○石岡市法令遵守の推進に関する条例
令和2年9月17日
条例第36号
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 石岡市公正職務審査会(第6条―第11条)
第3章 公益通報者保護制度
第1節 内部公益通報(第12条―第20条)
第2節 外部公益通報(第21条―第23条)
第4章 要望等の記録制度(第24条―第31条)
第5章 雑則(第32条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は,公益通報者保護制度及び要望等の記録制度について必要な事項を定めることにより,法令遵守を推進する体制を整備することで,職員等の公正な職務執行の確保を図るとともに,行政運営における責任を明らかにし,もって市民から信頼される市政を確立することを目的とする。
(1) 職員等 次に掲げる者をいう。
ア 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職に属する職員及び同条第3項に規定する特別職に属する職員(市長及び市議会議員を除く。)
イ 本市との請負契約その他の契約に基づいて本市の業務を行う個人及び法人その他の団体の役員並びに当該業務に従事している者
ウ 本市の公の施設の管理を行う指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者をいう。)の役員及び当該指定管理者が行う本市の公の施設の管理の業務に従事している者
エ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第26条第1項に規定する労働者派遣契約に基づき本市の業務に従事している者
(2) 通報対象事実 次に掲げる事実をいう。
ア 法令,条例,規則その他の規程(これらに基づく要綱,基準等を含む。以下「法令等」という。)に違反する行為の事実
イ 人の生命,身体若しくは財産又は環境に重大な悪影響を与える不当な行為の事実
ウ 公益に反するおそれのある事実
(3) 内部通報対象事実 通報対象事実であって,市政運営に関するものをいう。
(4) 内部公益通報 職員等が不正の利益を得る目的,他人に損害を与える目的その他の不正の目的でなく,市政運営において通報対象事実が生じ,又はまさに生じようとしていると思料するときに,その旨を通報することをいう。
(5) 外部公益通報 労働者(労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者をいう。)が,不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく,その労務提供先において通報対象事実が生じ,又はまさに生じようとしている旨を,当該通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する市長等に通報することをいう。
(6) 公益通報者 内部公益通報及び外部公益通報を行った者をいう。
(7) 執行機関等 市の執行機関及びその補助機関である者(地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第15条第1項に規定する企業職員を含む。)をいう。
(8) 公職者等 次のいずれかに該当する者をいう。
ア 現に次に掲げる者であるもの及びその秘書その他現に次に掲げる者であるものの活動を補佐する者
(ア) 国会議員
(イ) 地方公共団体の議会の議員
(ウ) 他の地方公共団体の長
イ 次に掲げる者であったもの(現に次に掲げる者であるものを除く。以下この号において同じ。)及びその秘書その他次に掲げる者であったものの活動を現に補佐する者
(ア) ア(ア)から(ウ)までに掲げる者
(イ) 石岡市長
(9) 要望等 公職者等が執行機関等に対して行う当該執行機関等の職務に関する要望,提言,提案,相談,意見,苦情,依頼その他これらに類するものをいう。
(10) 不当要求行為 要望等のうち次に掲げるものをいう。
ア 正当な理由なく次に掲げることを求める行為
(ア) 特定のものに対して有利な,又は不利な取扱いをすること。
(イ) 特定のものに対して義務のないことを行わせ,又はその権利の行使を妨げること。
(ウ) 職務上知ることのできた秘密を漏らすこと。
(エ) 執行すべき職務を行わないこと。
イ 執行機関等の公正な職務執行を妨げることが明白である要望等をする行為
ウ 暴力,威嚇,乱暴な言動その他の社会的相当性を逸脱する手段により要望等をする行為
エ 面会の強要,押しかけ,自宅への呼び出し及び会議室等閉鎖された空間での面会を求める行為
(市長の責務)
第3条 市長は,職務において高い倫理性が求められることを自覚するとともに,市政に対する市民の信頼を確保するため公正に職務を執行し,職員等に範を示さなければならない。
2 市長は,職員等が公正な職務執行に当たることができるよう,公正な職務執行の確保に必要な体制の整備に努めなければならない。
