○石川県動物の愛護及び管理に関する条例
令和三年十月四日
条例第三十四号
石川県動物の愛護及び管理に関する条例をここに公布する。
石川県動物の愛護及び管理に関する条例
目次
第一章 総則(第一条―第八条)
第二章 動物の愛護及び管理に関する施策(第九条―第十一条)
第三章 動物の適正な取扱い
第一節 通則(第十二条―第十五条)
第二節 多頭飼養の届出(第十六条・第十七条)
第三節 緊急時の措置等(第十八条―第二十条)
第四節 動物の収容等(第二十一条―第二十四条)
第四章 雑則(第二十五条―第二十八条)
第五章 罰則(第二十九条―第三十四条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、動物の愛護及び管理に関し必要な事項を定めることにより、県民の動物の愛護に関する精神の高揚を図るとともに、動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、もって人と動物の共生する社会の実現に寄与することを目的とする。
一 動物 動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号。以下「法」という。)第四十四条第四項に規定する愛護動物をいう。
二 特定動物 法第二十五条の二に規定する特定動物をいう。
三 飼い主 動物の所有者又は占有者をいう。
四 動物取扱業者 法第十二条第一項第四号に規定する第一種動物取扱業者及び法第二十四条の三第一項に規定する第二種動物取扱業者をいう。
(県の責務)
第三条 県は、動物の愛護及び管理に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、法第六条第一項の規定により動物愛護管理推進計画を策定するものとする。
2 県は、前項の動物愛護管理推進計画に即して、動物の愛護及び管理についての県民の理解を深めるとともに、動物の愛護及び管理に関する施策を実施するものとする。
(市町の責務)
第四条 市町は、地域の実情に応じて、動物の愛護及び管理についての住民の理解を深めるとともに、動物の愛護及び管理に関する施策を推進するよう努めるものとする。
(県民の責務)
第五条 県民は、動物の愛護及び管理についての理解を深めるとともに、県及び市町が実施する動物の愛護及び管理に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(飼い主等の責務)
第六条 飼い主は、その責任を十分に自覚して、所有し、又は占有する動物の種類、習性等を理解し、その動物にみだりに苦痛を与えないように飼養するよう努めるとともに、その動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないよう努めるものとする。
2 飼い主は、畜産その他の正当な理由がある場合を除き、所有し、又は占有する動物の終生飼養(法第七条第四項に規定する終生飼養をいう。以下同じ。)に努めるものとする。
3 前項の規定にかかわらず、飼い主は、やむを得ず所有し、又は占有する動物の終生飼養が困難となった場合は、自らの責任においてその動物の所有又は占有を希望する者に譲り渡すよう努めるものとする。
4 飼い主になろうとする者は、あらかじめ前三項に規定する飼い主の責務に関する理解を深めるよう努めるものとする。
(動物取扱業者の責務)
第八条 動物取扱業者は、動物を販売し、又は譲り渡そうとする場合には、飼い主になろうとする者に対し、適正な飼養又は保管の方法について説明し、理解を得るよう努め、その動物の終生飼養を促すとともに、当該飼い主になろうとする者においてその動物の終生飼養が困難であると認められる場合には、動物を販売し、又は譲り渡すことのないよう努めるものとする。
第二章 動物の愛護及び管理に関する施策
(動物愛護精神の高揚)
第九条 県は、人と動物の共生する社会の実現を図るため、県民の動物の愛護に関する精神の高揚及び動物の適正な飼養に関する知識の普及に努めるとともに、県民、飼い主、市町等に対し、動物の愛護及び管理に関する必要な情報の提供、技術的な助言その他の支援を行うものとする。
(動物の返還及び譲渡しの推進)
第十条 県は、法、狂犬病予防法(昭和二十五年法律第二百四十七号)又はこの条例に基づき県が引き取り、又は収容した犬、猫その他の動物について、殺処分がなくなることを目指して、所有者がいると推測されるものについてはその所有者を発見し、当該所有者に返還するよう努めるとともに、所有者がいないと推測されるもの、所有者から引取りを求められたもの又は所有者の発見ができないものについてはその飼養を希望する者を募集し、当該希望する者に譲り渡すよう努めるものとする。
(多様な主体との連携)
第十一条 県は、市町その他関係行政機関、県獣医師会、動物の愛護を目的とする団体、法第三十八条第一項に規定する動物愛護推進員等の多様な主体と連携して、動物の愛護及び管理に関する施策を実施するものとする。
第三章 動物の適正な取扱い
第一節 通則
一 その動物の種類、発育の状況等に応じて、適切に給餌及び給水をすること。
二 その動物の健康状態を日常的に確認し、必要に応じて獣医師による診療を受けさせることその他のその動物の健康を保持するために必要な措置を講ずること。
三 その動物の種類、習性等を考慮した飼養施設(法第十条第二項第六号に規定する飼養施設をいう。以下同じ。)において飼養又は保管をすること。
