○入間東部地区事務組合患者等搬送事業に対する指導及び認定に関する要綱
平成30年4月1日
訓令第73号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 指導基準(第3条―第16条)
第3章 認定基準(第17条―第30条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この要綱は、入間東部地区事務組合管内における搬送用自動車を用いた患者等の搬送事業を行う事業者に対し、必要な指導を行うとともに、一定の基準に適合する認定を行うために必要な事項を定め、患者等の生命及び身体の安全を図ることを目的とする。
(1) 患者等 健常者以外の者並びに車椅子又は寝台を必要とする身体障がい者及び寝たきりの者をいう。
(2) 患者等搬送事業 患者等の医療機関への入退院、通院及び転院並びに社会福祉施設等への送迎に際し、必要な構造及び設備を備えた自動車(以下「患者等搬送用自動車」という。)を用いて患者等を搬送する事業をいう。
(3) 患者等搬送事業者 患者等搬送事業を行う事業所の経営者又は管理責任者をいう。
(4) 乗務員 患者等搬送用自動車に同乗し、患者等搬送事業に従事する者をいう。
(5) 認定業者 第17条の定めにより消防長から認定を受けた患者等搬送事業者をいう。
第2章 指導基準
(指導)
第3条 消防長は、管轄区域内の患者等搬送事業者に対し、本章に定める指導基準に基づいて指導を行うものとする。
(患者等搬送事業の基本原則)
第4条 患者等搬送事業の基本原則は、次に掲げるところによる。
(1) 患者等からの通報の適正処理及び患者等の搬送技能の向上に努めること。
(2) 生命に危険があり、又は症状が悪化すると認められ、緊急に医療機関その他の場所に搬送しなければならない患者等は、搬送の対象としないこと。
(3) 事業の社会的責任を十分自覚し、関連法規を遵守すること。
(応急手当)
第5条 患者等搬送事業は、症状の悪化防止に万全の配慮をし、搬送途上において症状が悪化した場合又は緊急やむを得ない場合は、必要な応急手当を実施しなければならない。
(消防機関との連携)
第6条 患者等搬送事業は、次の各号のいずれかに該当する場合は、119番通報等により患者等の居る場所、状態、既往症、掛かり付けの医療機関等を消防機関に通報し、救急自動車を要請するものとする。
(1) 患者等からの依頼時点において、緊急に医療機関へ搬送する必要がある場合。この場合において、乗務員を依頼場所へ派遣すること。
(2) 要請者からの依頼場所に到着した時点において、緊急に医療機関へ搬送する必要がある場合
(3) 患者等の搬送途上において、緊急に医療機関へ搬送する必要がある場合
(乗務員の要件)
第7条 乗務員は、満18歳以上の者で、次に掲げるものをもって充てるものとする。
2 車椅子のみを固定できる患者等搬送用自動車の乗務員の要件は、満18歳以上の者で、次に掲げるものをもって充てるものとする。
(1) 前項第1号に掲げる者
(2) 前項第2号に掲げる者
(3) 別表第1に掲げる患者等搬送乗務員基礎講習(車椅子専用)を修了した者
(適任証)
第8条 消防長は、次に掲げる者に対して適任証を交付するものとする。
(1) 別表第1に掲げる適任者講習の乗務員修了考査の合格者
(2) 別表第2に掲げる者で交付申請のあったもの
2 適任証の有効期間は、2年間とする。ただし、第10条で定める定期講習を受講した者については更に2年間有効とし、それ以降も同様とする。
3 適任証の交付は、適任者講習終了後1か月以内に直接本人に交付することを原則とする。
4 適任証を交付する場合は、適任証交付台帳(様式第2号)に記録し、当該適任証の写しを保存するものとする。
5 乗務員は、患者等搬送事業に従事するときは、適任証を携行するものとする。
(適任者講習)
第9条 適任者講習の開催は、年1回以上実施するものとし、開催日時等については、事前に広報誌等で広報するものとする。
2 別表第2に掲げる消防機関の行う適任者講習を修了した者と同等以上の知識及び技能を有する者は、適任者講習を受講しないことができる。ただし、日本赤十字社の講習受講者は、次に掲げる補完講習科目を受講しなければならない。
