○伊平屋村船舶運航基準
平成18年10月10日
訓令第24号
伊平屋村船舶運航基準(昭和53年11月1日)の全部を改正する。
第1章 目的
(目的)
第1条 この基準は、安全管理規程に基づき、伊平屋~運天航路の船舶の運航に関する基準を明確にし、もって航海の安全を確保することを目的とする。
第2章 運航の可否判断
(発航の可否判断)
第2条 船長は、発航前に運航の可否判断を行い、発航地港内の気象・海象が次に掲げる条件の一に達していると認めるときは、発航を中止しなければならない。ただし、第5条に定める狭視界出入港部署配置とし、かつ、港内における基準速力を減じて航行する場合は、視程500mまで発航できるものとする。
気象・海象 港名 | 風速 | 波高 | 視程 |
前泊港~運天港 | 15m/s以上 | 1.5m以上 | 500m以下 |
2 船長は、発航前において、航行中に遭遇する気象・海象(視程を除く。)に関する情報を確認し、次に掲げる条件に達するおそれがあるときは、発航を中止しなければならない。
風速15m/s以上 ただし、風向が北西―北―北東―南東の場合 12m/s以上 | 波高4.0m以上 |
3 船長は、発航前において、当該発航港に近接した海域における視程に関する情報を確認し、それぞれ次に掲げる条件に達していることが観測され又は達するおそれがあると認めるときは、発航を中止しなければならない。
海域及び視程 発航港 | 発航港に近接した海域 | 視程 |
前泊港 | 港界から5海里以内の海域 | 500m以下 |
運天港 | 港界から5海里以内の海域 | 500m以下 |
4 船長は、前3項の規定に基づき発航の中止を決定したときは、旅客の下船、保船措置その他の適切な措置をとらなければならない。
(基準航行の可否判断等)
第3条 船長は、基準航行を継続した場合、船体の動揺等により旅客の船内における歩行が著しく困難となるおそれがあり、又は搭載貨物、搭載車両の移動、転倒等の事故が発生するおそれがあると認めるときは、基準航行を中止し、減速、適宜の変針、基準経路の変更その他適切な措置をとらなければならない。
2 前項に掲げる事態が発生するおそれのあるおおよその海上模様及び船体動揺は、次に掲げるとおりである。
風速 | 波浪 | 動揺 |
10m/s以上(船首尾方向の風を除く) | 波高4.0m以上又はうねり(当時の潮流の状態による) | 横揺れ15度以上 |
3 船長は、航行中、周囲の気象・海象(視程を除く。)に関する情報を確認し、次に掲げる条件の一に達するおそれがあると認めるときは、目的港への航行の継続を中止し、反転、避泊又は臨時寄港の措置をとらなければならない。ただし、基準経路の変更により目的港への安全な航行の継続が可能と判断されるときは、この限りでない。
風速 15m/s以上 | 波高 4.0m以上 |
4 船長は、航行中、周囲の視程に関する情報を確認し、次に掲げる条件に達したと認めるときは、基準航行を中止し、当直体制の強化及びレーダの有効利用を図るとともにその時の状況に適した安全な速力とし、状況に応じて停止、航路外錨泊又は基準経路変更の措置をとらなければならない。
視程 500m以下 |
5 船長は、次に掲げる海域を航行中、周囲の視程に関する情報を確認し、次に掲げる条件に達したと認めるときは、目的港への航行の継続を中止し、停止又は航路外錨泊の措置をとらなければならない。ただし、圧流による座礁、他船との接近、衝突等の危険を避けるためやむを得ない場合は、この限りでない。
海域 | 視程 |
運天水路 | 300m以下 |
(入港の可否判断)
第4条 船長は、入港予定港内の気象・海象に関する情報を確認し次に掲げる条件の一に達していると認めるときは、入港を中止し、適宜の海域での錨泊、抜港、臨時寄港その他の適切な措置をとらなければならない。ただし、第5条に定める狭視界出入港部署配置とし、かつ、港内における基準速力を減じて航行する場合は、視程mまで入港できるものとする。
気象・海象 港名 | 風速 | 波高 | 視程 |
