○糸満市医療的ケア児教育・保育支援事業実施要綱

令和5年11月20日

告示第174号

(趣旨)

第1条 この告示は、教育及び保育を必要とし、日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケアを要する状態にある児童で、他に重篤な症状がなく、集団保育が可能であると市長が認めた児童(以下「医療的ケア児」という。)について、認可保育所、認定こども園、幼稚園、小規模保育事業等の教育・保育施設及び認可外保育施設(居宅訪問型保育事業、企業主導型保育事業及び従業員の福利厚生の目的で設置された施設は除く。以下「施設」という。)において、健康で安心・安全な生活ができるよう支援する事業の実施に関し、必要な事項を定める。

(実施主体)

第2条 本事業の実施主体は、糸満市(以下「本市」という。)とする。ただし、市長は、本事業の全部又は一部について、適切に事業を実施できると認められる者に委託して、実施することができるものとする。

(定義)

第3条 この告示において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 医療的ケア 主治医の指示に基づき、施設において実施される疾病等の治療を目的とせず、児童が日常生活を送るために必要な医療行為であり、別表1に定めるものをいう。

(2) 認定特定行為業務従事者 社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)に基づく「喀痰吸引等研修」を修了し、業務登録を受けた者であり、口腔内の喀痰吸引、鼻腔内の喀痰吸引、気管カニューレ内の喀痰吸引、胃ろう又は腸ろうによる経管栄養、及び経鼻経管栄養等の医療的ケアを行うことができる者をいう。

(3) 医療的ケア実施者 施設が配置し、又は施設若しくは本市に委託された医師、看護師、保健師、助産師及び認定特定行為業務従事者をいう。

(4) 検討会 施設において医療的ケアを安全かつ適正に実施するために開催される医療的ケア実施等検討会議をいう。

(5) 支援者連絡会 医療的ケア児の健康状態、医療的ケアの内容や想定される緊急時の対応などについて構成員間で密な連携体制を図る会議をいう。

(対象者)

第4条 この事業の対象となる医療的ケア児は、子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)第20条に規定する支給認定を認められた者又は認可外保育施設において入所が認められた者で、次に掲げる要件のいずれにも該当するものとする。

(1) 本市に住所を有するもの

(2) 保護者から医療的ケア実施の申請があった児童のうち、主治医が承諾し、かつ市長が実施可能と認めたもの

(3) 疾患があるものの、主治医の指示の下に、保護者が日常的・応急的に医療的ケアの要する児童で、他に重篤な症状がなく、様態が安定しているもの

(4) 病状や医療的ケアに関する情報を保護者・主治医と施設が十分に共有し、連携できるもの

(実施の申請)

第5条 施設において医療的ケアを必要とする児童の保護者は、主治医の承諾を得て、本市に医療的ケア実施申請書(様式第1号。以下「実施申請書」という。)及び医療的ケア指示書(様式第2号の1又はこれに準ずる様式。以下「指示書」という。)を提出しなければならない。

2 実施申請書及び指示書の作成に係る費用は、保護者の負担とする。

(検討会)

第6条 本市は、施設において医療的ケアを安全かつ適正に実施するために、提出された実施申請書及び指示書に基づき検討会を開催する。

2 検討会は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱し、又は任命する。

(1) 医師

(2) 医療的ケア児等コーディネーター

(3) 医療的ケア実施者

(4) 健康推進課担当保健師

(5) 保育こども園課長

(6) 保育こども園課において保育利用調整を担当する者

(7) 前各号に掲げる者のほか、市長が必要と認める者

3 検討会は、必要に応じて会長が招集し、半数以上が出席しなければ会議を開くことができない

4 検討会は、保護者からの提出書類のほか、保護者及び児童との面談、主治医との面談(受診同行)などの方法により児童の状況を確認しながら次に掲げる事項を検討し、その結果を市長に報告する。

(1) 施設における児童の集団生活の可否に関すること。

(2) 施設における医療的ケア実施の可否に関すること。

(3) その他施設利用及び医療的ケアの実施における配慮事項等に関すること。

(実施の決定)

第7条 市長は、前条第4項の規定による検討会の結果を踏まえて、受け入れの可否を決定し、医療的ケア実施決定通知書(様式第3号の1)又は医療的ケア実施保留通知書(様式第3号の2)により、保護者に通知しなければならない。

2 市長は、前項の通知をしたときは、その写しを医療的ケア児を受け入れる施設の長(以下「施設長」という。)及び医療的ケア実施者に通知しなければならない。

(実施期間と継続)

第8条 医療的ケアの実施期間は、前条第1項の規定により実施が決定した日から当該年度の3月31日までとする。

2 前条第1項の規定により医療的ケアを実施している医療的ケア児について、身体の状態に変化がなく、かつ、医療的ケアの内容に変更がない場合、年度を越えて継続することができる。

(実施の変更と終了)

第9条 保護者は、医療的ケア児の心身状況の変化により医療的ケアの実施内容を変更又は追加する場合には、指示書を速やかに市長に提出しなければならない。

2 保護者は、第7条第1項の規定による医療的ケアの実施の終了を申請する場合には、医療的ケア実施終了申請書(様式第4号の1)を市長に提出しなければならない。

3 市長は、前項の規定により医療的ケア実施の終了を決定したときは、速やかに医療的ケア実施終了決定書(様式第4号の2)により保護者に通知するものとする。

(実施の取消し)

