○伊平屋村船舶安全管理規程
平成18年10月10日
訓令第23号
伊平屋村船舶運航管理規程(昭和53年訓令第1号)の全部を改正する。
目次
第1章 総則(第1条~第3条)
第2章 経営トップの責務(第4条~第7条)
第3章 安全管理の組織(第8条)
第4章 安全統括管理者及び運航管理者等の選解任並びに代行の指名(第9条~第13条)
第5章 安全統括管理者及び運航管理者等の勤務体制(第14条・第15条)
第6章 安全統括管理者及び運航管理者等の職務及び権限(第16条~第18条)
第7章 安全管理規程の変更(第19条)
第8章 運航計画、配船計画及び配乗計画(第20条~第22条)
第9章 運航の可否判断(第23条~第27条)
第10章 運航に必要な情報の収集及び伝達(第28条~第30条)
第11章 輸送に伴う作業の安全の確保(第31条~第37条)
第12章 輸送施設の点検整備(第38条~第40条)
第13章 海難その他の事故の処理(第41条~第48条)
第14章 安全に関する教育、訓練及び内部監査等(第49条~第53条)
第15章 雑則(第54条・第55条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は、経営トップが定める明確な安全方針に基づき、公営企業課内に安全最優先意識の徹底を図り、全職員がこれを徹底して実行すべく、当村の使用する旅客船(以下「船舶」という。)の業務(付随する業務を含む。以下同じ。)を安全、適正かつ円滑に処理するための責任体制及び業務実施の基準を明確にし、もって全職員一丸となって輸送の安全を確保することを目的とする。
番号 | 用語 | 意義 |
(1) | 安全マネジメント態勢 | 経営トップにより、公営企業課内で行われる安全管理が、あるべき手順及び方法に沿って確立され、実施され、維持される状態 |
(2) | 経営トップ | 事業者において最高位で指揮し、管理する個人又はグループ |
(3) | 安全方針 | 経営トップがリーダーシップを発揮して主体的に関与し設定された輸送の安全を確保するための会社全体の意図及び方向性 |
(4) | 安全重点施策 | 安全方針に沿って追求し、達成を目指すための具体的施策 |
(5) | 安全統括管理者 | 経営トップが選出した、輸送の安全を確保するための管理業務を統括管理する者 |
(6) | 運航管理者 | 船長の職務権限に属する事項以外の船舶の運航の管理に関する統括責任者 |
(7) | 運航管理員 | 運航管理者以外の者で船舶の運航の管理に従事する者 |
(8) | 運航管理補助者 | 運航管理者又は副運航管理者の職務を補佐する者 |
(9) | 運航管理者代行 | 運航管理者が職務を執行できないとき、その職務を代行する者 |
(10) | 陸上作業員 | 陸上において、旅客又は車両の整理、誘導等の作業に従事する者 |
(11) | 船内作業員 | 船舶上において、旅客又は車両の整理、誘導等の作業に従事する者 |
(12) | 運航計画 | 起終点、寄港地、航行経路、航海速力、運航回数、発着時刻等に関する計画 |
(13) | 配船計画 | 運航計画を実施するための船舶の特定、当該船舶の回航及び入渠、予備船の投入等に関する計画 |
(14) | 配乗計画 | 乗組員の編成、勤務割り等に関する計画 |
(15) | 発航 | 現在の停泊場所を解らん又は抜錨して次の目的港への航海を開始すること |
(16) | 基準航行 | 基準経路を基準速力により航行すること |
(17) | 港内 | 港則法に定める港の区域内(港則法に定めのない港については港湾法の港湾区域内、港則法及び港湾法の適用のない港については社会通念上港として認められる区域内)。ただし、港域が広大であって船舶の運航に影響を与えるおそれのない港域を除く。 |
(18) | 入港 | 港の区域内、港湾区域内等において、狭水路、関門等を通航して防波堤等の内部へ進航すること |
(19) | 運航 | 「発航」、「基準経路及び基準速力による航行の継続」又は「入港(着岸)」を行うこと |
(20) | 反転 | 目的港への航行の継続を中止し、発航港へ引返すこと |
(21) | 気象・海象 | 風速(10分間の平均風速)、視程(目標を認めることができる最大距離)ただし、視程が方向によって異なる場合はその中の最小値をとる。)及び波高(隣り合った波の峰と谷との鉛直距離) |
