○入間東部地区事務組合再燃火災防止要綱
平成30年4月1日
訓令第71号
(趣旨)
第1条 この要綱は、入間東部地区事務組合警防規程(平成30年訓令第62号。以下「警防規程」という。)第60条に規定する火災現場における再燃火災の防止に関し必要な事項を定めるものとする。
(1) 再燃火災 鎮火後、消防隊が現場から引揚げた後に再び出火し、消防隊によって消火の必要がある燃焼現象をいう。
(2) 警戒 消防隊が現場を引揚げた後、再燃火災を未然に防止するため再び火災現場に出向し、残火処理活動を行うことをいう。
(現場最高指揮者の責務)
第3条 現場最高指揮者は、消防隊を指揮監督し、再燃火災の絶無に期さなければならない。
(残火処理の指揮)
第4条 残火処理活動の指揮は、現場最高指揮者が行わなければならない。この場合において、その体制は、火災の規模及び状況により現場最高指揮者が決定する。
(鎮火の決定)
第5条 鎮火の決定は、再燃火災防止活動基準表(別表。以下「基準表」という。)に基づき、警防規程第60条第2項に規定する残火処理チェックカードにより確認し、必要措置を全て完了した時点で鎮火と決定しなければならない。
(担当区域の決定)
第6条 現場最高指揮者は、残火処理活動を効率的に行うため、各消防隊に残火処理担当区域を指定しなければならない。この場合において、木造にあっては焼けどまり付近、耐火構造にあっては直上階等に対する延焼危険箇所を重点区域として指定しなければならない。
2 現場最高指揮者は、消防隊到着時既に消火活動の必要がない火災、その他焼損程度が軽微な火災においても、残火処理活動を行う消防隊を指定しなければならない。
(安全管理)
第7条 残火処理の過程においては、安全管理に努めるほか、特に次に掲げる事項に注意するものとする。
(1) 壁体、集合煙突等の倒壊
(2) 内在物の落下
(3) 柱等の倒壊及び床の踏みぬけ等
(再燃火災防止の留意事項)
第8条 現場最高指揮者は、次に掲げる事項に留意し、再燃火災防止活動に当たるものとする。
(1) 破壊及び注水活動は、必要最小限に留めること。
(2) 破壊活動を実施するときは、努めて関係者に破壊理由等を説明して承諾を得てから実施すること。
(3) 未破壊部分については、関係者に監視及び警戒を指導すること。
(4) 材木置場、倉庫等大量可燃物の集積場所における火災で、再燃火災防止活動を要する場合は、関係者と協議し、作業要員を確保させるなど効率的な活動に努めること。
(5) 火災現場を管轄する消防団分団長と連絡を密にすること。
(残火処理チェックカードの提出)
第9条 残火処理活動を完了した消防隊の長(以下「隊長」という。)は、残火処理チェックカードを現場最高指揮者に提出しなければならない。
(協力依頼書の交付)
第10条 現場最高指揮者は、消防隊が火災現場を引揚げるとき、再燃火災防止のため必要ある建物等の関係者に対して協力依頼書(様式第1号)を交付し、協力を求めなければならない。
(警戒)
第11条 消防署長は、火災警戒又は異常気象(強風、乾燥注意報等をいう。)が発令中その他必要と認めた場合は、消防隊に警戒を行わせなければならない。また、残火処理活動等を実施した場合、基準表に基づき確認を行うとともに、警戒時点検記録表(様式第2号)を作成しなければならない。
附則
この訓令は、平成30年4月1日から施行する。
附則(令和4年訓令第3号)
(施行期日)
1 この訓令は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この訓令の施行の際現にあるこの訓令による改正前の様式による用紙については、当分の間、これを取り繕って使用することができる。
別表(第5条関係)
再燃火災防止活動基準表
構造区分 | 特に残り火が生じやすい場所等 | 点検要領 | 搬出・破壊要領 |
木造 | 屋根、小屋裏、天井裏、床下等 | 点検口(押入れの天井部分)等から内部を視認する。 | 1 かや、わらぶき屋根及び小屋裏に収納してあるわら等は、屋外の安全な場所に搬出する等必要な処置を講ずる。 2 小屋裏、天井裏及び床下の点検には、天井及び床を一部破壊する。 |
