○稲城市立病院医師等の働き方改革に係る勤務環境改善等に関する規程
令和5年4月1日
病管規程第4号
(目的)
第1条 この規程は、稲城市立病院(以下「市立病院」という。)に勤務する医師等の総労働時間(この規程において「労働時間」とは、公務員法令における「勤務時間」をいう。)の短縮及び宿日直許可の取得を始めとする働き方改革に係る勤務の環境改善等(以下「勤務環境改善等」という。)を推進するため、他に定めるものを除き必要な事項を定めることを目的とする。
(組織)
第2条 市立病院の勤務環境改善等を推進するため、市立病院に稲城市立病院労務管理責任者(以下「労務管理責任者」という。)を置く。
2 労務管理責任者は、市立病院事務長をもって充てる。
3 労務管理責任者は、市立病院における勤務環境改善等を推進するための責任者とし、その職務は、次のとおりとする。
(1) 令和6年4月1日に施行される労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)第69条の2に規定する病院である市立病院において勤務する医師(以下「特定医師」という。)の時間外労働上限規制に係る時間(労働基準法施行規則第69条の4に規定する時間をいう。以下「A水準」という。)以外の水準(B、連携B、C―1及びC―2水準として、医療法(昭和23年法律第205号)第113条第1項の規定により指定された特定地域医療提供機関、医療法第118条第1項の規定により指定された連携型特定地域医療提供機関、医療法第119条第1項の規定により指定された技能向上集中研修機関及び医療法第120条第1項の規定により指定された特定高度技能研修機関(以下「特定労務管理対象機関」という。)の特定医師にそれぞれ医療法第128条の規定により読み替えて適用する労働基準法第141条第2項の厚生労働省令で定める時間等を定める省令(令和4年厚生労働省令第6号)第1条第1号及び第2号に規定する労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間をいう。以下「特例水準」という。)を解消するための、医療法第114条に規定する医師の労働時間短縮計画(以下「時短計画」という。)の策定、取組み等に関すること。
(2) 医師、診療放射線技師、臨床検査技師、薬剤師、看護師等の「宿日直許可のない宿直・日直」から「宿日直許可のある宿直・日直」への移行等に関すること。
(3) その他医師等の総労働時間の短縮及び労働環境の改善等を推進すること。
4 労務管理の事務を統括する部署は、事務部管理課とする。
5 この規程における事務部管理課の所掌事務は、別表第1のとおりとする。
(委員会の設置)
第3条 労務管理責任者は、勤務環境改善等を推進するため、多職種からなる次の各号に定める委員会を設置するものとする。
(1) 総労働時間短縮委員会
(2) 宿日直改善委員会
(3) 多職種役割分担推進委員会
(4) その他労務管理責任者が必要と認めた委員会
3 各委員会の委員長は、労務管理責任者の指導、助言等のもとに各委員会を開催し、所掌事項に関する課題を解決するため協議し、委員会開催後は労務管理責任者に報告し、必要な指示を受けるとともに、その協議の経過等を記載した議事録を公開するものとする。
(就業規則等の周知)
第4条 稲城市病院事業管理者(以下「事業管理者」という。)は、次の規程等を作成し、常に最新の状態に保つため、定期的に見直しを行わなければならない。
(1) 稲城市病院事業就業規程(稲城市病院事業管理規程第13号。以下「就業規則」という。)
(2) 就業規則に引用された関係規程等
(3) その他勤務環境改善等に関連する規程等
2 前項各号の規程等は、常に職員が確認できるように周知しなければならない。
(36協定の締結、届出等)
第5条 事業管理者は、実態に即した労働時間によって締結した時間外・休日勤務に係る労働基準法(昭和22年法律第49号)第36条に規定する協定(以下「36協定」という。)を締結し、所轄の労働基準監督署へ届け出なければならない。