(22) | 運航基準図 | 航行経路(起終点、寄港地、針路、変針点等)、標準運航時刻、航海速力、船長が甲板上の指揮をとるべき区間、その他航行の安全を確保するために必要な事項を記載した図面 |
(23) | 船舶上 | 船舶の舷側より内側。ただし、舷てい、歩み板、シップランプ等船舶側から属具又は施設を架設した場合はその先端までを含む。 |
(24) | 陸上 | 船舶上以外の場所。ただし、陸上施設の区域内に限る。 |
(25) | 危険物 | 危険物船舶運送及び貯蔵規則第2条に定める危険物 |
(26) | 陸上施設 | 岸壁(防舷設備を含む。)、可動橋、人道橋、旅客待合室、駐車場等船舶の係留、旅客及び車両の乗降等の用に供する施設 |
(27) | 車両 | 道路運送車両法第2条第1項に規定する「道路運送車両」 |
(28) | 自動車 | 道路運送車両法第2条第2項に規定する自動車であって、2輪のもの以外のもの |
(運航基準、作業基準、事故処理基準)
第3条 この規程の実施を図るため、運航基準、作業基準、事故処理基準を定める。
2 船舶の運航については、この規程及び運航基準に定めるところによる。
3 旅客の乗下船、車両の積込み、積付け及び陸揚げ、船舶の離着岸等に係る作業方法、危険物等の取扱い、旅客への遵守事項の周知等については、この規程及び作業基準に定めるところによる。
4 事故発生時の非常連絡の方法、事故処理組織、その他事故の処理に必要な事項については、この規程及び事故処理基準に定めるところによる。
第2章 経営トップの責務
(経営トップの主体的関与)
第4条 船舶による輸送の安全確保のため、経営トップは次に掲げる事項について主体的に関与し、公営企業課(船舶)全体の安全マネジメント態勢を適切に運営する。
(1) 関係法令及び社内規程の遵守と安全最優先の原則の徹底
(2) 安全方針の設定
(3) 安全重点施策の策定及び確実な実行
(4) 重大な事故等に対する確実な対応
(5) 安全マネジメント態勢を確立し、実施し、維持するために、かつ、輸送の安全を確保するために必要な要員、情報、輸送施設等を確実に使用できるようにすること。
(6) 安全マネジメント態勢の見直し
(経営トップの責務)
第5条 経営トップは、確固たる安全マネジメント態勢の実現を図るため、その責務を的確に果たすべく、次条以下に掲げる内容について、確実に実施する。
2 経営トップは、事業の輸送の安全を確保するための管理業務の実施範囲を明らかにする。
(安全方針)
第6条 経営トップは、安全管理にかかわる公営企業課(船舶)の全体的な意図及び方向性を明確に示した安全方針を設定し、当課内部へ周知する。
2 安全方針には輸送の安全確保を的確に図るために、次の事項を明記する。
(1) 関係法令及び安全管理規程の遵守と安全最優先の原則
(2) 安全マネジメント態勢の継続的改善
3 安全方針は、その内容について効果的・具体的な実現を図るため、経営トップの率先垂範により、周知を容易かつ効果的に行う。
4 安全方針は、必要に応じて見直しを行う。
(安全重点施策)
第7条 安全方針に沿って、具体的な施策を実施するため、安全重点施策を策定し実施する。
2 安全重点施策は、それを必要とする部門や組織の階層グループがそれぞれ策定し、その達成度が把握できるような実践的かつ具体的なものとする。
3 安全重点施策は、これを実施するための責任者、手段、日程等を含むものとする。
4 安全重点施策を毎年、進捗状況を把握するなどして見直しを行う。
第3章 安全管理の組織
(安全管理の組織)
第8条 この規程の目的を達成するため、次のとおり安全統括管理者、運航管理者及び運航管理補助者を置く。
(1) 伊平屋村役場
公営企業課
安全統括管理者 1人
運航管理者 1人
運航管理補助者 若干人
2 伊平屋村役場 公営企業課の管理する区域は、次のとおりとする。
(1) 伊平屋~運天航路全域
第4章 安全統括管理者及び運航管理者等の選解任並びに代行の指名
(安全統括管理者の選任)
第9条 経営トップは、経営トップに位置づけられ、海上運送法施行規則第7条の2の2に規定された要件に該当する者の中から安全統括管理者を選任する。
(運航管理者の選任)
