○加賀市デジタル技術の活用による持続可能なまちづくり条例
令和5年9月27日
条例第27号
加賀市は、美しく豊かな自然と積み重ねられた歴史の下で先人たちによって育まれた伝統文化、産業、そして温かいおもてなしの心を有し、今へと引き継いでいる。
一方、少子高齢化及び人口減少の進展は、本市においても様々な課題をもたらし、その深刻度を増している。
そのような中、近年、AI、ロボット、インターネット等のデジタル技術の進展により、こうした技術を活用することによって、今日、様々な課題に直面している伝統文化、産業等の本市の強みを維持した上で更に磨きをかけるとともに、地域が抱える課題を解決していくことが可能な時代になってきている。
加賀市で暮らす人には安全安心で質の高い生活を実現し、加賀市を訪れた人には地域の魅力と活気が包みこむ、そのような幸福と輝きが「人」と「デジタル技術」の調和によってもたらされる持続可能な地域社会を市民共創で築いていくため、ここに条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、デジタル技術の活用が、人口減少及び少子高齢化をはじめとする社会課題に対応する上で極めて重要であるとの認識の下、デジタル社会形成基本法(令和3年法律第35号)の趣旨に基づき、デジタル技術の活用によるまちづくりに関する基本方針及び基本的な事項を定め、市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)及び議会の責務並びに市民等及び事業者の役割を明らかにすることにより、デジタル技術の活用によるまちづくりに関する施策を迅速かつ継続的及び重点的に推進し、もって市民生活、来訪者の満足度及び地域の稼ぐ力の向上並びに全ての市民が幸せに暮らし続けることができる持続可能な地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) デジタル技術 デジタル社会形成基本法第2条に規定する情報通信技術をいう。
(2) デジタル技術の活用によるまちづくり デジタル技術を用いた情報(以下「情報」という。)を活用するとともに、デジタル技術を活用することができる人材を育成することにより、前条の目的の達成を図る活動をいう。
(3) 市民等 市内に住所を有し、居住し、若しくは滞在する者又はデジタル技術の活用によるまちづくりに参画し、若しくは協力する個人をいう。
(基本方針)
第3条 デジタル技術の活用によるまちづくりに当たっては、多様な主体による情報の円滑な流通の確保が図られるとともに、個人情報及びプライバシーの保護に十分な配慮がなされるよう、透明性(活用される情報について、その内容並びに活用する主体及び目的が明らかであることをいう。)の確保が図られなければならない。
2 デジタル技術の活用によるまちづくりに当たっては、デジタル技術を活用したサービス(以下「サービス」という。)の利用を希望する全ての市民等がその恩恵を受けることができるよう、公平性及び多様性が重視されなければならない。
3 デジタル技術の活用によるまちづくりに当たっては、情報が広く社会に提供されるとともに、柔軟かつ最大限に活用されるよう、相互運用性(多様な主体が設置する情報システムの相互の連携により迅速かつ安全に情報の授受を行い、情報を共有することができるようにすることをいう。)の確保が図られなければならない。
4 デジタル技術の活用によるまちづくりに当たっては、情報に基づいた運用面及び財政面からの十分な検証が行われ、事業継続性が担保されなければならない。
5 デジタル技術の活用によるまちづくりに当たっては、多様な主体が設置する情報システムにいかなる障害が発生した場合でも最低限の都市機能を維持することができるよう、強靭(じん)性(当該障害による被害を防ぎ、かつ、被害から迅速に復旧できる体制を構築することをいう。)の確保が図られなければならない。
6 デジタル技術の活用によるまちづくりに当たっては、大規模な自然災害その他の災害等に係る対策の効果的な実施が図られなければならない。
(市長等の責務)
第4条 市長等は、前条に定める基本方針にのっとり、デジタル技術の活用によるまちづくりに関し、総合的な計画を策定し、当該計画に基づく施策を着実に推進する責務を有する。
2 市長等は、前項の規定により、デジタル技術の活用によるまちづくりに関する総合的な計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。当該計画を変更したときも同様とする。
3 市長等は、国家戦略特別区域及び区域方針(平成26年5月1日内閣総理大臣決定)に基づく政策課題に対し、デジタル技術の活用によりその解決に取り組むものとする。
4 市長は、本市の区域内における企業の集積を図るため、事業者によるデジタル技術及びサービスの導入を支援するものとする。
5 市長等は、議会、市民等及び事業者と協力及び連携をし、率先してデジタル技術の活用に取り組むものとする。
6 市長等は、常にデジタル技術に対する理解を深めるよう努め、当該技術を活用することができる職員の育成に取り組むものとする。
7 市長等は、デジタル技術の活用によるまちづくりに関し、市民等の理解を深めるとともに、市民等の意見を施策に反映するよう努めるものとする。
8 市長等は、市民等がデジタル技術及びサービスの恩恵を受けることができるよう、デジタル技術の利用のためにあらゆる世代、立場の市民等の学びの場等の確保に努め、デジタル技術を利用する能力及び利用の機会における格差の是正に努めるものとする。
(議会の責務)
第5条 議会は、デジタル技術の活用によるまちづくりを推進するための調査及び研究を行うとともに、市長等が実施する施策に対する助言及び提言を行うものとする。
2 議会の議員は、デジタル技術の活用によるまちづくりに関する施策に対する理解を深めるとともに、自らもデジタル技術の活用によるまちづくりを推進するための調査及び研究に努めるものとする。
(市民等の役割)
第6条 市民等は、デジタル技術の活用によるまちづくりに関して市長等が推進する施策に対する理解及び関心を深めるよう努めるものとする。
2 市民等は、デジタル技術に対する関心を持ち、積極的に活用するよう努めるものとする。
3 市民等は、デジタル技術の活用によるまちづくりに積極的に参画するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第7条 事業者は、デジタル技術の活用によるまちづくりに関して市長等が推進する施策に対する理解及び関心を深めるよう努めるものとする。
2 事業者は、自らが行う事業において、デジタル技術及びサービスを積極的に導入するよう努めるものとする。
3 事業者は、デジタル技術を活用することができる人材の育成に取り組むよう努めるものとする。
4 事業者は、持続可能な地域社会の実現を目指し、地域へのデジタル技術及びサービスの導入を促進するよう努めるものとする。
(有識者の知見の活用)
第8条 市長等は、デジタル技術の活用によるまちづくりに関する施策の実施に当たっては、デジタル技術に関する有識者の知見を活用するものとする。
(市民等との合意形成)
第9条 市長等は、デジタル技術の活用によるまちづくりに関する施策を推進するときは、市民等と合意形成を図るものとする。
(推進体制)
第10条 市長は、デジタル技術の活用によるまちづくりに関する施策について総合調整を行うとともに、これを実効性のあるものとするための推進体制を整備しなければならない。
(財政上の措置)
第11条 市は、デジタル技術の活用によるまちづくりに関する施策を実施するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(令和6年3月25日条例第1号)
この条例は、公布の日から施行する。