○石川県手話言語条例

平成三十年二月二十一日

条例第十号

石川県手話言語条例をここに公布する。

石川県手話言語条例

手話は、手や指、体の動きや表情などにより意思や抽象的な概念を視覚的に表現する独自の言語であり、ろう者は手話を用いて、思考や意思疎通を行い、知識を蓄え、文化を創造してきた。

我が国において、手話は明治時代にその起源を有し、知的で心豊かな日常生活又は社会生活を営むために、ろう者が大切に受け継ぎ、発展させてきたものである。その一方で、手話を習得し、使用することが制約された時代が長く続いてきたことを忘れてはならない。

こうした中、平成十八年に国際連合総会で採択された障害者の権利に関する条約において、手話は言語であると定義されたことで、手話が言語として国際的に認知されることとなった。我が国においても、平成二十三年に改正された障害者基本法において、手話が言語に含まれることが明確化されるとともに、平成二十六年に障害者の権利に関する条約が批准され、手話が言語であるとの位置づけが制度的には確立されたところである。

しかしながら、手話についての県民の理解は未だ十分に深まっているとは言い難い状況にある。

このため、手話はろう者が情報を取得し、その意思を表示し、及び他者との意思疎通を図るために必要な言語であるとの認識の下、障害のある人もない人も相互に人格と個性を尊重し合いながら共生することのできる地域社会を築くため、この条例を制定する。

(目的)

第一条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に関する基本理念を定め、県及び市町の責務並びに県民等及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策の基本となる事項を定め、もって障害のある人もない人も相互に人格と個性を尊重し合いながら共生することのできる社会の実現に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第二条 手話は、独自の体系を有する言語であり、ろう者(聴覚障害者であって、手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。以下同じ。)が知的で心豊かな日常生活又は社会生活を営むために大切に受け継がれてきた文化的所産であることを理解しなければならない。

2 手話は、ろう者が情報を取得し、その意思を表示し、及び他者との意思疎通を図るために必要なものであることを理解しなければならない。

(県の責務)

第三条 県は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、市町その他の関係機関と連携して、ろう者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるもの(以下「社会的障壁」という。)の除去に関して必要かつ合理的な配慮を行い、手話の普及その他の手話を使用しやすい環境の整備に努めるものとする。

2 県は、ろう者及び手話通訳者その他の手話を使用できる者(以下「手話通訳者等」という。)の協力を得て、基本理念に対する県民の理解を深めるよう努めるものとする。

(市町の責務)

第四条 市町は、基本理念にのっとり、地域の関係機関と連携して、社会的障壁の除去に関して必要かつ合理的な配慮を行い、手話の普及その他の手話を使用しやすい環境の整備に努めるものとする。

(県民等の役割)

第五条 県民は、基本理念にのっとり、手話に対する理解を深め、県及び市町の施策に協力するよう努めるものとする。

2 ろう者は、基本理念に対する県民の理解の促進及び県民に対する手話の普及に協力するよう努めるものとする。

3 手話通訳者等は、手話に関する技術の向上に努めるとともに、基本理念に対する県民の理解の促進及び県民に対する手話の普及に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第六条 事業者は、基本理念にのっとり、ろう者に対してサービスを提供するとき又はろう者を雇用するときは、手話の使用に対して合理的な配慮を行うよう努めるものとする。

(手話に関する施策の策定及び推進)

第七条 県は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)第十一条第二項の規定により策定する都道府県障害者計画において、手話に対する県民の理解の促進及び手話の普及に必要な施策について定め、これを総合的かつ計画的に推進するものとする。

2 県は、前項の計画を策定しようとするとき、又は変更しようとするときは、石川県障害者施策推進協議会の意見を聴かなければならない。

(手話を学ぶ機会の確保)

第八条 県は、市町その他の関係機関、ろう者及び手話通訳者等と協力して、県民が手話を学ぶ機会の確保に努めるものとする。

2 県は、その職員が基本理念に対する理解を深め、手話を学ぶ取組を推進するよう努めるものとする。

(学校における取組の推進)

第九条 聴覚障害のある幼児、児童及び生徒(以下「ろう児等」という。)が通学する学校の設置者は、ろう児等が手話を学び、又は手話で学ぶことができるよう、教職員の手話に関する技術を向上させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 ろう児等が通学する学校の設置者は、ろう児等及びその保護者に対し、手話に関する学習の機会の提供並びに教育に関する相談及び支援に努めるものとする。

(手話通訳を行う人材の育成)

第十条 県は、市町その他の関係機関と協力して、手話通訳者等及びその指導者の養成及び手話に関する技術の向上に努めるものとする。

(手話による情報発信等)

第十一条 県は、ろう者が県政に関する情報を円滑に取得できるよう、手話を用いた情報発信に努めるものとする。

2 県は、災害その他非常の事態において、ろう者が手話により必要な情報を取得することができるよう、市町その他の関係機関との連携等必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(事業者への支援)

第十二条 県は、ろう者に対してサービスを提供するとき又はろう者を雇用するときに手話の使用に対して合理的な配慮を行うための事業者の取組に対して、必要な支援を行うよう努めるものとする。

(手話に関する調査研究)

第十三条 県は、ろう者及び手話通訳者等が手話の発展に資するために行う手話に関する調査研究の推進及びその成果の普及に協力するものとする。

(財政上の措置)

第十四条 県は、手話の普及その他の手話を使用しやすい環境の整備に係る施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

附 則

この条例は、平成三十年四月一日から施行する。

石川県手話言語条例

平成30年2月21日 条例第10号

(平成30年4月1日施行)