○伊万里市自然環境等と再生可能エネルギー発電事業との調和に関する条例
令和元年12月20日
条例第40号
(目的)
第1条 この条例は、本市における美しい自然環境、魅力ある景観、良好な生活環境の保全及び形成と再生可能エネルギー発電事業との調和を図るために必要な事項を定めることにより、潤いのある豊かな地域社会の発展に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 本市における美しい自然環境、魅力ある景観及び良好な生活環境は、市民の長年にわたる努力により形成されてきたものであることに鑑み、市民共通のかけがえのない財産として、現在及び将来の市民がその恵沢を享受することができるよう、その保全及び活用が図られなければならない。
(1) 再生可能エネルギー源 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第2条第4項第1号に規定する太陽光及び同項第2号に規定する風力をいう。
(2) 再生可能エネルギー発電設備 再生可能エネルギー源を電気に変換する設備及びその附属施設をいう。
(3) 事業 再生可能エネルギー発電設備を設置し、発電を行うことをいう。
(4) 事業者 事業を行う者をいう。
(5) 事業区域 事業を行う一団の土地(継続的又は一体的に事業を行う土地を含む。)をいう。
(6) 関係住民等 次に掲げる者をいう。
ア 事業区域に隣接する土地又は建築物を所有する者若しくは当該建築物に居住する者
イ 事業区域が属する行政区(伊万里市駐在員設置条例(昭和29年条例第45号)第1条に規定する市長の指定する区域をいう。)に居住する者
(7) 土地所有者等 事業区域の土地の所有者、占有者及び管理者をいう。
(適用事業)
第4条 この条例を適用する事業は、次の各号のいずれかに該当するものとする。
(1) 事業区域の面積が1,000平方メートル以上の事業
(2) 再生可能エネルギー発電設備の高さが15メートルを超える事業
(1) 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条に規定する建築物の屋根又は屋上に再生可能エネルギー発電設備を設置するもの
(2) 環境影響評価法(平成9年法律第81号)又は佐賀県環境影響評価条例(平成11年佐賀県条例第25号)の対象となるもの
(土地所有者等の責務)
第7条 土地所有者等は、事業により、自然環境若しくは景観を損ない、又は災害、生活環境への被害等が発生することのないよう、当該土地を適正に管理しなければならない。
(事業者の責務)
第8条 事業者は、関係法令及びこの条例を遵守し、本市の自然環境、景観及び生活環境(以下「自然環境等」という。)に十分配慮するとともに、関係住民等及び土地所有者等(以下「関係者等」という。)に対して事業に係る計画の内容、維持管理の方法等について住民説明会を実施し、関係者等との良好な関係の保持に努めなければならない。
2 事業者は、事業を継続している間又は終了する場合において発生した不要な設備について、関係法令に基づき適正に処理するとともに、事業終了後は、土地所有者等と連携して速やかに原状回復に努めなければならない。
3 事業者は、関係者等から事業に関する苦情等があった場合は、関係者等の理解が得られるよう、誠実な対応に努めなければならない。
(抑制区域)
第9条 市長は、次の各号のいずれかの事由により特に必要があると認めるときは、規則で定めるところにより事業を抑制する区域(以下「抑制区域」という。)を指定することができる。
(1) 豊かな自然環境、優良な農地及び良好な森林環境が保たれ、地域における貴重な資源として認められる区域であること。
(2) 本市を象徴する優れた景観として良好な状態が保たれている区域であること。
(3) 歴史的又は郷土的な特色を有している区域であること。
(4) 土砂災害その他自然災害による被害の危険性が高い区域であること。
(5) 良好な住宅環境が保たれている区域であること。
2 市長は、必要があると認めるときは、抑制区域を変更し、又はその指定を解除することができる。
(事業の届出)
第10条 事業者は、事業を行おうとするときは、規則で定めるところにより事業に着手しようとする日の60日前までに必要な事項を届け出て、市長の同意を得なければならない。
2 事業者は、前項の規定により届け出た事項を変更しようとするときは、速やかにその旨を届け出て、市長の同意を得なければならない。
(事業計画の周知)
第11条 事業者は、事業を行おうとするときは、前条の規定による届出を行う日までに、その旨の公告、事業計画書の縦覧、住民説明会の開催等を通じて関係住民等に周知を図らなければならない。
(意見書及び見解書の提出)