四 ねずみ、はえ、蚊、のみその他の衛生動物の侵入又は悪臭の発生を防止するため、その動物の飼養施設の内外を常に清潔にし、その動物のふん尿、毛、羽毛等の適切な処理を行うこと。
五 その動物が道路、公園その他の公共の場所又は他人が所有し、若しくは占有する土地、建物、車両、船舶等をふん尿、毛、羽毛等により汚損し、又は損壊しないよう必要な措置を講ずること。
六 その動物の鳴き声、臭い等により他人に迷惑を及ぼすことのないようにすること。
七 その動物がみだりに繁殖して適正に飼養することが困難とならないよう、繁殖に関する適切な措置を講ずること。
八 その動物の所有者の氏名、連絡先等を記載した首輪又は名札の装着その他のその動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置を講ずること。
九 その動物の逸走を防止するために必要な措置を講ずること。
十 その動物(特定動物を除く。以下この号において同じ。)が逸走したときは、その動物を自らの責任において速やかに捜索し、及び捕獲すること。
十一 その動物が人の生命又は身体に害を加えたときは、直ちに被害者の救護及び更なる事故の発生を防止するための措置を講ずること。
十二 地震、火災その他の災害(以下「災害」という。)が発生した場合における動物の適正な保護及び管理のために必要な措置をあらかじめ定めておき、災害時にその必要な措置を講ずること。
(犬の飼い主の遵守事項)
第十三条 犬の飼い主は、前条各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
一 犬の飼養又は保管をしていることを規則で定めるところにより明らかにすること。
二 その犬の発育、飼養又は保管の目的、環境等に応じて、訓練その他のその犬が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないようにするためのしつけをすること。
(犬の係留義務)
第十四条 犬の飼い主は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、その犬の係留(逃亡のおそれがなく、かつ、人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがない方法で、おりその他の囲いの中に収容し、又は固定された物にロープ、鎖等を用いてつないでおくことをいう。以下同じ。)をしておかなければならない。
一 警察犬、狩猟犬、身体障害者補助犬(身体障害者補助犬法(平成十四年法律第四十九号)第二条第一項に規定する身体障害者補助犬をいう。)又は人、家畜、農作物等に対する野生鳥獣による被害を防ぐために追い払いに使役する犬をその目的のために使用し、又は訓練するとき。
二 その犬を制御することができる者がロープ、鎖等によりその犬を確実に保持する方法その他の逃亡のおそれがなく、かつ、人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがない方法でその犬を訓練し、移動し、又は運動させるとき。
三 その犬を展覧会、競技会、サーカスその他これらに類する催し物に使用するとき。
(猫の飼い主の遵守事項)
第十五条 猫の飼い主は、第十二条各号に掲げる事項のほか、その猫の健康及び安全を保持し、並びに周辺の生活環境の保全上の支障を生じさせないようにするため、その猫を飼養施設(屋内に限る。)で飼養し、又は保管するよう努めなければならない。
第二節 多頭飼養の届出
(多頭飼養の届出)
第十六条 犬又は猫の飼い主(動物取扱業者、化製場等に関する法律(昭和二十三年法律第百四十号)第九条第一項の規定による許可を受けた者その他規則で定める者を除く。)は、その犬又は猫(生後九十一日未満の犬又は猫を除く。以下この項において同じ。)の数(犬及び猫の双方の飼養又は保管をする場合にあっては、これらの数を合算した数。以下「飼養数」という。)が一の飼養施設において六以上となったときは、三十日以内に、その飼養施設ごとに、規則で定めるところにより次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては代表者の氏名
二 飼養施設の所在地
三 その犬又は猫の飼養数及びこれらのうち不妊又は去勢の措置が実施された犬又は猫の数
四 その犬又は猫の飼養又は保管の方法
五 前各号に掲げるもののほか、規則で定める事項
2 前項の規定による届出には、規則で定める書類を添付しなければならない。
第三節 緊急時の措置等
(逸走時の措置)
第十八条 特定動物の飼い主は、その特定動物が逸走したときは、直ちに知事に通報しなければならない。
2 前項の場合においては、その特定動物の飼い主は、直ちにその特定動物が逸走した旨を周辺の地域の住民に周知するとともに、その特定動物の捕獲その他の人の生命、身体又は財産に対する侵害を防止するために必要な措置を講じなければならない。
(事故発生時の措置)
第十九条 第十二条第十一号に規定する場合において、特定動物の飼い主は、発生した事故及び講じた措置の内容を、規則で定めるところにより、直ちに知事に届け出なければならない。
2 第十二条第十一号に規定する場合において、犬の飼い主は、その犬が人をかんだときは、規則で定めるところにより、直ちに知事に届け出るとともに、その犬に獣医師による診断を受けさせ、及び事故が発生したときから二週間以上堅固なおりに入れ、又は堅固な口輪をつけておかなければならない。
(措置命令)
