○入間東部地区事務組合災害現場指揮要領の制定について(依命通達)

令和元年10月25日

通達入東事消指第1号

このことについて、円滑な部隊運用を図るため下記の要領を定めたので、令和元年10月25日以後はこれにより取り扱うよう、命により通達する。

入間東部地区事務組合災害現場指揮要領

(趣旨)

第1条 この要領は、入間東部地区事務組合警防規程(平成30年訓令第62号。以下「警防規程」という。)及び入間東部地区事務組合警防対策本部設置要綱(平成30年訓令第63号。以下「警防対策本部設置要綱」という。)に定める災害現場における部隊の効率的な運用を図る現場指揮及び任務に関し必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この要領において使用する用語は、警防規程及び警防対策本部設置要綱において使用する用語の例による。

(現場指揮本部の組織)

第3条 災害現場における指揮本部(以下「現場指揮本部」という。)の組織は、別表のとおりとする。

(指揮体制)

第4条 現場最高指揮者は、指揮系統に基づく指揮権が混乱なく機能し、各級指揮者に任務を効率的に遂行させるため、災害の規模及びその進展に応じて別図に掲げる指揮体制を編成するものとする。

(指揮体制の移行)

第5条 指揮体制を移行する手順は、次によるものとする。

(1) 大隊長は、災害現場に上位指揮者が臨場したときは、災害状況並びに人命危険情報、延焼危険情報及び活動危険情報(以下「三大危険情報」という。)並びに現在の活動方針及び全部隊の活動状況を報告するものとする。

(2) 消防長又は管轄署長は、前号の規定による報告から社会的影響が大きい又は災害の規模が拡大するおそれがあると判断したときは、指揮宣言して現場最高指揮者の任務に就くものとする。

(3) 指揮宣言は、指揮体制を移行した都度、行うものとする。

(指揮系統)

第6条 前条に規定する指揮体制において指揮系統に属する者は、指揮系統を常に尊重し、自己の指揮権限の範囲内で部下を指揮し、積極的に任務を遂行しなければならない。

2 現場最高指揮者が事故等により不在の場合、指揮権を代理する順位は、次によるものとする。

(1) 第1及び第2指揮体制 中隊長

(2) 第3指揮体制 副署長―分署長―大隊長―中隊長

(3) 特別指揮体制 署長―副署長―分署長―大隊長―中隊長

(現場最高指揮者の任務)

第7条 現場最高指揮者は、収集、処理された情報を基に災害の規模を掌握し、部隊の中枢として最大の消防活動効果を上げる適切な現場指揮を行うため、次に掲げる事項を任務とする。

(1) 災害現場活動を統制するため、指揮宣言及び活動方針を現場報告して全部隊及び指揮統制課に周知すること。

(2) 災害現場を一巡し、三大危険情報を確認後、現場指揮本部において統括指揮を執り、災害の状況に適応した部隊を配備すること。

(3) 消防警戒区域及び火災警戒区域(以下「警戒区域」という。)の設定並びに現場広報を実施させること。

(4) 災害の規模等により、現場救護所を設置すること。

(5) 必要に応じて、部隊、資機材等の応援要請をすること。

(6) 消防団に必要な指示をすること。

(7) 鎮火の判定をすること。

(8) 前各号に定めるもののほか、必要な事項に関すること。

(指揮隊の編成)

第8条 指揮隊は、指揮隊長、情報担当員及び通信担当員をもって組織し、指揮隊員のうち1名を機関員とする。

(指揮隊の任務)

第9条 指揮隊は、災害現場において情報を収集し、現場最高指揮者の円滑な部隊運用を補佐することを任務とする。

2 指揮隊長は、次に掲げる事項を任務とする。

(1) 現場最高指揮者を補佐し、その命令を部隊に伝達すること。

(2) 災害現場を一巡し、現場最高指揮者の死角となる三大危険情報を重点的に確認するとともに災害実態を把握するための写真を撮影すること。

(3) 部隊の部署位置及び活動状況を把握すること。

(4) 警察署、電力供給会社、ガス供給会社、水道供給機関等(以下「関係機関」という。)との連絡調整及び関係資料を確保すること。

(5) 前各号に定めるもののほか、現場最高指揮者の特命事項を処理すること。

3 情報担当員は、次に掲げる事項を任務とする。

(1) 関係者を確保し、発見、通報、初期消火等の状況を把握すること。

(2) 防ぎょ図を作成し、出火点及び延焼範囲を明らかにするとともに部隊の活動状況を把握すること。

(3) 無線統制をするとともに収集した三大危険情報などの整理を行い、二次災害の発生危険を部隊に伝達すること。

(4) 消防用設備等の作動状況、自衛消防隊の活動状況、防火管理等の状況を把握すること。

(5) 前各号に定めるもののほか、現場最高指揮者の特命事項を処理すること。

4 通信担当員は、次に掲げる事項を任務とする。

(1) 出場途上において、支援情報、地理・水利の状況、対象物の実態、警防計画その他の災害関係資料を整理し、必要事項を現場最高指揮者に報告すること。

(2) 無線統制し、必要な情報を指揮統制課に現場報告すること。

(3) 災害活動状況を時系列にまとめて記録し、整理すること。

(4) 災害の発生原因及び被害状況を把握し、現場広報の資料を作成すること。

(5) 前各号に定めるもののほか、現場最高指揮者の特命事項を処理すること。

5 前3項に規定する任務は、現場最高指揮者が総理し、編成及び任務分担を掌理するものとする。

(最先着隊長の任務)

