○介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例
平成三十年二月二十一日
条例第七号
介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例をここに公布する。
介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例
目次
第一章 趣旨、基本方針等(第一条―第三条)
第二章 人員に関する基準(第四条)
第三章 施設及び設備に関する基準(第五条・第六条)
第四章 運営に関する基準(第七条―第四十二条)
第五章 ユニット型介護医療院の基本方針並びに施設、設備及び運営に関する基準
第一節 この章の趣旨及び基本方針(第四十三条・第四十四条)
第二節 施設及び設備に関する基準(第四十五条)
第三節 運営に関する基準(第四十六条―第五十四条)
第六章 雑則(第五十五条)
附則
第一章 趣旨、基本方針等
(趣旨)
第一条 この条例は、介護保険法(平成九年法律第百二十三号。以下「法」という。)第百十一条第一項から第三項までの規定により、介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定めるものとする。
(基本方針)
第二条 介護医療院は、長期にわたり療養が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことにより、その者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにするものでなければならない。
2 介護医療院は、入所者の意思及び人格を尊重し、常に入所者の立場に立って介護医療院サービスの提供に努めなければならない。
3 介護医療院は、明るく家庭的な雰囲気を有し、地域や家庭との結び付きを重視した運営を行い、市町村(特別区を含む。以下同じ。)、居宅介護支援事業者(居宅介護支援事業を行う者をいう。以下同じ。)、居宅サービス事業者(居宅サービス事業を行う者をいう。第四十四条第二項において同じ。)、他の介護保険施設その他の保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。
4 介護医療院は、入所者の人権の擁護、入所者に対する虐待の防止等のため、責任者を設置する等必要な体制の整備を行うとともに、従業者に対し研修を実施する等の措置を講ずるよう努めなければならない。
一 療養床 療養室のうち、入所者一人当たりの寝台又はこれに代わる設備の部分をいう。
二 Ⅰ型療養床 療養床のうち、主として長期にわたり療養が必要である者であって、重篤な身体疾患を有する者、身体合併症を有する認知症高齢者等を入所させるためのものをいう。
三 Ⅱ型療養床 療養床のうち、Ⅰ型療養床以外のものをいう。
第二章 人員に関する基準
(従業者)
第四条 介護医療院は、医師及び看護師のほか、次に掲げる従業者を置かなければならない。
一 薬剤師
二 准看護師
三 介護職員
四 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士
五 栄養士
六 介護支援専門員
七 診療放射線技師
八 調理員、事務員その他の従業者
2 前項各号に掲げる従業者の配置等に関する基準は、規則で定める。
第三章 施設及び設備に関する基準
(施設)
第五条 介護医療院は、療養室、診察室、処置室及び機能訓練室のほか、次に掲げる施設を設けなければならない。
一 談話室
二 食堂
三 浴室
四 レクリエーション・ルーム
五 洗面所
六 便所
七 サービス・ステーション
八 調理室
九 洗濯室又は洗濯場
十 汚物処理室
2 前項各号に掲げる施設の設置等に関する基準は、規則で定める。
2 前項の規定にかかわらず、木造かつ平屋建の介護医療院の建物で規則で定める要件を満たすものについて、知事が、火災予防、消火活動等に関し専門的知識を有する者の意見を聴いた上で火災に係る入所者の安全性が確保されていると認めるときは、耐火建築物又は準耐火建築物とすることを要しないものとする。
3 介護医療院の廊下幅は、一・八メートル以上(中廊下にあっては、二・七メートル以上)とする。ただし、既存建物の改修により整備する介護医療院であって、廊下の一部の幅を拡張することにより、入所者、従業者等の円滑な往来に支障が生じないと認められるときは、一・五メートル以上(中廊下にあっては、一・八メートル以上)とすることができる。
4 前三項に定めるもののほか、必要な構造設備の基準は、規則で定める。
第四章 運営に関する基準
(内容及び手続の説明及び同意)
第七条 介護医療院は、介護医療院サービスの提供の開始に際し、あらかじめ、入所申込者又はその家族に対し、第二十九条に規定する運営規程の概要、従業者の勤務の体制その他の入所申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記載した文書を交付して説明を行い、当該提供の開始について入所申込者の同意を得なければならない。
(提供拒否の禁止)