2 労務管理責任者は、36協定の締結に当たっては、特例水準の医師から意見を聞くとともに、36協定を超過した時間外勤務及び休日勤務の時間数が発生した場合等の見直し手順は、別に定めるものとする。
(医師の時短計画の作成、周知等)
第6条 医師の時短計画は、医師を含む第3条第1項第1号に規定する総労働時間短縮委員会で議論を行い、特例水準の医師への説明及び意見交換を行い、全ての職員に作成した医師の時短計画を周知するものとする。
2 策定した医師の時短計画は、東京都勤務環境評価センターの評価を受け、病院事業管理者は、東京都に特定労務対象機関の指定申請を提出し、指定の結果を受けるものとする。
3 前条第2項の規定は、医師の時短計画の内容を定期的に見直す場合も同様とし、その手順は、別に定めるものとする。
(労働時間の適切な把握等)
第7条 労務管理責任者及び部署の長は、少なくとも月に2回、勤怠管理の記録(CWS、ビーコンその他の電子的に記録されたデータを含む。)を利用して、管理下にある医師等の労働時間を把握するものとする。
2 院長は、少なくとも月に1回、月の時間外勤務及び休日勤務の時間数が80時間超及び100時間以上の医師並びに連続勤務時間制限又は勤務間インターバルの確保ができなかった場合に代わりに休息(以下「代償休息」という。)を付与することになった医師及びその者の労働時間を把握するものとする。
3 医師等の労働時間には、兼業先等での労働時間を含み、自己研鑽等の勤務でない時間が控除されているものとし、その取扱いについては、別に定めるものとする。
4 労務管理責任者は、少なくとも月1回、把握した医師等の労働時間を本人にフィードバックするとともに、院長、部署の長及び第9条に規定する勤務計画管理者(以下「勤務計画管理者」という。)等と共有し、労働時間短縮に向けた行動変容を起こす取組みを実施するよう努めるものとする。
(医師の面接指導及び就業上の措置等)
第8条 面接指導実施医師講習会の受講を修了し院長から選任された医師(同講習会の受講を修了した産業医を含む。以下「面接指導医師」という。)は、月の時間外勤務及び休日勤務の時間数が100時間以上見込まれる医師(以下「長時間労働医師」という。)に対して、提供されたその者の定期的に把握した労働時間等の情報をもとに別に定める方法により面接指導を実施し、その結果を院長及び勤務計画管理者等に報告するものとする。
2 面接指導医師は、前項の長時間労働医師について、遅くとも医師の月の時間外勤務及び休日勤務の時間数が80時間超えた時点で、当該医師を今後長時間労働医師となることが見込まれる医師として把握するとともに、対象医師、所属長及び勤務計画管理者に面接指導の実施通知、案内、連絡等を確実な方法で行うものとする。
3 院長は、第1項の面接指導医師からの報告及び意見を踏まえ、必要に応じて就業上の措置を講じるものとする。
4 前3項の規定は、月の時間外勤務及び休日勤務の時間数が155時間を超えた医師について、その把握方法や面接指導の実施等について準用し、就業上の措置は必ず講じなければならない。
(勤務計画管理者による勤務表の作成等)
第9条 勤務計画管理者は、医師等について月単位で計画的な勤務表を作成するものとする。
2 勤務計画管理者は、前項の勤務表について、次の各事項を踏まえて作成し、複数人で点検するものとする。
(1) 時間外・休日労働時間の上限を超えないこと。
(2) 法定休日が確保されていること。
(3) 兼業先等の労働時間(移動時間を含む。)が含まれ、休息の時間が付与されていること。
(4) 勤務間インターバルが確保されていること。
(5) 代償休息が期限内に付与されていること。
(6) その他関連する事項
3 勤務計画管理者は、事務部管理課長とする。
(労働時間短縮に向けた研修等)
第10条 市立病院の管理職は、医師の労働時間短縮に向けて、年1回以上外部講師による人事・労務管理研修を受講するものとする。
2 各部署の長又は勤務計画管理者は、人事・労務管理に関する規定、勤務計画作成等に関する研修を年1回以上受講するものとする。