第10条 第1指揮体制時において、災害現場に最先着した中隊長又は小隊長は、現場最高指揮者が現場到着するまでの間、次に掲げる事項を任務とする。

(1) 現場最高指揮者の出場途上命令により、現場到着後、直ちに指揮宣言して現場最高指揮者の指揮を代理すること。

(2) 災害現場を一巡し、三大危険情報を重点的に確認後、速やかに現場報告して全部隊及び指揮統制課に周知すること。

(3) 関係者から逃げ遅れ情報その他の災害活動に必要な情報を収集し、速やかに現場報告して全部隊及び指揮統制課に周知すること。

(4) 二次災害の防止を図るため、隊員に現場広報を実施させること。

(5) 現場最高指揮者の現場到着後、災害状況の推移やこれまでに執った措置等を報告すること。

2 前項に規定する任務終了後、現場最高指揮者からの別命がなければ自隊の指揮に専念するものとする。

(現場指揮本部の設置及び運営)

第11条 現場指揮本部は、次に掲げる場所に設置するものとする。

(1) 災害の状況が全般的に把握できる場所

(2) 火煙等の影響を受けない場所

(3) 消防活動に支障のない場所

(4) 避難者及び一般人の影響を受けない場所

(5) 無線障害がなく、連絡が容易にできる場所

(6) 必要最小限度の活動スペースが確保できる場所

2 現場指揮本部の運営は、次によるものとする。

(1) 現場最高指揮者は、現場把握等のために現場指揮本部を一時的に離れる場合には指揮を代理する者を指名し、全部隊及び指揮統制課にその内容を周知するものとする。

(2) 関係機関との連絡手段を確保し、必要があると認めたときは、速やかに災害現場に要請をするものとする。

(3) 情報管理を徹底し、プライバシーに関する事項及び重要事項はみだりに掲出しないものとする。

(4) 報道関係者の取材により、現場指揮本部の運営に支障を来すおそれがあるときは現場広報を行い、現場指揮本部から離れた場所で報道対応をするものとする。

(署隊本部の設置及び運営)

第12条 第2出場以上に該当する災害が発生し、管轄署長が現場最高指揮者になったときは、災害現場に署隊本部を設置するものとする。

2 災害現場に署隊本部が設置された場合、管轄副署長及び管轄分署長並びに消防署の毎日勤務者(以下「署隊本部員」という。)は、収集、処理された情報をもって現場最高指揮者の現場指揮を補佐するものとする。

(前進指揮隊長の指名)

第13条 現場最高指揮者は、災害現場が平面的又は立体的に拡大し、部隊を広範囲に展開させなければならない事態が生じたとき又はそのおそれがあると認めたときは、災害現場の局面指揮を執る前進指揮隊長を指名するものとする。

(前進指揮隊長の任務)

第14条 前進指揮隊長は、次に掲げる事項を任務とする。

(1) 現場最高指揮者の活動方針に基づき、円滑な部隊運用をすること。

(2) 担当する範囲の災害状況及び指揮を執る部隊の活動状況を把握すること。

(3) 現場指揮本部と情報を共有するため、活動状況を随時報告すること。

(4) 部隊を指揮する上で必要な資機材を集積管理すること。

(現場救護所の設置及び救護隊長の指名)

第15条 現場最高指揮者は、災害現場において局地的かつ短時間に多数の傷病者が発生したときは現場救護所を設置し、現場救護所の局面指揮を執る救護隊長を指名するものとする。

(救護隊長等の任務)

第16条 現場救護所における救護隊長等の任務は、入間東部地区事務組合多数傷病者発生時の活動基準(平成30年4月1日)に定めるとおりとする。

(現場引揚げ及び転戦)

第17条 現場最高指揮者は、活動状況から部隊の必要がないと認めたときは、速やかに部隊の縮小又は現場引揚げの命令をするものとする。

2 現場最高指揮者は、災害現場での活動中に新たな災害が発生したとき、活動中の災害現場の収束が見込まれたときは、指揮隊及び必要な部隊に対し転戦命令をするものとする。

3 前項の場合において、現場最高指揮者は管轄の中隊長を指揮代理に指名し、その内容を現場報告して全部隊及び指揮統制課に周知するものとする。

別表(第3条関係)

現場指揮本部の組織


第1出場

第2出場

第3出場


指揮体制

第1指揮体制

第2指揮体制

第3指揮体制

特別指揮体制

現場指揮本部名称

大隊本部

大隊本部

署隊本部

警防対策本部

現場最高指揮者

大隊長

大隊長

管轄署長

消防長

本部員

指揮隊

指揮隊

管轄副署長

管轄分署長

大隊長

署隊本部員

指揮隊

管轄署長

管轄副署長

管轄分署長

大隊長

警防対策本部員

署隊本部員

指揮隊

別図(第4条関係)

1 第1及び2指揮体制

① 大隊長が現場最高指揮者となる場合

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② 大隊長が現場最高指揮者となる場合(現場救護所を開設する場合)

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※ 図の中で太い線の系列は、指揮権を有するライン、細い線は補佐するライン。

2 第3指揮体制

① 管轄署長が現場最高指揮者となる場合

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② 管轄署長が現場最高指揮者となる場合(現場救護所を開設する場合)

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3 特別指揮体制

① 消防長が現場最高指揮者となる場合

(現場救護所を開設する場合の体制は、第3指揮体制と同じ。)

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入間東部地区事務組合災害現場指揮要領の制定について(依命通達)

令和元年10月25日 通達入東事消指第1号

(令和3年12月8日施行)