第八条 介護医療院は、正当な理由がなく、介護医療院サービスの提供を拒んではならない。
(サービス提供困難時の対応)
第九条 介護医療院は、入所申込者の病状等を勘案し、入所申込者に対し自ら必要なサービスを提供することが困難であると認めた場合は、適切な病院又は診療所を紹介する等の適切な措置を速やかに講じなければならない。
(受給資格等の確認)
第十条 介護医療院は、介護医療院サービスの提供を求められた場合には、その者の提示する被保険者証によって、被保険者資格、要介護認定の有無及び要介護認定の有効期間を確かめるものとする。
2 介護医療院は、前項の被保険者証に法第百十条第二項に規定する認定審査会意見が記載されているときは、当該認定審査会意見に配慮して、介護医療院サービスを提供するように努めなければならない。
(要介護認定の申請に係る援助)
第十一条 介護医療院は、入所の際に要介護認定を受けていない入所申込者については、要介護認定の申請が既に行われているかどうかを確認し、当該申請が行われていない場合は、入所申込者の意思を踏まえて速やかに当該申請が行われるよう必要な援助を行わなければならない。
2 介護医療院は、要介護認定の更新の申請が遅くとも当該入所者が受けている要介護認定の有効期間の満了日の三十日前には行われるよう必要な援助を行わなければならない。
(入退所)
第十二条 介護医療院は、その心身の状況、病状、その置かれている環境等に照らし療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他医療等が必要であると認められる者を対象に、介護医療院サービスを提供するものとする。
2 介護医療院は、入所申込者の数が入所定員から入所者の数を差し引いた数を超えている場合には、長期にわたる療養及び医学的管理の下における介護の必要性を勘案し、介護医療院サービスを受ける必要性が高いと認められる入所申込者を優先的に入所させるよう努めなければならない。
3 介護医療院は、入所申込者の入所に際しては、その者に係る居宅介護支援事業者に対する照会等により、その者の心身の状況、生活歴、病歴、指定居宅サービス等(法第八条第二十四項に規定する指定居宅サービス等をいう。)の利用状況等の把握に努めなければならない。
4 介護医療院は、入所者の心身の状況、病状、その置かれている環境等に照らし、その者が居宅において日常生活を営むことができるかどうかについて定期的に検討し、その内容等を記録しなければならない。
5 前項の検討に当たっては、医師、薬剤師、看護職員(看護師又は准看護師をいう。)、介護職員、介護支援専門員等の従業者の間で協議しなければならない。
6 介護医療院は、入所者の退所に際しては、入所者又はその家族に対し、適切な指導を行うとともに、居宅サービス計画の作成等の援助に資するため、居宅介護支援事業者に対する情報の提供に努めるほか、退所後の主治の医師に対する情報の提供その他保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。
(サービスの提供の記録)
第十三条 介護医療院は、入所に際しては入所の年月日並びに入所している介護保険施設の種類及び名称を、退所に際しては退所の年月日を、入所者の被保険者証に記載しなければならない。
2 介護医療院は、介護医療院サービスを提供したときは、提供した具体的なサービスの内容等を記録しなければならない。
(利用料等の受領)
第十四条 介護医療院は、法定代理受領サービス(法第四十八条第四項の規定により施設介護サービス費(同条第一項に規定する施設介護サービス費をいう。以下この項及び第四十六条第一項において同じ。)が入所者に代わり当該介護医療院に支払われる場合の当該施設介護サービス費に係る介護医療院サービスをいう。以下同じ。)に該当する介護医療院サービスを提供したときは、入所者から利用料(施設介護サービス費の支給の対象となる費用に係る対価をいう。以下同じ。)の一部として、当該介護医療院サービスについて法第四十八条第二項に規定する厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該介護医療院サービスに要した費用の額を超えるときは、当該現に介護医療院サービスに要した費用の額とする。次項及び第四十六条において「施設サービス費用基準額」という。)から当該介護医療院に支払われる施設介護サービス費の額を控除して得られた額の支払を受けるものとする。
2 介護医療院は、法定代理受領サービスに該当しない介護医療院サービスを提供したときに入所者から支払を受ける利用料の額と、施設サービス費用基準額との間に、不合理な差額が生じないようにしなければならない。
3 介護医療院は、前二項の支払を受ける額のほか、規則で定める費用の額の支払を受けることができる。
4 介護医療院は、前項の費用の額に係るサービスの提供に当たっては、あらかじめ、入所者又はその家族に対し、当該サービスの内容及び費用を記載した文書を交付して説明を行い、入所者の同意を得なければならない。ただし、規則で定める費用に係る同意については、文書によるものとする。