第10条 経営トップは、安全統括管理者の意見を聴いて海上運送法施行規則第7条の2の3に規定する要件に該当する者の中から運航管理者を選任する。
(安全統括管理者及び運航管理者の解任)
第11条 経営トップは、安全統括管理者又は運航管理者が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、当該安全統括管理者又は運航管理者を解任するものとする。
(1) 国土交通大臣の解任命令が出されたとき。
(2) 身体の故障その他やむを得ない事由により職務を引続き行うことが困難になったとき。
(3) 安全管理規程に違反することにより、安全統括管理者又は運航管理者がその職務を引続き行うことが輸送の安全の確保に支障を及ぼすおそれがあると認められるとき。
(運航管理補助者の選任及び解任)
第12条 経営トップは、安全統括管理者及び運航管理者の推薦により運航管理補助者を選任する。
2 経営トップは、安全統括管理者及び運航管理者の意見を聴いて運航管理補助者を解任する。
(運航管理者代行の指名)
第13条 運航管理者は、運航管理補助者の中から運航管理者代行を指名しておくものとする。
2 前項の場合において、運航管理者は、それぞれ2人以上の者を順位を付して指名することができる。
第5章 安全統括管理者及び運航管理者等の勤務体制
(安全統括管理者の勤務体制)
第14条 安全統括管理者は、常時連絡できる体制になければならない。
2 安全統括管理者がその職務を執ることができないときは経営トップが職務を執るものとする。
(運航管理者の勤務体制)
第15条 運航管理者は、船舶が就航している間は、原則として公営企業課に勤務するものとし、船舶の就航中に職場を離れるときは運航管理補助者と常時連絡できる体制になければならない。
第6章 安全統括管理者及び運航管理者等の職務及び権限
(安全統括管理者の職務及び権限)
第16条 安全統括管理者の職務及び権限は、次のとおりとする。
(1) 安全マネジメント態勢に必要な手順及び方法を確立し、実施し、維持すること。
(2) 安全マネジメント態勢の課題又は問題点を把握するために、安全重点施策の進捗状況、情報伝達及びコミュニケーションの確保、事故等に関する報告、是正措置及び予防措置の実施状況等、安全マネジメント態勢の実施状況及び改善の必要性の有無を経営トップへ報告し、記録すること。
(3) 関係法令の遵守と安全最優先の原則を当課内部へ徹底するとともに、安全管理規程の遵守を確実にすること。
(運航管理者の職務及び権限)
第17条 運航管理者の職務及び権限は、次のとおりとする。
(2) 船舶の運航全般に関し、船長と協力して輸送の安全を確保すること。
(3) 運航管理員及び陸上作業員を指揮監督すること。
2 運航管理者の職務及び権限は、法令に定める船長の職務及び権限を侵し、又はその責任を軽減するものではない。
(運航管理補助者の職務)
第18条 運航管理補助者は、運航管理者を補佐するほか、運航管理者がその職務を執行できないときは、第13条第2項の順位に従い、その職務を代行する。
第7章 安全管理規程の変更
(安全管理規程の変更)
第19条 安全統括管理者又は運航管理者は、それぞれの職務に関し、関係法令の改正、課内組織又は使用船舶の変更、航路の新設又は廃止等この規程の内容に係る事項に常に留意し、当該事項に変更が生じたときは、遅滞なく規程の変更を発議しなければならない。
2 安全統括管理者又は運航管理者は、前項の発議をしようとするときは、船長の意見を十分に聴取しなければならない。
3 経営トップは、第1項の発議があったときは、関係部(課)の責任者の意見を参考として規程の変更を決定する。
第8章 運航計画、配船計画及び配乗計画
(運航計画及び配船計画の作成及び改定)
第20条 運航計画又は配船計画を作成又は改定する場合は、公営企業課が原案を作成し、運航管理者の安全上の同意を得て、経営トップが決定する。
2 公営企業課は、前項の計画が決定された場合は運航管理者に通報しなければならない。
3 運航管理者は、第1項の同意に際しては、次の事項についてその安全性を検討するものとする。
(1) 使用船舶の構造、設備及び性能
(2) 陸上施設の構造、設備及び性能
(3) 使用船舶と陸上施設の適合性
(4) 使用港の港勢並びに航路の自然的性質及び交通状況
