○国立大学法人鹿児島大学における公的研究費の不正使用に係る調査等に関する取扱規則
平成26年10月16日
規則第42号
(趣旨)
第1条 この規則は、鹿児島大学における公的研究費の取扱に関する規則(平成19年規則第82号)第12条第1項に基づき、国立大学法人鹿児島大学(以下「本学」という。)における公的研究費不正使用又は不正使用の疑いが生じた場合の調査等に関し必要な事項を定める。
(定義)
第2条 この規則において「公的研究費」とは、本学で機関経理を行う全ての研究費をいう。
2 この規則において「部局」とは、事務局、各学部、各研究科、附属病院、機構又は機構の各センター、ヒトレトロウイルス学共同研究センター及び各学内共同教育研究施設をいう。
3 この規則において「職員等」とは、本学に雇用されている全ての者、本学の施設・設備を利用して研究に携わる者、本学の学生(研究生その他本学において修学する者を含む。)及びこれらの者であった者をいう。
4 この規則において「関係機関」とは、競争的研究費を中心とした公募型の研究資金を本学に配分する文部科学省、文部科学省が所管する独立行政法人その他の府省庁等をいう。
5 この規則において「不正使用」とは、実態とは異なる謝金又は給与の請求、物品購入に係る架空請求、いわゆるカラ出張や水増し出張による不当な旅費の請求など、関係法令、競争的研究費などの公募型の研究資金等の配分機関の定め及び学内関係規則等に違反して公的研究費を使用することをいう。
6 この規則において「最高管理責任者」とは、学長をいう。
7 この規則において「公的研究費の運営及び管理に関する統括管理責任者(以下「統括管理責任者」という。)」とは、学長が指名する理事をいう。
8 この規則において「通報窓口」とは、鹿児島大学における公的研究費の取扱いに関する規則(平成19年規則第82号)第11条第1項に規定する監査室及び学外の法律事務所に置く通報窓口をいう。
(不正使用に関する通報)
第3条 公的研究費の不正使用(不正使用の疑いを含む。)があると思料する者は、通報窓口に通報及び情報提供(以下「通報」という。)するものとする。
2 通報窓口は、原則として通報した者(以下「通報者」という。)の氏名、所属、住所又はメールアドレス並びに不正使用を行ったとする職員等(以下「被通報者」という。)の氏名、不正使用の事案の内容等が明示され、かつ、不正使用とする合理的な根拠が示されたものを受け付けるものとする。
4 次の各号に該当する通報があった場合は、調査の実施について関係機関及び当該研究機関と協議するものとする。
(1) 通報された事案が、本学を離職し他の研究機関に在籍している被通報者の本学在籍期間中のものを含む場合
(2) 通報された事案が、被通報者が過去に在籍していた研究機関在籍期間中のものを含む場合
5 通報された事案が、被通報者の本学在職期間中のものを含み、かつ被通報者が本学を離職後どの研究機関にも所属していない場合は、本学で調査を行うものとする。ただし、当該研究が資金配分機関の資金によるものであり、当該資金配分機関が本学による調査の実施が極めて困難であると認め、自ら調査を行う場合を除く。
(報告等)
第4条 通報窓口に不正使用に関する通報があったときは、通報窓口の職員は、統括管理責任者に報告し、統括管理責任者は最高管理責任者に速やかにその旨を報告しなければならない。
2 最高管理責任者は、前項の報告に係る事案について予備調査が必要であると認めたときは、関連する部局の長(事務局にあっては各部長)又は部局の長に代わる者(以下「部局長等」という。)に予備調査を行わせることができるものとする。
3 関連する部局長等は、最高管理責任者から予備調査を行うよう指示があったときは、当該通報の信憑性等について調査するものとし、指示を受けた日から14日以内にその結果を最高管理責任者に報告するものとする。
5 最高管理責任者は、前項の要否の判断の結果、調査する必要がない場合は、通報者に対し、その理由を付して通知するものとする。
(調査委員会)
第5条 最高管理責任者は、前条第4項において調査の実施を決定したときは、公的研究費の不正使用に係る調査委員会(以下「委員会」という。)を設置し、速やかに事実関係を調査させなければならない。
2 委員は、次の各号に掲げる者をもって充てる。
(1) 最高管理責任者が指名する理事
(2) 委員長が指名する教員 若干名