(保険給付の請求のための証明書の交付)
第十五条 介護医療院は、法定代理受領サービスに該当しない介護医療院サービスに係る費用の支払を受けた場合は、提供した介護医療院サービスの内容、費用の額その他必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を入所者に対して交付しなければならない。
(介護医療院サービスの取扱方針)
第十六条 介護医療院は、施設サービス計画に基づき、入所者の要介護状態の軽減又は悪化の防止に資するよう、その者の心身の状況等を踏まえて、その者の療養を適切に行わなければならない。
2 介護医療院サービスは、施設サービス計画に基づき、漫然かつ画一的なものとならないよう配慮して行われなければならない。
3 介護医療院の従業者は、介護医療院サービスの提供に当たっては、懇切丁寧を旨とし、入所者又はその家族に対し、療養上必要な事項について、理解しやすいように指導又は説明を行わなければならない。
4 介護医療院は、介護医療院サービスの提供に当たっては、当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入所者の行動を制限する行為(以下「身体的拘束等」という。)を行ってはならない。
5 介護医療院は、身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない。
6 介護医療院は、身体的拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を三月に一回以上開催するとともに、その結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。
二 身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。
三 介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。
7 介護医療院は、自らその提供する介護医療院サービスの質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない。
(施設サービス計画の作成)
第十七条 介護医療院の管理者は、介護支援専門員に施設サービス計画の作成に関する業務を担当させるものとする。
2 介護医療院の施設サービス計画に関する業務を担当する介護支援専門員(以下この条及び第二十八条において「計画担当介護支援専門員」という。)は、施設サービス計画の作成に当たっては、入所者の日常生活全般を支援する観点から、地域の住民による自発的な活動によるサービス等の利用も含めて施設サービス計画上に位置付けるよう努めなければならない。
3 介護医療院の計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画の作成に当たっては、適切な方法により、入所者について、その有する能力、その置かれている環境等の評価を通じて入所者が現に抱える問題点を明らかにし、入所者が自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握しなければならない。
5 介護医療院の計画担当介護支援専門員は、入所者の希望、入所者についてのアセスメントの結果及び医師の治療の方針に基づき、入所者の家族の希望を勘案して、入所者及びその家族の生活に対する意向、総合的な援助の方針、生活全般の解決すべき課題、介護医療院サービスの目標及びその達成時期、介護医療院サービスの内容、介護医療院サービスを提供する上での留意事項等を記載した施設サービス計画の原案を作成しなければならない。
6 介護医療院の計画担当介護支援専門員は、サービス担当者会議(入所者に対する介護医療院サービスの提供に当たる他の担当者(以下この条において「担当者」という。)を召集して行う会議をいう。第十一項において同じ。)の開催、担当者に対する照会等により、当該施設サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。
7 介護医療院の計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画の原案の内容について入所者又はその家族に対して説明し、文書により入所者の同意を得なければならない。
8 介護医療院の計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画を作成した際には、当該施設サービス計画を入所者に交付しなければならない。
9 介護医療院の計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画の作成後、施設サービス計画の実施状況の把握(入所者についての継続的なアセスメントを含む。)を行い、必要に応じて施設サービス計画の変更を行うものとする。
10 介護医療院の計画担当介護支援専門員は、前項に規定する実施状況の把握に当たっては、入所者及びその家族並びに担当者との連絡を継続的に行うこととし、規則で定める方法により行わなければならない。