2 幹部職員は,公益通報者保護制度及び要望等の記録制度を自ら積極的に活用するとともに,次条第1項の一般の職員により,これらの制度が有効に活用されるよう,これらの制度を適正に運用しなければならない。
(一般の職員の責務)
第5条 市長及び幹部職員以外の一般の職員は,市政に対する市民の信頼を確保するため,公正に職務を執行しなければならない。
2 前項の一般の職員は,公益通報者保護制度及び要望等の記録制度を積極的に活用し,公正な職務執行の確保に努めなければならない。
第2章 石岡市公正職務審査会
(審査会の設置)
第6条 公益通報者保護制度及び要望等の記録制度の運用その他の公正な職務執行の確保等に資するため,地方自治法第138条の4第3項の規定に基づく市長の附属機関として,石岡市公正職務審査会(以下「審査会」という。)を設置する。
2 審査会は,委員5人以内をもって組織する。
3 審査会の委員(以下「委員」という。)は,常任委員及び臨時委員とする。
4 常任委員は,弁護士の資格を有する者のうちから3人を市長が委嘱する。
5 常任委員の任期は,2年とし,再任を妨げない。
6 市長は,臨時委員の委嘱について審査会から要請があったときは,知識経験を有する者のうちから臨時委員2人以内を委嘱することができる。
7 臨時委員の任期は,その都度市長が定める期間とする。
(所掌事項)
第7条 審査会の所掌事項は,次に掲げる事項とする。
(1) 次章第1節の内部公益通報に関する事項
(2) 第4章の要望等の記録制度に関する事項
(3) 石岡市政治倫理条例(平成18年石岡市条例第72号)に定める市長等及び議員の倫理の確保に関する事項
(4) 石岡市議会ハラスメント防止条例(令和6年石岡市条例第32号)に定める事実関係の調査及び確認に関する事項
(5) 前各号に掲げるもののほか,公正な職務執行の確保に関し,必要に応じ市の執行機関に意見を述べること。
(令6条例32・一部改正)
(守秘義務)
第8条 委員は,職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も,同様とする。
(解職)
第9条 市長は,委員が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき,又は委員に職務上の義務違反その他委員にふさわしくない非行があると認めるときは,これを解職することができる。この場合において,市長は,当該委員以外の委員全員の同意を得なければならない。
(会議公開の原則)
第10条 審査会の会議は,次に掲げる場合を除き,公開する。
(1) 審査事項が次章の公益通報者保護制度に関するものであるとき。
(2) 審査事項に応じて,審査会の会議で非公開と決定したとき。
(審査会への協力等)
第11条 執行機関等は,審査会の職務の遂行に関し,独立性を尊重するとともに,積極的に協力しなければならない。
第3章 公益通報者保護制度
第1節 内部公益通報
(内部公益通報)
第12条 職員等は,内部公益通報の必要があると思料するときは,審査会に対し当該公益通報をするよう努めなければならない。
2 前項の規定にかかわらず,次に掲げる事項については,内部公益通報をすることができない。
(1) その者に対し法令等に基づいてされた処分に関連する事項
(2) 裁判所に係属している事案その他法令等による紛争の解決のための手続が行われている事案又は裁判があった事案その他当該手続が終了した事案に関連する事項
(3) 地方自治法第242条第1項の規定による請求がされている事案又は同条第4項の手続が終了した事案に関連する事項
3 職員等は,内部通報対象事実に係る証拠資料があるときは,提出するものとする。
(内部公益通報の窓口)
第13条 内部公益通報は,外部相談員又は内部相談員(次条において「外部相談員等」という。)を窓口として,受け付けるものとする。
2 外部相談員は,弁護士の資格を有する者のうちから市長が委嘱する。
3 外部相談員の任期は,2年とし,再任を妨げない。
4 前2項の規定にかかわらず,市長は,委託契約により弁護士の資格を有する者を外部相談員として,設置することができる。
5 内部相談員は,市長が指名する職員をもって充てる。ただし,当該職員は,自ら関係する内部公益通報の対応に,関与することはできない。
(内部公益通報に係る事前の相談)
第14条 職員等は,内部公益通報をしようとするときは,通報に係る事案について,外部相談員等に対して事前に相談することができる。
2 前項に規定する相談があったときは,外部相談員等は,当該相談内容の把握に努め,適切に助言しなければならない。
3 第1項の相談を内部相談員が受けた場合で必要があると認めるときは,内部相談員は,当該相談の内容について外部相談員と協議することができる。
4 外部相談員等は,第1項の相談を行った職員等が当該相談を行ったことにより不利益を被らないよう十分に配慮し,その者の権利の保護に努めなければならない。
(調査等)