第二十条 知事は、法第三十二条の規定によるもののほか、特定動物が人の生命、身体又は財産に害を加え、又は加えるおそれがあると認めるときは、当該特定動物の飼い主に対し、期限を定めて、当該特定動物による人の生命、身体又は財産に対する侵害を防止するために必要な措置を講ずることを命ずることができる。
2 知事は、前条第二項の規定による届出に係る犬その他人の生命、身体又は財産に害を加え、又は加えるおそれがあると認める犬の飼い主に対し、期限を定めて、当該犬による人の生命、身体又は財産に対する侵害を防止するために必要な措置を講ずることを命ずることができる。
第四節 動物の収容等
(係留をされていない犬の収容)
第二十一条 知事は、係留をされていない犬(第十四条各号に該当する場合のものを除く。)があると認めるときは、これを収容することができる。
2 知事は、前項の規定による収容を行うため、その職員に当該犬を捕獲させるものとする。
3 前項の規定により捕獲をする職員は、その身分を証明する証票を携帯し、関係者から請求があったときは、これを提示しなければならない。
(収容した犬等の取扱い)
第二十二条 知事は、前条第一項の規定により犬を収容した場合において、その飼い主が判明しているときはその飼い主にその犬を引き取るべき旨を通知し、又はその飼い主が判明しないときは規則で定めるところによりその犬の種類その他の事項を公示をし、及びその飼い主に返還するものとする。
3 前二項の規定は、法第三十五条第三項において準用する同条第一項本文の規定により所有者の判明しない犬又は猫を引き取った場合及び法第三十六条第二項の規定により所有者の判明しない犬、猫等の動物を収容した場合について準用する。
(薬物による犬の捕獲等)
第二十四条 知事は、犬による人の生命又は身体に対する侵害を防止するため緊急の必要がある場合において、第二十一条第一項の規定による収容を行うことについて著しく困難な事情があると認めるときは、関係市町長の意見を聞いて、区域及び日時を定め、係留をされていない犬を薬物を使用して捕獲し、又は薬殺することができる。この場合において、知事は、当該区域内及びその周辺の住民に対して、薬物を使用して犬を捕獲し、又は薬殺する旨を周知しなければならない。
2 前項の規定による捕獲又は薬殺及び住民に対する周知の方法は、規則で定める。
3 知事は、第一項の規定による捕獲又は薬殺を行うときは、関係市町長及び住民に協力を求めることができる。
第四章 雑則
(報告の徴収)
第二十五条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、動物の飼い主その他関係者に対し、その動物の飼養又は保管に関し必要な報告を求めることができる。
(立入検査)
第二十六条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に、動物の飼養施設その他関係のある場所に立ち入り、飼養施設若しくは書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を証明する証票を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(動物愛護管理員)
第二十七条 県は、動物の愛護及び管理に関する事務を行わせるため、法第三十七条の三第一項の規定により、県に動物愛護管理担当職員として、石川県動物愛護管理員(次項において「動物愛護管理員」という。)を置く。
2 動物愛護管理員は、獣医師等動物の適正な飼養及び保管に関し専門的な知識を有する県の職員のうちから知事が任命する。
(委任)
第二十八条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
第五章 罰則
第二十九条 第二十条第一項の規定による命令に違反した者は、三十万円以下の罰金に処する。
第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 第十四条の規定に違反した者
二 第二十条第二項の規定による命令に違反した者
第三十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、五万円以下の罰金又は科料に処する。
一 第十八条第一項の規定による通報をせず、又は虚偽の通報をした者
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和四年四月一日から施行する。
(犬の危害防止条例及び石川県動物愛護管理員の設置に関する条例の廃止)
2 次に掲げる条例は、廃止する。
一 犬の危害防止条例(昭和四十三年石川県条例第二十六号。以下「旧条例」という。)
二 石川県動物愛護管理員の設置に関する条例(令和二年石川県条例第十八号)
(経過措置)
3 旧条例の規定によりなされた処分又は届出は、この条例の相当規定に基づいてなされた処分又は届出とみなす。
5 この条例の施行前に旧条例の規定に違反してなされた行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正)
6 職員の特殊勤務手当に関する条例(昭和三十一年石川県条例第二十八号)の一部を次のように改正する。
(次のよう省略)
(石川県の事務処理の特例に関する条例の一部改正)
7 石川県の事務処理の特例に関する条例(平成十一年石川県条例第三十七号)の一部を次のように改正する。
(次のよう省略)
(石川県手数料条例の一部改正)
8 石川県手数料条例(平成十二年石川県条例第七号)の一部を次のように改正する。
(次のよう省略)