11 介護医療院の計画担当介護支援専門員は、規則で定める場合においては、サービス担当者会議の開催、担当者に対する照会等により、施設サービス計画の変更の必要性について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。
(診療の方針)
第十八条 介護医療院の医師の診療の方針は、規則で定めるところによるものとする。
(必要な医療の提供が困難な場合等の措置等)
第十九条 介護医療院の医師は、入所者の病状からみて当該介護医療院において自ら必要な医療を提供することが困難であると認めたときは、協力病院その他適当な病院若しくは診療所への入院のための措置を講じ、又は他の医師の対診を求める等診療について適切な措置を講じなければならない。
2 介護医療院の医師は、不必要に入所者のために往診を求め、又は入所者を病院若しくは診療所に通院させてはならない。
3 介護医療院の医師は、入所者のために往診を求め、又は入所者を病院若しくは診療所に通院させる場合には、当該病院又は診療所の医師又は歯科医師に対し、当該入所者の診療状況に関する情報の提供を行わなければならない。
4 介護医療院の医師は、入所者が往診を受けた医師若しくは歯科医師又は入所者が通院した病院若しくは診療所の医師若しくは歯科医師から当該入所者の療養上必要な情報の提供を受けるものとし、その情報により適切な診療を行わなければならない。
(機能訓練)
第二十条 介護医療院は、入所者の心身の諸機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるため、理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを計画的に行わなければならない。
(看護及び医学的管理の下における介護)
第二十一条 看護及び医学的管理の下における介護は、入所者の自立の支援と日常生活の充実に資するよう、入所者の病状及び心身の状況に応じ、適切な技術をもって行われなければならない。
2 介護医療院は、一週間に二回以上、適切な方法により、入所者を入浴させ、又は清拭しなければならない。
3 介護医療院は、入所者の心身の状況、病状、その置かれている環境等に応じ、適切な方法により、排せつの自立について必要な援助を行わなければならない。
4 介護医療院は、おむつを使用せざるを得ない入所者のおむつを適切に取り替えなければならない。
5 介護医療院は、褥瘡が発生しないよう適切な介護を行うとともに、その発生を予防するための体制を整備しなければならない。
6 介護医療院は、前各項に定めるほか、入所者に対し、離床、着替え、整容その他日常生活上の世話を適切に行わなければならない。
7 介護医療院は、その入所者に対して、入所者の負担により、当該介護医療院の従業者以外の者による看護及び介護を受けさせてはならない。
(食事の提供)
第二十二条 入所者の食事は、栄養並びに入所者の身体の状況、病状及び嗜好を考慮したものとするとともに、適切な時間に行われなければならない。
2 入所者の食事は、その者の自立の支援に配慮し、できるだけ離床して食堂で行われるよう努めなければならない。
(相談及び援助)
第二十三条 介護医療院は、常に入所者の心身の状況、病状、その置かれている環境等の的確な把握に努め、入所者又はその家族に対し、その相談に適切に応ずるとともに、必要な助言その他の援助を行わなければならない。
(その他のサービスの提供)
第二十四条 介護医療院は、適切に入所者のためのレクリエーション行事を行うよう努めるものとする。
2 介護医療院は、常に入所者の家族との連携を図るとともに、入所者とその家族との交流等の機会を確保するよう努めなければならない。
(入所者に関する市町村への通知)
第二十五条 介護医療院は、介護医療院サービスを受けている入所者が規則で定める要件に該当する場合は、遅滞なく、意見を付してその旨を市町村に通知しなければならない。
(管理者による管理)
第二十六条 介護医療院の管理者は、専ら当該介護医療院の職務に従事する常勤の者でなければならない。ただし、当該介護医療院の管理上支障がないと認められるときは、同一敷地内にある他の事業所若しくは施設等又はサテライト型特定施設(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十八年厚生労働省令第三十四号)第百十条第四項に規定するサテライト型特定施設をいう。)若しくはサテライト型居住施設(同令第百三十一条第四項に規定するサテライト型居住施設をいう。)の職務に従事することができるものとする。
(管理者の責務)
第二十七条 介護医療院の管理者は、当該介護医療院の従業者の管理、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行わなければならない。
2 介護医療院の管理者は、従業者にこの章の規定を遵守させるために必要な指揮命令を行うものとする。
3 介護医療院の管理者は、介護医療院に医師を宿直させなければならない。ただし、当該介護医療院の入所者に対するサービスの提供に支障がない場合にあっては、この限りでない。