前泊港、運天港 | 15m/s以上 | 1.5m以上 | 300m以下 |
(運航の可否判断等の記録)
第4条の2 運航管理者及び船長は、運航の可否判断、運航中止の措置及び協議の内容を検査簿、発航検査簿、陸上施設点検簿、航海日誌簿に記録するものとする。運航中止基準に達した又は達するおそれがあった場合における運航継続の措置については、判断理由を記載すること。短い航路における運航の可否判断については適時まとめて記載してもよい。
第3章 船舶の航行
(航海当直配置等)
第5条 船長は、運航管理者と協議して次の配置を定めておくものとする。変更する場合も同様である。
(1) 出入港配置
(2) 狭視界出入港配置
(3) 通常航海当直配置
(4) 狭視界航海当直配置
(5) 荒天航海当直配置
(6) 狭水道航行配置
(運航基準図等)
第6条 運航基準図に記載すべき事項は次のとおりとする。
なお、運航管理者は、当該事項のうち必要と認める事項について運航基準図の分図、別表等を作成して運航の参考に資するものとする。
(1) 起点、終点及び寄港地の位置並びにこれらの相互間の距離
(2) 航行経路(針路、変針点、基準経路の名称等)
(3) 標準運航時刻(起点、終点及び寄港地の発着時刻並びに主要地点通過時刻)
(4) 船長が甲板上の指揮をとるべき狭水道等の区間
(5) 通航船舶、漁船等により、通常、船舶がふくそうする海域
(6) 船長が(副)運航管理者と連絡をとるべき地点
(7) 航行経路付近に存在する浅瀬、岩礁等航行の障害となるものの位置
(8) 鯨類が頻繁に出没する(目撃される)ため、減速、回避すべき海域・・・(特に、水中翼型超高速船運航事業者)
(9) その他航行の安全を確保するために必要な事項
(基準経路)
第7条 基準経路は、運航基準図に記載のとおり第1基準経路、第2基準経路の2経路とする。
2 基準経路の使用基準は次表のとおりとする。
名称 | 使用基準 |
常用(第1)基準経路 | 周年 |
第2基準経路 | 伊是名島周辺海域の風向が北東―東―南東で風速10m/sを超えるとき |
3 船長は、第2基準経路を航行しようとするときは、発航前に運航管理者にその旨連絡しなければならない。
4 船長は、気象・海象等の状況により、基準経路以外の経路を航行しようとするときは、事前に運航管理者と協議しなければならない。ただし、緊急の場合等であって事前に協議できないときは、速やかに変更後の経路を運航管理者に連絡するものとする。
5 運航管理者は、前項の協議又は連絡を受けたときは、当該経路の安全性について十分検討し、必要な助言又は援助を与えるものとする。
(速力基準等)
第8条 速力基準は、次表のとおりとする。
速力区分 | 速力 | 毎分機関回転数 | |
港内 | 最微速 | 9.5ノット | 350rpm |
微速 | 11.0ノット | 400rpm | |
半速 | 12.9ノット | 470rpm | |
全速 | 15.1ノット | 540rpm | |
航海速力 | 18.0ノット | 680rpm |
2 船長は、速力基準表を船橋内及び機関室の操作する位置から見易い場所に掲示しなければならない。
3 船長は、旋回性能、惰力等を記載した操縦性能表を船橋に備え付けておかなければならない。
(船長が甲板上の指揮をとるべき海域等)
第9条 船長は、法令に定めるとき及び次に掲げる海域を航行するときは、甲板にあって自ら船舶を指揮しなければならない。
(1) 前泊港 ~ 運天港
(特定航法)
第10条 前泊港・運天港の航法
(1) 船舶は、前泊港を入港しようとするときは、前泊港左舷灯標を左に見て水路に入り、水路の右側を航行しなければならない。
(2) 船舶は、運天港を入港しようとするときは、運天港第1左舷灯浮標を左に見て水路に入り、水路の右側を航行しなければならない。
(3) 船舶は、前泊港を出港しようとするときは、水路の右側を航行し、前泊港左舷灯標を右に見て通過しなければならない。
(4) 船舶は、運天港を出港しようとするときは、水路の右側を航行し、運天港第4左舷灯浮標を右に見て通過しなければならない。