3 各科の医師は、勤怠管理及び当人が実施すべき内容として始業・終業時間の打刻、副業・兼業先の労働時間の申告、自己研鑽時間の時間外勤務からの除外方法等についての研修を、B及びC水準が適用される医師は、勤怠管理及び当人が理解すべき内容として始業・終業時間の打刻、健康管理の重要性、面接指導の受診、勤務間インターバル確保等についての研修を、年1回以上受講するものとする。
4 労務管理責任者は、新入職医師及び非常勤医師に対し、入職時に就業規則、給与規程、労務管理の方法等を周知するものとする。
(スクシフト、タスクシェア等の実施)
第11条 労務管理責任者は、医師等の労働時間短縮に効果的なタスクシフト、タスクシェア等の実施に取り組むものとする。
2 タスクシフト、タスクシェア等については、労務管理責任者が設置した第3条第1項第3号に規定する多職種役割分担推進委員会によって検討し、市立病院のルールを別に定めるものとする。
3 前項のルールは、実施にあたり、関係職種への説明会や研修を実施し、院内掲示等によって患者へも周知するものとする。
(医師業務の見直し等)
第12条 労務管理責任者は、労働時間短縮の取組みとして、常に夜間及び休日の勤務体制の検討及び見直しを行うとともに、各診療科等は、各診療科等内において労働時間短縮の取組みを行うとともに、会議やカンファランス等を効率的、合理的に実施し、労働時間内に終了するものとする。
(医師等の勤務環境改善への取り組みの実施)
第13条 労務管理責任者は、常に多様で柔軟な働き方の提示ができるよう検討し、子育て及び介護の支援環境を整備するとともに、必要に応じて窓口を設置し、女性医師就労支援事業及び復職支援事業への取組みを実施するものとする。
(患者及び地域への周知、理解の促進への取組み等)
第14条 労務管理責任者は、医師等の労働時間の短縮に関する取組みの中で、患者、地域の住民、近隣の医療機関等に対して理解を求める必要がある内容については、院内での掲示、ホームページ等で十分に周知するものとする。
(満足度調査の実施等)
第15条 労務管理責任者は、毎年度職員満足度調査及び患者満足度調査を実施するものとする。
2 前項の職員満足度調査を行うに当たっては、併せて特例水準の医師から意見を聞くものとする。
(雑則)
第16条 この規程に定めるもののほか必要な事項は、別に定める。
付則
この規程は、令和5年4月1日から施行する。
別表第1(第2条関係)
○ 勤務環境改善等を推進するため、多職種からなる各委員会の庶務に関すること。 ○ 医師の労働時間短縮計画に関すること。 ○ 職員の労働時間の管理、勤怠管理システムの運用に関すること。 ○ 勤務計画(シフト表)の作成及び実績の管理に関すること。 ○ タスクシフト、タスクシェア等に関すること。 ○ 宿日直勤務の記録、管理に関すること。 ○ 兼業先等の実態把握、労働時間管理等に関すること。 ○ 就業規則の制定改廃に関すること。 ○ 36協定に関すること。 ○ 就業規則、賃金規程及び労働時間管理等の説明、研修に関すること。 ○ 産業医、安全衛生委員会及び長時間勤務者の面接指導等に関すること。 ○ 労働安全衛生委員会に関すること。 ○ 子育て・介護支援、女性医師就業支援等に関すること。 ○ その他職員の総労働時間の短縮及び勤務環境改善等に関すること。 |
別表第2(第3条関係)
委員会名 | 所掌事項 |
総労働時間短縮委員会 | 1 職員の総労働時間の短縮に関すること。 2 医師の労働時間短縮計画に関すること。 3 36協定の運用等に関すること。 4 その他関連する事項に関すること。 |
宿日直改善委員会 | 1 「宿日直許可のない宿直・日直」から「宿日直許可のある宿直・日直」への移行に関すること。 2 労働時間短縮に向けた宿日直の運用の検討、実施に関すること。 3 その他関連する事項に関すること。 |
多職種役割分担推進委員会 | 1 医師等の負担軽減、タスクシェア/シフトに関すること 2 その他関連する事項に関すること |
その他労務管理責任者が必要と認めた委員会 | 他の委員会に属さない労務管理責任者が指示した勤務環境改善等に係る特命事項に関すること |