(計画担当介護支援専門員の責務)
第二十八条 介護医療院の計画担当介護支援専門員は、第十七条に規定する業務のほか、規則で定める業務を行うものとする。
(運営規程)
第二十九条 介護医療院は、施設の運営に関する次に掲げる重要事項を定めた規程(第三十五条において「運営規程」という。)を定めておかなければならない。
一 施設の目的及び運営の方針
二 従業者の職種、員数及び職務の内容
三 入所定員(Ⅰ型療養床に係る入所定員の数、Ⅱ型療養床に係る入所定員の数及びその合計数をいう。)
四 入所者に対する介護医療院サービスの内容及び利用料その他の費用の額
五 施設の利用に当たっての留意事項
六 非常災害対策
七 その他施設の運営に関する重要事項
(勤務体制の確保等)
第三十条 介護医療院は、入所者に対し、適切な介護医療院サービスを提供できるよう、従業者の勤務の体制を定めなければならない。
2 介護医療院は、当該介護医療院の従業者によって介護医療院サービスを提供しなければならない。ただし、入所者の処遇に直接影響を及ぼさない業務については、この限りでない。
3 介護医療院は、従業者に対し、その資質の向上のための研修の機会を確保しなければならない。
(定員の遵守)
第三十一条 介護医療院は、入所定員及び療養室の定員を超えて入所させてはならない。ただし、災害、虐待その他のやむを得ない事情があると認められるときは、この限りでない。
(非常災害対策)
第三十二条 介護医療院は、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備を設けなければならない。
2 介護医療院は、入所者の特性、当該介護医療院の周辺地域の環境等を踏まえ、火災、地震、津波、風水害等の非常災害の種類に応じて、当該非常災害が発生した場合における入所者の安全の確保のための体制、避難の方法等を定めた計画(以下「施設防災計画」という。)を策定し、定期的に従業者に周知しなければならない。
3 介護医療院は、施設防災計画に基づき、非常災害時における関係機関との連絡調整及び連携並びに入所者の避難誘導を円滑に行うための体制を整備し、定期的に、当該体制について従業者及び入所者に周知するとともに、避難訓練、救出訓練その他必要な訓練を行わなければならない。
4 介護医療院は、前項の訓練の結果に基づき、施設防災計画の検証を行い、必要に応じて施設防災計画の見直しを行うものとする。
(衛生管理等)
第三十三条 介護医療院は、入所者の使用する施設、食器その他の設備又は飲用に供する水について、衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講ずるとともに、医薬品及び医療機器の管理を適正に行わなければならない。
2 介護医療院は、当該介護医療院において感染症又は食中毒が発生し、又はまん延しないように、規則で定める措置を講じなければならない。
3 介護医療院の管理者は、次に掲げる業務を委託する場合は、当該業務を適正に行う能力のある者として規則で定める基準に適合するものに委託しなければならない。
一 臨床検査技師等に関する法律(昭和三十三年法律第七十六号)第二条に規定する検体検査の業務
二 医療機器又は医学的処置の用に供する衣類その他の繊維製品の滅菌又は消毒の業務
三 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第八項に規定する特定保守管理医療機器の保守点検の業務
四 医療の用に供するガスの供給設備の保守点検の業務(高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)の規定により高圧ガスを製造又は消費する者が自ら行わなければならないものを除く。)
(平三一条例五・一部改正)
(協力病院)
第三十四条 介護医療院は、入所者の病状の急変等に備えるため、あらかじめ、協力病院を定めておかなければならない。
2 介護医療院は、あらかじめ、協力歯科医療機関を定めておくよう努めなければならない。
(掲示)
第三十五条 介護医療院は、当該介護医療院の見やすい場所に、運営規程の概要、従業者の勤務の体制、協力病院、利用料その他のサービスの選択に資すると認められる重要事項を掲示しなければならない。
(秘密保持等)
第三十六条 介護医療院の従業者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。
2 介護医療院は、従業者であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。
3 介護医療院は、居宅介護支援事業者等に対して、入所者に関する情報を提供する際には、あらかじめ文書により入所者の同意を得ておかなければならない。
(居宅介護支援事業者に対する利益供与等の禁止)
第三十七条 介護医療院は、居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、要介護被保険者に当該介護医療院を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならない。