第15条 内部公益通報があったときは,外部相談員等は,内部通報対象事実に係る基礎的な調査を行わなければならない。
2 外部相談員等は,前項の調査の結果に基づき,調査結果報告書を作成し,審査会に提出しなければならない。
3 前項の調査結果報告書の提出があったときは,審査会は,速やかに,内部通報対象事実の調査を開始しなければならない。ただし,調査結果報告書の内容を確認し,内部通報対象事実があると認められないときは,直ちにその旨を公益通報者に通知することができる。
4 審査会は,内部通報対象事実について調査するため必要があると認めるときは,外部相談員等に審査会への出席を求め,意見若しくは説明を聴き,又は資料の提出を求めることができる。
5 審査会及び外部相談員等は,内部通報対象事実について調査するため必要があると認めるときは,市長,職員等その他の関係者に対し説明を求め,その保有する帳簿,書類その他の資料を閲覧し,若しくはその写しの提出を求め,又は実地の調査の受入れを求めることができる。
6 審査会は,内部公益通報の処理の状況について,公益通報者に適宜情報を提供しなければならない。
(調査の結果に係る通知等)
第16条 審査会は,前条第3項の調査の結果により,内部通報対象事実があると認めるときは,その旨及び内部通報対象事実に対する是正措置について,当該是正措置を実施すべき市の執行機関に通知しなければならない。
2 審査会は,前項の通知を行ったときは,当該通知の内容を公益通報者に通知しなければならない。
3 審査会は,前条第3項の調査の結果により,内部通報対象事実があると認められないときは,その旨を公益通報者に通知しなければならない。
4 前項の場合において,公正な職務執行の確保に関し必要があると認めるときは,内部公益通報があった旨に当該公益通報に係る事案に関する審査会の意見を付して,当該事案に係る市の執行機関に通知しなければならない。
(是正措置の実施等)
第17条 前条第1項の通知を受けた市の執行機関は,速やかに,是正措置を講じ,規則で定める期間内にその内容を審査会に報告するとともに,公表しなければならない。ただし,当該期間内に是正措置を講ずることができない場合においては,その旨を理由を付して審査会に報告しなければならない。
2 審査会は,是正措置により内部通報対象事実の解決が図られているかどうかについて適宜確認し,必要があると認めるときは,更に必要な是正措置を講ずるよう通知することができる。
(不利益な取扱いの禁止)
第18条 公益通報者は,公益通報を行ったことを理由として,いかなる不利益な取扱いも受けない。
2 内部公益通報に係る調査に協力した者(以下「調査協力者」という。)は,調査に協力したことを理由として,いかなる不利益な取扱いも受けない。
(不利益な取扱いに係る申出等)
第19条 公益通報者又は調査協力者(これらの者のうち第2条第1号アに掲げる職員である者に限る。以下この条において同じ。)は,内部公益通報を行ったこと又は調査に協力したことを理由として,不利益な取扱いがあったと思料するときは,審査会にその旨を申し出ることができる。
3 審査会は,第1項の規定による申出があったときは,当該申出に係る不利益な取扱いの内容について調査を行わなければならない。
4 審査会は,前項の調査するため必要があると認めるときは,執行機関等に対し説明を求め,その保有する帳簿,書類その他の資料を閲覧し,若しくはその写しの提出を求め,又は実地の調査の受入れを求めることができる。
5 審査会は,第3項の調査をするに当たり,不利益な取扱いがあった旨の申出をした内部公益通報者又は調査協力者(以下これらの者を「申出者」という。)及び当該申出者が属する市の執行機関に意見の陳述,弁明書の提出等の機会を与えなければならない。
(不利益な取扱いに関する調査の結果に係る通知等)
第20条 審査会は,前条第3項の調査の結果,不利益な取扱いの事実があると認めるときは,その旨及び不利益な取扱いに対する是正措置について,申出者が属する市の執行機関に通知しなければならない。
2 審査会は,前項の通知を行ったときは,当該通知の内容を申出者に通知しなければならない。
3 審査会は,前条第3項の調査の結果,不利益な取扱いの事実があると認められないときは,その旨を申出者及び当該申出者が属する市の執行機関に通知しなければならない。
第2節 外部公益通報
(外部公益通報の案内窓口の設置)
第21条 外部公益通報の案内を行うため,庁内に案内窓口を設置する。
2 前項の案内窓口は,外部公益通報に関する相談及び所管課への取次ぎを行うものとする。
(外部公益通報の手続)
第22条 前条第2項に規定する取次ぎを受けた所管課は,外部公益通報があったときは,必要な調査を行い,当該外部公益通報に係る通報対象事実があると認めるときは,法令に基づく措置その他必要な措置を講じなければならない。
