○飯島町自然環境保全条例
平成2年12月21日
条例第23号
自然は、人間にとって心のふるさとであり、生命の源である。飯島町の豊かな自然は、祖先から受け継いだ尊い遺産であり、わたくしたちは、これを大切に保存し、つぎの世代に伝えなければならない。
わたくしたちは、人為による自然環境の破壊を防止すると共に、破壊された環境を回復するための施策をし、自然のもたらす恩恵を永遠に享受できるよう最善の努力を払わなければならない。
わたくしたちは、飯島町の恵まれた自然を誇りとし、自然と調和した美しい生活環境をつくりあげることを宣言し、太陽と水と緑の豊かな郷土の実現を期するため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、飯島町における自然環境の保全等に関する基本的事項を定めることにより、現在及び将来にわたり自然と人間の共存する緑豊かな生活環境を保全し、かつ創出することを目的とする。
(1) 開発行為 50アール以上の土地の区画・形質の変更、50アール以上の立木の伐採(林業経営のための伐採を除く。)、延べ面積1,000m2以上の建築物の建設及び工作物の設置並びに当該建築物及び工作物の用途の変更。
(2) 開発地区 開発行為をする土地の区域。
(3) 事業者 開発行為をする者。
(1) 自然の保護及び自然環境の保全に関する知識の普及及び思想の高揚を図ること。
(2) 土地の利用計画の策定及び実施に当たって自然環境保全のため必要な調整の措置を講ずると共に自然の積極的な造成を図ること。
(3) 自然の保護及び利用に関する施設の整備の推進を図ること。
(4) 自然環境保全に関し必要な調査及び研究の推進を図ること。
(計画の策定)
第4条 町長は、前条の施策に係る総合的な計画(以下「飯島町環境基本計画」という。)を策定し、これを公表しなければならない。
2 町長は、前項の計画を策定しようとするときは、飯島町環境保全審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
3 前項の規定は飯島町環境基本計画の変更について準用する。
(平成9条例12・平成15条例2・平成15条例20・一部改正)
(町民の責務)
第5条 すべての町民、土地所有者(滞在者及び旅行者を含む。)は、町の自然環境保全に関する施策に協力するとともに、すすんで自然の保護に努め良好な生活環境の確保に寄与するようにしなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、その事業活動による自然環境の破壊を防止するため、自然の改変を最少限にとどめるとともに、町の定める基本計画に適合させるよう努めなければならない。
(自然環境保全地区)
第7条 町長は、自然環境の保全と開発利用の調和を図るため必要があると認める時は、自然環境保全地区(以下「保全地区」という。)を指定する。
(保全地区の指定)
第8条 町長は、保全地区を指定しようとするときは、審議会の意見を聴かなければならない。
2 町長は、保全地区を指定したときは、その概要を告示するとともに、関係図書を一般の縦覧に供さなければならない。
(保全地区の変更、解除等)
第9条 町長は、指定した保全地区について必要があると認めるときは、その区域を変更し、又は指定を解除することができる。
(開発基準)
第10条 保全地区の区域内における開発行為の計画の策定及び実施に当たって、事業者が遵守しなければならない開発基準は、別記に定める。
2 前条の規定は、開発基準の指定、変更に関し準用する。
(行為の届出)
第11条 保全地区の区域内において開発行為をしようとする事業者は、当該開発行為に関する計画について、当該行為に着手する日の前30日までに町長に届出なければならない。
(1) 事業者の住所及び氏名
(2) 開発地区の位置及び面積
(3) 開発行為を行う土地の利用目的
(4) 開発行為の種類及び規模
(5) 道路、用水、排水、防災、公害防止、廃棄物・生活排水処理等の計画
(6) 工事の着手及び完了の予定期日
(7) 工事施行者の住所及び氏名
(8) その他町長が必要と認める事項
3 国、地方公共団体、又は町長が別に定める法人が行う開発行為については、この条例の規定は適用しない。
(計画の変更の届出)
第12条 前条の届出を行った者が届出した計画を変更しようとするときは、直ちに町長に対し変更の内容を届出なければならない。
(措置の報告)
第14条 事業者は、前条の規定による助言又は勧告を受けた場合には、勧告に基づき必要な措置を講じ、速やかにその結果を町長に報告しなければならない。
(自然環境保全協定の締結)
第15条 保全地区内の区域内において、宅地の造成若しくは道路の開設等であって別記に定める開発基準を超える行為又は自然の保護に影響を及ぼすおそれのある行為をしようとする者は、あらかじめ町長と、自然破壊の防止、植生の回復その他自然環境の保全のために必要な事項を内容とする協定を締結するものとする。ただし、国、地方公共団体、又は町長が別に定める法人である場合はこの限りでない。