2 介護医療院は、居宅介護支援事業者又はその従業者から、当該介護医療院からの退所者を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を収受してはならない。
(苦情処理)
第三十八条 介護医療院は、提供した介護医療院サービスに関する入所者及びその家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口の設置等必要な措置を講じなければならない。
2 介護医療院は、前項の苦情を受け付けた場合には、当該苦情の内容等を記録しなければならない。
3 介護医療院は、提供した介護医療院サービスに関し、法第二十三条の規定による市町村が行う文書その他の物件の提出若しくは提示の求め又は当該市町村の職員からの質問若しくは照会に応じ、入所者からの苦情に関して市町村が行う調査に協力するとともに、市町村から指導又は助言を受けた場合は、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
4 介護医療院は、市町村からの求めがあった場合には、前項の改善の内容を市町村に報告しなければならない。
5 介護医療院は、提供した介護医療院サービスに関する入所者からの苦情に関して連合会(国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第四十五条第五項に規定する国民健康保険団体連合会をいう。以下この項及び次項において同じ。)が行う法第百七十六条第一項第三号の規定による調査に協力するとともに、連合会から同号の規定による指導又は助言を受けた場合は、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
6 介護医療院は、連合会からの求めがあった場合には、前項の改善の内容を連合会に報告しなければならない。
(地域との連携協力等)
第三十九条 介護医療院は、その運営に当たっては、地域住民又はその自発的な活動等との連携協力その他地域との交流に努めなければならない。
2 介護医療院は、その運営に当たっては、提供した介護医療院サービスに関する入所者からの苦情に関して、市町村等が派遣する者が相談及び援助を行う事業その他の市町村が実施する事業に協力するよう努めなければならない。
(事故発生の防止及び発生時の対応)
第四十条 介護医療院は、事故の発生又はその再発を防止するため、規則で定める措置を講じなければならない。
2 介護医療院は、入所者に対する介護医療院サービスの提供により事故が発生した場合は、速やかに市町村、入所者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。
3 介護医療院は、前項の事故の状況及び事故に際してとった処置について記録しなければならない。
4 介護医療院は、入所者に対する介護医療院サービスの提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。
(会計の区分)
第四十一条 介護医療院は、介護医療院サービスの事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならない。
(記録の整備)
第四十二条 介護医療院は、施設、構造設備及び従業者並びに会計に関する諸記録を整備しておかなければならない。
2 介護医療院は、入所者に提供する介護医療院サービスの状況に関する次に掲げる記録を整備し、その完結の日から五年間保存しなければならない。
一 施設サービス計画
第五章 ユニット型介護医療院の基本方針並びに施設、設備及び運営に関する基準
第一節 この章の趣旨及び基本方針
(基本方針)
第四十四条 ユニット型介護医療院は、長期にわたり療養が必要である入居者一人一人の意思及び人格を尊重し、施設サービス計画に基づき、入居前の居宅における生活と入居後の生活が連続したものとなるよう配慮しながら、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことにより、各ユニットにおいてその入居者が相互に社会的関係を築き、自律的な日常生活を営むことを支援しなければならない。
2 ユニット型介護医療院は、地域や家庭との結び付きを重視した運営を行い、市町村、居宅介護支援事業者、居宅サービス事業者、他の介護保険施設その他の保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。
3 ユニット型介護医療院は、入居者の人権の擁護、入居者に対する虐待の防止等のため、責任者を設置する等必要な体制の整備を行うとともに、従業者に対し研修を実施する等の措置を講ずるよう努めなければならない。
第二節 施設及び設備に関する基準
(施設及び構造設備)
第四十五条 ユニット型介護医療院は、診察室、処置室及び機能訓練室のほか、次に掲げる施設を設けなければならない。
一 ユニット
二 浴室
三 サービス・ステーション
四 調理室
五 洗濯室又は洗濯場