(1) 総論
(2) 心肺蘇生法
(3) 消防機関との連携要領
(4) 車両・資器材の消毒及び感染防止要領
3 適任者講習の受講又は受講しないで適任証の交付を受けようとする場合の申請は、患者等搬送乗務員講習申請書(様式第3号)で行うものとする。
(定期講習)
第10条 患者等搬送事業者は、乗務員の応急手当技能を適切に管理するため、適任証の交付を受けた乗務員に、2年に1回以上消防機関の行う別表第3に掲げる定期講習を受講させるものとする。
(講師)
第11条 適任者講習及び定期講習の講師は、別表第1の2の項に定める者のうちから消防長が指定するものとする。
(運行体制)
第12条 患者等搬送事業者は、患者搬送用自動車1台につき2人以上の乗務員をもって業務を行わせるものとする。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、乗務員を1人とすることができる。
(1) 医師、看護師等が同乗する場合
(2) 退院の場合
(3) 医師の指示によりあらかじめ決められている通院で、緊急に搬送する必要のない場合
(4) 老人ホーム、福祉施設等への送迎の場合
(患者等搬送用自動車の要件)
第13条 患者等搬送用自動車の要件は、次に掲げるところによる。
(1) 患者等搬送用自動車は、次に掲げる構造及び設備を有するものであること。
ア 十分な緩衝装置を有すること。
イ 換気及び冷暖房の装置を有するものであること。
ウ 乗務員が業務を実施するために必要なスペースを有するものであること。
エ ストレッチャー及び車椅子等を使用したまま確実に固定できる構造であること。
オ 自動車電話又は無線機等、通信・連絡に必要な設備を有すること。
(2) 患者等搬送用自動車は、サイレン又は赤色警告灯を装備するなど、救急自動車と紛らわしい外観を呈していないこと。
(3) 患者等搬送用自動車には、別表第4に掲げる資器材を積載すること。
(消毒)
第14条 患者等搬送用自動車及び積載資器材の消毒は、次に掲げるとおり行うものとする。
(1) 定期消毒 毎月1回以上
(2) 使用後消毒 毎使用後
(3) 医師から消毒について特定の指示があった場合
2 消毒の実施要領は、別表第5に定めるとおりとする。
3 定期消毒を実施した場合は、その旨を消毒実施記録票(様式第4号)に記録し、患者等搬送用自動車内の見やすい場所に表示するものとする。
(衛生及び安全管理)
第15条 衛生及び安全管理は、次に掲げるとおりとする。
(1) 患者等搬送用自動車及び積載資器材については、点検整備を確実に行い清潔保持に努めること。
(2) 乗務員の服装は、患者等搬送事業にふさわしいものとし、清潔の保持に努めること。
(事業案内)
第16条 患者等搬送事業者は、パンフレット等の事業案内で救急隊と同レベルの活動ができるかのような表現を用いてはならない。
第3章 認定基準
(認定)
第17条 消防長は、前章に定める指導基準に適合する患者等搬送事業者に対し、患者等搬送事業者の認定をするものとする。
(認定対象の事業者)
第18条 認定対象となる患者等搬送事業者は、道路運送法(昭和26年法律第183号)に定める次の各号のいずれかに該当する者とする。
(1) 一般乗用旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(2) 一般貸切旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(3) 特定旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(4) 自家用有償旅客運送の登録を受けた者
2 適任証の交付を受けている乗務員がいること。
(認定の審査)
第20条 消防長は、前条の規定により申請を受けた場合は、次に掲げるところにより認定の審査を行うものとする。
(1) 別表第6で示す認定審査基準表に基づき審査をする。
(2) 当該申請を受理した日から1か月以内に審査し、その結果を認定(否認定)結果通知書(様式第7号)により申請者に通知しなければならない。