(5) 運航ダイヤ
(6) その他輸送の安全の確保上必要と認める事項
(配乗計画の作成及び改定)
第21条 配乗計画を作成又は改定する場合は、公営企業課が原案を作成し、運航管理者の安全上の同意を得て、経営トップが決定する。
2 公営企業課は、前項の計画が決定された場合は運航管理者に通報しなければならない。
3 運航管理者は、第1項の同意に際しては、次の事項についてその安全性を検討するものとする。
(1) 法定乗組員並びに法定乗組員以外の乗組員及び予備員が適正に確保されていること。
(2) 航路に関する気象・海象、地形、障害物、交通事情等に精通した船舶職員が乗組むこととなっていること。
(3) その他輸送の安全の確保上必要と認める事項
(運航計画、配船計画及び配乗計画の臨時変更)
第22条 運航計画又は配船計画を臨時に変更する必要がある場合は、公営企業課が原案を作成し、運航管理者の安全上の同意を得て経営トップが決定する。配乗計画を臨時に変更しようとする場合も、公営企業課が同様の措置を講じたのち、経営トップが決定する。
2 公営企業課は、前項の計画が決定された場合は運航管理者に通報しなければならない。
3 船舶、陸上施設又は港湾の状況が船舶の運航に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合は、運航管理者及び船長は協議により運航休止、寄港地変更等の運航計画又は配船計画の臨時変更の措置をとらなければならない。
第9章 運航の可否判断
(運航の可否判断)
第23条 船長は、適時、運航の可否判断を行い、気象・海象が一定の条件に達したと認めるとき又は達するおそれがあると認めるときは、運航中止の措置をとらなければならない。
2 船長は、運航中止に係る判断を行うにあたって、自ら直ちに判断することが困難で詳細な検討を行う必要があると認めるときは、運航管理者と協議するものとする。
3 前項の協議において両者の意見が異なるときは、運航を中止しなければならない。
4 船長は、運航中止の措置をとったときは、速やかに、その旨を運航管理者に連絡しなければならない。
5 運航管理者は、船長が運航中止の措置又は運航の継続措置をとったときは、速やかに、その旨を安全統括管理者へ連絡しなければならない。
6 運航中止の措置をとるべき気象・海象の条件及び運航中止の後に船長がとるべき措置については、運航基準に定めるところによる。
(運航管理者の指示)
第24条 運航管理者は、運航基準の定めるところにより運航が中止されるべきであると判断した場合において、船長から運航を中止する旨の連絡がないとき又は運航する旨の連絡を受けたときは、船長に対して運航中止を指示するとともに、安全統括管理者へ連絡しなければならない。
2 運航管理者は、いかなる場合においても船長に対して発航、基準航行の継続又は入港を促し若しくは指示してはならない。
(経営トップ又は安全統括管理者の指示)
第25条 経営トップ又は安全統括管理者は、濃霧注意報の発令など運航基準の定めるところにより運航が中止されるおそれがある情報を入手した場合、直ちに、運航管理者へ運航の可否判断を促さなければならない。
2 経営トップ又は安全統括管理者は、運航管理者から船舶の運航を中止する旨の連絡があった場合、それに反する指示をしてはならない。
3 経営トップ又は安全統括管理者は、船長が運航の可否判断を行い、運航を継続する旨の連絡が(運航管理者を経由して)あった場合は、その理由を求めなければならない。理由が適切と認められない場合は、運航中止を指示しなければならない。
(運航管理者の援助措置)
第26条 運航管理者は、船長から臨時寄港する旨の連絡を受けたときは、当該寄港地における使用岸壁の手配等適切な援助を行うものとする。
(運航の可否判断等の記録)
第27条 運航管理者及び船長は、運航中止基準にかかる情報、運航の可否判断、運航中止の措置及び協議の結果等を記録しなければならない。
第10章 運航に必要な情報の収集及び伝達
(運航管理者の措置)
第28条 運航管理者は、次に掲げる事項を把握し、(4)及び(5)については必ず、その他の事項については必要に応じ船長に連絡するものとする。
(1) 気象・海象に関する情報
(2) 港内事情、航路の自然的性質
(3) 陸上施設の状況
