○いしかわ文化振興条例

平成二十七年三月二十三日

条例第八号

いしかわ文化振興条例をここに公布する。

いしかわ文化振興条例

目次

前文

第一章 総則(第一条―第六条)

第二章 文化振興施策

第一節 石川の優れた文化の継承及び発展(第七条―第十五条)

第二節 文化に親しむ環境づくり(第十六条―第二十一条)

第三節 文化による地域づくり(第二十二条―第二十四条)

第四節 文化の交流及び発信(第二十五条―第二十七条の二)

第五節 文化を支える仕組みづくり(第二十八条―第三十条)

第三章 いしかわ文化の日(第三十一条―第三十五条)

第四章 文化振興基本方針(第三十六条)

附則

文化は豊かな人間性を育み、人と人との心のつながりやお互いを理解し尊重し合う社会の基盤となる。文化は人の心の糧であり、豊かな文化と共に生きることは、人の変わらぬ願いである。

石川県は、三方を日本海に囲まれた能登と霊峰白山を仰ぐ加賀という、二つの特色ある地域から成り立っており、私たちの先人たちは、太古の縄文文化の時代から、古代における朝鮮半島や渤海国との交流、中世の一向一揆、近世の加賀百万石の武家文化と、それぞれの時代ごとに、四季折々に美しく豊かな自然風土と深く関わり合いながら、色鮮やかな文化の華を咲かせてきた。

真脇の縄文土器にはじまる工芸の流れは、中世に珠洲焼を生み、近世には加賀藩の文化奨励政策により九谷焼や加賀蒔絵などの絢爛けんらんたる諸工芸が育成され、現在の工芸王国石川へと受け継がれる一方で、能楽や邦楽、茶道や華道に代表される優れた伝統芸能や生活文化を培ってきた。また、学術の分野においても、明治期以降、日本を代表する学者や文学者を輩出し、この高い精神性が、今の学都石川の礎となっている。さらに、県内の各地域に目を転ずれば、世界に高く評価された里山里海や、豊かな食文化など、人の営みとともに形づくられた個性ある多様な文化があふれている。このような伝統的な文化の系譜を連ねる一方で、オーケストラ・アンサンブル金沢をはじめとした新たな文化の創造や、金沢城公園の史実に沿った復元整備も進められるなど、文化の厚みを増してきた。

こうした中で、北陸新幹線の金沢までの開業は、本県の歴史、文化、自然の見事な融合と、多彩で質の高い文化の魅力を広く国内外に発信するとともに、文化の交流を一層盛んにし、ひいては人口減少、少子高齢化の課題に直面する地域の活力を高める転機である。今こそ私たちは、県を挙げて、文化の裾野をひろげ、その強固な土台を支えに、石川の優れた文化の更なる高みを目指し、まい進しなければならない。

この条例を、石川の文化の更なる振興に向けた道しるべとして、県民、文化団体、行政が認識を共有し、取り組んでいく意義は大きい。

「文化(カルチャー)」とは、「耕す」ことであり、私たちは絶えず文化の土壌を豊かにし、新たな地平を切りひらく努力を怠ってはならない。

ここに、私たちは、県民一人一人が石川の文化に誇りを持ち、永い歴史に育まれた文化に更に磨きをかけ、これを県民共通の財産として次の世代へ継承するとともに、新たな文化の創造の歩みを止めることなく、国際的にも評価される個性と魅力に溢れる文化の創造と発展を目指すことを決意し、この条例を制定する。

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、文化の振興に関し、基本理念を定め、並びに県及び市町の責務並びに県民、文化活動を行う団体(以下「文化団体」という。)その他の文化の振興を担う多様な主体の役割を明らかにするとともに、文化の振興に関する施策(以下「文化振興施策」という。)の基本となる事項等を定めることにより、文化振興施策の総合的な推進を図り、もって心豊かで潤いのある県民生活及び個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第二条 文化の振興に当たっては、県民一人一人が文化の担い手であるとの認識の下に、その自主性及び創造性が尊重されなければならない。

2 文化の振興に当たっては、文化を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利であることに鑑み、県民が等しく文化を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造することができるような環境の整備が図られなければならない。

3 文化の振興に当たっては、文化が県民の豊かな心をかん養し、地域の活力を高める重要な社会的財産であるとの認識の下に、文化活動が活発に行われるような環境の醸成を旨として、石川の文化の裾野の拡大を図るとともに、更なる高みを目指すよう努めなければならない。