(3) 利用者の安全を主眼に審査しなければならない。
(認定マークの交付)
第21条 消防長は、認定審査基準に適合した患者等搬送事業者に対し、別図1及び別図2に示す患者等搬送事業者認定マーク及び患者等の搬送用自動車認定マーク(以下これらを「認定マーク」という。)を交付するものとする。
2 消防長は、認定マークを交付した場合は、当該事業者の所在地及び名称その他必要と認められる事項を広報誌等により公表するとともに、患者等搬送事業認定業者台帳(様式第8号)に記録しなければならない。
(認定の有効期間)
第22条 認定の有効期間は、認定を受けた日の翌日から起算して5年とする。ただし、再認定による認定証の有効期限は、先に認定を受けた有効期間の残り期間とする。
(認定の更新)
第23条 認定業者は、認定の有効期間の満了後も引き続き認定を受けようとするときは、認定の期間が満了する1か月前から満了するまでの間に消防長に更新を申請するものとする。
2 更新申請の手続は、認定の申請手続の例によるものとする。
(認定マークの再交付)
第24条 認定業者は、認定マークを亡失し、又は滅失したときは、速やかに消防長に届け出て認定マークの再交付を受けなければならない。
2 消防長は、認定マークの再交付を行った場合は、患者等搬送事業認定業者台帳にその旨を記録するものとする。
(事業の休止)
第25条 認定業者は、患者等搬送事業の全部若しくは一部を休止し、又は廃止したときは、消防長に届け出るものとする。
2 消防長は、前項に定める届出を受理した場合は、患者等搬送事業認定業者台帳にその旨を記録するものとする。
(認定の失効)
第26条 認定業者が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、認定は、その効力を失う。
(1) 道路運送法の定めるところにより、国土交通大臣の許可又は登録が取り消され、又は失効したとき。
(2) 患者等搬送事業を廃止したとき。
(3) 認定の有効期間が満了したとき。
(認定業者の責務)
第27条 認定業者は、指導基準を誠実に履行しなければならない。
2 認定業者は、患者等搬送事業実施中、搬送事業の遂行に支障を及ぼす重大な事故を発生させたときは、消防長に報告するものとする。
(認定業者の調査)
第28条 消防長は、認定業者に対し、次に掲げるところにより指導基準等の履行状況について調査するものとする。
(1) 認定業者の調査は、利用者の安全を維持するため、認定業者調査表(様式第9号)により年1回以上実施しなければならない。
(2) 認定業者の調査は、当該事業所に立ち入り、関係事項を調査する。
(3) 立入調査においては、当該事業所の業務を妨害してはならない。
(4) 立入調査は、実施日時等を事前に連絡し、当該事業所の承諾を得なければならない。ただし、利用者の安全を害するおそれがあり、緊急に調査しなければならない場合は、この限りでない。
(認定の取消し)
第29条 消防長は、認定業者が次の各号のいずれかに該当するときは、認定を取り消すことができる。
(1) 認定業者が前章に定める指導基準を遵守しないとき。
(2) 業務の遂行に当たって、人身事故等の重大な事故を発生させたとき。
(3) 前2号に掲げるもののほか、認定を継続することが不適当と判断されるとき。
2 消防長は、認定の取消しを行った場合は、その理由を付して当該事業者に対し文書で通知するとともに、認定業者台帳に必要事項を記録しなければならない。
3 認定を取り消された事業者は、消防長に認定マークを返納しなければならない。
4 認定を取り消した場合は、当該事業者の所在地及び名称のほか、必要と認められる事項を広報誌等により公表するものとする。
(その他)
第30条 この要綱に定めるもののほか、患者等搬送事業に対する指導及び認定に関し必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
この訓令は、平成30年4月1日から施行する。
附則(令和4年訓令第3号)
(施行期日)
1 この訓令は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この訓令の施行の際現にあるこの訓令による改正前の様式による用紙については、当分の間、これを取り繕って使用することができる。