家具類(タンス)又は戸棚の裏側等 | 1 移動させて火気及び煙の有無を確かめる。 2 内部の収容物を視認する。 | 1 収容物のうち、衣類、書籍類等で焼損しているものは、屋外の安全な場所に搬出する等必要な処置を講ずる。 2 家具類又は戸棚等を移動し、必要に応じて局部破壊する。 | |
押入れ、戸袋等 | 1 収容物を引出し、内部を視認して、火気及び煙の有無を確かめる。 2 小屋裏への燃え抜け状況を確認する。 | 1 収容物等で焼損しているものは、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な処置を講ずる。 2 小屋裏の点検は、天井及び壁を一部破壊する。 | |
厨房等の火気使用施設周囲の鉄板張り内装裏面及び煙突の貫通部分等 | 変色部分等の表面を素手で触れて温度を確かめる。 | 変色部分等の表面温度の高い部分及びその最上部又は貫通部分を局所破壊する。 | |
瓦下地、畳の合わせ目等 | 1 焼け止まり箇所等を視認する。 2 畳で焼損の深いものは、床板まで燃え抜けているか確認する。 | 1 畳で焼損しているものは、屋外の安全な場所に搬出等の必要な処置を講ずる。 2 屋根の点検は、瓦及びのそ下地を一部破壊する。 | |
柱、はり、合掌等のほぞ部分等 | 1 視認及び表面を素手で触れて温度を確認する。 2 通し柱等に焼損がある場合は、小屋裏及び天井裏まで確認する。 | 必要に応じ、けん引ロープ等により柱、はり等を転倒又は落下させる。 | |
焼損堆積物等 | 堆積物内部の火気を確認する。 | 1 可能な限りトビ口等で掘り起こし、又は堀崩しを行う。 2 農薬、肥料、その他化学薬品等で注水、加熱等により発熱の危険性があるものは、できる限り屋外の安全な場所に搬出する。 | |
布団、マット、繊維類、紙、木材、木くず類、わら類等 | 深部に残った火気を素手で触れるなどして確認する。 | 消火器で消火したもの又は変色しているもの等できる限り屋外の安全な場所に搬出する。 | |
強い放射熱を受けた部分及び風下消防対象物の飛火危険箇所 | 変色又は強い放射熱を受けたと予測される部分を素手で触れて温度を確かめる。 | 1 変色又は受熱温度から必要に応じ、一部を破壊する。 2 布団、繊維類等深部に火種が残りやすいものについては、できる限り屋外の安全な場所に搬出する。 | |
防火造 | モルタル壁等二重壁内等 | 変色又は強い放射熱を受けたと予測される部分を素手で触れて温度を確かめる。 | 必要に応じ、二重壁の一部を破壊する。 |
その他木造及び耐火造準ずる。 | |||
耐火構造・準耐火構造 | ダクト、パイプスペース等の縦穴部分等 | 1 点検口等からな内部を視認する。 2 直上階等への縦穴部分等で埋戻しの有無を点検する。 3 可燃物と接している部分を点検する。 | 1 押入れ等の収容物を引出し、縦穴等の有無を確認する。 2 ダクト等の一部を破壊する。 |
ダクト、パイプ等の壁体及び床貫通部分の仕上材並びに埋戻し箇所等 | 1 点検口等から視認する。 2 変色部分等の表面を素手で触れ温度を確かめる。 | ダクト、天井、側壁等の一部を破壊する。 | |
その他木造及び防火造に準ずる。 |
その他の注意事項
1 建物火災における部分焼時の活動は、消防隊の放水態勢確保を前提とし、可能な限り水バケツ等を使用して水損防止を図ること。
2 注水については、全般に低圧注水で、状況により棒状及び噴霧を併用し、更に風上から順次、障害物等を排除しつつ行うこと。
3 建物火災をはじめ、全般に火災原因調査を考慮し、やたらに内容物等を搬出しないとともに、必要以上の破壊を慎むこと。
4 再燃危険箇所の活動は、建物構造その他の特性を勘案し、各種機材を有効に活用して実施すること。
5 屋根瓦の落下等その他危険防止に配慮するとともに、各隊協力し、円滑に活動を実施すること。
6 活動の実施状況を必要に応じて写真撮影しておくこと。