○加賀市議会基本条例
平成23年3月17日
条例第13号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 開かれた議会(第5条・第6条)
第3章 監視する議会(第7条・第8条)
第4章 審議する議会(第9条―第13条)
第5章 政策提案する議会(第14条―第16条)
第6章 市民が参加する議会(第17条―第19条)
第7章 政務活動費(第20条)
第8章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第21条・第22条)
第9章 最高規範性と見直し手続(第23条・第24条)
附則
二元代表制の下、執行機関である市長と議決機関である加賀市議会(以下「議会」という。)の議員は、それぞれが市民の代表として与えられた権限を行使することができる。
地方分権一括法の施行以降、地方自治体の自主的な政策決定と責任の範囲は一層拡大しており、議会と市長は、市民の意思を市政に的確に反映させるために切磋琢磨しながら、最良の決定を導く共通の使命が課せられている。
議会は、議員自らが提案する政策と市長が提案する政策の論点・争点を市民に明らかにするとともに、自由討議を保障し、政策を決定する責務を有している。また、この責務を果たすために公正性・透明性を確保し、市民が参加できる議会を目指す使命がある。
よって、この責務を果たし、使命を達成するために本条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、二元代表制の下、議会活動及び議員活動の充実と活性化のために必要な基本的な事項等を定めることにより、議会が市民の負託に的確に応え、もって市民生活の向上に寄与することを目的とする。
(議員の活動原則)
第2条 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互の自由な討議を尊重するものとする。
2 議員は、市政全般についての課題並びに市民の意見及び要望等を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研鑽に努め、市民の代表としてふさわしい活動をするものとする。
3 議員は、議会の構成員として、市民生活の向上を目指して活動しなければならない。
(会派)
第3条 議会の会派は、同一の理念及び政策を共有する議員で構成し、活動する。
(災害時の対応)
第4条 議会は、災害が発生し、又は重大な感染症がまん延したとき(以下「災害等発生時」という。)は、議会機能を的確に維持するため、迅速かつ適切に対応するものとする。
2 議会は、災害等発生時には、情報通信技術を積極的に活用することにより、議会活動の継続を図るものとする。
3 災害等発生時の対応に関し必要な事項は、加賀市議会業務継続計画(議会が災害等発生時においても議会としての機能を果たすために必要な事項を定めた計画をいう。)で定める。
第2章 開かれた議会
(開かれた議会の推進)
第5条 議会は、市民に開かれた議会を目指して情報公開に取り組むとともに、市民に対して議会の議決又は運営について、その経緯、理由等を説明する責任を果たすものとする。
(わかりやすい議会運営)
第6条 議会は、市民にわかりやすい議会運営を行うために、この条例に規定するもののほか、議会運営の基本となる加賀市議会会議規則(平成17年加賀市議会規則第1号)、加賀市議会委員会条例(平成17年加賀市条例第218号)及び議会内での申し合わせ事項を継続的に見直すものとする。
2 議会は、市民の傍聴の意欲を高めるような議会運営に努めるものとする。
第3章 監視する議会
(市政運営状況の監視)
第7条 議会は、市民を代表する議決機関であることを常に自覚し、公正性、公平性及び信頼性を重視して、市長その他の執行機関及びその職員(以下「市長等」という。)の市政運営状況を監視するものとする。
(市長等との関係の透明性の確保)
第8条 議会は、議員が行う市長等への口頭による要請に対して、その記録を市長等に求め、両者の関係の透明性を図るものとする。
第4章 審議する議会
(市長等と議会及び議員の関係)
第9条 議会及び議員は、市長等との立場及び権能の違いを踏まえた議会活動を行うことにより、議会審議における市長等との緊張関係の保持に努めなければならない。
2 本会議のほか、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)における議員と市長等の質疑応答は、広く市政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答方式で行うことができる。
3 議長から本会議及び委員会への出席を要請された市長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問に対して詳しい説明を求めることができる。
4 議員は、会期中又は閉会中にかかわらず、議長を経由して市長等に対し文書質問を行うことができる。この場合において、市長等に文書による回答を求めるものとする。
(議会審議における論点情報の形成)
第10条 議会は、市長等が提案する重要な政策、計画、施策及び事業等(以下「政策等」という。)について、議会審議における論点情報を形成し、その政策等の水準を高めるため、市長等に対し、次に掲げる事項について説明を求めるものとする。
(1) 政策等を必要とする背景
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 他の自治体の類似する政策等との比較検討
(4) 市民参加の実施の有無とその内容
(5) 加賀市総合計画との整合性
(6) 財源措置
(7) 将来にわたる効果及び費用
2 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たっては、立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。