第10条 市長は、次の各号のいずれかに該当すると認めたときは、第7条第1項の規定による医療的ケアの実施の決定を取り消すことができるものとする。

(1) 第4条の規定による資格を失ったとき。

(2) 虚偽又は不正な手段により、実施の決定を受けたとき。

(3) その他市長が実施の決定を取り消す必要があると認めたとき。

(支援者連絡会の設置)

第11条 市長は、各施設が安全な医療的ケアを実施するため、必要に応じて支援者連絡会を開催する。

2 支援者連絡会は、次に掲げる関係者及び担当職員によって構成する。

(1) 保護者

(2) 施設長

(3) 担任保育士

(4) 加配保育士

(5) 医療的ケア実施者

(6) 健康推進課担当保健師

(7) 保育こども園課医療的ケア児担当職員

(医療的ケア実施者の責務)

第12条 医療的ケア実施者は、次の各号に定める責務を負う。

(1) 主治医の指示に基づき、医療的ケアを実施すること。

(2) 医療的ケアの実施内容を記録すること。

(3) その他市長が必要と認める事項を行うこと。

(施設長の責務)

第13条 施設長は、次に定める責務を負う。

(1) 施設長は、医療的ケアの実施が決定した際に、医療的ケア確認及び協力願い書(様式第2号の2またはこれに準ずる様式)にて、医療的ケア実施者が保護者・医療的ケア児同伴のもと、主治医から医療的ケアの説明、指導・助言を受ける機会を設けること。

(2) 主治医の指示内容、搬送する医療機関など、主治医及び保護者との連絡を円滑に行うことができる緊急連絡先等が記載された緊急時対応マニュアル(以下「マニュアル」という。)を作成し、緊急体制を整備するとともに施設の職員に周知徹底を図ること。

(3) 緊急時には、施設長の指示のもと、マニュアルに基づき対応し、緊急時における訓練を定期的に行うこと。

(4) 医療的ケア児の個別支援計画書を作成し、適宜更新又は確認すること。

(5) 医療的ケア児が安心して施設において生活できる環境等を整えるために、医療的ケア実施者に対して、医療的ケアに関する研修等への参加の機会を与えるよう努めること。

(6) この告示に基づき作成及び提出を受けた書類については、対象の医療的ケア児が施設に在籍している間は保管し、離籍後も5年間は保管するとともに保護者又は市長がその提示を求めた場合は速やかに提示すること。

(保護者の責務)

第14条 保護者は、次に定める責務を負う。

(1) 保護者は、連絡先を明確にし、日常的に連絡が可能となる対応を行うこと。

(2) 実施申請書を提出した保護者は、市長が実施する医療的ケアに係る面談を受けること。なお、市長が主治医との面談を求めた場合には、遅滞無く主治医に対してその旨を伝えること。

(3) 原則として医療的ケアの実施に必要な医療機器、医療用具、消耗品等の準備並びに点検及び整備を行うこと。

(4) 主治医に対する診療報酬及び文書料並びに医療的ケアに必要な消耗品等については負担すること。

(5) 登園時、対象児の健康状態について、保育士又は医療的ケア実施者に伝達すること。

(6) 施設が安全安心な教育・保育の提供に係る調整を求めた場合は協力するよう努めること。

(補則)

第15条 この告示に定めるもののほか、医療的ケアの実施について必要な事項は、市長が別に定める。

この告示は、令和5年11月20日から施行し、令和5年4月1日から適用する。

別表1(第3条関係)

「実施対象とすることができる医療的ケアの実施項目・内容及び実施区分」

項目


実施区分

医療的ケア実施者

保育教諭

1 吸引

ロ腔・鼻腔内吸引(咽頭より手前まで)


ロ腔・鼻腔内吸引(咽頭より奥の気道)


気管切開部(気管カニューレ内)からの吸引


気管切開部(気管カニューレ奥)からの吸引


2 経管栄養

経管栄養(鼻腔に留置されている管からの注入)


経管栄養(胃ろう・腸ろう)


3 導尿

導尿 ※本人が自ら行う導尿を除く


4 その他

① 吸入(定時の薬液)


② 与薬(胃ろうからの注入含む)


③ 気管切開部の衛生管理


④ 胃ろう・腸ろう部の衛生管理


⑤ 酸素管理(流量、作動確認・ボンべの交換)

観察

⑥ 人工呼吸器の作動状況の確認及び緊急時の連絡

観察

⑦ その他

施設生活を送る上で必要不可欠なものに限り、在宅医療で認められている範囲内で、充分に安全を確保した上で、医師の指示があった内容。

観察

※観察とは、医療的ケア児に関わるすべての保育教諭が、状況の見守りを行うことをいう。

画像画像

画像画像

画像

画像

画像

画像

画像

糸満市医療的ケア児教育・保育支援事業実施要綱

令和5年11月20日 告示第174号

(令和5年11月20日施行)