第12条 関係住民等は、規則で定めるところにより、事業計画書に対する自然環境等の保全上の見地からの意見書を、事業者が第10条の規定による届出を行った日の翌日から起算して14日以内に市長を経由して事業者に提出することができる。
2 事業者は、前項の意見書に対する見解書を、意見書の提出日の翌日から起算して7日以内に市長に提出し、その見解書を公告し、及び縦覧しなければならない。
(再意見書及び再見解書の提出)
第13条 関係住民等は、規則で定めるところにより、前条第2項の見解書に対する自然環境等の保全上の見地からの再意見書を、事業者が見解書を縦覧した日の翌日から起算して7日以内に市長を経由して事業者に提出することができる。
2 事業者は、前項の再意見書に対する再見解書を、再意見書の提出日の翌日から起算して7日以内に市長に提出し、その再見解書を公告し、及び縦覧しなければならない。
(同意)
第14条 市長は、事業者の手続が適切であって、事業計画が自然環境等の保全上支障がないと認めるときは、事業について同意するものとする。
2 市長は、事業計画について自然環境等の保全上支障が生じるおそれがあると認めるときは、事業者に対し、その旨を通知するとともに、事業計画の変更を求めるものとする。
3 市長は、必要に応じて事業計画に係る自然環境等の保全について伊万里市環境審議会の意見を聴くことができる。
(同意の制限)
第15条 市長は、事業区域の全部又は一部が抑制区域内に存する場合又は関係住民等の理解が得られない場合は、事業について同意しないものとする。
2 前項の規定にかかわらず、関係住民等の理解が得られた事業で、当該事業区域の一部が抑制区域内に存するものについて、市長がこの条例の目的に照らして支障がないと認めるときは、この限りでない。
(維持管理及び報告)
第16条 事業者は、再生可能エネルギー発電設備の適切な維持管理を行うとともに、自然災害、人為的災害その他の非常事態により、事業区域及びその周辺に被害が生じた場合は直ちに適切な対策を講ずるとともに、市長に報告しなければならない。
2 市長は、前項に規定する場合のほか、事業区域の周辺地域の自然環境等に影響を及ぼすおそれがあると認めるときは、再生可能エネルギー発電設備の維持管理状況について、事業者に対し適宜報告を求めることができる。
(事業の廃止)
第17条 事業者は、事業を廃止する場合は、規則で定めるところにより、市長にその旨を届け出るとともに、事業により設置した設備を関係法令に基づき適正に処分しなければならない。
2 事業者は、事業により設置した設備の撤去が完了した場合は、規則で定めるところにより、市長に届け出なければならない。
(立入調査)
第18条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、事業者に対して報告若しくは資料の提出を求め、又は職員を事業区域に立ち入らせて調査を行うことができる。
(指導、助言及び勧告)
第19条 市長は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、事業者に対し必要な措置を講ずるよう指導、助言及び勧告を行うことができる。
(1) 第10条の規定による届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、又は市長の同意を得ずに事業に着手したとき。
(2) 第16条の規定による報告をせず、又は報告をしてもなお、適切な対策を講じなかったとき。
(3) 第17条の規定による届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、又は再生可能エネルギー発電設備の適正な処分を行わなかったとき。
(4) 正当な理由なく立入調査を拒否したとき。
(公表)
第20条 市長は、前条の勧告を受けた事業者が正当な理由なく勧告に従わないときは、事業者の名称及び所在地並びに当該勧告内容を公表することができる。
2 市長は、前項の規定により公表を行うときは、あらかじめ事業者に対してその理由を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(国及び県への報告)
第21条 市長は、前条の規定による公表を行った場合は、当該公表内容及び公表の事実を国及び県へ報告するものとする。
(委任)
第22条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
(施行期日等)
1 この条例は、令和2年3月1日(以下「施行日」という。)から施行し、施行日以後に着手する事業について適用する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。