(予算及び決算における説明資料の作成)
第11条 議会は、予算及び決算を審議するに当たっては、前条第1項の規定に準じて、施策別又は事業別のわかりやすい説明資料の作成を市長等に求めるものとする。
(議会の自由討議)
第12条 議会は、言論の府であることを十分に認識し、議員相互の自由な討議を中心に運営するものとする。
2 議会は、本会議及び委員会において、議員、委員会及び市長の提出議案並びに市民の政策提案に関して審議し、結論を出す場合は、議員相互の議論を尽くして合意形成に努めるものとする。
(政策討論会)
第13条 議会は、市政に関する重要な政策等及び課題に対して、共通認識の醸成を図るため、議員で構成する政策討論会を開催するものとする。
第5章 政策提案する議会
(政策提案の推進)
第14条 議会は、市民の多様な意見を把握して市政に反映させ、市民と協働してまちづくり活動に取り組むために、必要な政策を自ら立案し、又は市長等に提案するよう努めなければならない。
2 委員会は、議会における政策立案及び提案を積極的に行うものとする。
(議員研修の充実強化)
第15条 議会は、議員の政策立案及び提案能力の向上等を図るとともに、この条例の趣旨を議員に浸透させるため、議員研修を実施し、内容の充実強化に努めるものとする。
(議会事務局の体制整備)
第16条 議会は、議会の政策立案能力を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査機能及び法制執務能力の充実を図るものとする。
第6章 市民が参加する議会
(市民参加及び市民との連携)
第17条 議会は、市民に対し、議会活動に関する情報を積極的に公表し、透明性を高めるとともに、市民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、本会議のほか、委員会を原則公開する。
3 議会は、委員会における参考人制度及び公聴会制度を活用して、市民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。
4 議会は、請願及び陳情を市民による政策提案として位置付けるとともに、その審議においては、これら提案者の意見を聴く機会を設けなければならない。
5 議会は、市民との意見交換の場を多様に設け、広く市民の意見を聴き、政策立案に反映させるよう努めなければならない。
6 議会は、委員会審査に当たっては、資料等を積極的に公開し、市民にわかりやすい議論を行うよう努めなければならない。
7 委員会は、市民の要請に応じ、審査の経過等を説明するため、懇談会等を積極的に行うよう努めるものとする。
(議会報告会)
第18条 議会は、市政の諸問題に柔軟に対処するため、市政全般にわたって、議員及び市民が自由に情報及び意見を交換する場として、議会報告会を開催するものとする。
(議会広報の充実)
第19条 議会は、議案に対する各議員の対応を議会広報で公表する等、議会活動に対して市民の評価が的確になされるよう情報の提供に努めるものとする。
2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの市民が議会と市政に関心を持つよう広報活動に努めるものとする。
第7章 政務活動費
(政務活動費の執行及び公開)
第20条 議員は、政策立案又は提案を行うための調査研究その他の活動に資する目的で交付される政務活動費の執行に当たっては、加賀市議会政務活動費の交付に関する条例(平成25年加賀市条例第3号)を遵守しなければならない。
2 議員は、政務活動費の収支報告書等について、市民から書面において閲覧請求があった場合は、速やかに閲覧させるものとする。ただし、加賀市情報公開条例(平成17年加賀市条例第16号)第7条第1号に規定する個人に関する情報は除く。
第8章 議員の政治倫理、身分及び待遇
(議員の政治倫理)
第21条 議員は、市民の負託に応えるため、高い倫理的義務が課せられていることを深く自覚し、加賀市議会議員政治倫理条例(平成22年加賀市条例第37号)を遵守し、市民の代表として良心と責任を持ち、議員としての品位を保持し、識見を養うよう努めなければならない。
(議員定数及び議員報酬)
第22条 議員定数又は議員報酬に係る議案は、市民の直接請求による場合及び市長が提出する場合を除き、明確な改正理由を付して、委員会又は議員から提出するものとする。
第9章 最高規範性と見直し手続
(最高規範性)
第23条 この条例は、議会における最高規範であって、議会は、この条例の趣旨に反する議会の条例、規則等を制定してはならない。
2 議会は、議員にこの条例の趣旨を浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後、速やかに研修を行わなければならない。
(見直し手続)
第24条 議会は、常に市民の意見及び社会情勢の変化等を勘案し、議会運営に係る不断の評価と改善を行うとともに、一般選挙を経た任期開始後、速やかにこの条例の目的が達成されているかを議会運営委員会において検討するものとする。
2 議会は、前項の検討の結果、改善が必要な場合は、この条例の改正を含めて適切な措置を講ずるものとする。
3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員が賛同する改正案であっても、本会議において改正の理由を詳しく説明しなければならない。
附則
この条例は、平成23年4月1日から施行する。
附則(平成25年2月26日条例第1号)
この条例は、平成25年3月1日から施行する。
附則(平成30年6月19日条例第26号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(令和元年6月26日条例第1号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(令和4年6月18日条例第25号)
この条例は、公布の日から施行する。