○加賀市文化財保護条例
平成17年10月1日
条例第112号
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)及び石川県文化財保護条例(昭和32年石川県条例第41号。以下「県条例」という。)の規定により指定を受けた文化財以外の文化財で、加賀市の区域内にある文化財を保存し、かつ、その活用を図り、もって市民の文化的向上と郷土文化の進歩に貢献することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「文化財」とは、次に掲げるものをいう。
(1) 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の文化的所産で、市にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)
(2) 芸能、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で、市にとって、歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)
(3) 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗、慣習、民俗芸能、民俗技術及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で、市民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)
(4) 貝塚、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で、市にとって歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋架、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で、本市にとって芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。植物(自生地を含む。)並びに地質及び鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で市にとって学術上価値の高いもの(以下「史跡名勝天然記念物」という。)
(財産権の尊重及びその他の公益との調整)
第3条 この条例の施行にあたっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。
(指定)
第4条 加賀市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、市の区域内にある有形文化財、無形文化財、民俗文化財及び史跡名勝天然記念物のうち重要なもの(法及び県条例により指定されたものを除く。)で加賀市文化財保護審議会の答申を得て保護顕彰の必要があると認められるものを所有者若しくは管理者の申請に基づき、又はその同意を得てこれを加賀市指定文化財(以下「指定文化財」という。)に指定することができる。
(解除)
第5条 指定文化財が市の区域内に所在しなくなったとき又は指定文化財としての価値を失ったときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
2 指定文化財が、県又は国の指定を受けたときは、その指定の日から前条の規定に基づく指定は解除されたものとする。
(告示及び通知)
第6条 教育委員会は、第4条の規定による指定をしたときは、その旨を告示するとともに、指定書により所有者に通知するものとする。この場合、無形文化財の保持者又は保持団体に対し認定書を併せて交付するものとする。
(所有者の管理義務、管理責任者及び環境保全)
第7条 指定文化財の所有者は、この条例及び教育委員会規則並びにこれらに基づく教育委員会の指示に従い指定文化財を管理しなければならない。
2 指定文化財の所有者は、特別の事情があるときは適当な者を専ら自己に代わり当該指定文化財の管理の責めに任ずる者(以下「管理責任者」という。)に選任することができる。
3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、指定文化財の所有者は、当該管理責任者と連署の上教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任したときも、同様とする。
4 管理責任者には、第1項の規定を適用する。
5 教育委員会は、指定文化財の保存のため必要があると認めるときは、地域を定めて一定の行為を禁止し、又は制限することができる。
(所有者又は管理者の変更)
第8条 指定文化財の所有者に変更が生じたときは、新しく所有者となった者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
2 指定文化財の所有者は、管理責任者を変更したときは、新しく管理責任者となった者と連署の上教育委員会に届け出なければならない。
3 指定文化財の所有者又は管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(滅失、き損等)
第9条 指定文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又は亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者又は管理者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(所在の変更)
第10条 指定文化財の所在する場所を変更(史跡名勝天然記念物にあっては、土地の所在、地番、地目又は地籍の異動)したとき(規則で定める一時的変更は除く。)は、所有者又は管理責任者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(管理又は修理若しくは復旧の補助)
第11条 指定文化財の管理又は修理若しくは復旧について多額の経費を要し所有者がその負担に堪えない場合は、市は、その一部に充てさせるため、所有者に対し予算の範囲内において補助金を交付することができる。
2 前項の補助金を交付する場合には、教育委員会は、その補助金の条件として管理又は修理若しくは復旧に関し必要な事項を指示することができる。
3 教育委員会は、必要があると認めるときは、第1項の補助金を交付した指定文化財の管理又は修理若しくは復旧について指揮監督することができる。
(管理又は修理若しくは復旧に関する勧告)
第12条 教育委員会は、管理が適当でないため指定文化財が滅失し、又はき損するおそれがあると認めるときは、所有者又は管理責任者に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し、必要な措置を勧告することができる。
2 教育委員会は、指定文化財がき損し、又は衰亡している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、所有者又は管理責任者に対し、その修理又は復旧について必要な勧告をすることができる。
3 前2項の規定による勧告に基づいてする措置又は修理若しくは復旧のために要する費用について、市は、その全部又は一部を補助することができる。
(現状等変更の許可等)
第14条 指定文化財の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、規則で定める範囲の維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合はこの限りでない。
2 教育委員会は、前項の許可を与えるときは、指定文化財の保全のために必要な限度において条件を付すことができる。
(技術的指導)
第16条 指定文化財の所有者又は管理責任者は、教育委員会に対し指定文化財の管理又は修理若しくは復旧に関し技術的指導を求めることができる。
(出品)
第17条 教育委員会は、指定文化財の所有者又は管理者に対し6箇月以内の期間を限って市その他教育団体の行う公開の用に供するため、指定文化財を出品することを勧告することができる。
(調査)
第18条 教育委員会は、必要があると認めるときは、指定文化財の所有者又は管理者に対し指定文化財の現状又は管理、修理若しくは復旧の状況について報告を求めることができる。
2 教育委員会は、指定文化財の指定をしようとするとき、その他必要があるときは、所有者又は管理責任者の同意を得て立入調査を行うことができる。
(助成)
第19条 無形文化財のうち、特に価値の高いもので衰亡のおそれがあるものについては、市は、その保存に当たることを適当と認める者に対して補助金を交付し、又は資材のあっせんその他適当な助成の措置を講ずることができる。
(公開)
第20条 教育委員会は、前条第1項の規定による措置を受けた者に対し1箇月以内の期間を限って当該無形文化財の公開を求めることができる。
(審議会の設置)
第21条 本市の文化財の保護及び活用について調査審議するため、加賀市文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(審議会の任務)
第22条 審議会は、教育委員会の諮問に応じて次に掲げる事項を審議する。
(1) 文化財の指定及び解除に関すること。
(2) 指定文化財の修理及び復旧並びに滅失、き損等の防止の措置に関すること。
(3) 無形文化財の保持者の認定に関すること。
(4) 指定文化財の現状変更の許可に関すること。
(5) 指定文化財の出品公開に関すること。
(6) 前各号に掲げるもののほか、文化財の保存及び活用に関し必要と認める事項
2 審議会の委員は、文化財の保存及び活用に関し必要と認める事項を教育委員会に建議することができる。
(審議会の組織)
第23条 審議会は、委員7人をもって組織する。
2 委員は、学識経験を有する者のうちから教育委員会が委嘱する。
(審議会の委員の任期)
第24条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 教育委員会は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認めたとき又は委員として不適切な行為があると認めたときは、任期の途中であっても解職することができる。
(委任)
第25条 前4条に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。
(委任)
第27条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
3 施行日以後、最初に委嘱された審議会の委員の任期は、第24条第1項の規定にかかわらず、平成20年3月31日までとする。