(3) 事務局の部(室)長及び課(室)長並びに部局事務部の事務(部)長(課長及び室長を含む。)のうちから委員長が指名する者 若干名
(4) 学外の弁護士又は公認会計士等 若干名
(5) その他委員長が必要と認めた者 若干名
3 委員会に委員長を置き、前項第1号の委員をもって充てる。
5 第2項第4号の委員は、本学、通報者及び被通報者と直接の利害関係を有しないものとする。
6 委員長が必要と認めたときは、委員会に委員以外の者を出席させ、意見を聴取することができる。
7 委員長は、必要に応じ、委員会に関係職員を出席させることができる。
(調査の通知等)
第6条 委員会は、第4条第4項の規定により調査を実施する場合は、通報者、被通報者及び被通報者の所属部局長等に対し、次に掲げる事項を通知するものとする。
(1) 調査実施の決定の事実
(2) 委員会委員の所属・氏名
(3) 第7条に規定する異議申立ての受付期間・方法
2 委員会は、通報者に対し、より詳細な情報提供及び当該事案に関する調査への協力を求めることができる。
(異議申立て)
第7条 通報者及び被通報者は、前条第1項第2号の委員会委員について、通知の日の翌日から起算して7日以内に、最高管理責任者に異議申立てをすることができる。この場合において、最高管理責任者は、その内容が妥当であると判断した場合には、当該異議申立てに係る委員会委員を交代させるとともに、その旨を通報者、被通報者及び被通報者の所属部局長等に通知するものとする。
(調査の実施)
第8条 委員会は、不正使用の有無、不正使用の内容、関与した者及びその関与の程度、不正使用の相当額等について調査するものとする。
2 委員会は、調査の実施に際し、調査方針、調査対象及び調査方法等について関係機関に報告し、又は協議しなければならない。
3 委員会は、被通報者等、当該調査の調査対象となっている職員等(以下「対象職員等」という。)に対し、関係資料の提出、事実の証明、事情聴取その他調査に必要な事項を求めることができる。
4 委員会は、関連する部局長等に対し、調査協力等適切な対応を指示することができる。
5 委員会は、必要に応じて、対象職員等に対し調査対象制度の公的研究費の使用停止を命ずることができる。
6 通報者は、通報に基づく調査への協力を理由として、人事、給与、研究又は教育上のいかなる不利益な取扱いも受けない。
7 通報によりその対応に当たる全ての者は、通報者、対象職員等その他当該調査に協力した者の名誉及びプライバシーが侵害されることのないよう十分配慮しなければならない。
(調査への協力等)
第9条 対象職員等は、委員会による事実の究明に協力するものとし、虚偽の申告をしてはならない。退職後においても同様とする。
(認定)
第10条 委員会は、調査の結果に基づき、公的研究費の不正使用が行われたか否かを認定する。
2 前項において、不正使用が行われたと認定した場合は、その内容並びに不正使用に関与した者及びその関与の度合い並びに不正使用の相当額等についても認定する。
3 第1項の認定において、不正が行われなかったと認定する場合であって、調査を通じて通報が悪意(被通報者を陥れるため、又は被通報者が行う研究を妨害するためなど、専ら被通報者に何らかの損害を与えること又は本学若しくは被通報者が所属する機関・組織等に不利益を与えることを目的とする意思をいう。以下同じ。)に基づくものであることが判明したときは、委員会は、併せてその旨の認定を行う。ただし、当該認定を行うに当たっては、通報者に弁明の機会を与えなければならない。
(認定結果の報告及び通知)
第11条 委員会は、前条の認定を行ったときは、速やかに認定結果を最高管理責任者に報告しなければならない。
2 最高管理責任者は、前項の結果を次に掲げる者に通知するものとする。
(1) 被通報者
(2) 被通報者以外で不正使用に関与したと認定された者
(3) 前2号の者が所属する部局長等
(4) 通報者
2 不服申立てを行う場合は、認定結果を不服とする合理的な根拠及び認定を覆すに足る証拠を示すものとする。
3 不服申立ての審査は委員会が行うものとし、不服申立ての趣旨、理由等を勘案し、当該事案の再調査を行うか否かを速やかに決定する。
4 委員会は、当該事案の調査を行うまでもなく、不服申立てを却下すべきものと決定した場合には、ただちに最高管理責任者に報告し、最高管理責任者は不服申立てをした者(以下「不服申立者」という。)に当該決定を通知する。このとき、当該不服申立てが当該事案の引き延ばしや認定に伴う各措置の先送りを主な目的であると、委員会が判断するときは、最高管理責任者は以後の不服申立てを受けないことができる。
