○石川県の特色ある農林水産物を創り育てるブランド化の推進に関する条例
令和二年三月二十六日
条例第二十二号
石川県の特色ある農林水産物を創り育てるブランド化の推進に関する条例をここに公布する。
石川県の特色ある農林水産物を創り育てるブランド化の推進に関する条例
「食」は、人間の生命の維持に欠くことができない健康で充実した生活の基礎となる重要なものであり、農林水産業は、国民に対する食料の安定供給に貢献してきた。
「食」を取り巻く環境は、戦後の食料不足の時代から大きく様変わりしてきた。高齢化の進行や人口減少、国際化の一層の進展などに伴い、高度経済成長を支えた大量生産から多品種少量生産へと転換しつつあり、消費者の価値観は本物志向、健康志向が強まるなど変化してきた。このような我が国の「食」を取り巻く環境の変化により、高付加価値化が市場の潮流となっている。
石川県は、本州のほぼ中心部、日本海側に位置し、霊峰白山の裾野に広がる肥沃な石川平野や三方を海に囲まれた能登半島を擁しており、こうした豊かな気候風土の下で、これまで、量は多くはないが特長のある農林水産物を生み出し、磨きをかけ、価値を高める取組を進めてきた。この長年にわたる努力が今まさに結実し、石川県の農林水産業は大きく飛躍する時期を迎えている。
石川県の農林水産業は、古くから自然と調和して営まれ、祭礼文化や加工技術、棚田をはじめとする美しい景観や豊かな生態系が育まれてきた。これらが今もなお暮らしの中に息づく世界農業遺産「能登の里山里海」は、世界からも高く評価されている。
また、輪島塗や九谷焼等の伝統的工芸品、能登杜氏による日本酒等の発酵食品、華やかな加賀料理や和菓子等の優れた伝統文化、技が培われてきた。
石川県の気候風土を活かして生み出される農林水産物と、多彩で質の高い伝統文化、技が織りなす「食」は、石川県の比類なき魅力であり、観光客を魅了している。このことは、石川県の気候風土や伝統文化、技などが、他県には模倣できない価値を付加し得ることの証左である。
一方で、農林水産物の高付加価値化の取組を将来にわたって推し進めていくためには、農林水産業を産業として大きく飛躍させるとともに、観光需要の高まりなどを好機として石川県内の他産業へも波及させ、石川県民が経済的及び精神的に充足するものとしなければならない。
このため、石川県の強みを生かした農林水産物のブランド化により、農林水産業の持続的な発展のみならず、石川県の魅力向上への昇華を経て、地域経済の活性化はもとより、石川県民の誇りの醸成にも寄与することを目指し、共通理念の下、行政、農林漁業関係団体、農林漁業者が連携し、本県の特色ある農林水産物を創り育てるブランド化を推進することを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第一条 この条例は、石川県産の農林水産物(以下「県産農林水産物」という。)のブランド化に関し、基本理念を定め、県の責務及び関係団体の役割等を明らかにするとともに、ブランド化に関する施策の基本となる事項を定めることにより、本県における農林水産業の持続的な発展を図り、地域経済の活性化はもとより、石川県民の誇りの醸成にも寄与することを目的とする。
一 ブランド化 農林水産物の持つ有意な差異を生かし、当該農林水産物の価値を向上させることをいう。
二 ブランド品目 ブランド化された、又はブランド化されるべき農林水産物をいう。
三 種苗 農林水産物の種子、茎、根、苗、苗木その他の植物体の全部又は一部で繁殖の用に供されるものをいう。
四 生産者 ブランド品目を生産する農林漁業者及びその組織する団体をいう。
五 関係団体 ブランド化の取組に関係がある農業協同組合その他の農林漁業関係団体をいう。
(令三条例一五・一部改正)
(基本理念)
第三条 県産農林水産物のブランド化については、次に掲げる事項を基本とし、県、生産者及び関係団体が協力して推進されなければならない。
一 ブランド化は、市場の潮流を踏まえて展開するものとする。
二 ブランド化は、石川県固有の気候風土や伝統文化及び技の積極的な活用により行われるものとする。
三 ブランド化は、農林水産業を産業として大きく飛躍させるものとする。