(4) 水路通報、港長公示等官公庁の発する運航に関する情報
(5) 乗船した旅客数及び車両数
(6) 営業所における乗船待ちの旅客数及び車両数
(7) 船舶の動静
(8) その他航行の安全の確保のために必要な事項
(船長の措置)
第29条 船長は、次に掲げる場合には必ず運航管理者に連絡しなければならない。
(1) 発航前検査を終え出港するとき。
(2) 運航基準に定められた地点に達したとき。
(3) 入港したとき。
(4) 事故処理基準に定める事故が発生したとき。
(5) 運航計画又は航行の安全に係わりを有する船体、機関その他設備等に修理又は整備を必要とする事態が生じたとき。
2 船長は、次に掲げる事項の把握に努め必要に応じ運航管理者に連絡するものとする。
(1) 気象・海象に関する情報
(2) 障害物(浮流物)及び鯨類の目撃に関する情報
(3) 海上保安官署、航行中の他の船舶より発せられる運航に関する情報等
(4) その他航行中の水路の状況
(運航基準図)
第30条 運航管理者は、運航基準図を各航路及び各船舶ごとに作成しなければならない。
2 運航管理者は、前項の運航基準図の作成に際しては、船長と十分協議するものとする。
3 運航基準図に記載すべき事項は、運航基準に定めるところによる。
第11章 輸送に伴う作業の安全の確保
(作業体制)
第31条 運航管理者は陸上職員の中から陸上作業員を、船長は乗組員の中から船内作業員を指名する。
2 運航管理者は、陸上作業員の中から作業指揮者(以下「陸上作業指揮者」という。)を指名する。
3 船長は、船内作業員の中から作業指揮者(以下「船内作業指揮者」という。)を指名する。
4 陸上作業指揮者及び船内作業指揮者は、それぞれ陸上作業及び船内作業を指揮するとともに、両者緊密な連携の下に輸送の安全の確保に努めなければならない。
5 作業員の具体的配置、陸上作業指揮者及び船内作業指揮者の所掌その他の作業体制については作業基準に定めるところによる。
(危険物等の取扱い)
第32条 危険物その他の旅客の安全を害するおそれのある物品の取扱いは、法令及び作業基準に定めるところによる。
(旅客の乗下船等)
第33条 旅客の乗船及び下船、車両の積込み、積付け及び陸揚げ並びに船舶の離着岸時の作業については作業基準に定めるところによる。
(車両区域の立入制限)
第34条 船長は、原則として、離岸後着岸するまでの間、次に掲げる自動車の運転者又は監視人以外の旅客が車両区域に立入ることを禁止する措置を講じなければならない。
(1) 危険物積載車
(2) 家畜等積載車(家畜その他の動物の給飼、監視を必要とする場合に限る。)
(3) ミキサー車又は保冷車等(車両区域に電源設備がない等の理由でエンジンを作動させることが真にやむを得ない場合に限る。)
2 船長は、やむを得ず旅客(前項各号の自動車の運転者又は監視人を除く。)を車両区域に立入らせる場合は、乗組員を立合わせるものとする。
(船内巡視)
第35条 船長は、法令及び作業基準に定めるところにより、乗組員をして旅客区域、車両甲板その他必要と認める場所を巡視させ、法令及び運送約款に定める旅客等が遵守すべき事項の遵守状況その他異常の有無を確認させなければならない。
2 船内巡視員は、異常を発見したときは船長の指示を受けて所要の措置を講じなければならない。ただし、急を要する場合であって船長の指示を受ける時間的余裕がないときは、適切な措置を講ずるとともに、速やかに船長に報告するものとする。
(旅客等の遵守すべき事項等の周知)
第36条 運航管理者及び船長は、法令及び作業基準に定めるところにより、それぞれ陸上及び船内において、旅客等の遵守すべき事項及び注意すべき事項の周知徹底を図らなければならない。
(飲酒等の禁止)
第37条 乗組員は、飲酒等の後、正常な当直業務ができるようになるまでの間及びいかなる場合も呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上である間、当直を実施してはならない。
2 船長は、乗組員が飲酒等の後、正常な当直業務ができるようになるまでの間及びいかなる場合も呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上である間、当直を実施させてはならない。
第12章 輸送施設の点検整備