別表第1(第7条、第8条、第11条関係)
1 消防機関が行う基礎講習
患者等搬送乗務員基礎講習 | 患者等搬送乗務員基礎講習 (車椅子専用) | |
科目 | 時間数 | 時間数 |
総論 | 1 | 1 |
観察要領及び応急措置 | 13 | 9 |
体位管理要領 | 2 | 1 |
消防機関との連携要領 | 2 | 2 |
車両資器材の消毒及び感染防止要領 | 2 | 1 |
搬送法 | 2 | 1 |
修了考査 | 2 | 1 |
合計 | 24 | 16 |
※ 科目の1時間は、45分とする。
2 講師
講習の講師は、次のいずれかに該当する者をもって充てる。
(1) 救急隊長として3年以上の実務経験を有する者で、消防長が適任と認めたもの
(2) 消防大学校の救急科程の修了者で、消防長が適任と認めたもの
(3) 消防学校の救急科程の教官として2年以上の経験を有する者で、消防長が適任と認めたもの
3 乗務員の修了考査実施基準
修了考査は次の内容とし、80点以上をもって合格とする。
区分 | 課目 | 配点 |
実技 | 観察要領及び応急措置 | 60点 |
筆記 | 消防機関との連携要領 | 20点 |
車両資器材の消毒及び感染防止要領 | 20点 | |
合計 | 100点 |
別表第2(第7条―第9条関係)
消防機関の行う適任者講習を修了した者と同等以上の知識及び技能を有する者
次表のとおり
分類 | |
1 | 救急救命士の資格を有する者及び消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第51条に定める救急業務に関する講習課程を修了した者 |
2 | 日本赤十字の行う応急処置に関する講習を受けた者で、資格の有効期間内の者。ただし、消防機関の行う適任者講習の不足する科目については、消防機関の行う講習を受講すること。 |
3 | 上記、1及び2に掲げる者以上の知識及び技能を有すると消防長が認めた者 |
別表第3(第10条関係)
1 定期講習は、次に掲げるものとする。
科目 | 時間数 |
観察要領及び応急措置 | 2 |
体位管理要領 | 1 |
合計 | 3 |
※ 科目の1時間は、45分とする。
2 講師
適任者講習と同じ。
別表第4(第13条関係)
患者等搬送用自動車に積載する資器材
項目 | 資器材名 |
呼吸管理資器材 | バックバルブマスク ポケットマスク |
保温用資器材 | 敷物 保温用毛布 担架 まくら |
創傷等保護用資器材 | 三角巾 ガーゼ 包帯 タオル ばんそうこう |
消毒用資器材 (車両・資器材用) | 噴霧消毒器 各種消毒薬 |
その他の資器材 | はさみ マスク ピンセット 手袋 膿盆汚物入れ 体温計等 AED ※ 任意設置 |
別表第5(第14条関係)
1 定期消毒
区分 | 実施内容 |
資器材 | 1 流水による洗浄 2 消毒及び殺菌 |
車内 | 1 流水による消毒 2 消毒剤による清拭 |
備考 | 1 車内で、水洗いを避けなければならない場合は、清拭及び消毒用薬剤噴霧による殺菌消毒を行う。 2 実施時には、ディスポーザブルのビニール手袋等を着用すること。 |
2 使用後消毒
区分 | 実施内容 | |
血液、嘔吐等による汚染を受けた場合 | 左記以外の汚染の場合 | |
乗務員 | 手指の消毒は、前腕部を含めて流水により行い、消毒剤を使用する場合は、血液又は汚物等の付着があると殺菌効果が弱くなる薬剤もあるため、入念に洗い落としてから使用すること。 | |
資器材 | 1 消毒剤による清拭 2 流水による洗浄 3 消毒及び殺菌 | 1 流水による洗浄 2 消毒剤による清拭 |
車内 | 1 流水による洗浄 2 消毒剤による清拭、噴霧消毒 | 1 流水による洗浄 2 消毒剤による清拭 |
備考 | 1 車内で、水洗いを避けなければならない場合は、清拭及び消毒用薬剤噴霧器による殺菌消毒を行う。 2 実施時には、ディスポーザブルのビニール手袋及びマスク並びにゴーグル等を使用して消毒剤が眼や口腔内に入らないよう注意すること。 |