資源を活用しよう

豊かな自然、歴史、文化などの風土や農林水産物、鉱工業品及びその生産技術、観光資源などの先人が守り、築いてきた地域資源は、一関市に輝きを与える宝物です。

これらの地域資源を十分に活用するほか、まだ気づかれていない資源を市民一人ひとりの知恵と工夫により掘り起こし、みがき、活用します。

●「市民主体」 自ら考え共に行動しよう

市民は、互いに助け合いながらまちづくりに主体的に参画します。

行政は、市民がまちづくりについて知り、考え、行動できるような市政を推進し、市民とともにまちづくりに取り組みます。

市民、地域、企業、行政など多様な担い手が、それぞれの立場や責任に応じて協力関係を築き、役割を分担し、共に行動します。

●「次世代人材支援」 郷土を誇りに思う心を育てよう

まち全体で人を育てることは、郷土を誇りに思う心を育み、この誇りが地域づくりを担う気持ちへとつながります。

家庭、地域、学校、企業、行政などそれぞれの持てる力を結集し、次代の一関を担う人材を育成します。

●「安全・安心」 みんなで支え合い暮らしていこう

すべての市民が、自然災害や今と将来の生活などに不安を感じることなく安全に安心して暮らせることは、まちづくりの根幹となるものです。

行政、関係機関、地域などが協力し合い、安全なまちを実現するとともに、いつまでも安心して暮らしていくことができるよう、市民同士が互いにつながり、共に支え合います。

第3章 将来像を実現するためのまちづくりの目標

将来像を実現するためには、どのような施策に取り組んでいくかの考えをしっかりと持ち、着実にまちづくりを進めていくことが必要です。

そこで、各施策を体系的かつ効果的に展開していくため、次の5つをまちづくりの目標に掲げます。

1 地域資源をみがき生かせる魅力あるまち

まちを持続的に発展させていくためには、地域を支える産業を振興し、一人ひとりが持てる力を発揮することができる場を創出することが必要です。

地域資源や地域特性を生かした事業の創出や誘致に取り組むとともに、既存産業の振興を図り、若者が地域に定着する魅力あるまちを目指します。

2 みんなが交流して地域が賑わう活力あるまち

活力ある地域となるためには、新しい風を呼び込み、市内外で交流、連携し、市民活動や経済活動を活性化させていかなければなりません。

人、もの、情報が行き交うための基盤整備を促進するとともに、国際化に対応した地域づくりを進め、活発な交流により活力あるまちを目指します。

3 自ら輝きながら次代の担い手を応援するまち

将来にわたって誇れるまちづくりを進めるためには、家庭、地域、学校、企業、行政などが一体となり、次代を担う人材を育てることが必要です。

市民一人ひとりが生涯にわたっていきいきと暮らしながら、子どもを安心して生み育てられる環境づくりにみんなで取り組み、自らが輝き、人が集うまちを目指します。

4 郷土の恵みを未来へ引き継ぐ自然豊かなまち

豊かな自然は市民の心の支えであり誇りでもあることから、この貴重な自然の恵みを確実に次の世代へ引き継いでいかなければなりません。

自然環境と調和した快適で住み良い生活環境の整備を進めていくとともに、省エネルギー、再生可能エネルギーの取り組みを推進し、循環型社会の構築にみんなで取り組み、環境にやさしいまちを目指します。

5 みんなが安心して暮らせる笑顔あふれるまち

市民誰もが健康で心豊かに自立した生活を送るためには、市民、地域、企業、行政などが一体となって安全な環境を築き、市民が互いに支え合い安心して暮らせることが必要です。

東日本大震災等の経験を踏まえ、災害に強いまちを目指すとともに、市民の健康に関する意識の向上を図り、健康寿命を延ばすための取り組みを進め、いつまでも笑顔で暮らすことができるまちを目指します。

第4章 将来像を実現するためのまちづくりの進め方

将来像を実現するためには、どのような点に留意してまちづくりを進めるかを決めておくことが必要です。

そこで、次の3つの推進方策のもと、まちづくりを進めていきます。

1 市民と行政の協働のまちづくり

市民主体の考え方のもと、地域資源を活用したまちづくりを進めるためには、市民が郷土に誇りと愛着を持ち、地域の特性や課題などを共有しながら、自らがまちづくりの担い手であるという意識を持ってまちづくりに参画し行動していく必要があります。

また、市民と行政とが互いの信頼関係を構築し、連携して課題に取組んでいく「協働のまちづくり」が不可欠であり、自治会やNPOなどをはじめとする市民組織や企業、行政など多様な主体が互いに支え合い、補完しながら行動していくことが大切です。

これまで培われてきた地域内のつながりやコミュニティを尊重しながら、市民が主体となって行う地域づくり活動を支援するとともに、活動の中心的な役割を担う組織や人材の育成、活動の拠点の充実を図り協働を進めます。

市民一人ひとりが地域を創る一員となり、連携を強化し創意工夫により様々な協働の形をつくり行動することによって、支え合いの仕組みが実践される住み良い地域社会の実現を目指します。

2 健全な行財政運営

市民と行政の協働のまちづくりのためには、市民の視点に立った行政運営を行うことが必要であり、市民への説明責任を果たすとともに透明性の確保を図ります。

また、5つのまちづくりの目標を達成するためには、その裏付けとなる財政の健全性の確保が必要であり、中長期的な財政見通しのもと、コスト縮減に努めるなど健全な財政運営を堅持します。

さらに、少子高齢化や人口減少などの社会構造の変化に対応した行政サービスが提供できるよう、課題や需要を常に点検しながら行財政改革を推進するとともに簡素で効率的な組織機構の構築を図り、また効果的かつ効率的に事業を執行します。

3 広域連携の推進

5つのまちづくりの目標は一関市のみで成し得るものではなく、関係する自治体等と協力、連携しながら進めることで、より効果的なものとすることができます。

このため、岩手県南地域、宮城県北地域等の市町村との連携を深め、少子高齢化や人口減少などの課題に対応できるよう暮らしに必要な諸機能を総体として確保するとともに、中東北の拠点都市としての機能の充実を図り、より強く魅力あふれる圏域の形成を目指します。

特にも、生活圏を同じくし定住自立圏を形成する平泉町とは、互いの特性と機能を生かしながら一層の連携強化を図り、一体の圏域としての発展を目指します。

また、姉妹都市、友好都市等と培ってきたこれまでの取り組みを生かしながら、各地域との多彩な交流を推進し「いちのせき」を東北、全国そして世界に発信します。

一関市総合計画基本構想

平成27年3月12日 議決

(平成27年3月12日施行)