(船舶検査結果の確認)
第38条 運航管理者は、船舶が法令に定める船舶検査を受検したときは、当該検査の結果を確認しておくものとする。
(船舶の点検整備)
第39条 船長は、次の設備、装置等について点検簿を作成し、それに従って、原則として毎日1回以上点検を実施するものとする。ただし、当日、発航前検査を実施した事項については点検を省略することができる。
(1) 船体
(2) 機関
(3) 排水設備
(4) 操舵設備
(5) 係船設備
(6) 揚錨設備
(7) 救命設備
(8) 消防設備
(9) 無線設備
(10) 脱出設備
(11) 非常用警報装置
(12) 照明設備
(13) 航海用具
(14) 乗降用設備
(15) 放送設備
(16) その他(衛生設備、掲示板等)
2 船長は、前項の点検中、異常を発見したときは、直ちに運航管理者に次の事項を報告するものとする。
(1) 異常のある個所(次号に掲げるものを除く。)及びその状況並びにそれに対して講じた措置
(2) 乗組員のみでは修復整備できない異常のある個所及びその状況
3 運航管理者は、前項の報告を受けたときは、直ちに公営企業課に対し、当該状況を通報し、乗組員が行った措置に対する検討又は修復整備を求めるものとする。
(陸上施設の点検整備)
第40条 運航管理者は、陸上施設点検簿に基づいて毎日1回以上次の施設等の点検を実施するものとする。
(1) 係留施設(防舷材、ビット、岸壁等)
(2) 乗降用施設(可道橋、タラップ等)
(3) 転落防止施設(遮断鎖、遮断機等)
(4) 駐車場施設
(5) 船客待合所(消火設備、掲示板等)
2 運航管理者は、前項の点検中異常を発見したときは、直ちに公営企業課長に当該状況を通報し、その修復整備を求めるものとする。
なお、当該施設が港湾管理者その他の者の管理に属するものである場合は、当該施設の管理者に通知して、その修復整備を求めるものとする。
第13章 海難その他の事故の処理
(事故処理にあたっての基本的態度)
第41条 事故の処理にあたっては、次に掲げる基本的態度で臨むものとする。
(1) 人命の安全の確保を最優先とすること。
(2) 事態を楽観視せず常に最悪の事態を念頭におき措置を講ずること。
(3) 事故処理業務は、すべての業務に優先して実施すること。
(4) 船長の対応措置に関する判断を尊重すること。
(5) 陸上従業員は、陸上でとりうるあらゆる措置を講ずること。
(船長のとるべき措置)
第42条 船長は、自船に事故が発生したときは、人命の安全の確保のための万全の措置、事故の拡大防止のための措置、旅客の不安を除去するための措置等必要な措置を講ずるとともに、事故処理基準に定めるところにより、事故の状況及び講じた措置を速やかに運航管理者及び海上保安官署等に連絡しなければならない。この場合において措置への助言を求め、援助を必要とするか否かの連絡を行わなければならない。
2 船長は、自船が重大かつ急迫の危険に陥った場合又は陥るおそれがある場合は、直ちに遭難通信(遭難信号)又は緊急通信を発しなければならない。なお、(携帯)電話がある場合は、併せて「118」番へ通報しなければならない。
(運航管理者のとるべき措置)
第43条 運航管理者は、船長からの連絡等によって事故の発生を知ったとき又は船舶の動静を把握できないときは、事故処理基準に定めるところにより必要な措置をとるとともに、安全統括管理者へ速報しなければならない。
(経営トップ及び安全統括管理者のとるべき措置)
第44条 安全統括管理者は、運航管理者等からの連絡によって事故の発生を知ったときは、事故処理基準に定めるところにより必要な措置をとるとともに、経営トップへ速報しなければならない。
2 経営トップ及び安全統括管理者は、事故状況、被害規模等を把握・分析し、適切に対応措置を講じなければならない。また、現場におけるリスクを明確にし、必要な対応措置を講じなければならない。
(非常対策本部)
第45条 経営トップは、事故の規模あるいは事故の及ぼす社会的影響が大きいため、全体的体制でこれを処理する必要があると認めるときは、事故処理基準に定める非常対策本部を発動し、これを指揮して行うものとする。
(通信の優先処理)