四 ブランド化は、石川県の魅力の向上に貢献するものとする。
(県の責務)
第四条 県は、基本理念にのっとり、県産農林水産物のブランド化を推進する基本的な方針を定めるものとする。
2 県は、前項の方針にのっとり、県産農林水産物のブランド化の推進に関する施策を総合的かつ計画的に講ずるものとする。
3 県は、前項の施策を講ずるにあたって、有識者の意見を聞くことができる。
(ブランド化を推進する基本的な方針)
第五条 前条第一項の基本的な方針に定める事項は、次に掲げるものとする。
一 ブランド品目の生産振興を図ること。
二 ブランド品目の優良な種苗の確保を図ること。
三 新たにブランド化すべき県産農林水産物の開発及び育成を図ること。
四 ブランド品目の商品開発及び販路開拓を図ること。
五 ブランド品目に係る知的財産の保護を図ること。
六 ブランド化の推進に必要な人材の育成を図ること。
七 ブランド品目に係る情報の発信を図ること。
八 ブランド化の推進に対する県民の理解の醸成を図ること。
(令三条例一五・一部改正)
(ブランド品目及び生産者)
第六条 県は、第四条第二項の施策を講ずるにあたって、次に掲げる事項を認定する。
一 ブランド品目のうち、県がブランド化に関与すべき県産農林水産物
二 前号に規定する県産農林水産物の生産に意欲的な生産者
三 第一号に規定する県産農林水産物の種苗のうち、県が特に確保に関与すべきものの生産者
(令三条例一五・一部改正)
(ブランド品目の生産に必要な技術及び種苗)
第七条 県及び生産者は、県産農林水産物のブランド化を推進するため、相互に協力して、ブランド品目の生産に必要な技術の維持向上及び継承に努めるとともに、ブランド品目の種苗を厳格に管理し、種苗の不正な流出の防止を徹底するものとする。
2 県は、県が開発し、育成者権(種苗法(平成十年法律第八十三号)第十九条の育成者権をいう。以下同じ。)を有するブランド品目の種苗を生産者に利用させる場合は、規則で定めるところにより、次に掲げる事項その他の事項を内容とする通常利用権(同法第二十六条の通常利用権をいう。以下同じ。)の設定を行うものとする。
一 当該生産者から第三者への前項の技術の内容の開示及び譲渡の制限に関すること。
二 当該生産者から第三者への種苗の譲渡の制限に関すること。
三 当該生産者の種苗の管理の方法に関すること。
3 県は、県が有する育成者権の侵害又は侵害のおそれのある行為があった場合は、当該行為を行う者に対して次に掲げる措置その他の措置を講ずるものとする。
一 種苗法に基づく当該侵害の停止若しくは予防の請求、当該侵害により自己が受けた損害の賠償の請求又は信用回復の措置の請求
二 当該行為を行う生産者の種苗の処分の指示
三 当該行為を行う生産者に設定された通常利用権の取消し
(令三条例一五・追加)
(関係団体の役割)
第八条 関係団体は、基本理念にのっとり、生産者によるブランド品目の生産振興の促進その他の県産農林水産物のブランド化の推進に積極的かつ継続的に取り組むものとする。
(令三条例一五・旧第七条繰下)
(関係団体等の連携)
第九条 県、市町、生産者及び関係団体は、県産農林水産物のブランド化の推進に関する施策が円滑に実施されるよう相互に連携を図りながら協力しなければならない。
2 県は、生産者及び関係団体に対し、県産農林水産物のブランド化の推進に必要な助言、指導その他の支援を行うものとする。
3 県民は、県産農林水産物のブランド化の推進について理解を深めるとともに協力するよう努めるものとする。
(令三条例一五・旧第八条繰下)
(財政上の措置)
第十条 県は、県産農林水産物のブランド化を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。
(令三条例一五・旧第九条繰下)
(委任)
第十一条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、知事が別に定める。
(令三条例一五・旧第十条繰下)
附則
この条例は、令和二年四月一日から施行する。
附則(令和三年三月二十五日条例第十五号)
この条例は、令和三年四月一日から施行する。