2 外部公益通報が誤って当該外部公益通報に係る通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有しない市長等に対してなされたときは,当該市長等は,当該公益通報者に対し,当該外部公益通報に係る通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関を教示しなければならない。
(外部公益通報者に関する秘密の保持)
第23条 外部公益通報に関与する者は,外部公益通報者が特定されるおそれがある事項を他の者に知られないようにしなければならない。
第4章 要望等の記録制度
(要望等への対応の基本原則)
第24条 執行機関等は,要望等の重要性を十分理解し,誠実にその内容を受け止め,適正に対応しなければならない。
2 執行機関等は,特定のものを特別に扱うことを求める要望等に対しては,正当な理由なく,特定のものに対して便宜若しくは利益を図り,又は権利若しくは利益を害することにならないよう慎重かつ適切に対応しなければならない。
3 執行機関等は,不当要求行為が行われた場合(不当要求行為が行われるおそれが切迫していると認める場合を含む。)は,公正な職務執行及び執行機関等の安全の確保を図るため,複数の職員により組織的にき然とした態度で対応しなければならない。
(要望等の記録等)
第25条 執行機関等は,要望等を口頭により受けたときは,その内容を確認し,簡潔に記録するものとする。この場合において,当該記録をするに当たっては,不実又は偽りの記載をしてはならない。
2 執行機関等は,要望等を受けるに当たり,当該要望等の内容を録音及び録画することができる。
(1) 公式又は公開の場における要望等であって,議事録その他これに類するものとして別途記録がなされるとき。
(2) 要望等の内容が単なる問合せ又は事実関係の確認にすぎないことが明白であるとき。
(諮問等)
第27条 市の執行機関は,次に掲げる場合であって必要があると認めるときは,審査会に諮問するものとする。
(1) 不当要求行為に該当するかどうか市の執行機関が判断できない要望等を受けたとき。
(2) 不当要求行為を受けたと思料するとき。
2 前項の規定により諮問があったときは,審査会は,速やかに,要望等に係る調査を開始しなければならない。ただし,要望等が明らかに不当要求行為に該当しないと認めるときは,その旨を市の執行機関に答申する。
3 審査会は,要望等について調査するため必要があると認めるときは,執行機関等に対し説明を求め,その保有する帳簿,書類その他の資料を閲覧し,若しくはその写しの提出を求め,又は実地の調査の受入れを求めることができる。
4 審査会は,第1項の諮問された事項について調査するに当たり,要望者に意見の陳述,弁明書の提出等の機会を与えなければならない。
(審査会の答申)
第28条 審査会は,前条第2項の調査の結果により,要望等が不当要求行為に該当すると認めるときは,その旨及び要望等への対応について,市の執行機関に答申する。
2 審査会は,前条第2項の調査の結果により,要望等が不当要求行為に該当すると認められないときは,その旨を市の執行機関に答申する。
3 審査会は,前2項の規定により市の執行機関に対して答申したときは,当該答申の結果を要望者に通知しなければならない。
(審査会の答申の尊重)
第29条 市の執行機関は,前条第1項の審査会の答申があったときは,不当要求行為への対応を断固として拒否し,当該不当要求行為に応じることができない旨を要望者に回答するとともに,審査会の答申の内容を尊重し,必要な措置を講じなければならない。
(要望等の記録の報告等)
第30条 市の執行機関は,要望等の記録(第26条第1号の記録を含む。)を整理し,年に2回審査会に報告しなければならない。
2 審査会は,前項の規定により報告された記録を確認し,不当要求行為に該当すると認めるものについては,速やかに,調査を開始しなければならない。
3 審査会は,第1項に規定する報告された記録に関し,その対応等について市の執行機関に意見を述べることができる。
4 審査会は,前項の意見を述べるに当たり,必要があると認めるときは,要望者に意見の陳述,弁明書の提出等の機会を与えなければならない。
(公表)
第31条 市長は,市の執行機関における要望等の記録の件数その他の運用状況を取りまとめ,毎年度公表するものとする。
第5章 雑則
(委任)
第32条 この条例に定めるもののほか,この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は,公布の日から起算して4月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。
(令和2年12月規則第57号で,同3年1月16日から施行)
(石岡市政治倫理条例の一部を改正する条例)
2 石岡市政治倫理条例(平成18年石岡市条例第72号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
附則(令和6年9月12日条例第32号)抄
(施行期日)
1 この条例は,公布の日から施行する。