六 汚物処理室
2 前項各号に掲げる施設の設置等に関する基準は、規則で定める。
3 ユニット型介護医療院の建物(入居者の療養生活のために使用しない附属の建物を除く。以下この項及び次項において同じ。)は、耐火建築物とする。ただし、規則で定める要件を満たす二階建又は平屋建のユニット型介護医療院の建物にあっては、準耐火建築物とすることができる。
4 前項の規定にかかわらず、木造かつ平屋建のユニット型介護医療院の建物で規則で定める要件を満たすものについて、知事が、火災予防、消火活動等に関し専門的知識を有する者の意見を聴いた上で火災に係る入居者の安全性が確保されていると認めるときは、耐火建築物又は準耐火建築物とすることを要しないものとする。
5 ユニット型介護医療院の廊下幅は、一・八メートル以上(中廊下にあっては、二・七メートル以上)とする。ただし、廊下の一部の幅を拡張することにより、入居者、従業者等の円滑な往来に支障が生じないと認められる場合には、一・五メートル以上(中廊下にあっては、一・八メートル以上)とすることができる。
6 前三項に定めるもののほか、必要な構造設備の基準は、規則で定める。
第三節 運営に関する基準
(利用料等の受領)
第四十六条 ユニット型介護医療院は、法定代理受領サービスに該当する介護医療院サービスを提供したときは、入居者から利用料の一部として、施設サービス費用基準額から当該ユニット型介護医療院に支払われる施設介護サービス費の額を控除して得た額の支払を受けるものとする。
2 ユニット型介護医療院は、法定代理受領サービスに該当しない介護医療院サービスを提供したときに入居者から支払を受ける利用料の額と、施設サービス費用基準額との間に、不合理な差額が生じないようにしなければならない。
3 ユニット型介護医療院は、前二項の支払を受ける額のほか、規則で定める費用の額の支払を受けることができる。
4 ユニット型介護医療院は、前項の費用の額に係るサービスの提供に当たっては、あらかじめ、入居者又はその家族に対し、当該サービスの内容及び費用を記載した文書を交付して説明を行い、入居者の同意を得なければならない。ただし、規則で定める費用に係る同意については、文書によるものとする。
(介護医療院サービスの取扱方針)
第四十七条 介護医療院サービスは、入居者が、その有する能力に応じて、自らの生活様式及び生活習慣に沿って自律的な日常生活を営むことができるようにするため、施設サービス計画に基づき、入居者の日常生活上の活動について必要な援助を行うことにより、入居者の日常生活を支援するものとして行われなければならない。
2 介護医療院サービスは、各ユニットにおいて入居者がそれぞれの役割を持って生活を営むことができるよう配慮して行われなければならない。
3 介護医療院サービスは、入居者のプライバシーの確保に配慮して行われなければならない。
4 介護医療院サービスは、入居者の自立した生活を支援することを基本として、入居者の要介護状態の軽減又は悪化の防止に資するよう、その者の心身の状況等を常に把握しながら、適切に行われなければならない。
5 ユニット型介護医療院の従業者は、介護医療院サービスの提供に当たって、入居者又はその家族に対し、サービスの提供方法等について、理解しやすいように説明を行わなければならない。
6 ユニット型介護医療院は、介護医療院サービスの提供に当たっては、当該入居者又は他の入居者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならない。
7 ユニット型介護医療院は、身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入居者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない。
8 ユニット型介護医療院は、身体的拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を三月に一回以上開催するとともに、その結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。
二 身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。
三 介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。
9 ユニット型介護医療院は、自らその提供する介護医療院サービスの質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない。
(看護及び医学的管理の下における介護)
第四十八条 看護及び医学的管理の下における介護は、各ユニットにおいて入居者が相互に社会的関係を築き、自律的な日常生活を営むことを支援するよう、入居者の心身の状況、病状、その置かれている環境等に応じ、適切な技術をもって行われなければならない。
2 ユニット型介護医療院は、入居者の日常生活における家事を、入居者が、その心身の状況、病状、その置かれている環境等に応じて、それぞれの役割を持って行うよう適切に支援しなければならない。