第46条 事故関係の通信は、最優先させ、迅速かつ確実に処理されなければならない。通信運用の責任者は、あらかじめ事故時の通信回線の確保及び統制のための手引きを定めておき、事故処理に際しては、速やかに通信回線の確保及び統制のために必要な措置をとらなければならない。
(関係官署への報告)
第47条 運航管理者は、事故の発生を知ったときは、速やかに関係運輸局(神戸運輸監理部及び沖縄総合事務局を含む。以下「運輸局等」という。)及び海上保安官署にその概要及び事故処理の状況を報告し助言を求めなければならない。
(事故調査委員会)
第48条 経営トップは、事故の原因及び事故処理の適否を調査し、事故の再発防止及び事故処理の改善に資するため、必要に応じ事故調査委員会を設置するものとする。
2 事故調査委員会の構成は、事故処理基準に定めるところによる。
第14章 安全に関する教育、訓練及び内部監査等
(安全教育)
第49条 安全統括管理者及び運航管理者は、運航管理補助者、陸上作業員、乗組員、安全管理に従事する者、内部監査を担当する者に対し、安全管理規程(運航基準、作業基準、事故処理基準を含む。)、船員法及び海上衝突予防法等の関係法令その他輸送の安全を確保するために必要と認められる事項について理解しやすい具体的な安全教育を定期的に実施し、その周知徹底を図らなければならない。
2 運航管理者は、航路の状況、海難その他の事故及びインシデント(事故等の損害を伴わない危険事象)事例を調査研究し、随時又は前項の教育に併せて乗組員に周知徹底を図るものとする。
(操練)
第50条 船長は、法令に定める操練を行ったときは、その実施状況を運航管理者に報告するものとする。
(訓練)
第51条 安全統括管理者及び運航管理者は、経営トップの支援を得て事故処理に関する訓練を計画し、年1回以上これを実施しなければならない。訓練は、全体的体制で処理する規模の事故を想定した実践的なものとする。この場合、前条の操練は当該訓練に併せて実施することができる。
2 訓練の前後には打合せを行い、特記事項があれば経営トップへ意見具申する。
(記録)
第52条 運航管理者は、前3条の教育等を実施したときは、その概要を記録簿に記録しておくものとする。
(内部監査及び見直し)
第53条 内部監査を行う者は、経営トップの支援を得て関係者とともに年1回以上船舶及び陸上施設の状況並びに安全管理規程の遵守状況の他、安全マネジメント態勢全般にわたり内部監査を行うものとし、船舶の監査は停泊中及び航海中の船舶について行うものとする。さらに、重大事故が発生した場合には速やかに実施する。
2 内部監査にあたっては、経営トップは、その重要性を課内に周知徹底する。
3 内部監査を行うに際し、安全マネジメント態勢の機能全般に関し見直しを行い、改善の必要性、実施時期について評価し、改善に向け作業する。
4 内部監査及び見直しを行ったときは、その内容を記録する。
5 内部監査を行う者は、安全統括管理者及び運航管理者等が業務の監査を行うほか、特に陸上側の安全マネジメント態勢については、監査の客観性を確保するため当該部門の業務に従事していない者が監査を行う。
第15章 雑則
(安全管理規程等の備付け等)
第54条 安全統括管理者及び運航管理者は、それぞれの職務に応じ、安全管理規程(運航基準、作業基準、事故処理基準を含む。)及び運航基準図を船舶、営業所その他必要と認められる場所に、容易に閲覧できるよう備付けておかなければならない。
2 安全マネジメント態勢を確立し、実施し、維持するために、それぞれの職務に関し作成した各種文書はそれぞれの職務に応じ適切に管理する。
(情報伝達)
第55条 安全統括管理者は、パソコン、役場内LAN等を活用した輸送の安全の確保に関する情報のデータベース化を行うとともに容易なアクセス手段を用意する。
2 輸送の安全に係る運航・整備等輸送サービスの実施に直接携わる部門が、現場の顕在的課題、潜在的課題等を、経営トップへの直接上申する手段(目安箱、役場内メール等)を用意する。
3 安全統括管理者は前項の上申又はその他の手段他により安全にかかる意見等の把握に努め、その検討、実現反映状況等について課内へ周知する。
4 安全統括管理者は、輸送の安全を確保するために講じた措置を適宜の方法により外部に公表しなければならない。また、輸送の安全にかかる情報を適時、外部に対して公表する。
附則
この訓令は、公布の日から施行し、平成18年10月1日から適用する。