(5) 船舶は、水路においては他の船舶と平航して航行し、又は他の船舶を追い越してはならない。
(6) 前泊港第2立標より、運天港第1灯浮標間は18ノット、第1灯浮標~運天港第7灯浮標までは15ノット以下に減速して航行しなければならない。
(7) 前泊港、運天港における入港待ちは、一時停止とする。
(通常連絡等)
第11条 船長は、基準経路上の次の第1号の地点を通過したときは、運航管理者あて次の(2)の事項を連絡しなければならない。
(1) 伊是名沖地点
(2) 連絡事項
① 通過地点名
② 通過時刻
③ 旅客数及び車両台数
④ 天候、風向、風速、波浪、視程の状況
⑤ その他入港予定時刻等運航管理上必要と認める事項
2 運航管理者は、航行に関する安全情報等船長に連絡すべき事項を生じたときは、その都度速やかに連絡するものとする。
(連絡方法)
第12条 船長と(副)運航管理者の連絡は、次の方法による。
| 区分 | 連絡先 | 連絡方法 |
(1) | 通常の場合 | 伊平屋村役場 公営企業課 | 船舶電話 |
(2) | 緊急の場合 | 伊平屋村役場 公営企業課 | 緊急用無線電話、船舶電話 |
(避泊地の選定等)
第13条 運航管理者は、船長と協力して選定した次の避泊地について海図をはじめ、係留施設、港湾工事の状況、漁具の設置状況、気象・海象のデータ等の資料を収集し、船舶その他必要な個所に備付けておくものとする。
(1) 運天港
2 船長は、気象・海象の悪化により避泊する必要があると認める場合は、風向、波浪の方向等を考慮して前項の避泊地のいずれかを選定するものとする。ただし、船長の判断により当時の気象・海象、他船の停泊状況等を考慮のうえさらに適当と判断される場所を選定することは差し支えない。
3 運航管理者は、船長から避泊地の選定に関し避泊地の気象・海象、他船の停泊状況等の情報を求められた場合は、速やかに適切な情報の提供を行うものとする。
4 船長は、避泊後直ちに停泊位置、停泊方法、付近の気象・海象、他船の停泊状況等を運航管理者に連絡し、その後3時間毎に付近の気象・海象、他船の停泊状況等を運航管理者に連絡しなければならない。
(入港連絡等)
第14条 船長は、入港20分前になったときは運航管理者に次の事項を引き続き連絡するものとする。
(1) 入港予定時刻
(2) 運航管理者の援助を必要とする事項
2 前項の連絡を受けた(副)運航管理者は、船長に次の事項を連絡するものとし、必要と認める事項については引き続き連絡するものとする。
(1) 着岸岸壁の指定
(2) 着岸岸壁の使用船舶の有無
(3) 着岸岸壁付近の停泊船舶及び航行船舶の状況
(4) 岸壁付近の風向、風速、視程、波浪(風浪、うねりの方向、波高)及び潮流(流向、流速)
(5) その他の操船上の参考となる事項
(機器点検)
第15条 船長は、入港着岸(桟)前、桟橋手前(防波堤手前)等入港地の状況に応じ安全な海域において、機関の後進(CPPの場合は翼角作動)、舵等の点検を実施する。これは、短い航路において、1日に何度も入出港を繰り返す場合も同様である。
(記録)
第16条 船長及び運航管理者は、基準航路の変更に関して協議を行った場合は、その内容を(運航管理日誌、航海日誌等)に記録するものとする。
附則
この訓令は、公布の日から施行し、平成18年10月1日から適用する。
運航基準表
(伊平屋~運天航路)
起点及び終点の位置 | 起点 前泊港 終点 運天港 |
航行経路 運天、前泊は逆の方位 | 変針点 A 27―01.6 N 127―58.7 E B 26―42.2 N 128―0.4 E C 26―41.4 N 128―0.08 E D 26―41 N 128―0.1 E |
船長が指揮を取る狭水道の区間 | B点~E点 |
船舶がふくそうする海域 | B点~E点 |
浅瀬、岩礁等航行の障害となる位置 | D点 |
航海図説明(第1基準経路)
速力基準 | 速力区分 | 最微速 | 10.0ノット | 350回転 |
微速 | 12.5ノット | 428回転 | ||