4 文化の振興に当たっては、豊かな自然、歴史及び風土に培われてきた石川の優れた文化が、県民共通の財産として育まれるとともに、将来にわたり引き継がれ、発展するよう配慮されなければならない。

5 文化の振興に当たっては、地域の住民が誇りと愛着を持ち、守り育ててきた地域固有の多様な文化が尊重されるとともに、その活用を通じて地域の活性化が図られるよう配慮されなければならない。

6 文化の振興に当たっては、石川の文化の魅力が国内外に広まるよう、文化に関する情報の発信及び文化を通じた交流が積極的に推進されなければならない。

7 文化の振興に当たっては、県民、文化団体、大学等の高等教育機関、市町及び県がそれぞれの責務又は役割を担うとともに、相互に連携し、及び協働するよう努めなければならない。

(県の責務)

第三条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、文化振興施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 県は、文化振興施策の策定及び実施に当たっては、広く県民の意見が反映されるよう努めるものとする。

3 県は、文化振興施策の推進に当たっては、市町との連携を図るとともに、市町がその地域の特性に応じた文化振興施策を策定し、及び実施するため、必要な助言その他の支援を行うよう努めるものとする。

4 県は、国及び他の都道府県との連携及び協力により、文化振興施策の効果的な推進に努めるものとする。

(市町の責務)

第四条 市町は、基本理念にのっとり、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた文化振興施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。

(県民及び文化団体の役割)

第五条 県民及び文化団体は、自主的かつ主体的な文化活動を通じて、文化を振興する役割を担うものとする。

(大学等の高等教育機関の役割)

第六条 大学等の高等教育機関は、文化に関する調査研究の充実を図るとともに、その有する専門知識、設備等を活用した文化活動への支援及び人材の育成等を通じて、文化を振興する役割を担うものとする。

第二章 文化振興施策

第一節 石川の優れた文化の継承及び発展

(芸術の振興)

第七条 県は、文学、音楽、美術、デザイン、写真、演劇、舞踊、メディア芸術(映画、漫画、アニメーション及びコンピュータその他の電子機器等を利用した芸術をいう。)その他の芸術の振興を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(伝統芸能の継承及び発展)

第八条 県は、先人から受け継がれてきた能楽、邦楽、日本舞踊その他の伝統芸能の継承及び発展を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(伝統工芸の継承及び発展)

第九条 県は、先人から受け継がれてきた輪島塗、山中漆器、加賀友禅、九谷焼その他の伝統工芸の継承及び発展を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(食文化の継承及び発展)

第十条 県は、豊かな自然に育まれた食材、地酒、味及びしょう油等の発酵食品、これらの調理法、器としての伝統工芸品など、歴史と伝統に裏付けられた食文化の継承及び発展を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(生活文化等の振興)

第十一条 県は、茶道、華道、書道その他の生活文化、講談、落語、歌唱その他の芸能及び囲碁、将棋その他の国民的娯楽の振興を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(文化財等の保存及び活用)

第十二条 県は、有形及び無形の文化財並びにその保存技術(以下「文化財等」という。)の保存及び活用を図るため、文化財等に関し、修復、防災対策、公開等への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(文化の担い手の育成)

第十三条 県は、伝統文化(伝統芸能、伝統工芸その他の伝統的な文化をいう。)を継承する者、文化に関する創造的活動を行う者、文化財等の保存及び活用に関する専門的知識及び技能を有する者その他の文化の担い手を育成するため、必要な施策を講ずるものとする。

(子どもによる文化の継承)

第十四条 県は、石川の将来を担う子どもが、次代の文化の担い手として、石川の優れた文化を継承するため、必要な施策を講ずるものとする。

(顕彰)

第十五条 県は、文化活動で顕著な成果を収めた者及び文化の振興に寄与した者の顕彰に努めるものとする。

第二節 文化に親しむ環境づくり

(県民の文化意識の向上)

第十六条 県は、県民の文化に対する関心及び理解を深め、文化に対する意識の向上を図るため、普及啓発その他の必要な施策を講ずるものとする。

(県民が文化に親しむ機会の充実)

第十七条 県は、広く県民が文化を鑑賞し、参加し、創造すること等を通じて、文化に親しむ機会の充実を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(子どもが文化に触れる機会の充実)

第十八条 県は、子どもが文化に触れる機会の充実を図るため、子どもを対象とした文化に関する公演、展示等への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(学校教育における文化活動の充実)