5 委員会は、再調査を行う決定を行った場合には、不服申立者に対し、当該事案の速やかな解決に向けて、再調査に協力することを求めるものとする。
6 前項に規定する協力が得られない場合には、委員会は再調査を行わず、審査を打ち切ることができる。その場合にはただちに最高管理責任者に報告し、最高管理責任者は不服申立者に当該決定事項を通知する。
7 委員会が再調査を開始した場合は、原則として50日以内に、不服申立てに係る認定の全部又は一部を取り消すか否かを決定しなければならない。
8 委員会は、前項に規定する認定結果を取りまとめ、最高管理責任者に報告するものとする。
9 最高管理責任者は、第7項に規定する認定結果を通報者、被通報者等(第11条第2項第2号に規定する者を含む。以下同じ。)及び被通報者の所属する部局長等に通知するものとする。
(措置)
第14条 最高管理責任者は、前条による報告に基づき、その調査結果を通報者、被通報者等及び関連する部局長等に通知するとともに、関係機関に対しては、原則として通報の日から210日以内に、関係者の処分、不正使用の発生要因、不正使用に関与した者が関わる調査対象制度以外の公的研究費の管理監査体制の状況、再発防止策等必要事項を加えて報告しなければならない。
2 最高管理責任者は、前項の期限までに調査が完了しない場合には、関係機関に中間報告を提出しなければならない。
3 最高管理責任者は、調査の過程であっても、不正使用の事実が一部でも確認された場合には速やかに認定し、関係機関へ報告しなければならない。
4 前3項のほか、最高管理責任者は、関係機関の求めに応じ、調査の終了前であっても、調査の進捗状況を報告し、又は中間報告を提出しなければならない。また、調査に支障がある等、正当な事由がある場合を除き、当該事案に係る資料の提出又は閲覧、現地調査に応じなければならない。
5 最高管理責任者は、前4項による報告の結果、当該関係機関から不正使用に係る公的研究費の返還命令を受けたときは、被通報者等に当該額を返還させるものとする。
6 不正使用の内容が私的流用である等、悪質性が高い場合は、必要に応じて法的措置を講ずるものとする。
7 最高管理責任者は、前条による報告に基づき、不正使用が認められなかったときは、必要に応じて通報者及び被通報者等への不利益発生を防止するための措置を講ずるものとする。
(調査結果の公表)
第15条 最高管理責任者は、不正使用があったと認定された場合は、合理的な理由のため不開示とする必要があると認めた場合を除き、次の事項を公表するものとする。
(1) 不正使用に関与した者の所属及び氏名
(2) 不正使用の内容
(3) 公表時までに行った措置の内容
(4) 委員会委員の所属及び氏名
(5) 調査の方法、手順等
(6) その他必要と認める事項
2 最高管理責任者は、不正使用が行われなかったと認定された場合は、原則として調査結果を公表しない。ただし、公表までに調査事案が学外に漏洩していた場合は、調査結果を公表する。
(1) 不正使用は行われなかったこと。
(2) 被通報者の所属及び氏名
(3) 委員会委員の所属及び氏名
(4) 調査の方法、手順等
4 最高管理責任者は、悪意に基づく通報との認定があったときは、通報者の所属及び氏名を公表する。
(守秘義務)
第16条 委員会の構成員その他本規則に基づき不正使用の調査に関係した者は、その職務に関し知り得た情報を他に漏らしてはならない。
(委員会の事務)
第17条 委員会に関する事務は、最高管理責任者が指示する事務局の担当部署が、関係部局等の協力を得て、処理する。
(雑則)
第18条 この規則に定めるもののほか、公的研究費の不正使用に係る調査等の手続きに関し必要な事項は、別に定める。
附則
この規則は、平成26年10月16日から施行する。
附則
この規則は、平成27年4月1日から施行する。
附則
この規則は、平成28年10月1日から施行する。
附則
この規則は、平成29年4月1日から施行する。
附則
この規則は、平成31年4月1日から施行する。
附則
この規則は、令和3年1月1日から施行する。
附則
この規則は、令和4年4月1日から施行する。
附則
この規則は、令和5年3月20日から施行する。
附則
この規則は、令和6年4月1日から施行する。
附則
この規則は、令和6年12月19日から施行する。