半速 | 15.5ノット | 540回転 | ||
航海速力 | 18.1ノット | 657回転 |
起点及び終点の位置 | 起点 前泊港 終点 運天港 |
航行経路 運天港~前泊港は逆の方位 | 変針点 A 27°―01.'5N 127°―58.'9E B 26°―42.'3N 128°―00.'2E C 26°―41.'4N 128°―00.'8E D 26°―40.'8N 128°―00.'8E |
標準運航時刻 | 前泊港発 09:00→ A・09:05→ B・10:08→ C・10:11→ 運天港着・10:20 運天港発15:00→ C・15:10→ B・15:12→ A・16:13→ 前泊港着・16:20 |
船長が指揮を取る狭水道の区間 | B点~E点 |
船舶がふくそうする海域 | B点~E点 |
浅瀬、岩礁等航行の障害となる位置 | D点 |
変針点までの距離 | 前泊港~A 1.3km A~B 34.1km B~C 2.3km C~D 1.6km D~E 0.6km E~運天港 1.3km |
航海図説明(第2基準経路)
速力基準 | 速力区分 | 最微速 | 10.0ノット | 350回転 |
微速 | 12.5ノット | 428回転 | ||
半速 | 15.5ノット | 540回転 | ||
航海速力 | 18.1ノット | 657回転 |
起点及び終点の位置 | 起点 前泊港 終点 運天港 |
航行経路 運天港~前泊港は逆の方位 | 変針点 A 27°―01.'5N 127°―58.'9E B 26°―42.'3N 128°―00.'2E C 26°―41.'4N 128°―00.'8E D 26°―40.'8N 128°―00.'8E G 26°―56.'7N 127°―53.'8E F 26°―53.'8N 127°―54.'2E |
標準運航時刻 | 前泊港発 09:00→A・09:05→G・09:29→F・09:38→B・10:21→C・10:24→運天港着・10:34 運天港発15:00→C・15:08→B・15:11→F・15:54→G・16:03→A・16:26→前泊港着・16:34 |
船長が指揮を取る狭水道の区間 | B点~E点 |
船舶がふくそうする海域 | B点~E点 |
浅瀬、岩礁等航行の障害となる位置 | D点 |
変針点までの距離 | 前泊港~A 1.3km A~G 13km G~F 5.2km B~C 2.3km C~D 1.6km F~B 24.2km D~E 0.6km E~運天港 1.3km |
運航基準表
地点 | 基点 | 真方位 (度) | 距離 (哩) | 区間 | 真方位 (度) | 区間距離 (哩) | 速力 (節) | 所要時間 (分) | 備考 1 運天港出入港船舶の動静に注意 2 適切な離岸距離 |
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| 前泊港~A地点 |
| 0.4 | 平均 8.0 | 3 | |
A | 前泊港第1立標識 | 245 | 0.3 | A地点~B地点 | 176 | 19.7 | 18.0 | 65 | |
B | 古宇利島燈台 | 38 | 0.6 | B地点~C地点 | 150 | 0.9 | 15.0 | 3 | |
C |
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| C地点~D地点 | 179 | 0.6 | 12.0 | 3 | |
D |
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| D地点~E地点 | 222 | 0.3 | 10.0 | 2 | |
E |
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| E地点~運天港 | 245 | 0.5 | 7.0 | 4 | |
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所要時間 80分 |