3 ユニット型介護医療院は、入居者が身体の清潔を維持し、精神的に快適な生活を営むことができるよう、適切な方法により、入居者に入浴の機会を提供しなければならない。ただし、やむを得ない場合には、清拭を行うことをもって入浴の機会の提供に代えることができる。
4 ユニット型介護医療院は、入居者の心身の状況、病状、その置かれている環境等に応じて、適切な方法により、排せつの自立について必要な支援を行わなければならない。
5 ユニット型介護医療院は、おむつを使用せざるを得ない入居者については、排せつの自立を図りつつ、そのおむつを適切に取り替えなければならない。
6 ユニット型介護医療院は、褥瘡が発生しないよう適切な介護を行うとともに、その発生を予防するための体制を整備しなければならない。
7 ユニット型介護医療院は、前各項に定めるほか、入居者が行う離床、着替え、整容等の日常生活上の行為を適切に支援しなければならない。
8 ユニット型介護医療院は、その入居者に対して、入居者の負担により、当該ユニット型介護医療院の従業者以外の者による看護及び介護を受けさせてはならない。
(食事)
第四十九条 ユニット型介護医療院は、栄養並びに入居者の心身の状況及び嗜好を考慮した食事を提供しなければならない。
2 ユニット型介護医療院は、入居者の心身の状況、症状、その置かれている環境等に応じて、適切な方法により、食事の自立について必要な支援を行わなければならない。
3 ユニット型介護医療院は、入居者の生活習慣を尊重した適切な時間に食事を提供するとともに、入居者がその心身の状況に応じてできる限り自立して食事を摂ることができるよう必要な時間を確保しなければならない。
4 ユニット型介護医療院は、入居者が相互に社会的関係を築くことができるよう、その意思を尊重しつつ、入居者が共同生活室で食事を摂ることを支援しなければならない。
(その他のサービスの提供)
第五十条 ユニット型介護医療院は、入居者の嗜好に応じた趣味、教養又は娯楽に係る活動の機会を提供するとともに、入居者が自律的に行うこれらの活動を支援しなければならない。
2 ユニット型介護医療院は、常に入居者の家族との連携を図るとともに、入居者とその家族との交流等の機会を確保するよう努めなければならない。
(運営規程)
第五十一条 ユニット型介護医療院は、次に掲げる施設の運営についての重要事項に関する規程を定めておかなければならない。
一 施設の目的及び運営の方針
二 従業者の職種、員数及び職務の内容
三 入居定員(Ⅰ型療養床に係る入居定員の数、Ⅱ型療養床に係る入居定員の数及びその合計数をいう。)
四 ユニットの数及びユニットごとの入居定員
五 入居者に対する介護医療院サービスの内容及び利用料その他の費用の額
六 施設の利用に当たっての留意事項
七 非常災害対策
八 その他施設の運営に関する重要事項
(勤務体制の確保等)
第五十二条 ユニット型介護医療院は、入居者に対し、適切な介護医療院サービスを提供することができるよう、従業者の勤務の体制を定めなければならない。
2 前項の従業者の勤務の体制を定めるに当たっては、入居者が安心して日常生活を送ることができるよう、継続性を重視したサービスの提供に配慮する観点から、規則で定める基準に従い職員配置を行わなければならない。
3 ユニット型介護医療院は、当該ユニット型介護医療院の従業者によって介護医療院サービスを提供しなければならない。ただし、入居者に対する介護医療院サービスの提供に直接影響を及ぼさない業務については、この限りでない。
4 ユニット型介護医療院は、従業者に対し、その資質の向上のための研修の機会を確保しなければならない。
(定員の遵守)
第五十三条 ユニット型介護医療院は、ユニットごとの入居定員及び療養室の定員を超えて入居させてはならない。ただし、災害、虐待その他のやむを得ない事情があると認められるときは、この限りでない。
第六章 雑則
(規則への委任)
第五十五条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成三十年四月一日から施行する。
(経過措置)
2 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第七条第二項第四号に規定する療養病床等を有する病院又は病床を有する診療所の開設者が、当該病院の療養病床等又は当該診療所の病床を平成三十六年三月三十一日までの間に転換(当該病院の療養病床等又は当該診療所の病床の病床数を減少させるとともに、当該病院等の施設を介護医療院、軽費老人ホーム(老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第二十条の六に規定する軽費老人ホームをいう。)その他の要介護者、要支援者その他の者を入所又は入居させるための施設の用に供することをいう。以下同じ。)を行って介護医療院を開設する場合における当該介護医療院の建物については、第六条第一項及び第四十五条第三項の規定は、適用しない。
附 則(平成三十一年三月二十日条例第五号)
この条例は、公布の日から施行する。