第十九条 県は、学校教育における文化活動の充実を図るため、体験学習等の文化に関する教育の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。

(高齢者、障害者等の文化活動の充実)

第二十条 県は、高齢者、障害者等が行う文化活動の充実を図るため、これらの者の文化活動が活発に行われるような環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。

(文化施設等の充実及び活用の促進)

第二十一条 県は、美術館、博物館、音楽堂、図書館その他の文化施設をはじめとする県民が文化に親しむ場の充実を図るとともに、その活用の促進に努めるものとする。

(令四条例七・一部改正)

第三節 文化による地域づくり

(ふるさと文化の継承及び発展)

第二十二条 県は、地域の歴史と風土の中で、人の営みとともに形成されてきた歴史的又は文化的な景観、海女文化、年中行事、祭り、方言その他の地域固有の文化(以下「ふるさと文化」という。)の継承及び発展を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(ふるさと文化の活用による地域の活性化)

第二十三条 県は、ふるさと文化が、県民の地域への誇りや愛着を育み、地域社会の基盤形成に大きな役割を果たすことに鑑み、これを生かした取組による地域の活性化が推進されるよう、必要な施策を講ずるものとする。

(文化による地域産業の振興)

第二十四条 県は、文化が地域産業の振興に資するよう、文化と地域産業との相互連携の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。

第四節 文化の交流及び発信

(文化に関する交流の促進)

第二十五条 県は、県民及び文化団体が文化活動を活発に行うとともに、県内外の人々との相互理解を深めることができるよう、文化に関する交流の促進に努めるものとする。

(文化に関する情報の収集及び発信)

第二十六条 県は、県民及び文化団体による文化活動を促進するため、文化に関する情報の収集及び発信に努めるものとする。

(文化の観光資源としての活用)

第二十七条 県は、国内及び海外からの観光旅客をはじめとする交流人口の拡大を図るため、石川の優れた文化が観光資源として活用されるよう、必要な施策を講ずるものとする。

(文化観光の推進)

第二十七条の二 県は、本県の文化及び観光の振興を図るため、文化観光(文化資源の観覧及び体験活動等を通じて文化についての理解を深めることを目的とする観光をいう。)の推進に向け、国、市町、文化施設及び観光事業者(観光に関する事業を営む者をいう。)等と相互に連携し、必要な施策を講ずるものとする。

(令五条例二六・追加)

第五節 文化を支える仕組みづくり

(推進体制の整備)

第二十八条 県は、文化振興施策の総合的な推進を図るため、必要な体制の整備に努めるものとする。

(企業等による文化支援活動の促進)

第二十九条 県は、企業等が社会貢献の一環として行う文化活動を支援する活動を促進するため、普及啓発、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(財政上の措置)

第三十条 県は、文化振興施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるものとする。

第三章 いしかわ文化の日

(趣旨)

第三十一条 県は、第十六条の規定により、県民の文化意識の向上を図るため、いしかわ文化の日及びいしかわ文化推進期間を設ける。

(いしかわ文化の日)

第三十二条 いしかわ文化の日は、十月の第三日曜日とする。

(いしかわ文化推進期間)

第三十三条 いしかわ文化推進期間は、いしかわ文化の日からその年の十一月三日までの期間とする。

(事業等)

第三十四条 県は、いしかわ文化の日及びいしかわ文化推進期間についての普及啓発に努めるとともに、その期間において、第三十一条の規定の趣旨にふさわしい事業等を行うものとする。

(市町及び文化団体への協力)

第三十五条 県は、市町及び文化団体が、いしかわ文化の日及びいしかわ文化推進期間に合わせた取組を行おうとする場合には、必要な助言その他の協力を行うものとする。

第四章 文化振興基本方針

第三十六条 県は、文化振興施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、文化の振興に関する基本的な方針(以下「文化振興基本方針」という。)を定めるものとする。

2 文化振興基本方針は、文化振興施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な事項その他必要な事項について定めるものとする。

この条例は、平成二十七年四月一日から施行する。

(令和四年二月二十四日条例第七号抄)

(施行期日)

1 この条例は、令和四年四月一日から施行する。

(令和五年十月四日条例第二十六号)

この条例は、公布の日から施行する。

いしかわ文化振興条例

平成27年3月23日 条例第8号

(令和5年10月4日施行)

体系情報
第1編 規/第7章 県民・文化/第1節
沿革情報
平成27年3月23日 条例第8号
令和4年2月24日 条例第7号
令和5年10月4日 条例第26号