○石川県県産材利用促進条例

平成三十年六月二十五日

条例第三十号

石川県県産材利用促進条例をここに公布する。

石川県県産材利用促進条例

森林は、木材等の産出はもとより、県土の保全や水源の涵養、景観の維持、さらには、地球温暖化の防止や生物多様性の保全など、県民の安全で快適な暮らしの基となる多面的機能を有し、県民共有の貴重な財産となっている。

本県では、県土の約七割が森林で占められており、このうち、約四割は、県木「あて」やスギをはじめとする人工林である。戦後に植林されたこれらの人工林の多くが伐採適齢期を迎える中、平成二十七年五月に本県で開催された第六十六回全国植樹祭では、植樹祭としては初めて「森林資源の利活用」がテーマに掲げられた。人工林を取り巻く状況は、かつての植えて育てる時代から、積極的な利活用を図る段階へと大きな転換期に差しかかっている。

一方、生活様式の変化等により、木材の需要は、かつてに比べて大きく減少しているほか、長期にわたり木材価格が低迷し、林業の採算性が悪化していることから、県産材の供給についても、十分に進んでいるとは言いがたい状況にある。

本県の森林を健全な姿で未来の世代へ継承していくことは、我々に課せられた大きな責務である。そのためには、国の新たな森林管理システムの活用も視野に入れながら、引き続き、森林の適正な整備及び保全に取り組むとともに、県民一人一人はもとより、あらゆる主体が県産材の利用促進を通じた森づくりの重要性について、あらためて認識を深め、県産材の積極的な利用を広く推進し、森林資源の循環利用につなげていくことが大切である。

ここに、県産材の利用促進に関する多様な取組の総合的な推進を図るため、この条例を制定する。

(目的)

第一条 この条例は、県産材の利用促進に関し、基本理念を定め、県の責務並びに森林所有者、林業・木材産業関係事業者及び県民等の役割を明らかにするとともに、県産材の利用促進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、当該施策を総合的かつ計画的に推進し、もって森林の有する多面的機能の持続的な発揮及び活力ある地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 県産材 県内の森林で生産された木材(原木等を含む。)をいう。

 県産材の利用 建築材料、工作物の資材、製品又は製品の原材料及びエネルギー源又は燃料源として県産材を利用すること並びに県産材が用いられた製品を使用又は購入することをいう。

 森林所有者 森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第二条第二項に規定する森林所有者をいう。

 林業・木材産業関係事業者 県内において、森林の施業(伐採、造林及び保育その他の森林における施業をいう。)、木材の加工又は流通、木造建築物の設計又は施工、木材を利用した製品の生産又は販売、木質バイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される製品を除く。)のうち木竹に由来するものをいう。)の利用又は販売及びそれらに準ずる、又は派生する事業に従事する者(以下「関係事業者」という。)をいう。

 県民等 県民及び県内で事業活動等を行う者(関係事業者を除く。)をいう。

 森林資源の循環利用 県産材の利用により生じた収益又は利得が再造林等に適切に還元されることにより、「植える、育てる、使う、植える」という森林資源の循環が繰り返されることをいう。

(基本理念)

第三条 県産材の利用促進については、次に掲げる事項を基本として推進されなければならない。

 森林資源の有効利用並びに整備及び保全並びに循環利用につながること。

 地域経済の維持及び活性化に資すること。

 県民等の健康で快適な生活環境、事業環境等の維持又は創出につながること。

 森林の有する多面的機能の持続的かつ安定的な発揮につながること。

(県の責務)

第四条 県は、基本理念にのっとり、自ら率先して県産材の利用促進に取り組むとともに、国、市町、森林所有者、関係事業者及び県民等と緊密に連携し、及び協力し、県産材の利用促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進する責務を有する。

(森林所有者の役割)

第五条 森林所有者は、自身が所有する森林の有する多面的機能が持続的に発揮されるよう、森林の整備及び保全について必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(関係事業者の役割)

第六条 関係事業者は、県産材の効率的かつ安定的な供給並びに県産材の利用促進及び新たな利活用の推進(これらのために必要となる研究開発、人材育成、技術継承等を含む。)に積極的かつ継続的に取り組むよう努めるとともに、相互に連携を深め、及び協力するよう努めるものとする。

(県民等の協力)

第七条 県民等は、県産材の利用促進が林業、木材産業をはじめとする地域経済の活性化に寄与し、森林の適正な整備及び保全、森林資源の循環利用並びに森林が持つ多面的機能の維持及び発揮に資することについて、より一層、理解及び認識を深め、県産材の利用促進に関する県及び市町の取組に協力するよう努めるとともに、日常生活又は事業活動等において、自ら主体的かつ継続的に県産材の利用を推進するよう努めるものとする。

(推進計画)

第八条 知事は、県産材の利用促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な事項その他必要な事項を定めた計画(以下「推進計画」という。)を策定するものとする。

2 前項の推進計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 住宅、事務所、商業施設その他の民間建築物、公共建築物、公共土木施設その他工作物等における県産材の利用拡大に関すること。

 合板、集成材等の木質材料、木質バイオマス等への加工又は活用など、県産材の有効利用に関すること。

 県産材の新たな用途の開発及び普及に関すること。

 県産材の利用を促進するために必要な人材の育成に関すること。

 県内外における県産材の需要及び販路の拡大に関すること。

 県民等が県産材に親しみ、森林環境等について理解を深められる機会の提供及びそれらに資する取組の普及に関すること。

3 知事は、推進計画を策定しようとするときは、市町、森林所有者、関係事業者及び県民等の意見が適切に反映されるよう必要な措置を講ずるものとする。

4 知事は、推進計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

5 前二項の規定は、推進計画の変更について準用する。

(県産材利用推進月間)

第九条 県は、県産材の利用促進についての関心及び理解が一層深まり、県産材の利用を積極的に推進する意欲が高まるよう、県産材利用推進月間を設ける。

2 県産材利用推進月間は、十月とする。

(顕彰)

第十条 県は、県産材の利用促進に係る顕著な功績があった者及び特に優れた取組を講じた者の顕彰に努めるものとする。

(財政上の措置)

第十一条 県は、県産材の利用促進に関する施策を着実かつ速やかに実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(施策の実施状況の公表)

第十二条 知事は、毎年、県産材の利用促進に関する施策の実施状況を公表するものとする。

附 則

1 この条例は、公布の日から施行する。

2 この条例の施行の際現に策定されている森林、林業、木材産業行政に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための計画については、第八条第一項の規定により策定された推進計画とみなすことができる。

石川県県産材利用促進条例

平成30年6月25日 条例第30号

(平成30年6月25日施行)