(中止命令)
第16条 町長は、次の各号の一に該当する者に対して、その行為の中止を命じ、又は相当の期間を定めて原状回復を命じ、若しくは原状回復が困難な場合には、これに代わるべき措置を講ずるべき旨を命ずることができる。
(1) 第11条第1項の規定に違反した者
(2) 第12条第1項の規定に違反した者
(3) 第13条の規定による助言又は勧告に従わない者
(立入調査)
第17条 町長は、この条例の施行に関し実地調査の必要がある場合には、関係職員をして開発地区に立ち入らせ、当該土地における開発行為を調査させることができる。
2 前項の職員は、その身分を証する証明書を携帯し、関係者の請求があったときはこれを提示しなければならない。
3 事業者は、第1項に規定する立入調査に協力しなければならない。
(罰則)
第19条 次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の罰金に処する。
(1) 第11条第1項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
(2) 第16条の規定による命令に違反した者
2 第17条第1項の規定による立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、1万円以下の罰金に処する。
附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成8年条例第15号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成8年10月1日から施行する。
附則(平成9年条例第12号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成9年4月1日から施行する。
附則(平成15年条例第2号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成15年4月1日から施行する。
附則(平成15年条例第20号)
この条例は、公布の日から施行する。
別記
(平成8条例15・一部改正)
開発基準
1 現存する植生、地形等は極力残存し、自然環境の保全を図ること。
2 樹林又は植生を、開発面積の40%以上とすること。
3 土地の形質変更は、最少限に止め、多量な土の移動は避けるものとし、移動する場合には擁壁、水抜きの設置、段切り等を行い、土砂の流出の防止に万全を期すこと。
4 排水路は、上流の雨量、放流先の排水能力等を考慮した構造及び規模とすること。また開発地域、その周辺の地域及び下流の地域において溢水による被害を防止するための処置を講ずること。
5 著しく傾斜している土地とその周辺には、建築物等を設置しないこと。
6 建築物の壁面線と道路肩との距離は、主要幹線道路にあっては、10m以上、その他の道路にあっては、5m以上を原則とすること。
7 別荘地1区画の面積は、原則として1,000m2以上を基準とすること。
8 建築物の建ぺい率は、50%以下、容積率は80%以下とすること。
9 建築物の外部色彩は、周囲の風致との調和を図ること。
10 塀その他の遮蔽物は、できる限り設けないこととし、やむを得ず設けなければならない場合には、生垣としその植物は当該地域に生育している樹木と同種類の植物を使用すること。
11 開発行為に伴う必要な用水は、下流の用水に支障のない方法で確保すること。
12 既存の水道等の水量及び水質の維持に支障がないよう水源周辺の保護を図ること。
13 ごみは、原則として許可業者に委託して処理すること。
14 し尿及び雑排水は、合併処理によりBOD除去率90%以上であって、放流水のBODが20mg/l以下に処理し、敷地内地下浸透処理すること。
ただし、合併処理ができない施設については、し尿はくみ取り方式、雑排水は沈殿ろ過槽により処理し、敷地内地下浸透する。その場合は、十分土壌に吸収還元され、地下水に影響を及ぼさないよう処理すること。地下浸透処理が不可能で放流する場合は、関係者に事前協議すること。ただし、湖沼には、直接放流しないようにすること。
15 開発行為により影響のある道路、河川、防災施設等の改良又は補修に要する経費は、事業主の負担とすること。
16 開発行為により設置される道路、排水路、水道施設、し尿ごみ処理施設、防災施設等公共的施設について町等に移管するものについては、その条件を、事業主が直接管理するものについては、その管理体制をそれぞれ明確にすること。
17 飯島町さわやか環境保全条例(平成8年飯島町条例第15号)に基づいて、環境保全協定を町長が要請したときは、締結すること。
18 分譲別荘開発等の場合には、維持管理の徹底、行政・地域との連絡調整を行うため、別荘地権者全員加入の管理組合等、組織化すること。